PAUL GILBERT.


2007年1月24日: 恵比寿リキッドルーム

そいや皆さん、同一アーティストのライブって、最高何回くらい行ったことありますか?
僕自身、2003年以降ライブレポートを付けるようになってからのそれを、ちょっと調べてみました。

 ・ヌーノ・ベッテンコート:4回
  → Guitar Wars(03)、ソロ(03)、EXTREME(05)、ウドー(06)

 ・アーク・エネミー:4回
  → メイデン・フェス(04)、単独(04)、単独(05)、ラウパー(06)

ヌーノ大好きっ子なのは自覚してましたけど、よもやアークエネミーがここまで好きとは
ちょっと自分でも気づいてませんでした。何せ05年DIO前座の時の「Spiritual Beggers」まで
含めたらダントツの5回だもの。まあ確かにマイケル・アモットのつくるギター旋律が死ぬほど
好きなのは事実なので、たぶん次回来日したら、また行っちゃうんでしょうけど。

で、これに続くのが、
 
・ポール・ギルバート:
  → Guitar Wars(03)、単独(03)、単独(05)、

の三回だったりするわけなんですが、よくよく考えたら確かに好みではあるけれども、めちゃくちゃ
好きかと聞かれたらそーでもないかな、と返さなくもない程度の認識なわけで、そういうことを加味
して考えるに3回はちょっと行きすぎだったかなと。

だから今来日ニュース聞いた時も、はいはいスルースルーの一言で、至極あっさり忘却の彼方
へ押しやるつもりだったわけですよ。そんなところへとある情報を見つけてモニター前で30秒
ほど凝固するミー。

 ■伝説のRACER Xのギタリスト、ブルース・ブイエの参加も決定!
  バンド解散以来初となる最強ギター・コンビが奇跡の復活!
  そしてベースはマイク・ズーター!!ドラムスはジェフ・ボウダース!
  問答無用!!凄腕ミュージシャン達を率いてポールのポップ・ロックンロールが炸裂!!
 ■ステージは豪華2部構成!
  第1部は、最新アルバム「GET OUT OF MY YARD」を完全再現!
  さらに、第2部はみんなからの投票に応えて、じゃんじゃん弾きまくるよ!!

「!」使いすぎだろ〜、とか思いつつ、ふと気づけば、ぴあですかさずチケ購入手続きを済ませて
いた自分がそこにいたというわけでしてね。そら、初期レーサーX復活匂わされたらこら行くしか
ないでしょ、ってなわけで恵比寿はリキッドルームまでサクサク出向いてきたわけです。


でもって"Curse Of Castle Dragon"にて、おそらく20年ぶりであろうポールとブルースの
高速ツインソロ聞いて序盤から早々と身震いさせられるミー。や、ブルースはリズムサポート
だけかと思いきや、ちゃんとリードもとってくれるってところが嬉しかったですね。
その後も二人並んでハモるわユニゾるわハーモニクスるわと超絶技巧パフォーマンス目白押し。
その最たるものがレーサーX時代の"Scarified"における光速ハーモナイズと"Scit Scat Wah"
にて魅せてくれた超速ギターバトリング。後者はライブ盤「Extreme Vol1」にしか収録されていない
レア曲というのもあり周囲の反応は今ひとつでしたが、それでもこの時の、前列辺りを占めていた
一部マニア達の熱狂っぷりにはかなり凄まじいものがあったかなと。

そこから1曲挟んで繋げたのが「Van Halen」の"Eruption"という嬉しいサプライズもあり、
(しかもツインバトル仕様)かなりライブ・ハイ状態になりかけてたところへ前方にいきなり
背高ノッポさんが割り込んでこられるという目障り極まりないネガティブキャンペーンくらって、
心底萎えさせられる羽目に。それでもノリノリならまだ許せたものが、これがなんと荷物持ちな
上に直立不動の石柱野郎という極悪ハイブリッド君ときたもんで、ムカつきが止まらないとは
まさにこのこと。でもって目の前のフロアを二分する仕切りの前にズカズカ入ってこられたもん
だから背後プッシュも出来ず、後方左右ともぎゅう詰めなもんだから自分の位置をずらして対抗
することも適わずただただストレスがジリジリ高まっていくだけというね、まさに最悪の事態に。

や、スタンディング形式のライブはアーティストのパフォーマンスのみならず、かなりの比率で
「周囲の環境」が内容を左右するもんで、もし何かあった場合に身動きが取りにくくなるような
場所は出来る限り避けてた筈なんですが、この日は初の会場で勝手が分からなかったのもあって、
つい居心地のいい仕切り前に初期ポジショニングしちゃったんですよね、マズったわ〜
というわけで賢明な皆様方に一つ忠告を。恵比寿LIQUIDROOMにおきましては絶対仕切りバー前に
位置取りしちゃいけませんよ!(ゼップとか川崎とかのステージ位置が高い会場なら可)

そんなこんなですっかりやる気が失せてた僕を再復活させてくれたのが終盤の「Mr Big」祭り。
"Green-Tinted Sixties Mind"におけるイントロ・アルペジオの心地よさに多少なりとも気分
がリフレッシュしたところへ、Big時代屈指の疾走曲"Addicted To That Rush"を炸裂させられ、
ギター掛け合い合戦の妙に会場全体から巻き起こるシンガロングの高揚という連続ラッシュを曲名
通り食らって、テンションは再びハイヴォルテージへ。喉の調子が悪そうだったポールに変わって
Voとってたマイク・ズータの頑張り具合にもかなり素晴らしいものがありました。正直このメンツで
「Mr Big」全然再結成出来るんじゃない?ってくらい違和感なかったですね。

そんな至福の時間帯をも凌駕した今日一番のハイライトは、この直後の"I Like Rock"で披露して
くれた、ポールとブルース、それにマイクが三人横一列になっての同時背面ギター揃い踏みプレイかなと。
これもう「壮観…!」のただ一言。ベタ極まりないのは百も承知だけど、でもそういうのがカッコいいと
思っちゃう病気なんだからこれはもう仕方ないかなーって。それからアンコール初っ端で演ってくれた
"Waiting For An Alibi"にもかなりクるものがありました。ツェッペリンやパープルとほぼ同時期に
全盛期を誇ったアイリッシュロックのフロンティア、シン・リジィの、それもかのゲイリームーア御大
の情感漂いまくるスローフレーズが一世を風靡したこの名曲を、ポールやブルースみたいな超絶技巧派
ギタリストが料理してくれるなんて、これは渋すぎるが故のギャップが嬉しいチョイスだなあって。
しかも原曲のお約束通り、出だしイントロでブルースとともにこれでもかってくらいハモりまくって
くれちゃうし。

というわけで、ポールらしい軽めなロックあり、まんまのポップあり、かと思いきやバリッバリの
メタルあり、やりすぎなくらい弾きまくりのギタータイムありと、全方位的に満遍なく楽しめた良質の
ライブだったと思います。あえて不満を漏らすならレーサーX時代の曲が少なすぎたことだけが残念かな。


<今日の一枚>

 Get Out Of My Yard / Paul Gilbert

今ライブの基盤となったポール初のフル・インスト・アルバム。
彼の代名詞、超絶技巧速弾きプレイの数々をもれなく楽しめるという、本人が望む望まざるに
かかわらずファンが必ず期待しているであろう「お約束」路線をきっちり抑えつつ、それのみに
固執することなく"Twelve Twelve"におけるアナログ臭たっぷりの情感プレイや、重ね弾き
によるトランス効果が面白い"Echo Song"など、実に音楽的横幅の広い作品に仕上がっている
ところに好感がもてる一枚。「Mr Big」は知ってるけどポール個人は知らないなあ、という方に
特にオススメ。



<セット・リスト>

01:Get Out Of My Yard
02:Harry Up
03:The Curse Of Castle Dragon
04:Radiator
05:Straight Through The Telephone Pole
06:Scarified
07:Scit Scat Wah
08:Rusty Old Boat
09:Eruption(Van Halen)
10:Spase Ship One
11:〜 Drum Solo 〜
12:I Am Satan 〜 Midnight Maryanne 〜 Oh Jenor 〜 Girl Crazy 〜 Mr.Spock 〜 Masa Ito
13:2 Become 1(Spice Girls)
14:Green-Tinted Sixties Mind
15:Twelve Twelve
16:Nothin' But Love
17:Addicted To That Rush
18:Three E's For Edward
19:I Like Rock
20:My Teeth Are A Drumset
21:Down To Mexico

22:Waiting For An Alibi(Thin Lizzy)
23:Interaction
24:Haydon Symphony No.88 Finale
25:You Kids


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