MANDO DIAO.


2006年10月27日: 渋谷O−EAST>

今やハイヴスと並ぶ、北欧(ポップ)ロック・シーンの若手代表格。
今年のサマソニにおいても、古き良きUKフレーヴァーを漂わせたエモ強めの正統派ロックで、
アイランドステージに集うロックジャンキー達を狂熱のるつぼへと叩き込んだ、スウェーデン出身
の5人組、マンドゥ・ディアオ。

80年初頭のオールドパンクに傾倒しすぎるあまり、90年代以降の若手組を軽視しまくっていた筈の
ミスター聴かず嫌いことミーが、去年のグリーンデイ/オアシス・ショックにより、すっかり新生代UK
ロックの楽しさに目覚めてから早1年と6ヶ月。マンドゥはその頃からチェキっていたのに加え、今年の
サマソニではアンドリューと被って見逃した悔しさもあり、今来日こそは確実に抑えておかねばとばかり
花金で賑わう渋谷雑踏の中を掻き分け押し分け、道玄坂奥のO−EASTへと足を向けた次第でありまして。


で、会場入ってまずそのあまりの客層の若さに「うわ!」なりました。お次にそのノリ見て「おわ!」なり
ました。まあ、ここ最近のライブがラウドパークにスレイヤーと極メタル一色だったせいもあってか、延々
と腕を上げつつひたすらピョン跳ね、みたいな、すなわちジャパロック命!な現役の厨房工房が好んで使う、
いわばRIJFノリにゃ微妙な違和感を覚えるとともに、ついうっかりメロイックサイン掲げそうになって
その度ビクゥとキョドる羽目に。よもやライブにきて隠れキリシタンの気分をフル満喫させられる羽目になる
とは夢にも思いませんでした。ついでに周囲の爽やかノリを無理やりトレースして、生粋のアキバ・キモヲタ臭
をどうにかカモフラージュしようとしてた大学のテニスサークル時代を連想することとなり、何故かライブ中
にとてつもなくトラウマる羽目に。なぜ、俺は、ここに、いるんだー(デッドゾーンの合成音を反復しつつ)

そんな僕の窮状を救ってくれたとともに、特筆すべき素晴らしさだったと手放しで絶賛したいのが、中盤
から後半にかけての楽曲の組み立て方。パワーバラード系のキラーチューン"Mr. Moon"から、モダン色
濃い目のニューシングル"TV & Me"へと繋げて曲尾の合唱ハーモニーで場内の一体感を存分に高めておいて
しっとり系の"Ochrasy"にてその熱気をいったん内へと溜めさせた「静」パート、そこから1st・2nd
それぞれにおいて最強のインパクト度数を誇る"Sheepdog"・"God Knows"へとなだれこんで、場内の
テンションを一気にマックスまで引き上げたところで、哀愁エモの一つの極点たる"The Band"を投入し、
興奮を感動へと昇華させた「動」パート。わりと荒さが目立つ演奏力はさておき、これら両パートそれぞれ
の構成及び繋ぎ方がただでさえ完璧だったところへ加えて、一流バンドの必須条件「更にそこから一歩先」
の世界を、グスタフ・ビヨルン織り成すマンドゥ最大の必殺技「声質の異なるWボーカル」にて垣間見させ
られた"Long Before Rock'N'Roll"が今までに輪をかけて圧巻の内容。ともにマイクを奪わんばかりの
オーバーアクションと、そのパトス迸らんばかりのシャウトから弾け飛ぶ抜群グルーヴの前に完殺ノックアウト
くらって、ふと気づけば周囲の若人に無理やり併合しようとぎこちないピョン跳ねを繰り返している自身を、
そこに再発見してしまう顛末。

その後のアンコールで、グスタフが見せてくれた煙草くゆらしつつのハーモニカ演奏もスカした雰囲気がよく
出ていていかにもなUK臭を満喫できたし(スウェーデン出身だけど)、本人の意図しないところでマスコット
的なラブリーっぷりをふり撒いていた、やたらと背が小さいベースの人の立ち振る舞いも面白かったしで、
いや、立ち上がりをしくった割には、その楽しさを存分にしゃぶり尽くせた、ハートフル&ピースフル溢れる
ライブ内容だったと思いましたね。


<今日の一枚>

 Bring 'em In / Mando Diao

2002年発のデビュー作。
動静・両サイドにおけるメロ作りの良さ、加えて曲調の多彩さが示す引き出しの広さと、
売れるガレージロックバンドのポイントをきっちり抑えているところへ加えて、青春汁
ダダもれな感じの迸るような熱さがその素晴らしさに拍車をかけている、まさに一球入魂
ならぬ一作入魂な渾身の一枚。故に、UKロックシーン好きは必ずチェキるが吉。


<今日の駄目T>



#これまたなんの奇もてらいもない普通のデザインに加えて、ドえらくペラッペラな素材。
 デザインはともかく生地くらいは、もう少しちゃんとしてほしかったかなあ…
 まあパジャマとして使えるぶんだけ、まだ随分とマシな方かも。




<セット・リスト>

01:Tony Zoulias
02:While Well
03:Clean Town
04:Good Morning,Herr Horst
05:Motown Blood
06:Killer K.
07:Paralyzed
08:Mr. Moon
09:TV & Me
10:Ochrasy
11:Sheepdog
12:God Knows
13:The Band
14:Long Before Rock'N'Roll

15:Next To Be Lowered
16:Chi GA
17:Welcome Home,Luc Robitaille


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