PRIMAL SCREAM.


<2006年9月20日: ZEPP・TOKYO>

今やオアシスやイアン・ブラウン等と並ぶ、90年代UKロックシーンの「上がり」組、
プライマル・スクリームのライブを見てきました。
え?全然ジャンル違いじゃないかって? もちろん、ここ最近デス、ブラック系のメタルに
傾倒しつつあるこの身においては、若干どころかとてつもなくかけ離れたレベルで守備
範囲外なことは百も承知ですよ。でも、ねえ? メタルしか聞かないとかあからさまにバカ
っぽいじゃないですか。たまにはなんていうかこう… 音楽的幅を広げてみたい願望とでも
いうか、知的要素を補いたい欲求とでもいうか、よ要するに、メタルにゃ皆無なモテ分とか
コジャレ分を補ったほうがいいんじゃないかって… そう思った次第でありまして。

だってプライマルとかローゼズとかもうあからさまにモテじゃないですか、UKでポップで
スカしてモテたー、とかもうそんな感じじゃないですか。ならこの僕だって、エンペラーや
カンニバルコープス愛聴してる傍らにてプライマルとか聞いて、ちょっと一味違ってるんじゃ
ない?っ”ぽさ”をアピールしちゃいたいじゃないですか! …って、え?別の意味で違う?

はい、そんなわけでお台場はZEPまで行ってきたわけですが、もうね、始まった途端、
ボビーのそのカッコよさに目を奪われちゃいました。一体何頭身あるんでしょうかこいつは。
音楽性うんぬんの前にあからさまレベルでモテ。でもってバックを固める布陣が元ローゼス
のマニに、リトルバーリーの人と何気に豪華でさりげにモテ。でもって彼等が動きまわる度、
周囲のグルーピー女がもれなく発狂して、そのつど僕のわき腹にエルボーが入るという寸法
です。そんなとても素敵なカースト制度のモデル人物を半強制的にやらされた僕はすっかり
楽しくなってしまいました。

いや、正味の話、オープニングからの三連発は実に素晴らしかった…!
世界を獲ったスクマ時代の"Movin' On Up"が、静かに徐々に、だけども着実に観客のノリ
を煽り、新譜からの軽快かつ小ジャレたナンバー"Dolls"がその勢いを更に加速させ、存分に
皆の体が温まったところで、満を持して抜群の燃焼度を誇る"Jailbird"投入という、ちょっと
文句のつけようがない繋ぎの良さ、この若干「抜いた」感じ、スカした感が初期プライマルの
真骨頂。体を横に揺らして盛り上がるにゃ最適の選曲でしたね。

で、そのままヌルめの横ノリで押していくのかと思いきや、次曲"Shoot Speed/Kill Light"
でノイズ系クラブシーンサウンドを轟かせ、途端に会場中をサイケムード一色に変えてしまう
というプライマル・マジックが炸裂。一晩でロックとダンス系双方の楽しさを存分に堪能できて
しまえるというこの贅沢さこそが、プライマル一番の魅力かなと。

その最たる組み合わせが、本編終了前の4曲。"Kowalski"と"Swastika Eyes"による音と
光の洪水になすがまま思うがまま翻弄されてベルファーレ級の大箱ばりなダンストリップを存分に
味わされたかと思えば、その横ノリが"Country Girl"・"Rocks"でいきなり縦にフェーズシフトし、
突如パンクムーブメントの真っ只中へと放り込まれるというね。途端人が飛ぶ飛ぶ、何も考えずに
舞う舞う。この強引極まる展開変化が今日一番の聴きどころでした。もう、すこぶる楽しかったです。

ブルース、グラムにポストパンク、はたまたハウス、ディスコにヒップホップなどなど、
実に多岐多彩かつ、しかもそれぞれ方向性の異なるサウンドに対してこれだけ節操なく
手を出しておきながら、それでいて、ちゃんと小ジャレで優しげでしかもカッコいいという
UKロック臭をきっちり漂わせているあたり、やっぱすごいなあと素直に思えました。
まあ、細かい点をあげれば、音が若干小さい、VOとギター音のバランスがとれていない、
女性コーラスの存在がもはや意味不明なレベルで目立っていない、などなど、問題点も色々
あったけれど、それ以上に展開変化のインパクトが大だったってことで、差し引きすれば
はるかにプラスのライブ内容だったんじゃないかなと。


<今日の一枚>

 RIOT CITY BLUES / Primal Scream

アルバム毎にガラッとその音楽性を変えてくるプライマルの変幻自在っぷりを今更語っても
仕方ないような気もするので、今回は「歴代のアルバムの中で一番聴きやすいものは?」と
いうテーマに沿って考えてみました。はい、ズバリ最新作が一番トゥーマッチです。
これまでの彼等を象徴してきたダンス・ノイズ・エレクトロニカル要素はほぼ皆無な上に
泥臭さ満点のギターソロ満載、いつもみたいにヒネった部分がほとんど見受けられないその
ド直球な作りは、原点回帰的なロック本来の気持ち良さを存分に提供してくれます。
逆に返すなら凡庸といえば凡庸。だけど、これをわざわざプライマルがやったその意味あい
こそに僕は内容以上の価値を求めたいと考えます。


<今日の駄目T>



#ぶっちゃけメタルTと比べたら255倍はいけてると思う僕の考え方は間違ってるでしょうか。




<セット・リスト>

01:Movin' On Up
02:Dolls
03:Jailbird
04:Shoot Speed/Kill Light
05:Suicide Sally & Johnny Guitar
06:Kill All Hippies
07:Burning Wheel
08;When The Bomb Drops
09:The 99th Floor
10:Medication
11:Kowalski
12:Swastika Eyes
13:Country Girl
14:Rocks

15:Rise
16:Accelerator
17:Skull X

18:Sick City
19:Gimme Some Truth


[ MenuNext ]