田村 ゆかり.


<2005年11月13日: 東京国際フォーラム> 

田村ゆかり公式ファンクラブ「Mellow Pretty」会員番号35XX番、という「英国国教騎士団
ヘルシング局長サー・インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲート・ヘルシング卿」レベルにほぼ
匹敵する程の御立派な称号を保有しておられる、とある友人に、田村ゆかりのライブに行かないかと
僕のようなアニオタには到底抗いようもない、あまりに魅力的すぎるお誘いを受けてしまったので、
日曜日の昼下がり、僕はウキウキしながら、有楽町は国際フォーラム前へと向かったのでありました。

だって田村ゆかりですよ。ゆかりんですよ。GAの蘭花ですよ、スクライドのかなみですよ、
ぴたテンの美紗ですよ、更にゃ忘却のココですよ、フルメタルパニックじゃ残念ながらチョイ役キャラ…
ならまだしもその脇役が搭乗するロボットのAI声を当てさせられる(ミサイル、ハッシャー)という
いわれのない屈辱を受けたりもしてましたけど、その下積み時代の苦労の甲斐あってか、今じゃ魔法少女
リリカルなのはAsの主人公ですよ。これがあまりにも面白いんで、思わず前作全巻ツタヤで一気借りして
きて土曜の夜中に一気見しちゃいましたよ。で、フェイトがムチでビシバシしばかれてるシーン見て即発狂、
すかさず100回リピートですよ、ロリ!ペド!虐待!イーシャシャシャー!

…ってあれ? 何の話してたっけ?

あ、そうだ、ゆかりんの話だった萌え〜! ゾウアザラシのいななきはボエ〜!
本音を言うならエメラルドドラゴンにハマったこの身としては苗字の方を文字っていっそタムリンに
してほしかった、したらもっと萌えたのにー、とまあ、15年前のコンプティーク読者でもなければ
到底意味の分からないようなたわごとを口走りつつ、有楽町国際ホール前にいそいそ赴いてみたら、
そこでいきなりびっくりですよ。

そこそこオシャレスポットであった筈の国際フォーラム前が…
コジャレカップル達が絵の展覧会を見にやってきちゃうような、あの国際フォーラム前が…
誰もが通行を許されてる筈の、この天下の往来が…



何故かピンク一色の軍団により埋め尽くされていました。

うわー、今、この場でリアル塊魂したすぎるー
(完成した巨大なるピンク色の肉塊に、傘の先端を突き立てつつ)

えーと、田村ゆかり公式ファンクラブ「Mellow Pretty」会員番号35XX番さんの情報によりますと、
彼等はゆかり王国の住民で、ピンクはこの国のイメージカラーだそうで、今日はそこのお姫様であらせ
られるところのゆかり姫に謁見するため、はるばる遠方からやってきた、という設定だそうで、ふーん、
そっかー、誰がそんな脳内設定をしたり顔で誇らしげに語れと。僕はこれ聞いた途端、彼の話しを中断
させることなく最後まで聞いてあげた自分自身の寛大さにちょっと感動してしまいました。

その後、田村ゆかり公式ファンクラブ「Mellow Pretty」会員番号35XX番さんに「へらず口、禁止!」
(先週アリア社長がマー君にフェラされてました、びっくりだ)のお説教たれつつ、後学の為、喫茶店の
中から、ゆかり王国住民様達の一挙手一投足を見学させて頂いていたら、いきなり彼等が円陣を組んで
一斉に腕をグルグル回し始めたので、僕は一体全体なにごとが始まったのかと思いました。

田村ゆかり公式ファンクラブ「Mellow Pretty」会員番号35XX番さんの公式見解によりますと、あれは
「ライブ前の準備運動」とのこと。が、何故にそれがH×Hにおけるフィンクスのリッパーサイクロンもどき
でなければならないのか死ぬほど理解に苦しみました。回せば回すほどゆかりパワーが増幅とかそういうこと
なのでしょうか。ふーん、やっぱ「伊達にピンクを着ているわけじゃない!」んだなあー

そうこうしている間にも、その準備運動はますます激しさを増していくばかり。
遂には、その場で飛び跳ねつつ「立てよ国民!」とばかり天に拳を突き上げるつわものまで現れだす始末。



くどいようですが、ここは路上です。

しかも御丁寧にインナーは「赤」でした。
こ、これがホンモノのエリートだ、選ばれし者だ、真正イザーク君だ!
さあ、今こそあの名セリフを叫ぶ時! 「痛い… 痛い…! いたいーッ!」(存在が)

その目を覆わんばかりの光景にちょっと感動しすぎて腹筋がシクシク痛くなるという異常事態
が僕の身に発生してしまったので、その後 おもむろに腕立て伏せをしはじめた彼を尻目に、
僕らはおずおずと会場の方へ向かうことにいたしました。



したら、そこにはコレモンの行列が。
誰だよ、積尸気冥界波うって黄泉比良坂への入り口あけた奴は。

しかも国際フォーラム名物:光る床が、そこに並んでいるゆかり王国の住民様達と僕等を
真下から容赦なくライトアップですよ。どこまで辱めれば気がすむんだって話しですよ。
スカイハイ的に言うなら冥界への道筋とかそーいうの?なのでとりあえず叫んでおきました。

「さあ、お逝きなさい!」

それにしても何故にこのような列が? だってスタンディングじゃなくて全席指定なんだから
早く並んでも意味ないの、みんな分かってる筈でしょ? 
あ、そうか、グッズか。え?昼の1時から発売してる? しかもそれ目当ての徹夜組まで出てる?

凄まじいまでのこの熱意。
さすがゆかり王国の住民達! 前公演じゃ熱狂のあまり神奈川県民ホールの壁をも破壊するゥ!
そこにシビれる!あこがれるゥ! 

まさか声優アイドルのライブに、デストロイ一直線なパンクの精神を見ることになろうとは夢にも
思いませんでした。だけど幾らパンクとは言え、両手にブッチャンくっつけて「恋せよ〜女の子〜」
ってやりながら周辺走り回ってる小デブは、すかさず撃ち殺すべきだと思いました。

で、中に入ったら入ったで、またびっくりですよ。



ゆかりんハチマキに、ピンクのサイリウムをさっそうと二本差し。
どこの大木に打ちつけに行くんだろうと思いました、わら人形とか。

その後も、物販コーナーにてテーブルに万札たたきつけて「全部1種類ずつください!」って
勢い良く叫んでる豪傑とか、ライブの最中に使うサイリウムの色についてもはや喧嘩するばりの
勢いで熱い議論交わしてる漢達とか、2〜3人で円陣組みつつ通路にたちどまって一心不乱に何かの
冊子見てるそこはかとなく微生物っぽい人々とか、もうそこらにいるわいるわ、名誉国民級の住民達が。

田村ゆかり公式ファンクラブ「Mellow Pretty」会員番号35XX番さんの公式見解によりますと、
そこら中で皆が見ている冊子はコード表と言うそうで、ああ、それなら知ってるよ、あれでしょ、
CとかEとかのメジャーコードをどうおさえればいいのかって表のこと… 
って、え?違う?コード表じゃなくてコール表? 中に書いてあるのは曲ごとの応援パターン?
Aが「ぱんぱんぱんぱん」で、Bが「ぱん・ぱん・ぱん・ぱぱん」?このパートではジャンプしつつ
声だして、ここでは語尾を延ばして「ゆかり〜ん」コール? へー(サイリウム2本を鼻孔にグリグリ
ねじこみつつ)

まだ始まってもいないのに、「今日は本当に来て良かった!」とこんなにも思わせてくれたライブは
さすがの僕もはじめてです。

で、ようやくホールに入ってみて、そこでまたまたまたびっくりですよ。
世界的に有名な洋楽系ミュージシャンや、メジャーなオーケストラ楽団でさえ、そうそうソールドアウト
に出来ない筈の、キャパ5000人超を誇るこの国際フォーラム会場が、ピンク色の皆様方で、ほぼフルに
埋め尽くされている…!

えーと、僕が過去、この会場で見たミュージシャンの名前を、ちょっと羅列してみましょう。

 ・イエス
 ・ディープ・パープル 
 ・ジャーニー 
 ・ヨーロッパ  
 ・G3 (ジョン・ペトルーシ、スティーブ・ヴァイ、ジョー・サトリアーニ)
 ・ジェフ・ベック 

全員、ゆかりん以下、決定

ぼ、僕の中でここ20年に渡り、築き上げられてきた音楽という名の基本概念が…
アイデンティティが、心の拠り所が、今、コナゴナのバラバラに崩壊していく…!

で、いざ始まったら始まったで、またまたまたびっくり。
飛び交う奇声、一糸乱れぬコール、踏み鳴らされる足音、縦揺れする会場、そこにいるほぼ全員により
一斉に振られる何千本ものサイリウム、漆黒の中に揺れ躍るピンクの灯、その圧倒的という他ない程の
神秘的光景たるや…!

すごい、これは本当にすごい。
過去、様々なライブに行ったけど、会場全体がここまで一体化してるライブは正直 見たことがありません。
国際フォーラムくらいの大バコともなれば、前と後ろの客のテンション差が相当顕著になるってなお約束
な筈なんですが、このライブにおいては、そんな温度差はまったく皆無。1F最前列からスタンド中腹、
2F最後列に至るまで、ほぼ全員が満遍なく絶頂テンション。やー、ちょっと本気で感動しちゃいました。
今日、本当に来て良かったわー

全然関係ない話しを唐突にしますが、この日、秋葉・新宿・池袋のドンキホーテにおいて、
ピンク色のサイリウムが全て在庫切れになっていたと言います。うん、あまり深く考えちゃいけないな。

と、ここで僕はふとあることに気づきました。
冷静になってよくよくステージ上を監察してみれば、そこにいるのはゆかりんとそれをサポートするダンサー
のみで、肝心かなめのリズム隊がまるで存在しないというその事実に。ま、まさかカラオケ…!音はカラオケ! 
ライブと銘打ってはいるものの、その実体は「ゆかりんのカラオケを皆で応援しよう」大会!
(こ…これがジェフ・ベックと同格…!)

でも、これが結構、楽しいんだ実際。いやホントに。
周りのノリがすごくいいもんだから、カラオケだからなんだっての?っていうか、そんな小さなこと
どーでもいいんじゃねって思えてきちゃうくらい… いや、音楽の本質からすれば全然どーでもよくない
ことなんだけど、でもこの場の、この雰囲気の中に身を委ねていると、まあ、みんな幸せそうだから
細かいことはもういっかー、みたいな。

それに加えて、ステージ演出もなかなかに凝っていたし、テンコーもろパクのイリュージョンもそこそこ
映えてたし、30才以上の人手ェ挙げてー!な辱めはちょっとキツかったけど、オタ受け満点の業界トーク
が面白いのはもちろんのこと、端々に挟んだオタ的小ネタに、切れ味鋭いヒネまくりトークの数々も存分に
楽しめたし、その都度、真横の田村ゆかり公式ファンクラブ「Mellow Pretty」会員番号35XX番さんが
クツクツクツって全身震わせて笑っているのがすごく気になりはしたものの、正直 彼の視線さえなければ、
僕自身率先して「恋せよ女の子 」でGO♪GO♪ってやっちゃってるところだったかもしんないしで、
はっと気づけばこの僕自身がゆかり王国入りを決意していたという罠。そーれ、キューティ♪キューティ♪

よ、よーし、まずは毎週土曜深夜に文化放送でやってる「田村ゆかりのいたずら黒うさぎ」
かかさずエアチェックすることからはじめちゃうぞーーッス!(キモさ満点のヒキ)



<セット・リスト>

01:Baby's Breath
02:Honey Moon
03:Lovely Magic
04:さよならをおしえて
05:Sweetest Love
06:Butterfly kiss
07:Snow bird
08:追い風
09:恋歌姫
10:Amazing kiss
11:Sweet Darlin'
12:Traveling with a sheep
13:Spiritual Garden
14:大好きと涙
15:Picnic
16:candy smile
17:恋せよ女の子
18:Cutie Cutie

19:Little Wish
20:惑星のランデブー


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