WOLFMOTHER.


2007年1月31日: 恵比寿リキッドルーム

ツェッペリンを彷彿とさせるようなラウドかつ伸びのあるタイムレスメロディーでもって、
昨年頭オーストラリアより世界デビューを果たし、ビルボードで初登場22位、フジロック・
メインステージのオープニングに抜擢、更には"Love Train"がipodのCM曲に起用、など、
同オーストラリア出身の先輩格、ジェットやダットサンズに迫る勢いで快進撃を続けている
3ピースの正統派HRバンド「ウルフマザー」のライブを見に恵比寿はリキッドまで行って
きました。

でもってライブ当日、デジポケからチケット引き出して眺めた途端、いきなり驚嘆することに。



よもやの整理番号1番ですよ。こりゃ有効活用せなバチが当たると当初の予定を急遽変更、
それまでスルーする気満々だった前座バンドの出番30分前に早々と会場出向むいて悠々と
最前ゲットすることに。

ちなみに前座は「Wolf&Cub」っていうこれまたオーストラリア産の新鋭バンドで、音的には
ソニックユースから美メロ抜いてそのサイケ臭だけエッジにしたような感じだったんですが、
SEに「AKIRA」を使ってたところ以外は特に印象に残らなかったというか… ツインドラムが
売りらしいけどあえてそうである必要ないんじゃね?と思わせるような普通のビート感だったし。
まあトランス要素含みなんで酒飲みながらユラユラ体揺らすぶんにはハマる部分もあるかもね、
とか、そういった感じでした。

で、その前座終了から20分ほどして、本日のメインである「ウルフマザー」が登場。
自慢のアフロをヘアバンドでわざわざ抑えつけての似非ジミヘンっぽい間抜け頭で出てきて
軽く笑いとったかと思いきや、初っ端"Dimension"から売りの一つである初期ZEPばりの
アングラ色濃い「歪み」サウンドを全開にしまくって、場内の温度を一瞬にして高めるという
最高の掴みを挨拶代わりにまず披露。



この序盤で得た勢いを更に高みへと導くべく一気に畳み掛けた中盤からの三曲がこれまた
かなり神がかり。"White Unicorn"におけるZEP的スペクタクル感溢れる曲進行とその
ド真ん中を貫くサバス的な支柱リフでもってまず一発ガツン、そのまま「ipod」CMでも
お馴染み"Love Train"を繋げられ、今度はそのヘヴィネス漲るハンマーリフの前に頭の先
から爪先に至るまで通電させられたような気分になったところで、駄目押しとばかり加えられた
"Where Eagles Have Been"後半の掻き鳴らし系ソロがこれまた初期サバスを想起させる
ような発狂ヴァイブに満ち溢れていて格別に最高という、僕のようなブリテッシュハードを
こよなく愛する人間にとっちゃ、ちょっと文句のつけようがない流れでしたね。

その神の流れから多少場が落ち着き始めたところで繰り出した後半ハイライトは、デビュー作
からのシングル曲"Woman"。似非ジミヘンのギターからブンブン唸る煽情力抜群のリフと、
「オマイラ、モット、サワガ!」という沢蟹混同系の謎MCがまず場内に渦巻くような熱気を
作り出したところで、ベースのお兄さんが併用して繰り出すキーボードを蹴倒す程の暴れプレイが、
その勢いを更に加速させつつ牽引。
フロントエリアを固める屈強外人勢によるハードコア系のライブと見間違わんばかりの暴れっぷり
がその狂熱度合いをよく示していたと思います。特にその圧倒的筋力から横回転で繰り出される
デンプシーロール気味のウインドミルはまさに凶器かつ狂気の二言。早速「カトリーヌ」と命名
することに。そのまま熱帯低気圧と化してとっととフロリダ辺りを震撼せしめに消えちゃえば
いいのになと心の底から思いました。(2発当たった…)

いや、事前に聞いた時は、ZEP直系の歪んだ音圧にサバスから受け継いだ暗黒リフという
この二つの武器の特徴が強すぎて、見方によっちゃ単なるコピーバンドで終わってしまうんじゃ
ないかという杞憂もないでもなかったんですが、サイケ臭漂うノイズサウンドなどの遊びネタを
"Mind's Eye"で垣間見させられて、あ、実は案外と懐深いバンドなのかなと考え直したことに
加え、彼ら特有の「艶」をあますことなくフル体感した今となっちゃ、こういう小さなホール形式
でウルフマザーを見るのはこれが最後になっちゃうんじゃないかと、まったく別のことを心配し
始めたり。

これ、次回作の出来いかんによっちゃアメリカ辺りで本格的にブレイクしだすんじゃないかって、
そんな未来の大器っぷりを存分に予兆させてくれた、パワーみなぎるライブだったと思います。


<今日の一枚>

 Wolfmother / Wolfmother

あまりにそう称されすぎて本人達もすっかり嫌気がさしているであろうフレーズ、
「ZEP+サバス」的な音の厚みと骨太なリフ、それに加えて艶のあるサイケ臭を
武器に世界中を一世風靡しつつあるウルフマザー、衝撃のデビュー作。
その時代を飛び越えたタイムレスメロディーの個性をも上回って凄いと思うのが
音の端々から立ち篭める、粗野にして野卑極まりないこの原始的ヴァイブ。
今後、彼等がどれだけ成功しようとも、これと同種のエネルギーを生み出すことは
おそらくない、とそう思わせてしまうだけの、「デビュー作にしか存在しえない」
なにかをフル体感できる貴重な一枚と思われ。



<セット・リスト>

01:Dimension
02:Pyramid
03:Apple Tree
04:White Unicorn
05:Love Train
06:Where Eagles Have Been
07:Witchcraft
08:Tales from the Forest of Gnomes
09:Woman
10:Mind's Eye

11:Vagabond
12:Colossal
13:Communication Breakdown (Led Zeppelin)
14:Joker & The Thief


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