THRASH DOMINATION 06.


<2006年9月16日: 川崎クラブチッタ>

その手のファンにゃ垂涎ものの、メィニアなメタルバンドを呼ぶことにかけては、
他のどんな興行にもひけをとらないと思われるクラブチッタ主催のスラッシュ専門フェス、
「スラッシュ・ドミネーション」が、今年もまたやってまいりました。

なにせ、今までのメンツが、
 04年:「FLOTSAM & JETSAM」「DEATH ANGEL」「OVERKILL」
 05年:「KREATOR」「LAAZ ROCKIT」「DESTRACTION」「TESTAMENT」
と、コア全開な方向へエクセレントなところへもってきて、今年のメンツが
 06年:「DRAGONLORD」「ONSLAUGHT]」「SODOM」「DEATH ANGEL」「VENOM」
と、これもんですからね。ジャーマンスラッシュの重鎮、ソドム来日だけでも嬉しいのに、
その上、スラッシュ生みの親とも言われる、あの伝説のヴェノムまで…!
いや、こりゃどう考えても行くしかないわーとばかり、ウキウキしておりましたら、
開催前日にこの日一番のお目当てだったヴェノムが病気でキャンセルしたことを知りまして
思わずギャワーとなりました。まあ、それでも結局行ったんだけど。


<DRAGONLORD>

(ROCKCITYより)

トップバッターは、テスタメントの屋台骨を長年支えてきたエリック・ピーターソン率いる
ブラックメタル・バンド、ドラゴンロード。

デス/グラインド系のブラストビートとシンフォニックなキーボードの融合が織り成す荘厳な
世界観までは悪くなかったんですが、その中で繊細美を演出する筈のギターソロがバスドラの
音に掻き消されて全然聞こえないせいで、どこか間が抜けた感じになってしまっているという
悲劇に加え、その暗黒オケの指揮者たるエリック自身が白塗りで気合入れてるまではいいんだけど、
その体型が小太ってるせいで主役どころか単なる生贄の白豚にしか見えないという、無惨極まり
ない現実までついてくる始末。客の反応の薄さもその空回りっぷりに拍車をかけてましたね。
まあ、こういう荘厳系は盛り上がるというより聞き入っちゃう感じがあるから、そういった意味
では元々苦しかったかもしれないですけど。

ただ、これまでの出演者とはまた違った音楽性を見せてくれたということで、このスラドミ自体の
裾野を押し広げる効果があったことも確かだったと思います。実際、ちょっと気になって帰りにCD
買っちゃったし。(しかもこれが思ったより良かったし)

 01:Unholyvoid
 02:Spirits In the Mist
 03:Sins Of Allegiance
 04:Revelations
 05:Born To Darkness
 06:Tradition And Fire
 07:Until The End


<ONSLAUGHT>



2番手として出てきたのはオンスロート。ジャーマンスラッシュ確立以前の80年中期辺り
からイギリスを中心に活動していたヨーロッパ・スラッシュシーンの開拓者。来日自体は
これが初めてみたいですね。

聴いてみた印象としては、スラッシュ黎明期の頃のエクソダスを想起させるような猪突猛進
の突貫系に、ヴェノム風な禍禍しさを足した感じ。その勢いでゴリ押しするのみならず、何気に
しっかりと歌えてるところも好感度高し。Voをとるサイ・キーラのその巨体をフル活用しての
十字架ポーズや、ギターとベースの額突きつけあっての相互ソロ(アクセプト直伝?)などの
パフォーマンスの方もなかなかに良好。その辺りの熱気が場の空気をものの見事に牽引し、
その知名度の低さをものともせず、グラウンドサーファーまで出没させる程の盛り上がりっぷり
を演出してくれてましたね。特に最後にやった"Power From Hell"はノリ・勢いともに、昨年
のデストラばりに際立ってました。単独で行こうとまでは思わないけどDOJO辺りの出演なら
これ、是非とももう1回見たいかも。

 01:Let There Be Death
 02:Angels Of Death
 03:Shellshock
 04:Killing Peace
 05:Demoniac
 06:Destroyer Of Worlds
 07:Onslaught(Power From Hell)


<SODOM>



三番手に登場したるは今日一番のお目当て、ソドム。
クレーター、デストラクションに並ぶジャーマンスラッシュ界の大御所。

バックドロップなし(オンスロートすらあったのに)のまま唐突に始まったのに加え、
中速ナンバー多めだったせいもあって、出だしの盛り上がり具合は今一つといった感じ
でしたが、ファーストからの狂速ナンバー"Blasphemer"で一気に火がついたところから、
パワー漲るシングアロングが場の一体感を生んだ"The Saw Is The Law"を経て、トム
渾身のシャウト「ソドミィ〜!」の後に続く「ラースト!」の返しとともに怒涛の勢いで
掻き鳴らされる"Sodomy And Lust"がソドマーの端くれたる僕の理性と意識を容赦なく
ホワイトアウトへと導いていきます。

余談になりますが、この妥協なき超速テンポから慣性無視の急速制動で叫ばれるサビ部分
が大好きな自分としては、もう一つの必須ナンバー"Sodomized"、まだ見ぬ架空のソドム
ファン専用曲"Sodomer"とともに「Sodomy・Sodomer・Sodomized」のソドム三段活用を
フルに駆使した連続プレイを、いつか聴いてみたいなあと思っていたりするものであります。

そんな僕の妄想はさておき話をライブの方に戻しますと、そのソドム活用で俄然高まった流れ
から更に畳み掛けるように初期の頃のヴェノム傾倒曲"Witching Metal"を投入された時点で、
これはもう完全にとどめを刺されたと思いました。

その後"Wachturm"におけるドイツ語部分のサビを客に歌わそうとして当然のごとくスカを食ったり、
"アンクル"トム叔父さんの御老体のせいもあってか曲間インターバルを入れすぎたりして、全体的に
若干ノリ下がってきたものの、アンコールの"Ace Of Spades"では本家モーターヘッドに勝るとも
劣らない保身なき突貫っぷりを披露、それまでの下げ幅を軽々と凌駕する程のアゲっぷりを会場中に
伝播させてくれましたね。

というわけで至極満足・充足のステージだったわけなんですが、意外だったのはハード分みなぎる
独スラッシュ勢の中でも特にコア極まると思っていたそのステージ運びが、実は案外に優しげ、かつ
存外にユルめだったということ。戦争マニアなイメージが強いかのトム・エンジェルリッパー御大も、
単なる気のいい酔っ払い親父と化してた感があったし。そういうギャップ部分も含めて、ますます
ソドム好きになりましたね。今度は単独来日希望!

 01:Blood On Your Lips
 02:Wanted Dead
 03:Outbreak Of Evil
 04:Napalm In The Morning
 05:Blasphemer
 06:Axis Of Evil
 07:The Saw Is The Law
 08:Sodomy And Lust
 09:Witching Metal
 10:Wachturm
 11:Among The Weirdcong
 12:Eat Me!
 13:Sodomized
 14:Remember The Fallen

 15:Ace Of Spades(MOTORHEAD)
 16:Bombenhagel


<DEATH・ANGEL>



ヴェノムのキャンセルによりラストを〆ることになったのは、エクソダス・テスタメントに続く
第二次ベイエリア・クランチャーの筆頭株、デス・エンジェル。
ソドムで完全に燃え尽きてたんで、気に食わなかったらそのまま帰ろうと思って、後方待機
しつつ聴いてたんですが、これがもう驚嘆もの。

ベイエリア勢特有のネアカ・テイストに溢れるクランチビートに加え、強烈なフックと弾ける
ようなファンク感、スラッシュというよりはどちらかと言えば今流行のメタル+ハードコアな
メタルコア系に思えるんだけど、それのみにとどまらず、多彩な転調と長尺構成のプログレ臭
をも含んでいる上、更には"Discontinued"に見られるようなラップ要素まで?
こりゃ完全に新種だと思いました、今までのジャンル枠ではちょっとくくれそうにないですな。
その上ステージ上の見栄えも良くて、どえらく華がある(むしろ明るすぎる…!)ときた日にゃ
惹きつけられない方がおかしいってもんで、結局最後まで観戦しちゃいましたよ。

こういう新しい収穫と新鮮な感覚を常に与えてくれるところが、スラドミはたまんないですね。
かなりレアなCDをフリマ的に場内売りしてるようなほのぼの感も含めて相変わらず好感が
持てるイベントだと思いました。当然、来年も開催希望です、そして今度こそヴェノムを!

 01:3rd Floor
 02:5 Steps Of Freedom
 03:Seemingly Endless Time
 04:Thicker Than Blood
 05:Voracious Souls
 06:Ex-Tc
 07:Veil Of Deception
 08:Stagnant
 09:Evil Priest
 10:The Devil Incarnate
 11:The Organization
 12:The Drought
 13:The Ultra-Violence(Intro)〜Thrown To The Wolves
 14:Discontinued

 15:A Room With A View
 16:Never Me


<今日の無駄T>



#去年のデストラクションTに勝るとも劣らぬ禍々しさを全面に振りまいてるソドムT。
 やっぱりヴェノムの方を買えば良かったかなあ…



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