ANDREW W.K..


<2006年11月8日: 川崎クラブチッタ>

キーボードをフィーチャリングしたディスコ風ロックというスープの中に、ポップ、パンク、ラップ等
の様々な具材を惜しげもなくブチこんで、最後に隠し味としてメタルを加え、アンドリュー式特注大鍋
の中でひたすらコトコト煮こんでみたらこんなん出来上りましたー、とでも言わんばかりな独自路線を
突き進み、パーティロックの素晴らしさを世に知らしめてきた、通称「兄貴」ことアンドリューW.Kが
今年のサマソニにひき続いて早くも再来日を果たすというので、あの夏の楽しさよもう一度とばかり、
川崎はチッタまで見に行ってまいりました。

で、今回は前座の演奏分を見込んで1時間遅れの20時頃に会場入りしたんですが、場内が懸念して
いたほど混んでいなかったのでちょっと拍子抜けしました。いや、混んでないどころかむしろスカスカ?
一番最後に入って至極あっさり最前列辺りをキープできてしまえる程の人口密度でした。サマソニの時の
あの人気と混雑は一体なんだったんだと。それとも東京だけで3日連続公演は流石に無理があったのかな?

で、それから程なくして、我等が兄貴登場。小汚い白Tにこれまた薄汚れた白ジーンズ姿という馴染み
の格好でキーボードの前に陣取ったのを皮切りに、さあいよいよパーティタイムの始まりだ!とばかり、
身構えてみたまではよかったものの、そこから先、どう贔屓目にみてもプロとは思えない出鱈目じみた
キーボードソロをバラード風味で3分以上もダラダラと聞かされることとなり、いきなりの肩透かしを
かまされる羽目に。で、そこから1曲挟んでいよいよ「It's Time To Party〜」してくれるのかと思いきや、
その次に演奏したのがこれまたバラード分多めの"おまえのためなら"だったもんで、再びおあずけを
食わされることとなった場内の空気は、その抑圧フラストレーションのせいでかなりジリジリすることに。

それだけ焦らされたせいもあってか、"そして今夜も大勝利"の、あのバカ陽気なイントロが流れ出した
瞬間のアガりっぷり、その炎上っぷりにはかなりキチガイめいたものがありましたね。でもって中盤から
後半にかけてのギター&キーボード・ソロが織り成す、熱血スポ魂映画のサントラめいた高揚感たっぷり
の展開が(ここ大好き!)その勢いに更なる拍車をかけたところへ、ディスコ要素満載のノリノリナンバー
を続けられたもんだから、本当にその邦題まんまって感じで、フロアは"人々よ、バカになれ!"状態と
化すことに。そこへ駄目を押すがごとくファーストからの本命燃料"パーティーの時間がやってきた!"
を投入され、かつそれにアンドリューお得意の高速ロボットダンスも加わったところで、その勢いについ
つい流されてしまったミーは、そのままクルクルと舞いながら狂乱モッシュの中へ身を投じることとなり、
ここで僕はようやく周囲の光景を、眼鏡割られるほど盛り上がったサマソニのあの興奮に被らせることが
出来たのでありました。

中盤、似たようなテンポのナンバーが続いて多少クールダウンしたところから、邦題のセンスとともに
パンチ感溢れるサビの力強さが強烈カタルシスな"怒!怒!怒!状況打破そして秒殺!"、畳み掛けるような
サビ連続強打の"今夜は終わらない"へと繋げて勢いを取り戻したところで、それまでのハード路線から
ガラっと曲調を変えた今風のダンサンブルナンバー"ダメ、ゼッタイ!"へともっていった流れは、縦から
横への急な変化の気持ちよさもあって、かなり気持ちよくノレましたね。バカ一辺倒なように見えて実は
わりかし懐の深い、兄貴の音楽的センスが垣間見えた流れだったと思います。

その後も、最初は弾けないふりしてキコキコこすったり爪弾いたりした挙句、ホール左右を交互に見やり
ながら滅茶苦茶に弾き倒したギターソロや、観客の手拍子に合わせてステージ左右を行ったり来たりしつつ
ドラムキット左右に設置されてる和太鼓をドンドンやったドラム?ソロなど、これまた実に馬鹿馬鹿しくて、
だけどそこがまた最高に兄貴らしく、見ててハッピーになれること請け合いな独特のパフォーマンスが
めじろ押し、その体当たり感全開なステージングに引っ張られて場内の熱気も俄然アゲアゲ状態に。

そんな空気の中へここぞとばかり兄貴最大のキラーチューン"Party Hard"が投入されちゃったりした
日にゃ、そらダイブ厨やモッシュ厨のみならず、猫も杓子も僕のようなパンピーも、挙句にゃスパイダーマン
(着ぐるみさんが本当にいた)も後先忘れて特攻した末、浮世を忘れて踊り狂っちゃうってもんですよ。
それもハードコア系の「お前等ブッ殺!」的なノリじゃなくて、ハートウォーミング感溢れるライトのりの
モッシュなんで、多少は痛いけれども、でも楽しさの方が圧倒的に上、みたいな。
加えてステージ前の終点ゾーンに流れてきたクラウドサーファーを兄貴自らがステージ上に招き入れて、
肩くんでひとしきり歌ってくれるという過剰サービスまであった上、アンコール最後にゃとどめとばかり、
これまた兄貴自らがステージ上から逆ダイブを敢行してくれるというよもやのサプライズまで飛び出し、
ホール内はまさに最後の曲"汗にまみれてパーティー三昧"状態のカオスゾーンと化すことに。いやあ、
本当に楽しかった…!

序盤のもたつき感を除けば、ありとあらゆる場面において体育系ライブの楽しさが散りばめられた、
徹頭徹尾「アンドリューW.K」感満載なステージだったと思います。


<今日の一枚>

 Close Calls With Brick Walls / ANDREW W.K.

AWKワールドの根底である「考えるな感じろ」といわんばかりな全開イケイケ・パーティ路線を
しっかりと踏襲しつつ、情感たっぷりに歌い上げるメランコリック・ナンバーあり、インダストリアル臭
色濃いダンスナンバーありと、二作目に続いて実験的なことにも色々とチャレンジしている意欲作。
デビューしたての頃のバカ一辺倒パワーは流石に薄れてきているけど、それでもそのメロディから得られる
アンドリューワールド独特の多幸感が少しも損なわれていないのは流石。小理屈抜きでハッピーになりた
ければまずこれを聴くが吉。


<今日の駄目T>



#ちょっと使い込んだ大陰唇としか思えないデザインにゃ思わずドン引き。
 いくらなんでもこれはないわー



<セット・リスト>

01:Intro 〜Andrew,s Key Solo〜
02:Ready To Die(爆死上等!)
03:I Came For You(おまえのためなら)
04:You Will Remember Tonight(そして、今夜も大勝利!!)
05:I Want To See You Go Wild(人々よ、バカになれ!)
06:It's Time To Party(パーティーの時間がやってきた!)
07:Into The Clear(明るい未来)
08:Las Vegas, Nevada(ヴェガス・スリー・セブン)
09:Never Let Down(オレはおまえの特効薬)
10:Your Rules(あんたが大将!)
11:Tear It Up(怒!怒!怒!状況打破そして秒殺!)
12:Fun Night(今夜は終わらない )
13:Pushing Drugs(ダメ、ゼッタイ!)
14:Take It Off(脱いじまえ!)
15:〜Andrew,s Guitar Solo〜
16:She Is Beautiful(イカす彼女に一目ぼれ)
17:Song (魂込めたこの1曲)
18:〜Drum Solo〜
19:We Want Fun(宴を求めて三千里)
20:Girls Own Love(あの娘は愛を独り占め)
21:Party Hard(パーティー・一直線!)

21:I Get Wet(汗にまみれてパーティー三昧)


参照までに東京初日と二日めのセットもあげておきます。
大幅なセットリストの変更具合に、兄貴のサービス精神が見てとれます。

2006年11月6日: 渋谷O−EAST
01:Intro
02:I Came For You(おまえのためなら)
03:Close Calls With Bal Harbour(憧れのバル・ハーバー)
04:You Will Remember Tonight(そして、今夜も大勝利!!)
05:I Want To See You Go Wild(人々よ、バカになれ!)
06:Ready To Die(爆死上等!)
07:It's Time To Party(パーティーの時間がやってきた!)
08:When I'm High(絶好調!)
09:Las Vegas, Nevada(ヴェガス・スリー・セブン)
10:Never Let Down(オレはおまえの特効薬)
11:I'm Not Going To Bed(今夜は夜更かし!)
12:Free Jumps(かんかんがくがく)
13:Make Sex(ヤラせろ!)
14:Party Til You Puke(吐くまでパーティー)
15:One Brother(兄弟仁義)
16:Fun Night(今夜は終わらない )
17:She Is Beautiful(イカす彼女に一目ぼれ)
18:Slam John Against A Brick Wall(叩きつけちまえ!)
19:I Love NYC(好き好きミュージック)
20:The Song(魂込めたこの1曲)
21:We Want Fun(宴を求めて三千里 )
22:Long Live The Party(パーティー大王!)

23:Victory Strikes Again(パーティー野郎は無敵!~テーマ曲)
24:Party Hard(パーティー・一直線!)
25:I Get Wet(汗にまみれてパーティー三昧)


2006年11月7日: 渋谷O−EAST
01:Intro(Cool Waste)
02:I Came For You(おまえのためなら)
03:You Will Remember Tonight(そして、今夜も大勝利!!)
04:I Want To See You Go Wild(人々よ、バカになれ!)
05:Ready To Die(爆死上等!)
06:It's Time To Party(パーティーの時間がやってきた!)
07:Into The Clear(明るい未来)
08:The Moving Room(お部屋は行くよ、どこまでも)
09:Las Vegas, Nevada(ヴェガス・スリー・セブン)
10:Never Let Down(オレはおまえの特効薬)
11:Party Til You Puke (吐くまでパーティー)
12:Tear It Up( 怒!怒!怒!状況打破そして秒殺!)
13:One Brother(兄弟仁義)
14:Pushing Drugs(ダメ、ゼッタイ!)
15:Take It Off(脱いじまえ!)
16:〜Andrew,s Guitar Solo〜
17:She Is Beautiful(イカす彼女に一目ぼれ)
18:Song(魂込めたこの1曲)
19:〜Drum Solo〜
20:We Want Fun(宴を求めて三千里 )
21:Party Hard(パーティー・一直線!)

22:Got To Do It(人生は楽しむものだから)
23:I Get Wet(汗にまみれてパーティー三昧)
24:Don't Stop Living In The Red (こんな生活やめられない)


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