THE DARKNESS.


<2006年22日: 新木場コースト>


(ROCKCITY より)


確か昨年かな?ジューダスを見に行った時、開幕前のSEでダークネスが流れていたんですよ。
で、そのアクの強い裏声と曲メロの良さに惹き付けられ、ジューダス見終わったその足で渋谷の
HMVに直行して、そこで手に入れたのが彼等の1stだったというわけで、このバンドに関しちゃ
かなり一聴買い、みたいな部分があったんですが、完全に色モノだと思っていたその音風が改めて
聴いてみたら実はバリバリの正統派ロック、それもかなりの良質モノだったことが分かって本当に
好きになっちゃったんで、来日決定のニュース知ったときから絶対行こうとは思っていたんですよ。

というわけで風邪ッぴき全開の体調最悪な中、行ってきました、新木場はコーストまで。
でもって、ライブ開始前のSEの段階でいきなりやられてる自分を再発見して、しばし唖然。
いくら何でも早すぎるわ。でもね、流れていた曲目がコレモンだったんだもの。

 ・Don't Believe a Word( / Thin Lizzy
 ・Shoot The Thrill / AC/DC
 ・Here I Go Again / WhiteSnake
 ・Whole Lotta Rosie / AC/DC
 ・Black Dog / Led Zeppelin
 ・Jump / Van Halen
 ・Don't Stop Me Now / Queen

80年前期から洋楽聴き始めた僕みたいな人間にとっちゃ、これ、滅茶苦茶ツボな選曲ですよ。
実際、周囲のそれらしき人々、まだ始まってもいないというのに、既に全開で歌っちゃってましたからね。
ちなみにダークネスの名物フロントマン:ジャスティンのお気に入りCDベスト5は、
 ・Power Age / AC/DC
 ・JAZZ / Queen
 ・4 / Foreigner
 ・1984 / Van Halen
 ・Pump / AeroSmith
だそうで、これまた僕の好みにぴったり。
そら、一聴買いもするわけですわ。この辺りのサウンドに影響受けまくったバンドを、80テイスト
大好きっ子の僕が好きにならないわけないものね。

そんなわけでライブ開始前の暖機が極めて良好だったもんだから、肝心かなめの本編にもハナっから
ノリよく入っていけましたね。もちろんジャスのあの名物ファルセットも最初から全開モード。いや、
正直コレ聴くために今日のライブ来たようなもんですからね。
特に"Get Your Hands Off My Woman"での裏声全開っぷりには感動しました、ジャスがこの声
出せなくなったらこのバンド潰れちゃうんじゃないかって逆に心配しちゃったりするくらい良く声が
出てましたね。デビュー当時よりかなりブーデったと思われるその体型も手伝って声量・伸びともに
抜群の迫力でしたよ。その後、MCのやりとりで観客にまでファルセット強いてんのには笑いましたけど。
出るわけないだろそんな奇声!って感じで。

裏声の他にも、"Girlfriend"の中間ソロ部でベースのリッチーと並んでピョンピョン跳ねまくりつつ
踊り狂ったり、"Friday Night"で客席から投げられたピンポン球攻撃(お約束らしいのだけれどバンド
側はあまり歓迎していないとのこと)をものともせず笑顔でそれを蹴り飛ばしたり、ラスト間際じゃ
お世辞にも美しいとは言えないその小太った上半身を全開にしつつ、クルーに肩車させての客席エリア
横断ギターソロを敢行しちゃったりと(触ったー)、前評判通り、とにかくサービス精神に溢れた人だ
なあと感心させられました。それもありきたりな感じのやつじゃなくて、見栄とか格好とかにあまり
こだわらないような体当たり的サービス、どちらかといえば若干ダサめ?でもダイレクトな分、客への
伝わりやすさとか一体感は、通常の2割増しだったんじゃないかなと。

サウンド面に関しては、もっとクイーンっぽいゴージャス感に溢れているかと思っていたけれど、実際
にはAC/DCっぽい骨っぽさの方が上な音作りだと感じましたね。軟派っぽく見えるけど実は硬派なんだよ、
みたいな。で、巷でよく言われているクイーンらしさは、メロというよりギターソロの方に表れている
ような気が。"English Country Garden"のソロとか、ところどころ小刻みにきれるようなギターライン
がなんとなくブライアン・メイっぽかったし。あと"Is It Just Me"のソロとかね、わりとありがちなよう
で今時こんだけ露骨なギターソロやってくれるバンドも案外少ないと思うので、そういうところも含めて
やっぱし好みの音だなあと感じましたね。

ちなみにこの日一番のハイライトは、本来なら一番目立たなそうなベースのリッチーが魅せてくれました。
いきなりフロントにツツツと上がってきたかと思ったら、そこで自らボーカルとって演りはじめたのが、
なんとAC/DCの"Highway To Hell"、しかも声がしっかりボン・スコット風ですからね、イントロ聞いた
瞬間、思わず頭に指でツノたてちゃいましたよ。泥酔した挙句、ゲロを喉につまらせて他界しちゃった彼
もきっと天国で喜んでいることでしょう。で、サプライズはこれで終わりかと思いきやそのまま続けて
"Thunderstruck"ですからね、大歓声とともに沸く「さんすらっ!」の大合唱。カヴァーで盛り上がる
のもどうよ?って意見もあるかも知れないけれど、〆で使ったわけでもないし、後半からラストへ向けての
加速剤としては十分すぎるくらいの効果があったんじゃないかと思います。

まあ、あえて今回のライブに難をあげるなら、ジャスがあまりにギターを変えすぎて(ほぼ1曲単位)
その度の場内暗転が(もしくはギターを変えたとみせかけての休憩?)流れをブツ切りにしていたので、
そこだけはちょっといただけなかったかも。でもまあそれを差し引いても十分にお釣りがくるくらい、
スタンディング・ライブの楽しさを味わせてくれた良質のパフォーマンス内容だったと思いますね。

近頃はボン・ジョビのジョンなどに
 「ダークネスが嫌い。大嫌いだ」、
 「パロディのスパイナル・タップみたいなもんだ。お遊びだよ」
 「奴らは真剣かもしれないが、俺には理解できない」
等、痛烈な批判をくらっていると聞き及びましたが、その軟派に見せかけた硬派スタイルな古典的サウンド
は間違いなくホンモノ級で十分世界に通じるものだと思うので、今後ともそんな新人いびりに負けず、頑張
ってほしいなあと思います。


<今日の一枚>

 One Way Ticket To Hell...And Back / The Darkness

あっという間に世界のひのき舞台へと駆け上がったデビュー作に続く2枚目。
クイーンというよりはAC/DCよりだったロック一本槍の前作に比べれば、多少ハードさは
ダウンしたかもしれないけど、その分、引き出しの多さは更にアップ。
ところどころの変化球と、短めだけどメリハリある山椒は小粒でもピリリ的なギターソロが、
ジャスのあの濃い歌声をよりゴージャスに引き立てている快作。セールス的には前作ほど
伸びなかったみたいだけれど、個人的にはこっちの方がはるかに好きかも。


<今日の駄目T>



#前面の無駄な派手さは。確かにダークネスっぽいと思います。
 でも裏面が無地はちと寂しいかなと。せめてツアー日程ぐらいのプリントはほしかったかな。



<セット・リスト>

01:Knockers
02:One Way Ticket
03:Is It Just Me?
04:Growing On Me
05:Givin' Up
06:Black Shuck
07:Love On The Rocks With No Ice
08:Love Is Only A Feeling
09:Seemed Like A Good Idea At The Time
10:Blind Man
11:Hazel Eyes
12:Get Your Hands Off My Woman
13:Friday Night
14:Girlfriend
15:Highway To Hell(AC/DC)
16:Thunderstruck 〜 I Believe In A Thing Called Love

17:English Country Garden
18:Bald


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