PAUL WELLER.


<2006年3月31日: ZEPP・TOKYO>

ピストルズ、クラッシュ等、ファーストパンクが、イギリス中を席巻していた頃から、
常に一歩先の音楽性を模索し続け、時代時代に合わせてあたかも万華鏡のごとく、その
スタイルを常に進化させていった孤高の職人、通称モッズファーザーことポール・ウェラー。

20成り立ての頃のジャム時代「街で輝いているのは25歳以下の奴だけだ!」と声高らか、
自信満々に歌いあげていたそんな彼ももはや40後半。お歳を召して少しは丸くなったのかなと
思いきや、デビュー当時から定評のあったその歯に衣着せぬ毒舌っぷりは、今も変わらず健在
なようで、50近くにしてますます達者といった模様。

ウェラー「ブラントとデュエットするならクソを食う」> 〜2006年2月1日〜
 ポール・ウェラーは、ブリット・アワーズの主催者からジェームス・ブラントとの共演話
 を持ちかけられ、激しい嫌悪感を示したそうだ。ウェラーは、来月のブリット・アワーズ
 で功労賞(Outstanding Contribution To Music award)を受賞、スペシャル・パフォーマンス
 を行なうことになっている。
 『The Mirror』紙によると、この話にウェラーは「ジェームス・ブラントとデュエットする
 くらいなら、自分の糞を食うほうがましだ!」と腹を立てたという。ウェラーのレコード・
 レーベルV2のスポークスマンもこう付け加えている。「ジェームスは、いま最もクールな
 シンガーとは言えませんからね……。ポールが一緒に歌うなんてあり得ませんよ」


何せ48の立派な男が、鼻息も荒く「自分のクソを食う!」ですからね。
相変わらず面白いオッサンだなあと思いました。更にはこれのみにとどまらず、

誰がウェラーにアワーズを手渡すかでひと悶着 (BARKS)>
 来週、ブリット・アワーズで功労賞を受賞するポール・ウェラーだが、一体誰が彼に
 アワーズを手渡すかでひと悶着あったようだ。オアシスのノエル・ギャラガーがその
 役目を辞退した後、数々の候補者が挙がったが、ウェラーはなかなか首を縦に振らな
 かったという。
 もともとウェラーへのプレゼンターは、ノエルが務めることになっていたらしい。
 しかし、オアシスが最優秀ロック・アクトと最優秀ライヴ・アクトの2部門でしか
 ノミネートされなかったことに気分を害した彼は、授賞式への出席そのものを断った
 といわれている。『Daily Mirror』紙によると、アワーズの主催者はその後、ブロンディ
 のデボラ・ハリー、アカデミー受賞俳優でありシンガーでもあるジェイミー・フォックス、
 女優のタンディ・ニュートン、パメラ・アンダーソンらの名を挙げたが、ウェラーは全て
 拒否したという。
 関係者は、ウェラーの態度は「女性シンガー全てを合わせた以上のディーバぶり」と
 話している。「ノエルが断った後、主催者はあらゆるセレブの名前を挙げたのに、
 ポールは満足しなかった」

<ウェラー「金払ってないだろ、リクエストには応えない」 (BARKS)>
 ポール・ウェラーが、ラジオのスペシャル・ギグでファンに向かい「リクエストには
 応えない。金払ってないだろ」と厳しい発言をした。ウェラーは月曜日(2月13日)、
 Virgin Radioのため、抽選に当たった100人のファンを前にショート・パフォーマンス
 を行なった。
 『Daily Mirror』紙によると、ウェラーはファンが曲をリクエストし始めると、こう
 答えたという。「まだ、なにプレイするか決めてねえよ。これは、くだらねえリクエスト
 ショウじゃないんだよ。どうせ、なに言ってんのかもわかんないしな。だいたいお前ら、
 チケットの金払ってないだろ」
 さらにウェラーは、歓声を上げ盛り上がるオーディエンスにこう言い放ったという。
 「“ワーワー”叫ぶ奴は、もう十分だ。メローな曲をやろうとしてんだよ。お前ら、
 俺のやる気を失わせてるのがわかんないのか」
 しかしこの毒舌、本心ではなく、ウェラー流のご歓待だったようだ。彼はその後、
 リクエストに応え、ジャムの「That's Entertainment」をプレイしたり、ファンを
 ステージに上げたりしたそうだ。


ともう、やりたい放題ですからね。
演ってる音楽はあんなにもクールでコジャレ感アリアリなのに、どうしてこの人自身は
いつまで経ってもやんちゃな気難し屋さんなのでしょうか。まあ、そこがこの人の魅力の
一つっちゃそうなんだろうけど。

ちなみに僕はスタイル・カウンシル時代の"My Ever Changing Moods"って曲で初めて
ウェラーを知ったんですが、これがもうすごくムーディかつスタイリッシュな曲で、聴いて
一発で気に入って、じゃあ前バンドのジャムはどうなんだってことで聴いてみたらこっちは
もろパンキッシュで、その音楽性のあまりな違いにびっくりした記憶があります。
(後期のジャムだと、そこそこスタカンに通じる何かが出てくるんですが…)

まあ、そんな節操の無さと忌憚のない物言い、そしてこの人独特のポップ感覚が紡ぎだす
多様性あるR&Bが、ソロとなった今もなお大好きだったりするんですが、それにしても
普段はHR・HM一本、もしくはパンクよりのロックしか聞かない僕がスカタン…じゃないや、
スタカン好き、かつウェラー信望者ってのも確かに妙な話だなと。でも、まあ、あの銀杏
の峯田(4万人の前でチンポ晒して警察に怒られた大馬鹿野郎です)も大好きらしいので、
僕みたいのが見にいってもたぶんアリだろと、それをエクスキューズにお台場はゼップまで
おそるおそる行ってみました。

でもって、今ライブは普段と違って完全アウェイな客層の筈だから、目立っちゃいかん、
インギ様とか大好きなこととか絶対バレちゃいかんと、無駄にコソコソした態度をとって
いたところで、着ていた長袖Tの腕部分にもろ「YNGWIE MALMSTEEN」とプリントされている
ことが非常に残念ながら判明してしまい、僕は危うく心の弁を飛ばしかけました。
し、しまった、たまたま着ていた長袖Tがまさかインギ・デザインのものであろうとは…!
し失念していたー!というわけで、それをカモフラージュすべく、会場が暗転するまでの間、
僕はせっかくの長袖Tをわざわざ腕まくりして半袖にする必要に迫られることになりました、
まだ3月は寒いってのに、なにやってんの、僕ってば。

で、実際のライブの方はというと、ウェラー兄貴はいちおコジャレPOP系アーティストの
類に属している筈なので、客層もこう、わっと盛り上がるよりじっくり聞き入るタイプの方
が多いのかと思っていたら、この認識がもう全然大間違い、普段足を運んでるメタル系の
ライブ以上にみんな声あげまくり&腕振り上げまくりだったので、なんかちょっと嬉しくな
りました。(唯一の違いがあるとすれば、振り上げた腕の先が握り拳かメロイックかぐらい)
特に開始早々放ったジャム・ナンバーの"Running on the Spot"じゃ、まだ序盤だと言うのに、
周囲ほぼ全ての観客が兄貴と一緒に「パ・パ・パパパ・パァ〜♪」と大合唱する程の熱烈っぷり。
日本におけるウェラー人気はまだまだ高いんだなあってことを実に分かりやすく伺い知ること
ができる一幕でしたね。

そんでもって客のみならず、ウェラー自身がこれまた非常に熱かった…! 
いや、曲調とそのスタイルから考えるに、オアシスのリアム風に基本棒立ち状態で切々と
歌うクール君かとばっかし思っていたら、実はその真逆で、よもや猛然と汗飛ばしつつ、
めちゃくちゃエモーショナルに歌うタイプだったとは…!これには、かなり驚かされました。
でもって観客もそのテンションに引っ張られてアガるアガる、それ見て兄貴の方も更にギア
をあげる、そのループがステージ内外でともにシナジるシナジる、それが燃料となって更に
回転数アップ! と、あたかも永久機関を具現化するごときガス欠知らずのヒートっぷりは
見ていてなかなかに壮観でした。

あと、ギタリストの人が滅茶バカテクでマジ度肝抜かれたり。メタルとはまた違ったテク
を使った速弾きとでもいうか。あれ、なんて言うんだっけ、アコーディオン奏法?
"Wishing on a Star"じゃ、俺も負けるかとばかりウェラーもともに混じって弾きまくり、
なかなかに迫力のあるセッションを披露してくれていました。その辺りのお遊び的要素が、
思わず本気汁でるレベルで凄いかったことも含めて、並みのPOP系アーティストのライブ
とは明らかに一線を画していたかなと。

ちなみに僕的、今ライブのツボは、まず"Savages"〜"Fly Little Birds"へと繋げた流れ。
双方ともにかなりメロウな曲なんだけど、スタカン時代のハートウォーミング的ムードが
曲調全体に漂っていて、聴いてるとすごく心が和む曲なんですよね。最新作の「AS IS NOW」
からってところもポイント高し。ソロ転向後、若干失速気味とも聞いていたけれど、今もなお、
これだけクオリティ高いものを仕上げられるんだから、全然大丈夫じゃないかなと。
あとはスペシャル・リクエストとしてアコスパートで演奏してくれたジャム後期の名曲、
"That,s Entertainment"かな。ヒートし疲れからか多少ノリ下がっていた会場の空気が、
これで一変していましたからね。それからラストの"Town Called Malice"、「大熱狂」の
一言だったこの曲をはずすわけにはいかないでしょう。
ジャム時代を3曲もやったわりにスタカン時代が1曲もなかったことは不満っちゃ不満だった
けれど、まあ、それを上回るくらい、パワフルかつエネルギッシュなステージングを終始みせ
続けてくれたこともあり、全体的な総評としては、むしろお釣りがくるくらい良かったかなと。

ところで、普通に腕を振り上げている皆さんが大方を占めていた中、ただ1人、延々と
メロイックサインを掲げていた僕の前方の君。それ、たぶん、違う。


<今日の一枚>

 カフェ・ブリュ / ザ・スタイル・カウンシル

ジャム解散後、ミック・タルボットと組んで結成したザ・スタイル・カウンシルのデビュー作。
ウェラー本来の持ち味であるR&Bをベースに、ソウル、フュージョン、ジャズやファンクなど、
彼が当時傾倒していたと思われるありとあらゆる音楽エッセンスをぶちこんだ、「本当に好きな
ことを好きなように作りました」といった感の強い、ある意味、闇鍋的なアルバム。
にもかかわらず、こんなにもウェラー色の濃い、都会感溢れるスタイリッシュなサウンドが出来
上がってしまったというんだから驚き。ジャンルの垣根やおかしな先入観にとらわれず、肩の力
を抜いて、お気軽に聴いてみてほしい一枚です。


<今日の駄目T>



#デザインがいい悪い以前に、何故これがウェラーのTシャツなのかが理解できない代物。
 意味不明にも程があると思いました。




<セット・リスト>

01:Paper Smile
02:Running on the Spot
03:Out of the Sinking
04:Science
05:All on a Misty Morning
06:Hung Up
07:From The Floorboards Up
08:Savages 〜 Fly Little Birds
09:Wild Blue Yonder
10:Up in Suzes' Room
11:Porcelain Gods
12:The Start of Forever
13:Roll Along Summer
14:Wishing on a Star
15:That,s Entertainment
16:Here,s A Good News
17:The Pebble and Boy
18:You Do Something to Me
19:Come on / Let's Go
20:Amongst Butterflies
21:Foot Of The Mountain
22:Changingman

23:Broken Stones
24:I Wanna Make It Alright
25:Sunflower
26:Town called Malice


[ MenuNext ]