Celtic Frost, Satyricon, Naglfar.


2007年1月16日: 渋谷クワトロ>

SMASH主催の「Extreme The Dojo」。
筋金入りのコアメタラーから支持を集めるようなエクストリーム系バンドばかりを招聘して
くれることでその名を馳せるSMASH主催のミニ・フェスですが、実はブレイク前のバンドを
先取りするアンテナ指向性の高さでも、かなり定評を得ていたり。

■Extreme The Dojo歴代出演者
 01:CRYPTOPSY / CANDIRIA / NASUM
 02:EYEHATEGOD / SOILENT GREEN
 03:SODOM / DYING FETUS / DIMENTION ZERO
 04:LOCK UP / CONVERGE / WILL HAVEN
 05:HIGH ON FIRE / DARKANE / MASTODON
 06:KILLSWITCH ENGAGE / SHADOWS FALL / CALIBAN
 07:NAPALM DEATH / AxCx / PIG DESTROYER / NASUM
 08:NAGLFAR / SKINLESS  / NILE
 09:ZYKLON / DARK FUNERAL / GOATWHORE
 10:(1日目)ANTHRAX / KILLSWITCH ENGAGE / DARKEST HOUR / FROM AUTUMN TO ASHES
 10:(2日目)ANTHRAX / THE DILLINGER ESCAPE PLAN / BURNT BY THE SUN / SIKTH
 11:CONVERGE / MASTODON / ISIS
 12:SHADOWS FALL  / AS I LAY DYING / EVERY TIME I DIE /
 13:ATREYU / UNEARTH / NORMA JEAN
 14:HIGH ON FIRE / DEW-SCENTED / MISERY SIGNALS
 15:THE HAUNTED / NILE / EXODUS

ね? ざっと振り返っただけでも、「SODOM」「NAPALM DEATH」「ANTHRAX」「EXODUS」などの重鎮に
混じって「KILLSWITCH ENGAGE」「SHADOWS FALL」「UNEARTH」「CONVERGE」「ISIS」「HAUNTED」などなど、
メタルコア、ハードコア、グラインドコア、等、それぞれの分野の未来を担う注目株がもう目白押しでしょ。

でもって、今回の(16回)のメンツがこちら。
 16:CELTIC FROST / SATYRICON / NAGLFAR

「Bathory」と並んでブラックメタル界隈の始祖と呼ばれる激メタルバンド「CELTIC FROST」が
10年ぶりの復活を遂げて初来日を果たすわ、更には人殺しちゃうわ教会燃やしちゃうわと他に
類を見ないその過激さでもって全世界を震撼せしめたノルウェーはブラックメタル黎明期の生き
証人「SATYRICON」がこれまた満を持しての初来日だわで、こらどう考えても行くしかないでしょ
とばかり、かなりの気合でもって渋谷はクワトロまで臨んできました。


ナグルファー

オープニングアクトを飾るはスウェーデンのメロディアス・ブラック・バンド「NAGLFAR」。
最初、ステージのバックドロップが「NOW, DIABOLICAL」のジャケ絵になってたんで、すわ初っ端
からSATYRICON!?と思いきや、もったいつけて出てきたVoの風貌があからさまにインチキ臭い
ハゲの怪人だったのでこりゃどう考えても「NAGLFAR」だろうと判断し、まずは他バンドのバック
ドロップ飾ったまま演奏させられるというその扱いのぞんざいさにもらい泣きすることに。

というわけで、最初の方は「こりゃどーなんだろう?」的緩めモードでもって観戦していたわけ
なんですが、これがとんでもない大間違いと気づかされるまで10分とかかりませんでした。
曲調的にはひたすら高速リフで圧した後にメロディックなサビメロを挿入、でもって締めに遠吠え
スクリームというパターンの繰り返しなんですが、その要となっているリフがこれまた凄まじく濃厚
かつ恐ろしく重厚。サバス初期を思わせる悪魔の音階めいたメロをいきなり超高速でかきならされて、
早速心の中で見くびっていたことに対しワビ入れることに。

特に"I Am Vengeance"。これ、かなりキテました。抑圧感に満ちた悲哀リフの上塗りに次ぐ
上塗りにより場内の空気を完全に支配された上で、超高速デスを長時間聴かされるとなってしまう
といわれる恐怖のブルデス脳(羅患すると仏道に帰依)にされかけた末、時折挿入される叙情メロ
とのギャップ効果により調教されてる資本主義の豚レベルにまで貶められる羽目に。
その洗脳テイストが思いのほか気に入ってしまったので、帰り際すかさずCD購入してメンバーの
サイン色紙をも合わせてゲットしてしまいました。もうすぐ新譜が出るそうなので期待アゲととも
に再来日希望かな。

 01:Spoken Words Of Venom
 02:Black God Aftermath
 03:Blades
 04:I Am Vengeance
 05:The Perpetual Horrors
 06:As The Twilight Gave Birth To The Night
 07:Of Gorgons Spawned Through Witchcraft
 08:The Brimstone Gate
 09:A Swarm Of Plagues


サティリコン

30分弱というかなり長いセットチェンジの後に勢いよく登場してきたのは、ノルウェーが世界に誇る
異色カルチャー、ブラックメタルの重鎮「SATYRICON」。

演奏開始と同時にメンバー5人全員が激烈極まるヘドバンの嵐をカトリーヌ級レベルで巻き起こすという、
生粋のメタラーにゃこれ以上ない最高のオープニングを披露してくれ、場内は出だしから最高潮のノリに。
特にキーボードを担当するお姉さんのそれが、今まで見てきたどんなヘドバンをも軽々と凌駕するほどの
凄まじさ。超速で振り回される金色のロンゲによって空中に描き出される「∞」の文字が実に艶やかでした。

個人的ハイライトは2曲目の"Now, Diabolical"かな。スレイヤーを思わせるサタニズム臭漂う邪メロ
と攻撃色に満ち溢れた高速ビートによっていやがおうにも高まっていく場の緊張感、その暗黒密度が頂点
に達したところで満を持して解き放たれるサティアー渾身の絶叫というね、この相乗プッシュにすっかり
心酔させられたところへ、客席から自然と巻き起こった「悪魔が今!」のシンガロングによる一体感攻撃
をくらって、まだ序盤だと言うのに早くも脊髄辺りへ10万ボルトを流されたような気分に。

不思議だったのは、荘厳・激烈・悪魔的と、これだけ色濃いブラックメタル臭を醸し出しているステージ
であったにもかかわらず、そこに当然感じてしかるべき陰鬱なフィールはほぼ皆無だったというこの事実。
いや、むしろ感じたのはハートウォーミング臭とアットホーム感?もちろん客を意識した場作りの上手さって
のもあるけど、それ以上に妥協なきヘドバン連射や無呼吸ブラストビートを始めとするメンバーのひたむきさ
に心揺り動かされた末の応援心みたいな部分が大きかったのかなと。叙情美たっぷりに場を盛り上げたラスト
の"Morther North"にて、導入パートのシンガロングをひたすら繰り返すオーディエンス達のその姿が、
その事実をことさら示していたように感じました。

これだけ客のハートをわし掴むのが上手なバンドなわりに、今の知名度のなさはあまりに勿体なさすぎ。
背景的にも音楽的にも不思議な魅力に満ち溢れている北欧系ブラックメタルというジャンルをもっと普及
させる為にも、今後はもっと積極的に対日用プロモやってほしいと切に願います。

 01:Dominions Of Satyricon
 02:Now, Diabolical
 03:Repined Bastard Nation
 04:K.I.N.G.
 05:Filthgrinder
 06:The Pentagram Burns
 07:The Rite Of Our Cross
 08:A New Enemy
 09:War Pigs(BLACK SABBATH)〜 Fuel For Hatred
 10:Morther North


セルティック・フロスト

トリを締めるは、ドゥーム、ブラック、スラッシュ、その他さまざまなジャンルのエクストリーム系
アーティスト達から今だに畏怖と尊敬の念を集めてやまないとされる、スイスは激烈メタルの裏番長
「Celtic Frost」。

「SATYRICON」が終わる否や速やかに撤退し始めたゴス女子達にとって代わり前列を埋めだした
黒尽くめの暗黒邪教徒達に怯えつつ、まだか今かと彼らの登場を待ちかねていたところへ、白塗り
メイクに黒ニット帽、目のところにはオーケンばりのひびわれメイクという、微塵も期待を裏切ら
ないヴィジュアルでもって、かのトム・G・ウォリアー御大が遂に光臨。それと同時にトム先生の
お得意シャウト「ヴッ!」をそこら中で雄叫んで、彼らを歓待ムードで讃える筋金入りの信者達。
そこでおもむろに御大が開口一番、本家本元「ヴッ!」ですよ。場内の空気を一瞬にしてセルフロ色
に染め上げた最高のプロローグ、そのキャラの立ち具合が半端ねーと思いました。

また、いかつい顔つきに貫禄たっぷりの髭、更には弾丸をも跳ね返しそうな超ロングのレザーコート
を完全着用と(暑いだろうに)ただでさえその風貌が仕上がり済みであるところに加えて、初っ端
からいきなり音が出ないというトラブルがあったにもかかわらず、それをほとんど気にする様子も
見せず泰然自若と構えていたベースの人のキャラが、これまたトムに負けず劣らずの立ちっぷり。

そんな雰囲気アリアリのホンモノさん達に、遅くて重くてなおかつ暗いという、音的に例えるなら
この世でもっともヘヴィな曲の一つとされるサバスの"Into The Void"をメロ抜きの大音量でひたすら
聴かされてるような、物質面で表すならマリアナ海溝最深レベル、もしくは光を全て絶対吸収して
しまうといわれるシュヴァルツシルト面級、そんな超重量リフを延々と浴びせ続けられ、音圧という
名の石壁の中に生きたまま塗りこまれていくような感覚を覚えたが最後、はっと気づけば僕はありと
あらゆるリアクションを完全忘却した単なるデクと成り果てていました。

つまり、骨組みたる曲のリズム構成は結構複雑なのに、その周囲を覆うべき筋肉たるメロが贅肉
と断ぜられバッサリ削ぎ落とされているのでどうしても一本調子に聞こえがちになってしまうの罠。
その上、曲の真芯を貫くネガ因子フル搭載の暗黒オーラにより、圧倒的深度の重力場を付近一帯に
形成されたその結果として、喜怒哀楽といったライブを体感する上で絶対不可欠な感情は全てその
闇の中に吸収されてしてまうという事態に。
そんなわけで、何故かモッシュ開始の合図と化してた御大の「ヴッ!」により四方八方から脈絡の
なさすぎるショルダーチャージを受けたときのみ正気に戻れるという、大変わけのわからない仕様
にされてしまっていた僕は、ライブが進むに従い「ヴッ!」だけを待ち望むことになるという極度
の雄叫びジャンキーにまで貶められることに、

そんなミーを再び光の当たる世界へと戻してくれたのが"Into The Cryps Of Rays"。モーターヘッド
の"Ace of Spades"を思いおこさせるがごときこの強烈な唸りと突貫力…!この音、この耳触りこそ
音楽よとランバラルばりに猛ったところで一気に浮上かと思ったその刹那、遅い重い暗いのサバス三原則
に「長い」という駄目押しまで加わったとびっきりの重力爆弾"Synagoga Satanae"が炸裂し、その直撃
くらった僕はどこまでも深遠かつ深淵な闇の中へ再び沈みこんでいくことになるのでありました、ヴッ!

結論:「ヴッ!」最高!

 01:Procreation
 02:Visions Of Mortality
 03:Circle Of The Tyrants
 04:The Usurper
 05:Ain Elohim
 06:Necromantical Screams
 07:Dawn Of Meggido
 08:Dethroned Emperor
 09:Into The Cryps Of Rays
 10:Synagoga Satanae

<今日のお宝>



ナグルファー御一行様のサイン色紙。
いつ消えてもおかしかないバンドだけに、かなりのレアものじゃないかなと。


<今日の駄目T>



#着用するだけで「ヴッ!」雄叫んでしまう不思議なTシャツ。
 勝負ライブ用として使いたいと思います、ヴッ!(死ぬほど気に入ったらしい)


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