シーサイドパークひろお

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<2005年11月3日に閉館、長い間お疲れさまでした>

※入館… そこに至る道

入場ゲートをくぐった直後、ウキウキしつつも、威風堂々とそびえたつ水族館本館を見て厳粛な気持ちになる…
そんな入館前のお約束儀式がいきなり、しかも軽々と覆されてしまった。まあ見てよコレ。



唐突に電車がシュッポッポ、お子様は笑顔でピースサイン。平和このうえない風景に少々面喰らう。
いや、確かにいいフィールだ、認めよう。入った直後の遊園地による半強制的な和み。アリだ、確実にアリだ。
汽車とおじさんと子供の笑顔、この三点セットには確かに適わない。

だがな、いいかよく聞け少年よ。その未発達な耳をエルフのように伸ばしてよく聞くのだ少年よ。
これから人生の荒波にもまれるであろうキミにお兄さん一言いっておきたい。
まず乗ってる客がユーひとりだというその不自然さに気付いてほしい。なんたる寒さかこれは。
そしてそんなことを考えるミー自身もまた極寒である。さすがは北海道、北の大地だけのことはある。



まだまだ遊園地地獄は続く。
お次は「アポロ2000」、近くで見てみたら完全に錆びていた。
たぶん永遠に打ち上がることがない、そんな悲しい宿命の乗り物。
そしてミーの心はますます冷え冷えとするわけである。



まあ、いいだろう。
汽車もアポロもそれなりに頑張っている。それは認めよう。

だが、ここまでやられると流石に許すわけにはいかない。
なあ、お前のその目はなんだ。究極的なまでに人を舐め切ったその目は一体なんなのだ。

くそう、造り物のゾウごときに小馬鹿にされてたまるか。
上下関係を即刻叩き込むがため、すかさずマウンティングしてみた。



と、そこにはコクピットが。
ただの静止型ライドだと思ったら、何と可動式とは。
しかも完全自動式。パイロットは「あるく」「とまる」のボタンとハンドルのみで
このモビルスーツを自由自在に操ることが可能になるというわけだ。
1回¥200という値段設定が多少アレな感じがしないでもないが、まあ贅沢はいうまい。

1人たんたんとゾウにまたがり、トコトコと人気のない広場を闊歩していたら、
(不思議なことに)気がめいってきたので、危険を感じたミーはすかさずライド・オフすることにした。



気をとりなおして次の乗り物に向かう。と… おお、なンか凄そうだ。
このトップスインガーなるマシーンはいかなるギミックをもってミーを驚かせてくれるのだろうか? 
期待で胸はふくらむばかりだ。早速のってみよう、と近付いてみる。



そしてこの貼り紙を見て膝から崩れ落ちた。

ブランコのように自分でこいでください

手抜きにも程がある。いや、これは手抜きじゃないのか、むしろ方向性の問題か? 



そンなミーの心中を見透かすがごとく目の前に立ちふさがるサンタさん。

………………… いや、もうミーの負けでいい。許せ。


※ようやく入館



入館前に体中のエナジーを全て吸い取られてしまったような気がして、口をパクパクさせる。
空気を、もっと新鮮な空気を…

…そンなこンなで、ようやく入館。
入館と同時にアップアングルで迫りくるキング・オブ・シェル「シャコ貝」にはやくも圧倒されかける。
それにしてもこのシャコ貝は見事だ。
この巨大なカラの間に誤って手や足をいれ、はさまれて死亡したケースもあることから、
人喰い貝とも呼ばれているらしい。


※館内散策



中に入ったら、いるわいるわ、訳わかンないのが。
というか左のは本気でなんだか分からない、なンだっけコイツ。書いたメモが汚くて読めない。
自らが書いた文字が持つ象形性というものに絶望をこえて感動すら覚える。
とりあえずナマコに似ているのでナマコウオと名付ける。
(後日 情報入手。どうやら「
ハイギョ」らしい。情報感謝)

右のは、かの有名な「テッポウウオ」さん。
5分ほど水槽の前にはりついて、その華麗なるテッポーの妙技の瞬間を拝見させていただこうとしたのだが、
彼はユタユタと水槽内を泳ぐだけだった。君はちょっとエンターテイメント性に欠けているね、再教育の必要あり。



他にも目にとまったお魚さん達を幾つか紹介。

左のは「イエローピーコック」。マラウイ湖のみに生息するシクリッドだそう。
ちなみに
シクリッドの定義は何かというと「ちょっと気が荒く、海産のスズキから進化した小型〜中型の魚達」
だそうで、南アメリカ大陸とアフリカ大陸に多種多様に分布しているらしい。
ついでにマラウイ湖についても調べてみた。
湖の寿命はふつう数千年ないし数万年と言われているそうだが、琵琶湖とかはそれよりもはるかに
長い歴史(500〜400万年)を持っているらしく、このように例外的に歴史の長い湖を「古代湖」と呼ぶそうだ。
そしてその古代湖とやらは世界中でもわずかしか知られていないそうで、バイカル湖とか、このマラウイ湖も
そういう湖の一つらしい。

も一ついっとこう。「
トランスルーセント・グラスキャット」。
その透明な体に光が反射してキラキラしているのがたいそう綺麗な、非常に幻想的な魚だった。


※死と隣りあわせのニシンと青春



水槽の上の方にて集団でダマ化しているのは「ニシン」の子供達。
その小さな体にそぐわない発狂ぶりが実に健康的に見えて、大変よろしい。

しかし、ふと上から下へと視線を移せば、冷え冷えとしたコンクリ底部に寒々しく転がる敗者の屍が1、2体と。
現実社会の生存競争の厳しさをあからさまに見せられたような気がして、どこかこうシュンとしてしまった。
ニシンの稚魚達の中にひそむ何気ないトラップ、それを見た瞬間に気づく現実。躁と鬱はまさに隣り合わせである。


※「変わり者」とかじゃなく、むしろ個性と言ってほしい



とにかく力技オンリーでミーを驚かせた系2連発。

左のは「ナメガレイ」。名前だけじゃなく態度までナメてやがる。
よもやお客さまに対して裏しか見せないとは。
とか思いつつ、よくよくメモを眺めてみたら、どうも本当の名前は「サメガレイ」らしいことが判明。
…失礼、ナメていたのはミーの方だった。ちなみに
この魚は刺身でも煮付けにしてもとにかくウマイらしい。

右のはおなじみアマゾン川在住、「レッドコロソマ」。
その凶悪極まりないツラ構えといい、マフィアばりの貫禄といい、とにかく何度みても怖い魚だと思う。


※哀愁の磯コーナー



こちらは水族館につきもののお馴染み「磯コーナー」。
あいもかわらず親たちがニコニコと自分の子供たちを見守る中、そのガキ共は容赦なく魚やヒトデを
ひねりつぶしているのかと思いきや、人そのものが存在しなかった。これはこれでちと寂しいものがある。

「つかんだらすぐはなしてやりましょう」と書かれている吊り看板を見やりつつ、
この世の無情の全てをその小さな体一身に背負っている磯の主役達は誰だ、とばかり目をこらしてみる。

そこには「カジカ」や「ハゼ」、「カレイ」や「ネコザメ」などの魚がゴロゴロと。
これはもう磯コーナーとしての規模を超えている。中にいる魚達があまりに豪華すぎだ。
そのわりには本来の主役達、ハサミがとれて半死半生でピクついてるカニさんとか、
壁とかに叩きつけられてそのまま干物化しているヒトデさんの姿がどこにもない。

こんなことで本当に大丈夫なのか?
こんなことで生命の大切さ、その素晴らしさを子供達に感じとらせることが出来るのだろうか?
いまいち釈然としない気持ちを抱えつつ、ミーはこの磯コーナーを後にした。


※そこにある憩い

たでさえ外は遊園地地獄。そンなヘルレイザーばりの外界において憩いの空間など求められよう筈もなし。
自然とその空間は水族館内部に帰結する、というわけで館内の憩いポイントを幾つかあげてみた。



水族館という空間内には存在しえない大胆すぎるモチーフを、あえて設置することにより、
凝り固まっていた我々の思想そのものを解きほぐしてくれる特殊癒し系2連発

まずは左のヤツから。どっから見てもただのスルメ
ただの干からびたスルメを堂々とディスプレイしているその意図を読みつつ、眺めると吉。
小さい事に捕らわれていた自分がバカバカしくなってくること請け合いである。

右のは、どこからどう見てもただのチョコボールのおまけオモチャ。
ただのお菓子のおまけをここまでフォーカスしているその意味を考えつつ、眺めると吉。
型にはめられた自分の発想の貧困さに気づかされること請け合いである。

でも、どっちも明らかに反則気味。



そして最後に「ツバメウオ」と「コバンザメ」が奏でるラヴリーなステップを淡々とピーピング。
単独での鑑賞だと一歩間違えば暗黒面に落ちるが、カップルで見た場合は更に和むこと間違いなし。
そのくらい幻想的でいいものだ。まさに地獄と癒しは紙一重、そんな言葉がぴったりハマるような風景だと思う。


※麗しのペンギン君



この水族館におけるフンボルト軍団のラブリーぷりといったら、マジで道内一の称号をさしあげてもいいくらいだった。
何しろ繰りひろげられるそのアクションが全てにおいて、アクティブ&ダイナミック&ダイナマイツなのだから。



死ぬ。マジで萌えデスる。そのくらいラブリー、どこまでもキュート。
すっかり元気を取り戻したミーは、意気揚々とこの地をあとにするのであった。
ペンギンさん、ありがとう。



※総合

水族館が主なのか遊園地が主なのか、いまいちはっきりしないところもあるが、
キャンプ場や公園や博物館・テニスコートに海水浴場を組み合わせた一大テーマパークの中における
施設の一つでもあるから、その辺はいた仕方ないところなのだろう。
そのあたりを考慮すれば、アシカやアザラシなどのショーや、ラッコ君エサやりタイムを設けるなどして、
ファミリー層を楽しませようという姿勢には非常に好感が持てる。
コンセプト的にはちと弱いが、ファミリーの絆を強く結びつける効果という意味では最強かもしれない。

ファミリー ★★★★☆ 多し。むしろファミリー専用
カップル度 ★★☆☆☆ そこそこ…
わびさび ★★★☆☆ 地理的にも立地条件的にも
学術度 ★★☆☆☆ プレート説明はきわめて標準的
お得感 ★★☆☆☆ 普通…いや若干割高?
建物装飾 ★★☆☆☆ オーソドックス
水槽装飾 ★★☆☆☆ 上におなじく
総合調和 ★★★☆☆ 広大な敷地の中に各テーマ館を上手く配置
憩い場所 ★★☆☆☆ 遊園地に依存
磯コーナー ★★☆☆☆ 意義が薄れ気味
ペンギン度 ★★★★★ 愛嬌において最強
レア度 ★★★★☆ かなりインパクト大
総合 ★★★☆☆ あくまで私的観点と個人的意見から



シーサイドパークひろお 情報:

・住所:
北海道広尾郡広尾町野塚989番地
電話:01558-2-3707
・入館料:¥800
・イベント:海獣ショー(アシカ・アザラシ・トド)、ラッコ餌付け。


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