DRAGON FORCE.


<2006年6月17日: 渋谷O−EAST>

「疾走なくば音に非ず」を絶対論として掲げる脅威のスピード狂集団メロスパー、更には
それを追求するあまり外見そのものが本当にキモくなってしまったという狂熱の変態集団キモスパー。
これら両属性を持ち合わせるのみならず傾倒までしているミーの感性を、最近こよなく刺激する、
とあるバンドがありまして。ちょっとそのバンドの紹介文を下記に一部抜粋。

 音楽性において特筆すべきこととして、スピード感・疾走感というものへの強いこだわり
 が挙げられる。ほとんどスラッシュメタルやデスメタルのような速度で演奏されるリズム
 パートに典型的な「メロスピ」を乗せるというスタイルは、これまでありそうでなかった
 ものであり、日本や欧州の若年層に人気が浸透しつつある

 その大袈裟さはラプソディーに匹敵し、疾走感はソナタ・アークティカをも遥かに上回る。
 音の整い方ではラプソディー、ソナタに軍配があがるものの、メロディのクサさでは勝るとも
 劣らない。

 香港出身のヘルマン・リによるとてつもないスピードのGuitarは、もはや人間業を超えて
 おり正確に弾けているのかどうかも定かではない程だが(笑 神の領域に極めて近いことは
 誰もが認めるしかないであろう。そして彼の(アキバ系にしか見えない)風貌にも注目。

 疾走感あふれる超音速サウンド、ドラマチックかつアグレッシヴな曲展開、歌わずにいら
 れない勇壮なコーラス、香港出身のヘルマン・リによる超絶テクニカル・ギターと、思わず
 落涙ガッツポーズのメタル絵巻。大英帝国出身でありながら、ほのかな秋葉原臭も漂わせる
 勇者“ドラゴンフォース”。ありがとう、そして伝説へ…


ね?俄然興味わいてくるでしょ? 特に最後のコメントの「ほのかな秋葉原臭も漂わせる勇者」
とか「ドラゴンフォース”。ありがとう、そして伝説へ…」辺りとかね、ここまでもろ小バカに
してる文章もなかなかないと思いました。それにしてもほのかな秋葉原臭?こりゃ一体どういう
意味だ?と思って調べてみたら、どうやら原因は”これ”にあることが判明しました。

(ROCKCITY)

多少なりともルックスが求められるメタルバンドのリーダー、ましてや花形ギタリストの位置
にありながら、この醜男ツラは半端ない上にありえないっス、キモッキモッ。

だけどその実力は折り紙付きらしく、メロスピというジャンルの象徴的パラメータ「スピード」
を究極的なまでに突き詰めたその演奏力は、今やインペリテリやインギを凌いで世界最速と
いわれるほどだそうで、こらキモスパーとしては1回体感しておかなあかんと思い立ったが吉日、
ピーカン晴れの空の下、渋谷はO-WESTまで行ってきましたよ。

で、会場に入った途端、「スト2」のOPテーマが大音量で流れてるのを聴いて早くも腰くだけ。
更には開幕した途端、メロスピ界一のキモメンといわれる李さんのキューティクル麗しいサラサラ
長髪が舞台下からの送風に煽られて、ゴージャス感たっぷりにふわふわ浮いてるの目撃しちゃって
いきなりの大爆笑。資生堂辺りがリンスのコマーシャルキャラとして採用しても全然おかしかない、
そんぐらいの浮きっぷりでしたね。ついでにその比肩なきブサイクっぷりと比類なきナルっぷりも
あわせて、本人のキャラ自体が浮きまくりでしたプカプカ〜

その後もこちらの想像の範疇を軽々とぶっちぎる李さんのブサキモ・パフォーマンスの数々にゃ
圧倒されっぱなし。ただでさえ狭いステージ上を必要以上に動き回って、かき鳴らすわ、アピり
まくるわ、挙句にゃ飛んだり跳ねたりともうやりたい放題。その中でも特に際立ってた必殺技がコレ。
アームもちあげてビヨーン。



どうですか、この得意満面ツラ。
そんでもって、キメ!とばかりエビぞりジャーンプ!

 

いや、演奏もだけど、むしろあまりに空回りしすぎて逆に大受けしてた演出が凄かった!
これ見れただけでも今日きた価値は十分にあったなあと思いました。
しかしサプライズはこれのみにとどまりません。よもや、向かうところ敵なしと思われた李さん
の驚異的パフォーマンスを凌駕しうる可能性を秘めた男が、まだいようとは…!

 

ほぼ誰も見ていないバックグラウンド上での演奏において、ここまでの高まりっぷり
これを手始めに、キーボード弾きながら、いや、ひっぱたきながら、昇竜拳(小)撃ちまくるわ、
長髪ブン回してヘアーストームやりまくるわ、挙句、ショルダーキーを持ち出してきてジミヘン
よろしく舌で鍵盤叩きまくるわと、飛びぬけたその狂態っぷりでもって会場の空気を牽引した
その結果、彼の尋常ならざるハイテンションっぷりとは裏腹に、見ているこっち側はほとんど
口半開きでポカーンとしているという超常現象が顕現。いやいや、マジいいもん拝まさせてもら
いました。
そして前述の完璧超人、李さんとキーボードの人には及ばないものの、他のメンバーの方々も
これがなかなかのつわもの揃い、Voの人が演奏そっちのけで「1、2、3、Hey!!!」を連呼
しつつペットボトルの水をこれでもかってくらいバラまきまくれば、ベースの人は本来の担当
楽器を完全放置して何故か普通にギターを弾きだす始末。それに触発されてかもう1人が負けじ
とかき鳴らせば、この俺を忘れるなーとばかり、その間に李さんまでもが割り込んできて、はい、
こうなった。



ぼ、僕らは一体どうすればいいというの!?
最後にゃキーボードの人も参加して、4人で輪になってこれやってました。
いやー、ドラフォ、神! まさにキング・オブ・ザ・キモスパー!

じゃ、肝心の演奏の方はどうだったかというと、バカっ速の演奏スピードはまあいいとして、
声量貧弱、重さ皆無、リズム破綻気味、メロに至ってはその輪郭がギリギリ分かるかどうかという
レベルの演奏を、しかも長尺でやるもんだから、当然のごとくグダグダに。擬音表現するなら
「ピキョピキョピキョピキョ」って電子音が終始ものっすごいスピードで鳴り響いている感じ。
ここまでくるとむしろテクノだと本気で思いました。

まあ、それでも出だしの3曲辺りはいちおう曲として成立していた上に、脅威のバカテクと
バカ丸出しパフォーマンスがうまくハマっていたのもあってかなりノっていけてたんですが、
中盤辺りにきて流石に飽きがきたこともあり、全ての曲が同パターンの電子音にしか聞こえ
なくなってしまうメロスピ・プレーニング現象発生。だけどキーボードの人の発狂ソロ以降、
前半の演奏バランスが再び戻ってきて曲が曲として多少聞こえるようになってきたのと
(それでも全てが同じ曲に聞こえることには変わりないんだけど)、そのグダグダっぷりが
巻き起こすカオス爆発のステージが、もはや個性とか味の領域にまで高まっていたのもあり、
ギリギリラインではあったけれども、最後までどうにか楽しむことができました。

メンバー全員の運動量が激しいからかなり見栄えするし、場を盛り上げようといろいろやって
くれるので、演奏のグダグダっぷりだけに目をつぶれば、行けば行ったで間違いなく楽しめる
バンドだと思います。まあ絶対メインストリームにはなりえないとも思ったけど、こういう極端
すぎる個性を持ったバンドが一つや二つあってもいいんじゃないかなって、これまたOPにひき
続きエンディングSEになってた「スト2」を聞きながらしみじみ思いました。アキバ系かあ〜


<今日の一枚>

 InHuman Rampage / Deagon Force

このバンドに関しちゃ「ただ速いだけ」、インギ風に表現するなら「ただ単に速いというだけ
のスピードなんてクソだよ」的批判をよく耳にすることがあるけど、その唯一の取り柄な速さ
がプレイ的にも笑い的にも本当に随一の領域にまで達してる段階で既に勝ち。
ライブじゃグダグダになってた演奏面の方も、CDじゃ編集に編集を重ねてきっちり作りこま
れているので本来の曲メロの良さも安心して楽しめるという豪華特典付き!(当たり前)
さあ、やりすぎとか冗長を超えて拷問クラスにまで昇華しきった奴等のツインソロに身を委ね、
細かいことを考えるのはもうやめよう!


<今日の駄目T>



#まだまだTシャツはダサくなれる、という無限の可能性を垣間見させてくれた珠玉の傑作。
 それにしても、ここまで… ここまでとは…!




<セット・リスト>

01:Storming The Burning Fields
02:Fury Of The Storm
03:Operation Ground And Pound
04:Black Winter Night
05:Fields Of Despair
06:Starfire
07:〜 Vadim's Keyboard Solo 〜
08:Soldiers Of The Wasteland
09:Heart Of A Dragon
10:My Sprit Will Go On

11:Through The Fire And Flames
12:Valley Of The Damned


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