BUCKCHERRY.


<2005年11月14日: 渋谷クワトロ>

体の芯にダイレクトで響くような爽快感溢れるリフと初期エアロが身にまとっていたような
独特の悪ガキマインドを武器に、20世紀の最後、華々しくデビューを飾り、全米で50万枚
以上を売り上げる成功を果たすも、その後に出したセカンドのセールス不振からいつの間にか
自然分解してしまったバンド、バックチェリー。

それからほぼ3年後の今年の夏、再結成を果たした彼らの復帰後初ライブをサマソニで
見たのですが、これがもうめーちゃくちゃ良かったもんで、今回の単独来日のニュース
聞いた瞬間、思わず速攻で飛びついちゃいました。しかも場所クワトロだし、こういう
小規模なハコでチェリーみたいな単純明快ロックってこの組み合わせ時点で、もう盛り
上がりは確約されたようなもんだって思ったし。

唯一の誤算は、盛り上がりにかけては保証付きでも、システム及び設備にかけては心底クソな
このクワトロの最低っぷりを失念してたことでした。
だってここペットボトル持ち込み不可なんだもの、じゃあ中で買おうとしたら置いてないと
きたもんだ、狂熱のスタンディング90分を水無しで乗り切れと?ひからびるわボケが。
加えてロッカー数も極端に少なめ、ちょっと遅れて入場でもしようもんなら荷物とコート抱えて
立ちすくむことになることほぼ必至。
だからクワトロ行くときはペットボトルをズボンの中に隠しもった上での完全手ブラ状態で
のぞまなければいけなかった筈なのに…! なのにそれ忘れてたもんだから案の定荷物抱えて
呆然と立ちすくむ羽目になりました、思わずカーッときたので携帯及びサイフなどの貴重品類
全てポケットに詰め込んだ上で残りの荷物は全て壁際に放置してやることに。終わりまで残って
いればおなぐさみ。それにしても持っていたのが雑誌と小説くらいで本当に良かった、
ノートPCとか携えていたらそれ小脇に抱えつつヘドバンする羽目になるとこでした。

それにしてもいくら久々の復活劇とはいえ、三ヶ月前にもサマソニで来日してることを考えれば、
ちょっと異常なくらい客の入りが凄かったです。下のフロアなんてもうギュウギュウ詰めだったし。
チェリーってこんなに人気あったっけ?それともサマソニ出演でファン層が更に拡大したのかな?
じゃ実際のライブの方はっていうとこちらもやっぱ半端なかったです。何せ1曲目の"So Far"から
ほぼ全員ピョン跳ね、ジョシュが上半身脱いでその刺青をあらわにしてからは、それにモッシュも
加わってその加熱っぷりは更に上昇。それも無理やり盛り上がろう的な欲求不満からくるそれじゃ
なくて体の奥底から沸きあがってくる衝動に耐えられなくなってのモッシュゆえ、みんな互いに
ブツかりあっても顔は至極笑顔、他人を無理やり弾き飛ばす敵意アリアリな感じのそれなんかじゃ
なくて心底楽しみあってるというか…こういった感じの雰囲気と同じようなライブって今年行った
中だとVRかグリ−ンデイ、もしくはスラドミぐらいじゃないかなと。
そのモッシュの輪の真っ只中に女の子達がぞろぞろいたのもちょっと驚きで、体力的に弱者な
ガールズ達が自らの危険を顧みずそこまでやるってなこのヒートっぷりは間違いなく本物だと
強く実感いたしました。(最後辺りにゃその女子連、感極まった挙句のダイブまでしてたよ)

おしむらくは"Check your head"みたいなハードバラードでいきなりダイブしはじめた、究極的に
空気の読めない外人集団さえいなければ… "Ridin"みたいなノリノリの曲ン時にダイブするなら
まだしも(このときサーフしてステージまで流れてった奴は、ジョシュに手をパチン!ってしてもら
ってました、映画のワンシーンみたいで凄く映えてた)その外人、いや、むしろその人外に関しちゃ
曲調ぜんぜんお構いなしでいつでもどこでもダイブだもの。ジョシュもメンバーもダイブもいいけど
曲も聴いてくれよーみたいな仏頂面しつつその様を呆れて眺めてる有様、こっちはこっちで顔面に靴
当たるわ、肩に膝当たるわで痛いのなんのって。ドサクサまぎれに靴ぬがして放り投げてやったんで
若干溜飲は下がったけどね。

それにしてもアレですかね、真性メタルより、ストレート、もしくはパンクよりのロックの方が親しみ
やすくて盛り上がりやすいってなやっぱ否めないのかなあ。でも、その部分を差し引いたとしても
コイツ等の曲は本当にノリやすかった、特に"Slamin"と"Lit up"。チェリー最大の武器、シンプル
コードの中に秘められた一撃必殺のリフがあますことなく炸裂するこの流れ、AC/DCが生み出した
3コードの奇跡を思い起こさせるような曲調、青春ノリのメロコアやポップパンク野郎とは一線を
画す生粋の悪ガキ・フィール、それに狭いハコならではの熱気が加わってその盛り上がりっぷりは
更に絶頂へ。クスリを経験したこともない僕等みたいな層が、ラリってるの意を持つ"Lit up"のサビ
にあわせて一斉に「コ・カ・イン!」て叫んでる様は正直滑稽でもあったけれど、それ以上に壮観でも
ありました。

というわけで、クワトロ級のハコで演る限りは、どんな超一流どころにも負けない可能性を秘めてる
と感じましたね、バックチェリー。(その代わりアリーナクラスじゃ魅力半減かも知れないけど)。
ゆえに、今後もきっちりチェキっていきたいと思います。


<今日の一枚>

 BUCKCHERRY / Buckcherry

単純明快ゆえ爽快感あるリフが生み出す、最近じゃ珍しいくらいのイケイケ・ストレートロック。
全身刺青男ことジョシュアの不良マインド溢れるヴォーカルとジョーペリを連想させるかのような
キースのギターが雰囲気アリアリ。AC/DCとか初期エアロとか、最近のバンドじゃ一番雰囲気が近い
のはVRとか、うん、そういうのが好きな人には特にオススメ。「分かりやすさ」という器の中に
込められた抜群の説得力を是非とも体感してほしい一枚です。


<今日の無駄T>



#もっとカッコいいデザインのいくらでもあったのに、わざわざ一番酷いのを選んで
 買ってしまった。正直、今は後悔している。



<セット・リスト>

01:So far
02:Broken glass
03:Porno star
04:Fall
05:Out Of Line
06:Check your head
07:Lawless and lulu
08:Crazy Bitch
09:Next 2 you
10:Ridin
11:Dead again
12:For the movies
13:Slamin
14:Lit up

15:Everything
16:Crushed


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