NIGHT RANGER.


<2003年12月10日: 渋谷クワトロ>

96年再結成&再来日の際、新宿リキッドルームで見たあの感動よもう一度…! 
とばかり、先週の水曜は、渋谷はクワトロまでNRのライブに行ってまいりました。

で、入場直後、渋谷クワトロとかいう少し狭めのそのホール内部をじろじろ観察しながら、かつて武道館を
埋め尽くしたバンドの凋落ぶりと月日の残酷さを嘆きつつ、ライブが始まるのを今か今かと待っていましたら、
どこの馬の骨とも知れないアコギを背負った兄ちゃんがいきなしステージ上に登場してきまして、何?誰?
ローディ?とか思いながらその馬骨が何するのか呆然と見ておりましたら、こともあろうにソイツいきなり
演奏はじめやがりましてもう周囲は騒然、僕らも思わずびっくりしてしまいました(前座とか聞いてないよー)
コリン・ブレイズとか抜かすその男の名前から察するにどうやらジャック・ブレイズ(Vo)の息子のようでして
親バカも大概にしろと思いつつ1秒でも早く引っ込んでほしいナァと願いながらその特徴ゼロのベタ全開
米利堅ロックを聞いておりましたら、ステージの端の方に隠れてこっそりコーラスを入れてるバカ親父、
つまりはジャックそのものの姿を発見してしまいまして、それを見た瞬間、僕の心はゲッソリするのを
通り越して思わず暖かくなってしまうのでありました。

そんな生き地獄に悩まされつつもお約束程度の声援を送っておりましたら、程なくしてバカ息子の演奏は
無事終了しまして、いよいよ本編が始まる雰囲気が漂ってまいりました。まあNRは98年の来日以降、
特に目立った活動も行っていないし、たぶん周囲のノリも軽〜いテンションになるだろうから僕も今日は
あまり気合を入れずに体の力を抜いて観察視点で楽しんじゃおうかなあと思っていましたら、そんな僕の
気分と裏腹にどうも周囲の空気がおかしなことになっておりまして、ハッと気づけば僕はすっかり「やるぞ」
「やるしか!」「やっちゃうかそんなことも!」みたいな、まるでセントヘレンズ大噴火前の火口付近で
グツグツ煮えたぎっているマグマのごとく体中から熱気をほとばしらせてる、明らかにマジで発狂3秒前?
みたいな、そんな素敵な夢枕獏ワールドの愉快で楽しい獣達に周囲をすっかり包囲されておりまして、こ‥
これはマジヤバいかも…!とか思ったその瞬間すかさずライブの幕は切って落とされ、僕は「もみくちゃ」
という一言ではとてもとても表現できない程の、あえて比喩表現するなら遠心分離器でブン回されて目ン玉
飛び出させたハムスターの方が幾分マシなんじゃないかと思うような想像を絶するパーフェクト・ストームの
渦に巻きこまれて体のあちこちを滅茶苦茶のぐちゃぐちゃにされてしまうのでありました。

しかしまあそんな発狂ぶりにもまして実に素晴らしきはギルスとワトソンのツインギターよ!的
フィールで右のブラッドが伝説のトレモロを今にもブチ折らんばかりの勢いでグリグリゆわして
アームの鬼の真骨頂を魅せつければ、その直後にジェフ必殺の8フィンガーがオクトパスのごとく
弦の上を躍り狂い、それを聞いた僕等オーディエンスはどこまでもタッチ・オブ・マッドネスとか
そんなテンションで、とにかくもうギターコラボの頂点であろうその驚異的なテクに心の底から
痺れまくりました。

NRの楽曲ってのはツインリードを売りにしてるわりには意外と曲中のハモりが少ないってのがあって、
その代わりギルス・ワトソンそれぞれの特徴的なギターフレーズを活かす構成になっているんですが、
そこが僕の脳内の最高に気持ちよいツボをとことん押しまくるんですね、これが。
特に"Don't Tell Me You Love Me"。ギルスが自分のギターパートが終わったところでワトソンの方を
指差して「お次はあっちだぜ!」みたいなアクションをした瞬間、僕はあまりの興奮ぶりにマジで意識を
失いかけました。

ボーカルの方も、スピード感とフットワークの軽さが持ち味のジャック・パート、バラードでの重厚トーンが
売りのケリー・パートをそれぞれを楽しめちゃう上に、楽曲そのものの出来も秀逸ときた日にゃ、そら発狂
しない方が無理ってなもんで客自体の盛り上がりもホント異常。ほとんどの曲で大合唱しまくった挙句の果て
に拳を頭上に突き上げまくりのヘッドバンキングしまくり。ファン層平均年齢30を超えている筈なのに
大丈夫なのかコイツ等?とか思わずそんな心配をしてしまう程、驚異的に素晴らしいライブでありました。

さらに終了間際ケリーが放ったスティックの1本が僕の眼鏡フレームの間にスッポリ挟まるという類い稀
なる幸運にも恵まれ、普段は常に自らの眼鏡っ子人生を呪い、眼鏡好きとか抜かすバカ共のフェチ話しを
聞く度に眼鏡は視覚障害者の不自由な部分を補う器具であってフェチ対象物ではないということに、お前の
その発言は身体障害者に向かって貴方の不自由な部分を補っているその器具が好きですと発言してるのと
ほぼ同じだと言うことに、極論極め尽くさば五体不満足な方が座っているその車椅子がステキー!とか叫んで
いるのとほぼ同義であるということに…何故気づかないんだこの深海魚共が!お前は*武さんに向かって
貴方の素敵なダルマっぷりを補うその器具が好きとか言うか!えええ言えるのか!どうだ言えないだろう、
馬鹿阿呆マンコ!眼鏡という餌で吊られて深海から地上に引きずりだされた挙句その圧力差に目ン玉飛び
出させてお前自身が視覚障害者になれアアアアアアアン!ってな勢いで、そんな場面に直面する度に憤怒
の形相でその頭のオカしい狂人共をどこまでも問いつめたい気分で一杯になる僕にとって、その瞬間はそんな
自らの不自由っぷり(主に頭)を忘れさせてくれた唯一の時間でもあり、ああ僕は眼鏡で良かったと心の底
からそう思わしてくれた瞬間でもありました眼鏡最高!眼鏡素敵!眼鏡マンセー!不適切な発言は知った
こっちゃないー!僕はもう自分のことしか考えないー!昔からそうだったしこれからもそう!こんな僕が!
こんな自身が!こんな自分が!ダイスキー!ダイスキー!ダ!イ!ス!キ!ダー!ダダダダダダダ・ダー!
(ラーズ・ウルリッヒばりの超速連打で自分の頭をポカポカ殴りつつ)



#とりあえずドラム・スティックは当ると実にイタいということがすごくよく分かりました。


てなわけで今日の一枚。

 「
Dawn Patrol」 / NIGHT RANGER

全米席巻前の弾みをつける一枚となったNRのデビュー作。
明るく楽しくノリのいいアメリカンロックのもっとも濃いエキスがこの一枚に収められている
といっても過言ではない程の名盤。シブがき隊のゾッコン命にイントロをパクリングされたことで
一躍有名になったヒット曲「DON'T TELL ME YOU LOVE ME」が一番の聴きどころですが、この曲の
本当の素晴らしさはツインリードギターの真骨頂を体の芯から痺れるくらい味わえる点にあるので、
そういうのが好きな人は是非とも!とかそんな感じで。



<セット・リスト>

01:Sign Of The Times
02:Sing Me Away
03:7 Wishes
04:Rumours In The Air
05:Touch Of Madness
06:The Secret Of My Success
07:New York Time
08:Eddie's Comin' Out Tonight
09:Once Bitten
10:Sentimental Street
11:High Enough
12:Forever All Over Again
13:Goodbye
14:Night Ranger
15:Four In The Morning
16:When You Close Your Eyes
17:Don't Tell Me You Love Me

18:Sister Christian
19:Rock In America


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