YNGWIE MALMSTEEN.
<2005年12月14日: 新宿厚生年金会館>
旧態然としたネオクラをこよなく愛する我等がオールドタイプの唯一の光、光速のプタ野郎こと、
イングウェイ・マルムスティーン閣下様のライブを観に新宿は厚生年金会館まで行ってきました。
で、三年ぶりのインギ様だったわけなんですが、前回と比べると遥かにやせてましたね。
うん、相変わらずデカいんだけど、体自体は締まってた。養豚場から逃げ出して野生へ回帰した
野ブタ程度にはなってましたね。(まあ、それでも本国では相変わらずブタ扱いなんですが↓)
体調及びご機嫌の方もかなり麗しかったご様子で、とにかくピック放りまくるわ(1曲で3個は
投げてた、で、見当違いの方向に飛んだ奴がドゥギーのツラにビシバシ)、その丸太のようなおみ足
振り上げてトーキック風アクションやりまくるわ、更には愛器のギター投げるわ、回すわ、滑らすわ、
こすりつけるわ、叩きつけるわ、弦を引きちぎるわ、風車のごとくブンブン振り回した挙句、勢い余
ってドゥギーのケツ辺りにゴーン!って。 やー、最高でした。
更にはアームでグィングィンやってる時の嬉しそうな顔からチョーク引っ張った時の恍惚ツラまで、
観客に対するサービスも含めて弾いてるときの百面相が実に多彩で、眺めていて本当に飽きません
でした。たとえ退屈なソロやられたとしてもそのツラと動き見てりゃ楽しめるってなこんな芸当は、
おそらく閣下以外では不可能じゃないかと。無駄なアクション一切とらずストイックに演奏だけやる
のがプロだと思っているケツの青い小僧どものオルタナ風味なミルク臭が再び濃くなりつつある昨今、
手癖が少々目立ちすぎるという点はともかく、その技術・表情・動き、全てにおいて「魅せる」と
いう要素をここまで強く出してくれるインギ様は、やっぱし唯一無二な存在なんだなあと再実感。
まあ、その「魅せる」の中には多分に笑いの要素も含まれていたりするんだけど、それはそれで
彼の愛すべき一面になってるみたいだし、なんだかんだ言っても6台以上のマーシャルをドデンと
壁のごとく積み上げて、その前で爆音かき鳴らして(バンドなのにギター音しか聞こえない)悦に
入ってるその姿は、やっぱし途方もなくカッコ良かったかなと。
そんな御大を目立たせる為だけに閣下自らが構築した「オレ以外はみんな雑魚」システムも至極
正常に作動してるようで、まあ皆が皆、これでもかってくらいインギ様を持ち上げていましたね。
特にドゥギーね、身振り手振りに煽りも交えて閣下を観客に紹介すること約3回、そこまで頑張って
なお自分自身は誰からも紹介されないというその野晒しっぷり、手拍子を観客に煽ったまでは
良かったもののそのタイミングが下手すぎて逆に場内の温度を冷やしてしまうというその不器用っぷり、
マイクスタンドを江戸時代の火消しのごとく上に持ち上げて振り回すというカッコ悪い度200%の
田吾っぷりも含めて、ありとあらゆる意味で完璧に閣下の引き立て役をこなしているその姿を見た
時は、普段は冷血漢と名高いこの僕も流石に目頭を熱くするしかありませんでした。(オモシロすぎて)
あ、ちなみにドラムの人のソロは、閣下のソロよりも拍手が多かったので、たぶんこのツアーが
終わる頃には、たぶんクビになってると思います。
あえて不満点を挙げるとするなら、新作からの楽曲が"Crown Of Thorns"を除いて駄曲すぎ
たことかなあ。新譜もはっきり言って駄盤だったし、ここ最近のメンバーの安定度に反比例して
リリースするアルバムのことごとくがほぼゴミだというこの現実を鑑みるに、やっぱし閣下は
周辺にトラブルを抱えていた方がいいものを作るのかなと。
だって考えてもみてくださいよ、あの珠玉の名盤”SEVENTH SIGN”を生み出した時のドラマー、
マイクは、「おい正気かよ!お前はドラムなんだぜただのドラム!スターじゃないんだ!
お前は単に曲に合わせてビートを取っていればいいんだって思ったよ」呼ばわりだったし、
ボーカル取ってたマイク・ヴェセーラに至っては、「笑える話があるんだ。ヨーロッパツアー
でスイスかどこかに行った時、あいつの声が出なくなって、喋ることも出来なくなってね。
俺はあいつに「この部屋に残ってろ」と言って あいつ抜きで8回ショウをやったんだが、
俺が全部歌った。あいつはそのアイディアを気に入らないようだったけどね」扱いでした
からね。まあ、その横暴のツケがたたって彼にはヨメさんを寝取られるという酷くイッタい
しっぺ返しを食らうことになるわけですが。
つまり今の閣下に足りないのは「緊張感」だと思われ。ハッキリ言って今のインギっていい人
すぎるんだよね、見ていて心配になるくらい。というわけで次作こそは、沢村をボコることで
かつての悪魔じみた強さを取り戻した間柴のごとく、初心に立ち戻ってもらいたいと思う次第
であります。だってそれこそがマイウェイならぬイング・ウェイなのだからマルムスティーン!
(奇麗にまとまったかなと至極満足ツラしてるところへ、客席からノーウェイ!と罵声浴びせ
られつつ、腐った生卵ぶつけられながら)
<今日の一枚>
The Seventh Sign / Yngwie Malmsteen
猫も杓子もオルタナ&グランジだったHR・HM冬の時代に出したからこそ、価値があると思われる
ネオクラ史上屈指の名作。もはやインギ様にしか作れないだろうと思われる(意訳:恥ずかしすぎて
今じゃ誰もできない)郷愁ムードを誘う"Brothers"から、メロディ・ドライヴ・スピード感、どれを
取っても文句なしと思われるベタベタな名曲"Seventh Sign"へと繋がっていく流れは何度聞いても
エクセレントの一言。他にも"Never Die"・"Crush &
Burn"など佳曲揃い、ついでにVo担当は
あの素晴らしき間男野郎こと、マイク・この部屋に残ってろ!・ヴィーセラ。
インギ様の素晴らしさを語る上で絶対避けては通れない名作中の名作だと思います。
<今日の駄目T>
#これまで様々な酷いTシャツ見てきたけれど、ここまでデカデカと恥ずかしげもなく
自分の姿をプリントさせてんのは、流石にアンタだけでした。そんなインギが心の底から
大好きだ!