GAMMA RAY.


<2005年12月2日: 渋谷O−EAST>

ジャーマンメタルという概念を作った源流の一つであるとともに、メロスピの始祖としても
その名をはせるあのハロウィンの生みの親、カイ・ハンセン。
彼が去った後のハロウィンがかつての大作主義を捨て商業的メロディ路線へはしったのに対し、
一方のカイは、もともと卓越していたメロディメイカーとしての音楽的センスをハロウィン時代
より更にダイナミックな方向へと傾けて、ガンマ・レイを作り上げました。
相変わらずの疾走感、どことなくプログレ臭を感じさせる長尺構成、よりドラマチックな曲展開、
極端に長いながらも飽きというものをほとんど感じさせないギターソロ、ハロウィン時代より更に
進化したメロスピの一歩先を行くその音楽性は、全盛期を過ぎた今でもなお、ヨーロッパやブラジル
などにおいて高い評価を得ていると聞き及びます。
もちろんその人気は、メロスピ大国たるここ日本でも…!というわけで、久々の来日を果たした
カイ・ハンセン率いるガンマ・レイのライブを見に、渋谷はO−EASTまで行ってまいりました。

いや、それにしても4年ぶりだかの来日だけあって、会場は超満員な上に開始前からものすごい
熱気でした。何せ開幕前から下のフロアのほぼ全員がコール、しかもそのコールがバンド名じゃ
なくてカイのトレードマークでもある雄叫びを表す「アーライ!」。
これぞキッスのアライブならぬガンマレイのアーライブ。そんな観客達が引き絞る熱狂という名の
弓がもはや折れんばかりに反り曲がったかと思われたその瞬間、遂にメンバー達が姿を現し、周囲の
メロスパーどもが一斉に前方へと殺到。はっと気づけば僕は軽々と横脇の方へ弾き出されていました。

(ROCKCITYより)

もはや熱狂を超えて狂騒に近いレベルで盛り上がってるメロスパーの方々のその勢いは、2曲目の
"Heaven Can Wait"で更に加速。この時点で彼等の熱気はその周囲にも完全伝播、恥ずかしながら
この僕自身もメロスパーへ、いや、それをも超えた最終進化系キモスパーへとメモタルフォーゼを
遂げてその小太った肉体をバインバイン揺らしながらその場で腕振り上げてピョンハネすることに。
そんな500人近くのキモスパー達が「ヘヴィメタルで団結だ!」と一斉に大合唱する"Heavy Metal
Universe
"。そのジューダスっぽいグルーヴ感に、終始ニコニコ顔しながら凄まじいソロを披露して
くれるヘンヨのパフォーマンス、その身長に似合わないムキムキの長い腕を誇る通称テナガ(勝手に
命名)ことカイハンセンのアーライ・シャウトも加わって、その盛り上がりはほぼ絶頂へ。

(終始、笑顔のヘンヨ)

中盤で多少クールダウンしたものの、本編ラス前の"The Silence"が奏でる、往年のクイーンを
思わせるがごときドラマチック極まる展開により、その熱気は興奮から感動の方向へと進路を変えて
再び上昇。その高ぶりを維持させたまま疾走パートの"Land of The Free"へと繋げたその流れは
もう完璧の一言。ただでさえこの時点で終わっても全然満足なくらい素晴らしい内容だったのに加え、
元アングラのアンドレまで登場してきて初期ハロウィンの名曲"I Want Out"を披露というサプライズ
がアンコールで待ち受けていたりした日にゃこりゃ本当に堪らんって話で、周囲のヒート度合いも、
熱狂というよりもはや発狂に近いレベルでエクスプロージョンしてました。

それにしてもこの日の観客のノリは本当に良かった…!もちろんバンドの出来自体が良かったのも
あるけど、その力をより高みへと引き上げた要素の中には、確実に僕らキモスパー達の力もあったん
じゃないかなと。何せほぼ全曲でサビをフルコーラスな上にラス前の"Somwewhere Out In Space"
においては、バック伴奏をほぼ全編通してアカペラ合唱だもの。高揚感溢れるサビメロに強烈な疾走感
といういわば静と動の要素を併せもったこの名曲の上に、観客達の熱気が完全シンクロしきったその
場面は、間違いなく今日のライブで一番の見どころだったと思います。

で、流石にこれで終わりかと思いきや、この日のガンマレイは本当に神がかってました。本来のラスト曲
だったと思われる"Send Me A Sign"途中で柔道着を着て乱入してきた前座のストームウォリアーの
皆さんとともに、急遽、初期ハロウィン時代の代表曲、"Ride The Sky"をプレイしてくれるとは!
エキサイトしすぎてドラムセットの上から飛び下りたはずみに、このライブ中、ハゲ隠しとして多大なる
貢献を果してきてくれたニット帽をうっかり飛ばしてしまい、恥ずかしさのあまり数十秒程ステージ上に
大の字で寝ているしかなかったというカイのお茶目っぷりも含めて、最後の最後まで滅茶苦茶に盛り上が
れたライブだったと思います。今年見た中じゃベスト3入りは固いかも。


<今日の一枚>

 Heading For Tomorrow / Gamma Ray

ハロウィン時代に培った必殺の疾走ビートに、ジューダス風の鋼鉄グルーヴ、
ディオを思わせるがごときロマン溢れる展開、更にはクイーンのオペラ風エッセンスまで
とにかく色々詰まってる宝石箱のような一枚。
その内容の方も、荘厳なインストから一気にトップギアまでもっていく"Lust For Life"の強烈
なインパクト、ポップ・メタルのお手本のような曲"Heaven Can Wait"、そこらのHM系バンド
がよくやりがちなハードバラードとは完全に一線を画す屈指の名曲"The Silence"、とどこを
きってもおいしさ満点、まあ、その分かりやすさがベタさやダサさに繋がっちゃってる部分は多少
なりともあるかもしれないけど、それ言っちゃったらHR・HMというジャンル自体がどーなのよ?
という話に発展しちゃうのでここではあっさり流します。
メロスピ厨のみならずHM初心者からベテランまで、胸をはって勧められる良作だと思います。


<今日の無駄T>
 ・売ってねーでやんの。




<セット・リスト>

01:Garden of The Sinner
02:Heaven Can Wait
03:My Temple
04:Fight
05:Blood Religion
06:Heavy Metal Universe
07:One With The World
08:〜 Drum Solo 〜
09:Beyond The Black Hole
10:New World Order
11:The Silence
12:Rebellion In Dreamland 〜 Land of The Free

13:Space Eater
14:I Want Out
15:Valley of The King
16:Somwewhere Out In Space

17:Send Me A Sign
18:Ride The Sky


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