いおワールド かごしま水族館

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※入館



鹿児島市内のほぼド真ん中に位置する桜島フェリー・ターミナル。
「いおワールド」は、その港に隣接するような形で、そこにドデンとそびえ建っていた。

地方水族館の立地と言えば、近隣都市からとてつもなく離れているか、もしくはとんでもなく
交通の便が悪いかのどちらかに相場が決まってるもんだと思っていたが、これは意外や意外。
市内のほぼ中心部に位置、海風の心地よい港のすぐ側、周囲の賑わいはもちろんのこと、
交通の便ももちろん抜群。これだけ立地条件に恵まれてる水族館もそうはないと思う。

立地条件の良さは集客に直結し、人が集まることでその価値は高まり、そして価値の上昇は
展示や設備などの更なるクオリティ向上へと繋がっていく。このポジティブ・スパイラルの
流れにきっちり乗り切ったと思われるその外観からは、もはや風格のようなものさえ伺えた。


※エースの風格

エントランスホールの中央から上へと延びるエスカレーターに乗って、上へと導かれれば
そこには「黒潮大水槽」という名の銀河が広がっていた。
「黒潮」、フィリピンと台湾の間のバシー海峡で生まれる、世界最大級の暖流。
毎秒2メートル、幅100キロ、毎秒3000万トンを誇るその圧倒的水量は、まさに海の中の大河
というに相応しい、そんな黒潮の中の生態系を丸ごと厚さ30センチのアクリル板の中に封じ込めた
この大水槽は、見る者の視線を確実に釘付けにしていた。
(「黒潮」という固有名詞は、海外でもそのまま「KUROSHIO」で通用するそう)



その大水槽の中でも特に目立っていたのが、この水族館最大の売りである「ジンベエザメ」のユウユウ。

最大20メートル以上にもなると言われるこの世界最大級の魚類が、大きな口をガパっと開けつつ、
巨大水槽の上部をゆっくりと舞うその様は、まさに圧巻というしかなかった。
願わくばもう少し下までもぐってきてくれれば、その御尊顔が拝見できるのにとも思ったが、
どうやら昼飯中らしく一向にこちらを振り向いてくれない。くそうサービス精神のない奴め。

ちなみにこのユウユウは、2005年6月25日に坊津町秋目の定置網で捕獲されたものらしく、
今現在の全長は4メートル40、体重は800キロだそう。これ以上デカくなったらどーすんの?
とも思ったが、その全長がほぼ5メートルを超える前に再び海に返してあげるそうで、その規模と
手間を考えればさぞかし大変だろうに、なかなか立派な心掛けだと思う。



この水槽内で、ユウユウちゃんの次に目立っていたのが、この「マダラトビエイ」。
体長2メートル級のマダラトビエイが、その巨体を優雅にくねらしながら群れを成して
泳いでいるその姿は実に迫力満点、あたかも大空に羽ばたくオオワシの集団のようだった。



背面がガンダムSEEDのグーンっぽくてカッコ良かったので、その場に20分ほど粘って、
裏からも激写してみた。
これまでの人生においておおよそ努力というものをしたことのないこの私だが、何故だか
こういう無意味極まりない行為においてのみ無駄に心血を注いでしまう、という妙な性癖が
あって実はちょっと困っている。何かいい治療法はないものだろうか。


※館内散策

水深200メートルを超える深みをもつ錦江湾内にて生息する魚達の中で、
特に目立ったものを何点か。



左から。
正直、これは相当なレアものだと思う。「アオリイカ」。
いや、イカそのものは別段珍しい生き物ではないが、実はイカの生態系にはまだまだ判明
していないことが数多くあり(子育ての方法など)、実際に飼育を行うにはかなりの気遣いを必要とする
難度Aクラスの生き物なのだ。
しかし、若干暗めな水槽内を、ゆっくりと優雅に漂うその美しきスルーセントボディを見るに、
苦労してでも展示する価値は十二分にあるといえよう。

で、ただのレンガブロックをあたかも宝物のごとく大切そうに抱え込んでいるとんだ
大間抜けは「テナガオオホモラ」。背中にものを背負うのが趣味なとてつもなくヘンなカニ。
一説によると外敵から身を隠す必要性から、そのような行為に及ぶらしいが、頭隠して尻隠さず
どころか、何一つ隠蔽できていないそのまごうことなきカニっぷりを見るに、やはりカニはどこまで
いってもカニなのだなあとつくづく思う。このカニが、カニ風情めが。



次、「
アナジャコ」日本各地の干潟に生息。
干潟にY字型のトンネルを掘り、その中に単独で暮らしている、ちょっと世捨て人臭つよめなエビさん。
穴の周辺にいる微生物などを口の周辺にあるヒゲで濃しとって食べている、とのこと。
世捨てエビだけあって他人から干渉されるのがとにかくキライで、それをされると即座に発狂
のち邪魔者を排除しようとする習性があるらしいが、それをまんまと利用されたあげくピチピチと
吊り上げられてしまうという、特Aクラスの愚か者でもあるらしい。
やはりエビはどこまでいってもエビなのだなあと思う。このエビめ、エビごときめが。

自分より下の存在を明確に認知することでミクロレベルの優越感に浸り、自己の存在価値及び意義を
安易に再確認することが出来る、 そんなツールとしても使える水族館が、やはりミーは大好きだ。

で、右。「ミズクラゲ」。
体の95%が水で構成されているがゆえ、ふとしたことでも即昇天なさってしまうという最弱種。
ところがこれが大量発生した途端、漁業に大ダメージを与えたり、発電所の冷却水取入口をつまらせたりで、
最強種である人間様にちょくちょく多大なる迷惑を及ぼしたりするらしい。
もしコイツに声帯器官があったならば
「史上最弱こそが…最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も恐ろしい!」
マギィィィィィィ!
とか言ってそうで、ちょっと怖い感じだ。


※なにげない工夫こそが

大小あわせれば、この狭い日本国土内だけで100以上もの水族館が点在すると言われている。
そんな水族館過多供給時代を生き残っていくための秘訣は、やはりその水族館ならではの個性を
活かした「独創性」ではないかと思うのだ。



館内において、もっとも目を引いたギミックがこれ。
水槽上部から伸びているカメラを手元コントローラーにて操作して、特によく見たい箇所を
左のモニターで拡大観察できてしまえるという、老眼なお年寄りや近眼なドオタなどには実に嬉しい、
プチ・バリアフリー感漂うナイス配慮と言えるだろう。

が、実際、その前にはりついていたのは、視力的には何の問題もないと思われる、小学校低学年
くらいのお子様であった。しかもである、ミーという第3者がそれをいかにも弄りたそげな顔して
背後から重厚かつ濃厚にはやくどけよー的プレッシャーをかけているにもかかわらず、このお子様
ときたら子供3原則が示すところの図太い・図々しい・ふてぶてしいをフル活用して、その場を
動かないこと山の如しときたもんである。

更にである。カメラ自体の移動スピードが極端にトロすぎて水槽内を泳ぐお魚さん達の動きに
まるでついていけないという、このメカの存在意義自体を疑ってしまうような本末転倒的欠陥が弄った瞬間
モロバレてるにもかかわらず、まったくといっていいほど飽きる気配がないのである。
このどかなさっぷりは完全におかしい。ねえ君、水槽内の石とか壁のひびわれとか拡大してなにか
面白いことあんの? とか思わず本気で聞きそうになった。

水族館エンジョイライフにおける最大の障害は、いつでもこやつら等、チルドレンどもにあることを固く再認識。
即、エネミー認定である。



その後、半ば意地になって彼女が立ち去るのをひたすら待つも、おおよそ10分程で私の忍耐力は
限界を越えた。敗北感にうちひしがれながら、しぶしぶ近くにある別ギミックへと足を向けることに。

さて、水槽内に設置された拡大鏡を通して、その視覚範囲にある対象物を詳細に観察可能という
上記ギミック。これの最大の欠点は、肝心の拡大鏡が完全固定されている故、観察者はその先に
ある人工サンゴ表面のブツブツのみを延々と見続けることになるという、楽しい鑑賞行為がある種
拷問の様相を呈してしまっていることにある。

半ば意地になって、そのブツブツを観察し続けてみたものの、そのあまりの動きのなさにゃ正直辟易。
当然のごとく、約1分程で忍耐力の緒はプッツリと切れ、ミーはその場を足早に立ち去ることとなった。
(あのガキはまだ例のメカを弄っていやがった)(くそう)(いいなあ)


※「変わり者」とかじゃなく、むしろ個性と言ってほしい

ここらで、全世界中の水族館の中でもここ「いおワールド」だけでしか展示されていない、
レア中のレアものを紹介。



世界初展示、「
サツマハオリムシ」。
1993年に錦江湾内の「たぎり」と呼ばれる硫化水素などの火山性ガスが噴き出る水深82メートルの
場所で発見されたゴカイの仲間の一種。海洋映画の最高傑作と言われる「ディープブルー」に出てくる
チューブワームさんの亜種だそう。

地球上全ての生けとし生きるものが絶対必要不可欠としている太陽光にまったく依存することなく
生命活動を維持できる唯一の生物で、海底火山口から噴出する硫化水素をバクテリア分解して
エネルギーに変えることが出来るそうだが、そんな生命工学上の基本概念を根底から覆してしまう
ような凄い奴のわりには、よくよく観察すれば単なる雑草以外の何者でもないように見えてしまうのは、
これはミーの感性というかその手の察知能力が極度に不足しているせいだろうか?

どこにでもいる普通のリーマンにしか見えなさそうな人が、実はバリバリのヤクザもんだった、
なんて話が珍しくもなんともなくなった今日この頃、外見材料だけでその全てを判断すること
がいかに危険であるかを、このサツマなんとかは深く教えてくれる。



で、こちらは、「タギリカクレエビ」。
サツマハオリムシのコロニーで発見され、2001年12月に新種として報告されたという、
生物界のニューカマー。たぎりから発生する硫水素をエネルギー源とする化学合成細菌をもとに、
生物群集が作られており、このエビもその一種だそうだが、発見されたのが最近ゆえ、気になる
その生態の方は厚いベールの向こうに覆われたままだそうだ。
それにしても「たぎり」に隠れているからタギリカクレエビ? これまた随分と安直かつセンス
といったものを恐ろしいほど感じさせないネーミングである。是非とも命名者の息子の名前を見て
みたいものだ。


※グレイシーさんの血脈.

日本の河川・近海ではまずお目にかかることのない「水族館ならではの魚」を挙げよと言われれば、
やはりこの「アマゾン河コーナー」ははずせない。
今やどの水族館にもあるといってよいほど認知度の高いおなじみコーナではあるが、日本古来からの
在来種とは完全に一線を画す視覚的特徴とそれがもたらす圧倒的迫力は、何度見ても面白いものがある。



まず左から。「オスカー」。アマゾン全域に分布する大型シクリッド。
アリゲーターガーやレッドコロソマなどの超ド級クラスと比べると、若干地味めなところは否めないが、
たまにはこういういぶし銀クラスを、と思って紹介してみた。
・人馴れしやすい・成長するにつれて体色を変える、などの特徴を持ち、現地人は主に食用としているそう。
また、飼育のしやすさと豪快な餌の食いっぷりから、一部熱帯魚マニアの間で人気を博している種でもあるが、
「鞭毛虫性頭部穴開き症」という名前だけでその恐ろしさが軽々とうかがえてしまうような病気にかかりやすくもあり、
そのあたり注意が必要らしい。

じゃ右。「ドラード」。
ブラジルのアマゾン水系、アルゼンチンのラプラタ河などに生息するシイラの仲間。
ポルトガル語で「黄金」を意味する名前を冠し、その名の通り、黄金色の体をしている。
その派手な体色と高い獰猛性から、世界中のフイッシャーマン達の間で「一度はチャレンジしてみたい魚」の
筆頭にしばしばあげられるほど、人気のある魚らしい。
そういえば釣り師としても名高い文豪、開高健氏のエッセイにも登場していたような気がする。
思い出したがムクムクと再読衝動が沸きあがってきたのでアマゾンで即ゲット。アマゾン関連だけに。
…どうした、笑え
そんなお寒いお話はさておき、水族館好き…というよりは魚好きか? その辺りのマニア必読の本
だと思うので、興味ある人は是非とも一度、手にとってみられることをお勧めする。




続けていこう。左、「メガロドラス」。ようやくアマゾンっぽいのが出てきた。
全身これ甲冑といった感じの怪獣的フォルムが目を引く怪魚中の怪魚。
体側の骨板が異常に大きく、敵に襲われると、そこの骨を擦りあわせて「ググッ」という
音をだすらしい。外見ばかりかその仕草まで怪獣っぽいときたもんだ。
熱帯魚店などで3万辺りから取引されているらしいが、円谷プロ関係者以外でこんなの購入しようと思うスキモノ、
はたしてこの世に存在するのであろうか。

で、右側。「モトロ」。淡水のみに生息するエイの仲間。
美しい色彩や模様を持つが尾びれに強力な毒を装備。
砂の中に潜っているので踏みつけると地獄、だから現地じゃ水中地雷扱いらしい。
確かに川遊びしていてこんな代物踏みつけた日にゃ、正直、絶叫どころじゃすまないと思う。


※電気ウナギの憂鬱.

水族館で「ウナギ」といえば「電気」というくらい、すっかりメジャーになったこの電気ウナギ
電圧実験コーナーだが、そのわりには今までレポートしてきた全22館中、ほぼ1/3に当たる
7館しか導入していないという、人気があるんだかないんだか良く分からない、実に中途半端な
位置付けのコーナーでもあったりするのだ。



気になる電気ウナギ・ギミックは、電撃の強さを示す電圧メーターの設置のみと、
ちょっと物足りない部分は否めない、が、説明員にキレイどころのお姉さんをつけて、
独立したショーとしてのレベルにまで底上げしている辺り、なかなかに工夫していると思う。



その説明によると、電気ウナギはその名前通り、敵に襲われたり餌を捕獲する際に高圧電気を放出する
変わった特性を持っていて、その電気の強さはヒトやウマさえ倒してしまう程と言われているらしい。
そこまで大層な能力を持っているわりに、15分以上息を吸えないと魚のくせに溺れて死ぬという、
極めて間抜けな一面もあったり。

「大男、総身に知恵が回りかね」という言葉があるが、体内の2/3以上が発電の為の筋肉で占められる
コイツにも同じことが言えるのではないか。


※いつかのメイン.

「魚類を鑑賞する」という大目的以外にも、水族館には様々な楽しみ方がある。
例えば、巨大水槽の脇にある梯子を上って水面上から観察してみる、
「実験室」と書かれたプレートが下がっているドアの中を覗きみる、などなど、
普段はまず見ることのない水族館運営の舞台裏を垣間見るのは、なかなかに楽しいものだ。



河口域に広がるマングローブ林を再現しているコーナーにて目撃。
通常、表舞台に姿を現すことのない飼育員の方が、お魚さん達に黙々と餌をやっているその様に
ケン・タカクラを重ね合わせ、「自分、不器用ですから…」風のアテレコを勝手に当てた挙句、
それをムスっとした顔で見咎められるも、水族館におけるアンダーグラウンドなお楽しみの一つと
言えるだろう。

餌の供給先が「トビハゼ」という一山いくらのモヤシ感満載な雑魚であるところも見逃せない。
通常環境においてはあまり面白い観察対象とはいえない彼等が、ここぞとばかり己の個性を
ひけらかし、餌めがけて一斉に跳びはねながらそこかしこをピチピチしている有様はかなり壮観。
さすがはマッドスキッパー、「泥の上を飛び跳ねるもの」と呼ばれるだけのことはある。
餌を前に興奮しすぎたか泡ふいてピクピクしてるところなどもなかなかにラブリーだ。

一見、駄魚、いや、それをも更に下回る雑魚に見えたとしても、環境・状況の変化によっては
とてつもないパフォーマンスを発揮することだってあるのだ。なら、人間にも同じことが言える
のではないか?本人さえまだ気づいていない秘められた能力が己の中にも眠っているのではないか? 
分かる、ミーも以前はよく思っていた。そして今なら断言できる。25を過ぎた時点でそれはない。
己の程度を知り、節度をわきまえつつ、おずおずと身の丈レベルの幸せを掴むことに注力するが、
30過ぎからのヒューマンライフというものである。


※レッツ・ミー・エンターテイン・ユー



そろそろイルカショーの時間だと思いプールの方へと赴いたら、そこは「なに?ここ、どこの島根?」
というくらい閑散たる状況となっていた。子供1人とていない観客席にて楽しげにいちゃつく一組の
カップルを横目に見やりつつ、開演時間を間違えた自分のうかつさを心底悔やむ。
イルカ、アシカなどのショー関連を楽しみに水族館に赴かれる諸兄の方々においては、開演時間の事前
確認及び携帯電話のメモ機能利用などによるそれら情報の保存を、ゆめゆめ忘れなきよう、ここに進言
しておく。

露出プレイ好きと思われるくだんのカップルの興を更に高めるべく、特に用もないのにプールの周囲を
必要以上にうろうろしていたら、その縁にこんなシールを発見。

 いるかがかむこともあります。
 ガラスの縁に手をかけないでください。


好奇心旺盛なお子様方の知能レベルに配慮してか、無駄にひらがなが多い。
が、むしろ無駄なのはひらがなではなくて、この注意書きそのもの。
何故なら注意しようがしまいが、やる奴はやる。いや、そういう輩は、むしろ注意書きを見たことにより、
まずますそれを実行したがるだろう。
あくなき探究心と臨機応変な思考力から生まれるとてつもないアイデア、更には失敗を恐れない実行力と
我々アダルティに容赦なき戦慄をもたらす、途方もなく低き自制力。
それこそが「子供」というモンスターの保有する、最大の武器なのだと思う。



プール脇の階段を降りたところで、イルカプールの底を観察できるようになっていたので、
そこにて「ハンドウイルカ」さんのアクティブな動きに延々と見入る。

体長3メートル・350キロくらいにまで成長するというこのイルカ最大の特徴は、知能が極めて高く、
また環境適応力に長けていることであり、時には意識的に鑑賞者たるこちら側を驚かしにかかることが多々あるそう。
実際、猛スピードでアクリル壁ギリギリまで迫ってきて、切り返す瞬間に口をクワッとあけながら
こちらを鋭く威嚇するその様は、アマゾン系の怪魚に勝るとも劣らない恐怖だ。
息子の手を繋いだパパさんとママさんが「イルカさん、かわいいねー」などと平和ボケしたセリフほざいてる
その矢先で、上述のメンチを思いきり切り飛ばして子供をガン泣きさせた挙句、おすまし顔でそこらを遊泳
しているその様を見るにつけ、人間以外に生まれ変わるならイルカがペンギンがいいなと心の底から思う。


※そこにある憩い



魚類系を展示しそれを鑑賞してもらうという水族館の大前提を、根底から覆すコーナーを発見。
いくら目をこらしても、ガラス向こうの真っ青な空間に生物の姿は一切認められず、時折あぶくが一つ二つ、
上方へ上がっていくのみであった。

この無生物水槽の左側に、ポエムが記されていたので、読んでみる。

 
青い海 なにもいない
 もう耳を塞ぎたいほど。
 生きものたちの歌が聞こえていた海
 それが、いつのまにか、なにも聞こえない、
 青い海。

 人間という生きものが
 自分たちだけのことしか考えない

 そんな毎日が続いているうちに
 生きものたちの歌がひとつ消え 
 ふたつ消えて
 それが いつのまにか なにも聞こえない
 青い 沈黙の海

 そんな海を子供達に残さないために
 わたしたちは 何をしたらいいのだろう?


何一つ、面白味というものを感じさせないこのコーナー。
…の筈なのに、こんなにも惹きつけられるのは、その前から一歩も動けないのは一体全体どういうわけか。
しかも精神的側面のみならず、物質的な肉体面でさえ、確実に癒されていくのを感じる。
むう、遂にヒーリングは「与えられる」レベルから、「考えて得る」レベルにまで到達したというのか。

と、えもしれぬ感慨に打ち震えていたたその横にて、ミー同様、この無生物水槽に見入り、しかも僅かながら
涙チョチョ切れさせてる多感な男を発見。キャハハ、キモーイを頭の中で連呼しつつ、速やかにその場から退避した。
こういう情緒感豊かなギミックは嫌いではないが、勘違い君をやたら誘発させるところは困りものだなあと思う。



※総合

都市型水族館としてのメリット、つまりは近代的・モダン的特徴を存分に出しつつ、
同時に広大なるその立地面積と条件を活かして、従来の都市型ではまずなし得えなかった
開放感をも演出するという、コンテンツを内へと凝縮させる都市型・外へと発散させる
レジャー型双方の各長所を融合させた地方大都市ならではの水族館と言えよう。
交通の便も極めて良好なので、クーポン・年間パスなどを購入して、長期的に楽しむがベスト
これで入場料が¥1000をきっていれば完璧だったが…

ファミリー ★★★★☆ 交通の便がいいだけあって、家族率高し
カップル度 ★★★☆☆ まあそれなりに
わびさび ★☆☆☆☆ 近代的イメージ強い
学術度 ★★★☆☆ 飛び抜けてはいない
お得感 ★★★☆☆ 支払った対価に値するレベル
建物装飾 ★★★☆☆ 典型的な都市型水族館
水槽装飾 ★★★☆☆ ギミック系は充実
総合調和 ★★★★☆ 入り口エレベータの荘厳さは秀逸
憩い場所 ★★★★★ もはや哲学レベル
磯コーナー ★★☆☆☆ 特に目立つところなく
ペンギン度
レア度 ★★★★★ ハオリムシの存在が際だっている
総合 ★★★☆☆ あくまで私的観点と個人的意見から


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