WHITESNAKE.


<2006年5月21日: 東京国際フォーラム

無名時代当時、ギランの後釜を探していたリッチーブラックモアに見出されてパープル入り。
そしてHR・HM史上に残る屈指の名曲"BURN"を生み出し、一躍スターダムへとのし上がるも、
奇人リッチーと折り合いつけることがどうしても出来ず、遂には殴り合いの大ゲンカまで繰り
広げた末パープルを単身飛び出して、やっぱ自分でやらなきゃ駄目だとばかり自らのバンドを
立ち上げてから早25年。メンバー加入・脱退の繰り返し(どれだけとっかえひっかえしている
かはここを参照)や契約レーベルとのいざこさなどを乗り越えて、はっと気づけば、今じゃ名実
ともにすっかり界隈トップバンドの仲間入り。

そんな苦労人であるところのデヴィッド・カヴァーディル御大率いるバンド「ホワイトスネイク」が、
このたび3年ぶりの来日をはたすとのことで、最近新譜も出してないし、あまりパッとしたニュースも
聞かないけれど、ジョン・サイクス在籍時のこのバンドが超絶好きだった自分としては、とりあえず
おさえておかなくては的お気楽テンションでもって、有楽町は東京国際フォーラムまでトコトコと
行ってまいりました。

で、もともと何もすることないから行くかー的気分で赴いたのもあって、サイクス時代の楽曲群と
ひそかに注目していたギタリスト「レブ・ビーチ」のプレイを見にいく以外は実はあまり期待して
いなかったんですが、オープニングでの「アウアウアウ〜!」という雄叫びとともに、かの名曲
"Burn"のイントロ聞かされて、意図せずしていきなり絶頂へと導かれてしまうことに。
出だしリフといい、皆でシングアロングできるサビメロといい、ギター/オルガン両パートにおける
流麗ソロといい、どこを切っても超完璧。ツェッペリンの「ROCK,N,ROLL」、ディオの「WE ROCK」
などと並ぶ、まさに究極のロックアンセムだと思いますね、この曲は。
しかも触りだけのお遊びかと思ったらこれが完全フルバージョン、加えて中間に"StormBringer"
まで挟む豪華っぷり。そら、会場も一気に暖まるってもんですわ。

そこから続いた"Guilty Of Love"が、まさかこれをやってくれるとは!感に(サーペンスアルバス
以降の選曲ばかりだと思ってた)、当時の懐かしさも相まって、これまた最高。
で、そこから1曲おいて、おそらく前半のハイライトと思われる前期〜中期時代の3曲メドレーへ。
静かな出だしから徐々にアゲてサビで一気にもっていく"Slow An' Easy"の展開は、まさにブルーズ
ロックの真骨頂。それからサビ部分の骨太さと力強さが抜群に魅力的な"Love Hunter"(渋い選曲!)
をわざわざ組み込んでくるところなんか、すごく僕のツボでしたね。

なんかまったり見てるつもりが思いっきり盛り上がっちゃった前半〜中盤でしたけれど、これ、楽曲
の良さのみにつられただけでもなく、ステージ全体から漂うオーラにも引っ張られた、とでもいうか、
そう、やっぱしこのバンドには華があるなあって、そう如実に感じたのも理由の一つですね。それも
カヴァーデル1人じゃなくて全員に。
例えばトミーアルドリッヂの野人っぷり。上半身裸のまま雄叫びはともかくハイハットやシンバルを
拳でボコボコにブン殴るわ(その動きのファニーさたるや)、当人スティック回してるつもりで実は
回りきってないその無様っぷりとか、技術的にじゃなくて、こんだけ体感的に凄いなと(笑いの方向へ)
思わせてくれるドラムソロもそうはないなと。しかも御歳56歳、これ一筋30年、もはや伝統芸として
国宝認定すべきレベルだと思いましたね。
それからリードギター:トミーアルドリッジのソロがこれまた凄かった。回したり投げたり叩きつけたり
ぐらいまではインギで見たことあったけれど、よもや地面にギターを置いてそれを逃げ回るニワトリ
よろしく追いかけるとは…!こりゃ完全に新手ですよ、というより普通恥ずかしくて出来ない。マジ
腹筋ねじきれるかと思いました。いや当人は違うことを意図してたのかもしれないけど、客サイドから
は完全にそうとしか見えなかったですね。
新加入したばっかのダフィでさえもベースのポジションマークをガンガンに光らせちゃった上に、
ブンブン回しまくるもんだからやたら目立つわ華々しいわで訳わかんないことになっちゃってるし、
それ見た御大も妙な対抗意識燃やしたか、マラカス両手にいきなり意味不明なサンバ踊りだすわで、
まともにプレイしてるの実はレブだけだったんじゃないかという、この意味不明な咆哮へ充実した
ラインナップっぷり。

もちろん笑いのみならず、プレイの方もしっかりしてるもんだから、楽しい上にちゃんと格好良くて
演奏にも酔いしれることができるというね(これで下手だったらただのコミックバンド)、なかなかに
充実した時間を過ごすことができました。いや、よくよく考えたら数々のメジャーバンドを渡り歩いた
経験のあるダグ・リブという二人の名ギタリストに加え、これまたオジーバンドの一員だったこともある
トミーまで有していて、なおかつ凄腕のマルコにかわって入った新ベースもこんなに個性豊かという、
実はこのバンドってすごく豪華な布陣なんだなあって。かつてに比べれば「地味」と言われている構成で
これなんだから、ヴァデンバーグにキャンベル、ヴァイがいた時なんてどんなだったんだろうなーって、
思わずそんなことに思いめぐらしたりもしちゃいました。

ので、過去、白蛇に在籍していた凄腕メンツをちょっと挙げてみた。

<ギタリスト>
 ・ジョン・サイクス(元シン・リジィ〜現ソロ)
 ・エイドリアン・ヴァンデンバーグ(元ヴァンデンバーグ)
 ・ヴィヴィアン・キャンベル(元ディオ、現デフレパード)
 ・スティーヴ・ヴァイ(元アルカトラス〜デイヴィッド・リー・ロス・バンド〜現ソロ)
 ・ウォーレン・デ・マルティーニ(元ラット)
 ・ダグ・アルドリッチ(元ライオン〜ディオ〜)
 ・レブ・ビーチ(元ウィンガー〜ドッケン〜)

<ベーシスト>
 ・ニール・マーレイ(元ゲイリー・ムーア・バンド〜ブラックサバス、その他もろもろ)
 ・ルディ・サーゾ(元クワイエット・ライオット〜オジーバンド〜ディオ、その他もろもろ)
 ・マルコ・メンドーサ(元ブルーマーダー〜テッド・ニュージェント〜)

<ドラム>
 ・イアン・ペイス(現ディープ・パープル)
 ・コージー・パウエル(元ジェフベック〜レインボー〜MSG〜ブラックサバス)〔故人〕
 ・エインズレイ・ダンバー(元ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ〜ジャーニー他)
 ・トミー・アルドリッジ(元オジー・オズボーン・バンド〜)

<キーボード>
 ・ジョン・ロード(元ディープ・パープル)
 ・ドン・エイリー(元レインボー)

どうですか、このメンツ! パープルやレインボーなどの超一流(実績もメンバーチェンジも)どころに
まったく引けを取らないほどの豪華絢爛っぷり!
…あれ、だけど… よくよく見てみると、ジョン・ロードやコージー・パウエルなどの一部例外を除けば、
カヴァーディル以上の実績及び格を持つメンツって、ほとんどいないんですよね。
この辺りに御大の人間としての器の小ささを垣間見てしまう僕は人が悪いでしょうかキーヒヒヒヒ
(実際、御大は、メンバーのバンド外活動にすぐ文句をつけたがる傾向あり)

という、人として最低なゲスのかんぐりをかましたところで、後半の僕的ハイライトを選ぶなら、
切なげに物憂げに響くイントロのリフレインがずば抜けて印象的だった"Ain,t No Love In The
Heart Of The City
"ですね。恥ずかしながらこの曲、サイクス加入以降から白蛇ファンになった
僕は知らなかったんですが、こうしてライブで聴いてみて滅茶苦茶にいい曲だと思いました。
デビュー当時の白蛇ってこういうバンドだったんだなあーってことを明確にイメージさせるような
この気だるさがいい味だしてるなあって。 ちなみに他の客はほとんど知ってたみたいで、御大の煽り
に合わせて、皆、サビ部分を大合唱してたもんで、1人だけそれについていけなかったのがちょっと残念。
あとレブのソロタイムがなかったことも少しアレだったかな、御大自らが「ミスター、ロード・オブ・
ストリングス」と賞賛して認める程いいギタリストなのに、ダグの後塵を拝させてるだけってなあまりに
勿体ない使い方かなと。(でも本人、性格よさそうな上に大人しそうなんで、指示に黙って従ってそう)

その他の部分はほぼ満点。特に白蛇楽曲群の中では抜群のノリの良さを誇る"Give Me All Your Love"
からキャリアの中でも最大のヒットチューン"Here I Go Again"に繋げて本編を締めた構成は、プレイした
バンド、それを盛り上げた客ともに、最高の出来栄えだったと思います。


<今日の一枚>

 「サーペンス・アルバス 〜白蛇の紋章〜」 / ホワイトスネイク

長いキャリアを誇る白蛇史の中で最も高い評価とセールスを叩き出した記念すべき8枚目。
全曲シングルカット出来そうな各楽曲の出来の良さもさることながら、やはり注目すべきは
ジョン・サイクスのギターソロ。叙情的フレーズが豪雨のごとく叩きつけられる"Crying In
The Rain
"、切れ味鋭い高速ラインが特徴的な"Bad Boys"、更には静と動のコントラスト
対比が見事な白蛇最大のキラーチューン"Still of The Night"に至る1〜3までの流れは
ただただ見事の一言。その他にも"Is This Love"・"Here I Go Again"などの全米トップ
10入りナンバーやスピード感満載のノリノリチューン"Give Me All Your Love" など、
聴きどころをあげれば枚挙に暇がないほど。聞いて絶対損ナシの超々名盤。


<今日の駄目T>



#うーん、マシな部類に入る、とは思うんだけど、やっぱし普段着にするには不可能なレベルなんだよなあー 
 むしろハジけきれてない分、駄目T道としてはもっとも評価の低い部類に入るかも。



<セット・リスト>

01:Burrn(Incl Stormbringer)
02:Guilty Of Love
03:Love Ain,t No Stranger
04:Walking In The Shadow Of The Blues 〜 Love Hunter 〜 Slow An' Easy(Medley)
05:Is This Love
06:Ready To Rock
07:Ready An' Willing
08:-Doug Aldrich Guitar Solo 〜Snake Dance〜
09:Crying In The Rain 〜Incl Tommy Aldridge Drum Solo〜
10:Ain,t No Love In The Heart Of The City
11:Give Me All Your Love
12:Here I Go Again

13:Take Me With You
14:Still Of The Night


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