井の頭自然文化園 水生物館

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※入館、そこに至る道

とあるメールを頂いた。

 
****といいます
 サカイさんは吉祥寺の井の頭公園内にある動物園はごぞんじですか?
 あそこは、水族館ではないんですけど園内に水生ナントカ館みたいのがあって
 その中に、カワセミと魚とか亀とかを一緒に入れてる水槽がありまして
 カワセミが餌をとる瞬間を見れるんです。
 カワセミが狩りそこなって、腹腸はみ出たまままになってプカプカしてる魚とか見れて楽しいですよ。
 磯コーナーもあってオタマジャクシのつかみ取りみたいのや
 子供が入って魚を踏めたりできるようになっていて一見の価値は有ると思います。
 ぜひサカイさんも見に行ってみてください。


というわけでムクムクと沸きおこる探究心を抑えることが出来ず、平日の昼下がり、吉祥寺へ。



まずは井の頭自然文化園に入園し、目的地である水生物館へとテクテク向かう。
そんな中、最初に目に入った生き物がこのホモ・サピエンス。
混雑している井の頭公園内での休息をさけて、この静かな文化園にて悠々と憩うあたり、中々の強者と見た。
そのあまりに見事な爆睡っぷりの中に人類の確かなる未来を感じつつ、ミーは偉大なる先人に頭を垂れる。
うむ、確かに「働いたら負け」であるな、我々も彼のようにもっと自由に生きるべきだ。



中央の池では白鳥さんがゆらゆらと。
2羽が超接近して互いの首と首とでハートマークを形づくっているのを目撃し、
すかさずカメラを取り出すも、その形態は2秒と持続されず、シャッターチャンスを逃してウギギとなる。
白鳥はもう少し優しくてもいい… 
そんなことをただ思うのみに止め、投石を思いとどまるジェントルメンなミー。
とっととメスは惚れるがいいと思う。

 

ところで寝こけている白鳥の姿にティターンズMS「バウンドドッグ」との類似性を感じてしまうのはミーだけだろうか?



そしてようやく水生物館前に到着。
この位置からは見えにくいが、入り口右付近には古き良き昔の雰囲気を醸しだす小川が流れていた。
その素朴な佇まいといい、そこに住まう「メダカ」や「ドジョウ」の朴訥さといい、なかなかにポイントが高い。
この心地よく耳に響く小川のせせらぎ、そこから受けるそこはかとない優しさ…
うん、実に穏やかな気分になれそうだ。


※哀愁の磯コーナー



いざ入館をはたしたミーが最初に目にしたものは「蹂躙」という名の鬼畜の宴だった。
狭く浅い水槽の中を必死で逃げまどうお魚さんを執拗に追い回す幾本もの魔手、
中央につくられたガラス仕切りのセーフティ・ゾーン内にまで容赦なくのばされるデビル・ハンドの数々、
そしてその地獄のような光景をニコニコと暖かく見守るペアレンツ達。何の事はない、
この素朴な外観はたんなるデコイだったというわけだ。
そんな素朴の中の地獄を見やりつつ、ミーは一人絶望に身をよじる。


※スナイパーの哲学



今までの水族館シリーズの中でも、1・2を争うくらいの感動をミーに与えてくれたのが、この水槽。

 
カワセミと魚とか亀とかを一緒に入れてる水槽がありましてカワセミが餌をとる瞬間を見れるんです。
 カワセミが狩りそこなって、腹腸はみ出たままになってプカプカしてる魚とか見れて楽しいですよ。

まさに百聞は一見にしかず。
水辺を模した水槽の池の中をところ狭しと泳ぎ回っている「モツゴ」「ギンブナ」などの小魚が狩られる者。
そしてそれらの獲物を狙うハンターが、水面の「カイツブリ」、木上の「カワセミ」、というわけだ。



まずはキル・ダイバーこと「カイツブリ」さんから紹介。
水面をゆらゆらと優雅に泳ぐその様は裏稼業をカモフラージュする為の仮染めの姿。
一度身を翻して水中に没するやいなや、鋭い俊敏な動きで獲物を追い回し、その鋭いくちばしで容赦なくバイティング。
その姿やまさに水中の殺し屋だ。

ちなみにこの右側の写真を取る為にミーがどれ程の時間を費やしたか、お分かり頂けるだろうか?
周りにたかるガキ共や、そのお父さんお母さん方の冷たい視線をものともせず、
床に片膝をついての待機姿勢で来ないかも知れないその瞬間をひたすら待つ。
突き刺さる視線、片足にかかる自らの荷重負荷、絶好ショットを外したときの虚しさに耐えつつ、
その必殺の瞬間をひたすら待ち受ける… こんなに楽しい時間もそうはない。
周囲からちょっと可哀想な人と見られることだけがデメリットだ。



次に紹介するのはスカイ・ハンター「カワセミ」さん。
何を考えているのかさっぱり分からない空ろな目で、ボーっと虚空の一点を見つめているだけかと思いきや、
何の予備動作もなしに突如驚異的な速度で水面に向かって滑空、ハッと気づけば元の枝の上に戻っていた。
ダイブ前と後に変化があるとすれば、その長くて細いクチバシに小魚がくわえられていることのみだ。

いや、こりゃ凄い。かなりのものだと思っていた「カイツブリ」さんのハンティング・スキルすら、
この彼に比べれば児戯に等しいかもしれない。
そのあまりのスピードのせいで遂にハンティング・ポイントをショットすることは叶わなかったが、
それでも素晴らしく楽しめた。

実際この水槽前で、ミーはほぼ1時間を過ごしたが、それでもほとんど飽きることはなかった。
これは結構すごいことだと思う。


※館内散策.

河川環境を上・中・下流に分け、それぞれの領域ごとに生息する魚達を紹介するコーナーを発見。



まずは上流編から。
左が「ニッコウイワナ」で、右が「ヤマメ」。
上流の定義についての説明文も下記に一部抜粋しておく。

 
川の上流では、川が1回曲がるあいだ(蛇行)に瀬と淵が幾つも見られます。
 大きな岩や石がごろごろしている間を勢い良く水が流れ、瀬や淵へ滝のように落ちこんでいきます。
 水は澄んでいることが多く、冷たくきれいな水を好む生き物が棲んでいます。

ちなみに流れが浅いところを「瀬」といい、流れが緩やかで深いところを「淵」というそうだ。
まずはアカデミックな出だしから入ってみた。もうハートレス・ウォーミングな紹介文とは言わせない。



次、中流編いってみよう。
左が「アユ」で、右が「オイカワ」。
ちなみに中流の定義は以下。

 
中流では川が1回蛇行するあいだに、瀬と淵がひとつずつ見られます。
 平瀬や早瀬と淵の区別がはっきり分かり、水は瀬から淵へとなめらかに流れていきます。
 石はあまり大きなものはなく、角がとれて丸みを帯びてきます。

この瀬には流れが緩やかな「平瀬」と、白く波立ち早く流れる「早瀬」があるとか。
その説明文の右下にハートマークをあしらった追加記述があるのを認め、ピタと足を止めた。



その文章そのものはまだいい。許す。
だがそのハートマークは一体…?こんなもの見せられて頭にこねえ独男はいねェ…!
と、まずは空条承太郎ばりに憤る。
その後、どこまでもアキバが似合いすぎてしまう自らの服飾センスを省みて、かなり鬱になりかける。
何気ないところにひそむ罠。おのおのがた、ゆめゆめ用心忘れることなかれ。


※レッドとかグリーンとか、信号じゃないんだから.

館内のちょうど中間地点辺り、絶滅の恐れがある希少種に認定された魚、
いわゆる「レッドデーターブック」の生物達が展示されているコーナーを見つけたので、
そこから何点か紹介してみよう。



左のそれは随分と変わった迷彩を体中に施している「オヤミラミ」とかいうひどい名前の魚。
これまた命名した奴は相当のアレだろうと思いながら説明文を読み進めてみる。

 
オヤニラミのオスは外敵に卵を食べられないように監視することはもちろん、卵に新鮮な水を送ったり、
 卵についたゴミを取り除いたりします。親魚が”にらみ”をきかせて”卵を守るこれらの行動から、
 オヤニラミという名前が付けられたそうです。


ぐ、相当なアレはミーの方だった。命名者さん、ごめんなさい。



ふと横をみれば「ミヤコタナゴ」とかいう、やけに小っこくて見映えのしない地味魚が
随分と派手にクローズアップされていたので、すわ何事かとばかりに説明文を眺めてみた。

 
魚の中には変わったところに卵を産むものもがいます。
 その中でタナゴの仲間は全て2枚貝の中に卵を産むという習性を持っています。
 タナゴの仲間はなぜ、貝の中に卵を産むのでしょうか?貝の中で卵や仔魚の時期を過ごすことは、
 藻などに卵を産みつける方法よりも他の魚などに食べられにくくなります。
 また、(貝の)えらの部分は酸素を多く含んだ水が常に流れているため、泥や砂をかぶることがありません。
 このような良い点があるからと考えられています。

 (このミヤコタナゴと2枚貝の共生説明パネルは普通に読んでもかなり面白いので、訪れる方は必ずチェキすべし)

つまりは希少種である上に変わった習性をお持ちのお魚さんであるということで、持ちあげられている模様。
こんなに小っこい体でありながら、この子孫繁殖の為の努力はなかなかどうしてたいしたものだ。
我々としても彼等から学ぶべき点は大いにあると思われる。



こちらはかなりメジャーな存在だろう、そう「オオサンショウウオ」さん。
光学迷彩もどうかというレベルで水中に沈んだ枯れ木と限りなく同化していた。

とあるガキ、じゃないお子様が「何処?何処にいるの?」とキチガイのように叫んでいるのを見るに見かね、
つい「そこだよ!」と逆ギレ気味で指差してしまい、その親御さん達に獣のような目で睨まれる。
この1件からも水族館への単独視察は、もうそれだけで相当な危険行為に該当するということが
充分お分かり頂けたかと思う。


※何気ない工夫こそが.

全体の規模が小さいせいもあるのだろうか。
水槽の装飾部分に関しては、随分とおざなりなものが多かったような気がするが、
下記水槽に関してはなかなかの独創性が見受けられた。



水面を一面に覆う水草群。その辺にある池とか沼とかでわりとよく見られる風景。
ではその水面下には果してどのような世界が展開されているのだろうか?
そんな何気ない疑問に対して明確な一つの解を示してくれるこの水槽の存在はなかなかに面白い。

水面下の疑似マングローブ帯をチョロチョロ泳ぐ「ゼニタナゴ」さんを眺めながら、
普段見れない部分を覗き見るというのは何故にかくも面白いのであろうか?と思いふける。
盗聴および盗撮マニアの気分が少し分かったような気がしないでもない。




続いて「イトヨ」という魚の巣づくりをマンガ仕立てで解説しているパネルを発見。
その全ネームを抜粋してみる試み。

「エッサホイサ」「ヨイショ」「プルプル」「フムフム」「アラステキ」

どこかしら人をホッとさせるようなこのネームのファニーっぷりが、
この館全体の雰囲気を表しているといっても過言ではない。
きわだった工夫や派手な装飾はなくとも、何気ない工夫でその辺りのビハインドを充分カバーすることは
可能なのだというモノツクリの原点を教えられたような気がした。

まあ肝心の「イトヨ」自体は極めてショボい魚であり、
どこかしらターゲットを間違っているような気がしないでもなかったが、
それもまた「味」の一つとして認識するべきなのだろう。


※水中からの刺客



水中属性型むっしーさん達がディスプレイされている独立コーナーがあったので、すかさず赴いてみた。
左が「タガメ」さんで右が「ミズカマキリ」さん。そのフォルムといい迫力といい、
なにかもう両者ともあからさまに「虫」という概念を超越しすぎだと思う。
特にタガメさんの方はミヤマクワガタもどうかというムキムキっぷりだ。
昆虫のくせに普通に怖いというのもすごい。これがあと2倍大きかったらと思うと正直ゾっとするものがある。


※オマージュの名を借りた種死のアレはあんまりだったよね



館内最深部付近にて黒い三連星の機影をレーダーに捉える。
ちょうど「ジェット・ストリーム・アタック」の体勢に入ろうとしていたのですかさず激写してみた。
真ん中を陣取るオルテガさんの貧弱っぷりが若干気にならんでもないが、
確か踏み台にされるのは先頭のガイアさんなので特に問題はない模様。
そして直後に散りゆく運命にある最後尾のマッシュさんに対して静かに黙祷を捧げつつ、
ミーはこの水族館を後にした。


※おまけ.

この井の頭自然文化園には分館と本館があり、
本館の方ではアニマル共が鑑賞できるというので、ついでとばかりに行ってみた。
蛇足的な紹介なので文章のおざなり度はいつもに増して酷いが、その辺はまあ勘弁していただきたい。



左は「ハムスター」地獄、略してハム獄、完全に埋まりたい。
右はエヴァ第4話でも有名な「ハリネズミのジレンマ」。まさか実際に見れるとは思わなかった



こちらは「アライグマ」さん。その名の通り、一心不乱にレモンを洗ってらっしゃいました。
ところで上目づかいはやめて〜やめて〜、可愛すぎて直視できなくなるからー!




左が「フェネック」、右が「マーラー」。
ついでにフェネックさんのあまりの可愛さに侵されて、
筆舌に尽くしがたい乱れっぷりを晒けだしているお姉さんを発見。
むしろそっちを写真に収めたかったけど、チャンスに恵まれませんでした。非常に残念。




こちらの方はもう「デカアァァァァァいッ説明不要!!」でしょう。
日本にいる中では最も高齢な「インドゾウ」であるところの花子さん。
ちなみに右は花子さんの奥歯ね、これまためっちゃデカいわー



※総合.

公園コンセプトとしての位置づけを忘れることなく、その上に動物園・鳥園・水生物館というお楽しみ要素を
付加させたこの井の頭自然文化園は、まあ言うなれば全体が憩い場所だ。
気軽に訪れて散歩気分で鑑賞し気の向いた場所で憩う… そんなフィールで1日をゆっくりと楽しんでほしい場所だ。
ちなみにカワセミ水槽は必見ものの素晴らしさ。死んでも見るべし。

ファミリー ★★★★☆ 万遍なく分布
カップル度 ★★★☆☆ ファミリー度に比べれば若干控えめ
わびさび ★★★★☆ ふんだん
学術度 ★★★☆☆ 平均レベル、ユニークさあり
お得感 ★★★☆☆ 割安感あり
建物装飾 ★★☆☆☆ 普通に地味
水槽装飾 ★★☆☆☆ シンプル。全体的に地味
総合調和 ★★☆☆☆ 本館と分館の行き来が不便
憩い場所 ★★★☆☆ むしろ公園全体がそれ
磯コーナー ★★★☆☆ セーフティゾーンあり
ペンギン度
レア度 ★★☆☆☆ インパクト不足否めず
総合 ★★★☆☆ あくまで私的視点と個人的意見から


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