FUJI ROCK FESTIVAL 06.


<2006年7月29日: 苗場スキー場> 

日本フェス史上にその名を残すであろう惨状となったウドーフェスにひき続き、先週末は夏フェス
の代表格、フジロックに初参戦してきました。いや、聞いていた以上にサバイバルな内容でしたね。
そんなわけで早速レポレポ。今回はドキュメンタリー風味で書いてみました。



<12:30〜05:00>
 移動。朝方、現地到着。
 指定駐車場側の道の駅で、とりあえず朝まで寝ることに。
 なかなか寝付けないので、眠剤アタックかまして、むりやり寝る。

<11:00〜>
 ようやく目覚める。
 9時に起きる筈がこの体たらく。早速、朝一グリーンの「ウルフマザー」を諦める羽目となる。
 でもって駐車場に入ろうとしたら入り口近くで制止され、駐車券以外に何か半券が必要なことを
 そこで始めて知る。うわ、オクで¥15000も(チケとほぼ同等の値段)はたいて手に入れた
 駐車券がただの無駄紙に…!しかも事前情報によると地元駐車場はほぼ全滅のヨカーン…!
 ツレが持ち前のクレーマー根性をフル発揮して必死に食い下がるも当然覆らず。この時点で軽々
 としねる。怒り心頭のあまりもう帰る気満々のツレ、脱力感のあまり口も聞けなくなったもう
 1人とともに、口からエクトプラズムを半放出させつつ、何の当てもないまま越後湯沢の駅周辺
 をグルグルと走り回る。が、捨てる神あれば拾う神あり。道を間違えたことにより偶然にも空いて
 いる駐車場を発見、すかさず車を入れてシャトルバスの待つ駅へといそいそと向かう。

<12:00〜14:30>
 ひたすらバス待ち。
 1時間待ちくらいは覚悟してたけれど、よもや2時間とは…! しかもやっと乗れたかと思ったら、
 そこから会場までがこれまた遠い遠い。ようやく会場に着いた時点で自分は既に半死状態。
 ツレはもはや半ギレ状態。

<15:00〜15:50>
 「グリーン」のほぼ最前近くで「ハイヴス」。
 口に白い布をすっぽり巻いたモッズ風のギャングファッションが雰囲気アリアリな上に、
 ファーストパンクから30度ほどUKロック風味にずれてる音楽性がデビューしたての頃のジャム
 をイメージさせる。加えてフーばりのマイク振り回し、ほふく前進しつつかき鳴らされるギター、
 くわえタバコからの強烈ストロークに、最前列の柵によじ登ってのがなりたて&客あおりといい、
 何もかもが超絶カッコいい。さっそく脳内のお気に入りフォルダ内にインプット。
 個人的には今日のベストアクトだったと思う。

 01:Abra Cavaber
 02:Main Offender
 03:Missing Link
 04:A Little More For Little You
 05:Statecontrol
 06:Antidote
 07:Walk Idiot Walk
 08:Die, All Right!
 09:The Hives - Declare Guerre Nucleaire
 10:Hey Little World
 11:Hate To Say I Told You So
 12:Lasse Shuffle
 13:No Pun Intended
 14:Two Timing Touch And Broken Bones

<16:00〜>
 小雨がパラつく中、人波の進行方向に身を任せてユルユル歩いていたら、いつの間にか「ホワイト」
 近くにいることを知る。付近の川原の「ところ天国」なる飲食スペースで、ホワイトから漏れ伝わる
 音にあわせて踊り狂ったりエアドラムってるどこぞのスター様の狂態を鑑賞しつつ、この日始めての
 飯タイム。ジングスカン+骨付きソーセージ+ビールで¥1500也。

 

<16:30〜>
 だんだんと雨が酷くなってきたことを如実に感じ、「フィールド・オブ・ヘヴン」へと続く林の中の
 ボードウォーク内へと一次避難。入った直後に一方通行なのを知り若干後悔。だが進むより他に選択肢
 なし。木立内の樹木をきちんと避けて作られているその構造に感心しつつ前へ前へと。途中の「木道亭」
 なる極小ステージにて、ミスター西城もどうかという「L♪」「O♪」「V♪」「E♪」臭を振りまき
 ながら熱唱しているどこぞのフォークグループと、それをこの上なく幸せそうな笑顔で見つめる観客達
 をしばし見やって、アイロニー全開な方向へフジロックらしさというものをほんの少し学ぶ。

<16:45〜>
 「フィールド・オブ・ヘヴン」到着。
 空模様はもはや完全に豪雨レベル。なにがヘヴンかと思う、インフェルノの間違いじゃないのか。
 雨やどりできそうな場所を探すも、そのようなスペースはどこもかしこも避難民で満杯。
 「どうつめてもあと二人までです」 と言われそうなその密度に心底絶望しつつ、せめて通常状態
 からおおよそ3倍の荷重を抱え込んだこのTシャツだけはなんとかしようと近くの物販へ向かう。
 が、ピンクかつSサイズしか残っていないことを知り再度絶望。しかも売り子姉さん、「いけます、
 いけます」って… どんくらい乳首うくと思ってんだ、この売女!(売る女なので意味はあってる)
 この時点でフジロックが大嫌いになる。

<17:00〜>
 現在孤立、雨ガッパなし、財布内浸水、かつ、頭の先からパンツの中、つま先に至るまで濡れねずみ。
 違うの!これは涙なんかじゃない、雨なんだからねッ! 1人ツンデレプレイに興じつつ、とぼとぼ
 歩いたその末に辿り着いたところは「アバロン」。
 そこで「えびはら・よしえ」なるシンガーソングライターのまったりした歌声を聴き、心底癒される。
 極限状況の中でふと与えられる和み。正直、勘違いしすぎて泣くまであった。またもや間違った方向
 にフジの良さを体感しつつ、雨の中でクレープほうばりながら、しばしその歌声に耳を傾ける。
 ここで竹素材のタオルげと、¥1000也。が、半ば意地になってカッパ購入は完全放棄。ライブで
 雨ガッパって何それ? おおよそ服装というものにまるでこだわりを持たない自分だが、リュックを
 背負ってのモッシュ参戦と、雨ガッパ着ての最前だけは絶対に認めたくない。

(公式サイトより)

<17:30〜>
 ぐるっと回って「ホワイト」に戻ってきた。演奏しているのは「ストーリ・オブ・ザ・イヤー」。
 リンキンっぽいキャッチーなノリをもったラウド系ロック。ギターとベースの同時に飛び後ろ回し蹴り
 アクションがメチャ格好よかった。冷えすぎた体を少しでも温めようと前列付近で発生していたモッシュ
 に混ざってお得意のウインドミル、別名のび太のポカポカパンチを披露していたら運悪く刺青外人に誤爆、
 泥の中に突き飛ばされて横転した末、はっと我にかえる。

 

<17:45〜>
 ひたすらトイレ待ち。全然、順番こない。
 遠目に見える向こうの方の放尿天国に、僕も混ざりたいー

 

<18:00〜19:00>
 アンニュイな気分に浸りたかったのもあり、「ソニックユース」を見に再度「グリーン」へ。
 雨は小降りになってきたものの足元はもはやグチョグチョ。最前に行くまでに何度も足をとられ、
 その度、頭の中で黒沢ばりに「ぬかるんでいるから…!」「低地だから…!」を繰り返す。

 

 それにしてもソニックの音楽は相変わらず訳が分からない。スライドバーもどきでかき鳴らされる
 ギターの弦、ステージ下に放り投げられシールド経由で引きずられるギターから漏れ出るノイズ音、
 ブ厚く上塗られていく単調リフの中に響くどことなく気だるそうな歌声。だがそれがいい、この訳
 の分からなさ、輪郭のなさ、つかみどころのなさが、けだるさで一杯な今の気分にぴったしマッチ。
 メロがしっかりしているからこそギリギリ成立しうるこのバランス感覚。オルタナ系と呼ばれる中
 ではかなり好きなバンドかも。あと、サーストンが歌っている後ろでピョン跳ねしてるキムさんの
 エロ可愛い格好(短めのキャミに短パン)が素敵でした。

 01:Incinerate
 02:Reena
 03:100%
 04:Mote
 05:Do You Believe In Rapture?
 06:Jams Run Free
 07:Catholic Block
 08:Rats
 09:Turquoise Boy
 10:The Neutral
 11:Pink Stream
 12:Shaking Hell

<19:00〜>
 次のアクトまで40分。
 そのままグリーンにとどまって電気グルーヴを見るつもりが、寒さのあまり動いていないと死ぬ的
 感覚にとらわれたのと、今現在テクノという気分では全然ないのと、トイレに死ぬほどいきたい気分が
 相まって、死ぬほど迷った挙句、何を血迷ったかフジ最深部のステージである「オレンジコート」の
 「UA×菊地成孔」を目指すことに。
 「ふじさーん」「ふじさーん」「高いぞ高いぞふじさーん」に後ろ髪ひかれつつ、それでも、前へ前へ
 と進む。見たいアーティストを蹴ってでも新たなる何かと巡りあいたいと欲するこの気分、なに?これ
 がフジ的エンジョイの仕方って奴? とりあえず、道中でめぐり合ったものは以下。

 ■トンボさん: 背の高さが半端なかった
 

 ■ホワイト→オレンジコートへと続く林の中に釣り下がっていたミラーボール
 

 ■ボードウォーク上の、オレンジコート入り口
 

 ■「見よ、あれがオレンジコートの灯だ…!」
 

 トンボはともかく、林の中を貫いて設置されているボードウォーク上で見る光景は、昼間のそれとは
 まるで別物。普通にステキー!とか思ったりする。この辺りで普段自分が最も忌み嫌う人種に自身が
 なりかけていることを如実に自覚。 いよいよ駄目だと思った。

<20:00〜>
 フジロックの最高に過酷なところは、雨そのものでなくそれが引き起こす地面の泥濘化が休憩スペース
 を極端に限定してしまうことにあると見つけたり。よくよく考えたら入場から5時間が経過したこの時点
 で一度も座れていないことにふと気づく。…と、ここでようやくエリア奥に空いていそうな休憩スペース
 を発見。喜び勇んで席をキープし、そこでチリソースがけ豚肉ごはん+ビール(¥1000)をがっつく。
 後ろでは「UA×菊地成孔」がプレイ開始。

 

<20:30〜>
 食事により腹が満たされ、UAにより気分が癒されて、再び動く元気が出てきたので、トリのレッチリを
 見るべく、フジ最深部から3度「グリーン」を目指すことに。道中、ハンモック形状に釣られたスクリーン
 から映し出されるVJ演出や、地面一面に置かれた大小のローソク群が織り成す幻想的光景に目を奪われつつ、
 またYYYSのVo繰り出す発狂寸前としか思えない絶叫に耳を奪われつつ、一路、前進、前進。
 なるほど、こりゃ面白い。昼間の厳しさとはうってかわったフジの夜、そこは確かに楽しくて優しい。

 

<21:30〜23:15>
 グリーン前にようやく到着。既に辺りの丘陵は一面の人、人、人だかり。
 こんなにたくさんの人群を見たのは、昨年ロキノンのサザン以来かも。
 先週末のウドーの悪夢がようやく払拭されそう、やっぱしフェスはこうでなくては。

 でもって、いよいよ大トリ「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」登場。
 レッチリの心臓部:フリーとチャド繰り出す力強くて変幻自在なグルーヴは、聴いているだけでタンバリン
 持ちたくなってくるから不思議。でもって跳ねるようなそのリズムの中に時折挟まれるジョンの様式美
 満載なギターラインがこれまた絶品。この辺りのオールド要素がメタル畑出身である僕のような人種をも
 ファン層に取り込めている要因なんじゃないかと思ったり。

 他には、フリーの衣装がとんでもなく狂っていて大笑いとか、"Can't Stop"のリズムに合わせて揺れる
 隣の姉ちゃんのボイン具合が半端じゃなかったりとか、"By The Way"は当然として新譜からの"Charlie"
 や"Snow"のノリが存外に良かったりとか、後方の誰かが放った巨大ビーチボールがその後も延々と人波
 の頭上を跳ねてる様に笑ったりとか、まあ、そんな周囲の弾けっぷりにも引っ張られ、思う存分楽しめた。

 01:Can't Stop
 02:Dani California
 03;Scar Tissue
 04:Charlie
 05:Fortune Faded
 06:Readymade
 07:〜 Flea Solo 〜
 08:Thraw Away Your Television
 09:Snow
 10:Me&My Friends
 11:Wet Sand
 12:Right On Time
 13:〜 John solo 〜 (How Deep Is Your Love / Bee Gees)
 14:Don't Forget Me
 15:Tell Me Baby
 16:Californication
 17:By The Way
 18:Give It Away

 あえて難をあげるなら、曲ごとに変えていた巨大スクリーンのヴィジュアル・エフェクトが異常に邪魔。
 素直にステージの様子だけを映してほしいと思う、これまではそうだったし、もともとあのモニターって
 後方で見てる人達にステージの詳細な様子を見てもらうためにあるものでしょ。なのにわざわざ見難く
 するなんて本末転倒もいいところだと思う。

 バスの混み具合が心配になってきたので、アンコール"Give It Away"の途中でその場を離れ、出口の方へ。
 徐々に遠ざかっていく音に後ろ髪ひかれつつ、未練がましく「ぎぶるぎぶるぎぶるあうぇい♪」を口の中
 で連呼しつつバス停へ。見切りが速かったせいでそんなに並ばず乗れてラッキー

<24:30>
 越後湯沢に到着。駐車場に戻る。
 車の窓から音がかなりの音量で漏れ出ていたので「なにごと?」と思い、中をみたら、あまりの
 環境の苛酷さに途中で帰ったとばかり思っていたツレが、車の中で只の駄目な人になっていて笑う。
 ともに「GO!GO!7188」を聴きつつ、もう1人のツレが戻ってくるのをひたすら待つ。

<02:30〜06:00>
 ようやく全員合流。東京へと戻る。


<総括>
 他フェスと比べて顕著に感じた違いとして、「お目当てのアーティストを見に行く」よりも
 「フジロックに行く」という目的意識の方が高い人が多いような… いや、もちろんお目当てさん
 も重要なんだけれどその比重が他フェスよりはるかに低いというか、要するに雰囲気を楽しむイベ
 なんだと思いました、これは。サマソニみたいにガツガツしながら会場間を駆け回るんじゃなくて、
 所々歩き回ってふと目にした何かを愛でる、的な? それは音でもいいし、景色でもいいんだけど、
 そういう「発見」の楽しみを最大限に与えてくれるフェスなんじゃないかと。
 僕的にはこのコンセプト、もろビンゴだったので、来年はフル参戦しようと思っています。


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