Dark Tranquillity.


<2006年9月10日: 代官山UNIT>

インフレイムス、アークエネミーと並ぶ北欧叙情デスの先駆者、ダーク・トランキュリティのライブ
を見に、代官山はUNITまで行ってきましたー …と、こう、あっさりいく筈が、始めて赴く会場
だったこともあってこれがもう全然見つからんわけですわ。そこで早速「メタルTシャツを着ている
人の後ろに黙ってついていく」カルガモ作戦を実行したところ、10分後、何故かコジャレたカフェ
の中へ軽々と導かれている自分を再発見してしまい、心底愕然といたしました。いくら何でもAC/DCの
Tシャツ着といて代官山のお洒落カフェで一服はないんじゃね? お前似非かよと、DMCの根岸君
ばりに仮面メタラーかよと。もう少しでその人とコンビ組んで「甘い恋人」歌ってしまうところでしたよ、
「朝、目がさめると君がいてチーズタルト焼いてたさあ〜ん〜♪」 

まあ何故に実際の会場がなかなか見つからなかったかと言えば、その建物が外観どころか入り口まで
目立たない構造だった上に、普段なら店前にたむろしてる筈のヘビメタさん達がまるでゼロというその
事実が、この店の存在感をはるか時空の彼方へと吹き飛ばし、この僕をして都合3回、店前を往復させ
しめていたからなわけで、見つけた瞬間、その喜びよりも、今日の客入り本当に大丈夫?という不安の
方が断然先にきました。まあ、蓋を開けてみればキャパ600人弱の会場が隙間多めとは言えほぼ満員
になってたんでホっとしましたけど。客が少ないのはもうウドーでコリゴリでしたからね。

肝心かなめの盛り上がりの方も出だしから絶好調、1曲目の"The Treason Wall"から曲メロにあわせて
「オ〜オオオ〜」のシングアロングが巻き起こったかと思えば、次の曲では小規模とはいえモッシュまで
発生するほど。それにしても随分局地的なモッシュだなと思ってふと後ろを顧みてみたら、どっかの馬鹿
が無理やりモッシュを発生させようと煽動しているのみならず、挙句の果てにゃたった二人でWODまで
やってんのを目撃してしまい、すかさず笑い死にしそうになりました。


<なぜなにメタルマン>
 突然だけど、なぜなにメタルマンのお時間だ。
 今日は「ウォール・オブ・デス」、略してWODを紹介するよ。
 え?いったいなんのことかって? うん、北米を中心とした命知らずな一部ハードコア
 野郎どもの間で大流行していると言われる、今もっとも過激なモッシュ・スタイルのことさ。
 やり方は至極イージー、観客が左右二つの集団に別れて曲開始とともにぶつかりあう、そう、
 たったこれだけなのさ、簡単そうだろ? じゃ実際に行われた例を見てみよう。

 ・「Lamb Of God」演奏中に起こったWOD

 そうそう、05年にドイツで開催されたPressure Festivalでは、これによる死者も出たそうだよ。
 ライブもいいけど、命も大切にね。じゃ最後にいま日本で一番流行ってると特殊モッシュの例を二つ
 ()紹介しながらお別れといこう、僕の前でやったらころすよ? そんじゃまたね〜 


中盤、ミドルテンポのナンバーが続いて若干曲ダレ(テンポに慣れてきて刺激が薄くなってる現象)
してきたところで珠玉のメロデスナンバー"Damage Done"を投下して再び場内の空気をヒートアップ
させてから、情感たっぷりに歌い上げる"Monochromatic Stains"で場の空気を更に昂ぶらせ、そこから
北欧メロデス文化を語る上で欠かすことのできない最重要曲と思われる"Punish My Heaven"へと繋げて
いった流れはなかなかに見事でした。ただ同時に、リズム隊の音圧が低め、アークエネミーやチルボド
などの北欧勢と比べてギターソロがどうしても弱い、などの点が、いま一つ弾けきってる感を感じさ
せるに至らなかったのもまた事実だったり。

仮に、メロデスにおける必須要素を定義づけるとしたなら、
 1)疾走感と重厚感を演出する為の、怒涛のバスドラ連打
 2)重戦車の突進を思わせるがごときベースの唸り
 3)その曲を決定的に特徴づける、印象的な叙情フレーズ
 4)メロディックかつドラマチックな一撃必殺のギターソロ
 5)上記要素を混沌の渦へと巻き込む、渾身のデスヴォイス
の5つが欠かせないのではないかと勝手に思っているわけですが、そういう意味では、どうしても
1と4が弱いのかなあって。3における叙情フレーズの出来がいい良曲をたくさん持ってるわりに
こうしてライブで聴くといまいち地味目な印象が拭えないのはそういうことなのかなと。

まあ、ライブ内容そのものに関しちゃ、会場が小さくてステージと客との距離が近かったぶん
アットホームな感じになって、それはそれで非常に楽しめたんですが、世界レベルでもっと活躍
できるバンドだと思うだけに今後より一層の奮起を期待アゲってところで、とりあえずは来年出す
と言ってた新作に期待してます。ソロ強めで一つ。


<今日の一枚>

 DAMAGE DONE / Dark Tranquillity

激しさの中に切なさがこめられた扇情のメロディをカオテイック極まるデス声がブチ壊す
滅びの美学、それこそがメロデス最大の魅力だと思ってやまない僕ですが、極端さを売りに
しているその性質上、あまりにもアクが強すぎて、初聴の方々になかなか受け入れてもらい
にくいというのがその欠点。そこでこのアルバムの出番ってわけです。メロデス的様式美
をきっちり抑えつつ、でもそことなくマイルドな作りになっていて非常に聴き易いというね。
メロデス入門編にゃ最適の一枚だと思います。


<今日の駄目T>



#バンド・カラーと同じく、悪くないんだけど、でもどことなく無難で目立たない作り。
 面白みにかけるメタTなんて、断じて認めません。10点。



<セット・リスト>

01:The Treason Wall
02:Lost To Apathy
03:White Noise/Black Silence
04:The Sun Fired Blanks
05:The New Build
06:The Wonders At Your Feet
07:Where Death Is Most Alive
08;The Endless Feed
09:Hedon
10:Haven
11:Damage Done
12:There In
13:Monochromatic Stains
14:Zodijackyl Light
15:Punish My Heaven

16:Lethe
17:My Negation
18:Final Resistance


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