ACCEPT.


<2005年7月30日: 渋谷AX>

スコーピオンズ・ハロウィンと並ぶジャーマンメタルの始祖にして、メロディアス面に関しては
前述2バンドに一歩譲るものの、Voを取るウド・ダークシュナイダー独特のメタル専用と言わん
ばかりなダミ声スクリームと、とにかく押して押して押しまくるゴリゴリのツインリードビートが
刻みだす規格外の猪突猛進な攻撃力により、80年代メタルブームを一世風靡し、漢メタルという
HR・HM独自ジャンルまで築きあげてしまったドイツの雄、アクセプト。

この度、期限付きの再結成を果すとのことで、これ見逃したら二度と同じ布陣でお目にかかることは
あるまい、ということを確信してしまった僕らは、ライブ当日、当然とばかり、渋谷はおなじみの
AXまで向かうのでありました。

で、まず待ち合わせ場所に赴いたら、そこにこんな格好してる連れを発見。
それ見た瞬間、僕はすかさずきびすを返しかけました。



僕を上回る気合の持っていきどころを、明らかに間違えてしまった模様。
で? それで、その格好で、歩くのか、お前は。この渋谷の雑踏の中を!
などと子一時間ほど問い詰めたい気分で胸が一杯になりましたが、一番凹んでいたのは
その格好をしていた当の本人で、正直やりすぎました感バリバリの羞恥ツラでその辺を
所在なさげにウロウロしていたので、そのことにはあえて触れず、そのまま渋谷の街中
をキビキビ歩かせることに。
群集の中でひたすら羞恥に耐える連れのツラを思う存分鑑賞しつつ、ふと前方を見れば、
前から歩いてくる集団の中に、どことなく見覚えのあるツラが。だ、誰だっけ。…あ!

 「久武DEATH!」

どうやらヘビメタさんの取材関連で、アクセプトの面々にインタビューしてたようで、
その冷蔵庫然とした体型がウドを彷彿とさせるところも相まって、こいつァライブ前から
縁起がいいぜ!くらい思ったので心の中でひそかに拝んでおきました、流石にサインは
貰わなかったけどね。
さて、そんなラッキーポイント入手もあり、存分にテンション高まったところで会場入り。
したらそこには、まあ、いるわいるわ、かつてヘビメタ一直線でした!みたいなおじさま達が。
(自分、含む)

で、ライブが始まった途端、そんな課長王子級の気合入りまくった親父どもが、汗という名の
加齢臭エッセンスを四方八方にまき散らしつつ、退行著しい頭髪振り乱しながら拳ふりあげて
一斉に狂喜乱舞しだすもんだから、もうフロアの阿鼻っぷりはおして知るべし。その妥協なき
80年代ストームに巻き込まれてしまった僕は、開始後僅か10分ではやくも酸素欠乏状態に
なりかけました。

それにしてもアクセプト、やっぱカッコいい! "London Leatherboys"で、今の若い奴らが
見たら正直どうかと思うであろうベタさ満点のフォメーション陣形をいきなりキめてくれたかと
思えば、この序盤にして早くも代表曲"Metal Heart"を惜しげもなく投入。その重厚極まる
イントロを聞いた途端、ただでさえ臨界状態になっていた会場の熱気は更に上昇。サビじゃ
会場のほぼ全員が「めったるはーと♪」の大合唱。それのみにとどまらずウルフのプレイの
中じゃ最も有名であろうあの「エリーゼの為に」ソロにおいても「おーお〜おおおおお〜♪」
と口メロであわせて大合唱。ギターソロで合唱?ってあまり聞いたことないよ。しかもそれを
積極的にやっているほとんどが、普段なら常識人としての節度をまったく崩しそうにない
三十路オーバーの親父達。そんな80s世代達がここまで一心不乱になって盛り上がるってな、
こらやっぱり凄いとしか形容しようがないというか。

もちろん久々の来日って事もあるだろうけど、ここまで皆を一体化させてしまうその理由
は何だろ?って考えたら、やっぱ兎にも角にも「流れにノセる上手さ」に尽きると思います。
つまりはアゲてアゲてのコンボへもっていく組み合わせのうまさ。
"Restless And WildSon Of A Bitch"の繋ぎなんてまさにそれの典型的パターン。
加えて、それを支える楽曲の引き出しの多さ。
ドラマチック極まる展開、メロディアス溢れるソロ、皆で合唱できるように作られていると
しか思えない強力無比なサビに、ロー・ミドル・ハイ強弱の使い分けと、楽曲が抜群に
豊かなところへもってきて、そこに斉藤一の牙突零式もどうかというアクセプト最大の武器
「突貫力」が加わった日にゃ、そりゃ確かに、そんな唯一無二な攻撃力に僕らが抗えるわけ
がないのです。

ちなみに僕が選ぶ「今日のベスト・ザ・鳥肌」トップ3は以下。
第3位、スローテンポの"Neon Nights"でウルフが見せたエモーショナル度満点の情感ソロ。
第2位、疾風メロ、怒涛のドライブ感、まさに漢の漢による漢の為のメタル曲とでも言うべき
アクセプトの真髄が炸裂しまくった"Breaker"のヒート度合。
もちろん1位はウドの金切りシャウトとともに放たれた稀代の超絶疾走曲"Fast As A Shark"。
まさに漢が吼え、侠が猛るといったムード一色に包まれた会場内で、ひたすら頭ふって声も
枯れよとばかり合唱しまくるその楽しさは、まさにライブの真骨頂といって差し支えないもの
だったと思います。

まあ、ウドの声がUDOの時ほど出ていなかったとか、既に職業ギタリストじゃないウルフの
一部高速ソロがあやしかったとか、突っ込みどころもないではなかったんですが、それを遥かに
上回るライブならではの楽しさと「鋼鉄の心」をフル満喫できた僕としては、まったく問題なし。
願わくばせめてもう一度みたい…いや、それが無理ならいっそのこと、ウルフをUDOに加入
させちゃってメイデンみたくトリプル編成にしての再来日、とかそういうの激しく希望。


<なぜなにメタルマン>

今日のお題は「ライブ会場における厨分析」。
ライブと言えばキチガイと相場が決まってるもんで、もちろん頭のおかしい方々が集結する
ってことくらいこちらも激しく想定ずみだし、自分がその中の一人になってる可能性もまったく
否定しないけど、人の想像できる範疇を超えた異星人レベルの気狂いってことになると全然
話は別モン。というわけで、ライブ会場における主な「厨房」達の行動とその傾向 及び 対策
を以下にちょっと示してみました。

・絶叫厨:サビのみならず全編歌う。悪いけどお前の歌を聴きにきたわけじゃないんだ。
     見かけたらアブドーラばりの地獄突きを叩き込んで、確実に喉を潰すが吉。
・発狂厨:モッシュ魔。どこをどっからどう見ても音を聴いてるとは思えない。
     どさくさにまぎれて三沢ばりの回転エルボーを後頭部にたたきこむが基本。
・飛行厨:ダイブ狂。頭の上へのスニーカ付きのカカト落としは筆舌に尽くしがたい痛さ。
     床の上に引きずり落として顔面にサッカーボールキックを叩きこむが定石。     
・登山厨:飛行厨と同属性。俺の体は山じゃない。勝手によじ登るのはやめろ。
・打上厨:強引に人を抱え上げて強制的にダイブさせようとする愉快犯。
     サンボのライブでしか見たことない。
・合唱厨:別名オイオイ君。
     曲とか場の雰囲気とかまったく考慮せずに、いつでもどこでもオイ!オイ!
     それしか知らんのかお前等はってくらい繰り返す。集団でやるのでなお気持ち悪い。
     亜種にハイハイ族あり。いっそ少林寺へいけ。
・首振族:大体はマナー正しき一族、が、たまに大きなスゥイングを強さと勘違いする馬鹿あり。
     180度以上の振り幅から繰り出される狂気のヘッドバットは凶器以外の何者でもない。
・解説厨:ライブ前にひたすら語る。かなりコアなこと知ってるので実は結構便利。
・祈祷厨:常時、腕をあげっぱなし。何で疲れないかな。拳の形はたまに変化します。
・突撃厨:ムカ度ナンバーワン。ライブが始まってから前の方へ行きたがるゴミ。
     当たりが弱い女子壁を中心に突っ込むのも特徴。

・市長 :上記の厨のウザさに切れた外人がたまに繰り出す必殺技。
     ハガーと化してダブルラリアットで周囲のゴミを一掃してくれるのでとても便利です。
・ホビット:モッシュにまきこまれて半死半生になってるミクロ系の女の子。
      前方に救出スペース作って入れてあげると、芳香剤として使えます。
      が、ピョコピョコ飛び跳ねられた挙句のアゴ下へのヘッドバットだけには要注意。


<今日の一枚>

 Restless & Wild / ACCEPT

全米進出への足がかりを作った一枚。
始めて聴いた時、1曲目"
Fast As A Shark"が放つ、とんでもない疾走感と野卑
極まる狂暴性にいきなり魂をもっていかれました。全編を色濃く支配する地の底を
這うような重厚リズムは、例えるなら巨大な鉈で横ッツラを思いきり張られている
ような感覚さえ受ける程。これを聴かずしてメタルを語るなかれ!


<今日の駄目T>



#写真で見るとわけの分からないことになってる表面のデザインは、燃えてるギター。
 それにしても背面のチープさ加減は、ちょっと尋常じゃないレベル。 
 



<セット・リスト>

01:Starlight
02:Living For Tonight
03:London Leatherboys
04:Metal Heart
05:Up To The Limit
06:Winterdreams
07:Flash Rockin' Man
08:Breaker
09:〜Bass Solo〜
10:Head Over Heels
11:Neon Nights
12:〜Guitar Solo〜
13:Restless And Wild 〜 Son Of A Bitch
14:Turn Me On
15:T.V. War
16:Monsterman
17:Love Child
18:Fast As A Shark

19:Princess Of The Dawn
20:Burning

21:Balls To The Wall


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