RAMMSTEIN.


<2005年6月3日: 川崎クラブチッタ>

インダストリアル系の特徴であるテンポいいデジタルビートと重厚極まるヘヴィネス感、
それらをうまく融合させたノリいい直進系の楽曲と、キッスもどうかというパイロを使い
まくったド派手なステージ演出を武器に、ドイツ国内じゃその名を知らぬものはいないと
言われるまでになった、旧東ドイツ出身のハードロックバンド、ラムシュタイン。

ここ日本じゃあまり知られていないのに加えて、僕自身、インダストリアル系はNINくらい
しか知らないのもあり、これまであまり縁がなかったんですが、極端なまでおバカ的エンタの
ベクトルに突っ走ったそのステージングが楽しすぎるとの評判はあちこちから聞いていたので
いつか見にいきたいなと思っていたところに、2CHの外タレ情報板からラムシュタイン緊急
来日との情報をゲットして、ンじゃ1週間前くらいにチケ取ろうと思ってたら即ソールドアウト。
カーっときたのでヤフオクで強引に落札してやりました。これでハズれだったら間抜けもいい
ところだと思いつつ、その日は期待半分・不安半分で川崎へ向かったのでありました。

で、開始前の「特殊効果の演出を行うため心臓の弱い方は後方でご覧ください」という仰々しい
アナウンスにおいおい言い過ぎだろと苦笑いしつつ、ラムシュタインの登場を待っていましたら
それからほどなくして、派手な爆竹の音と激しいCo2吹き上げとともにラムシュタイン登場。
なんだ注意促す程の演出でもないじゃんと思いつつ聴いていたら、むしろ期待していた演出より
楽曲の出来の良さの方に惹きこまれていってしまいました。

メロデス風の音圧激しい重低音、やや単調ではあるけれど皆がノリよく楽しめるアクセプト伝来
の合唱系サビ・パート、それにドイツ語独特の演説がかったバリトン声でオペラ調に歌い上げる
アクの強いシャウトが乗っかって気分はもうすっかりゴシックメタルなんだけど、そこから更に
炭坑労働者然としたムキムキ肉体から放たれる芝居がかったアクションがシナジったその結果、
華麗さと泥臭さという2つの相反する要素が絡みあって妙なハードコア・テイストを作り出して
いるというかなんというか、とにかくオドロ・オモロ・カッコイイっス、このバンド。
特に"Links234"における楽曲のカッコよさとそれに華を添える行進風のアクションは必見もの。

や、音だけでこのクオリティ聴かせてくれるなら(飽きやすそうだけど)、特殊効果とか特に
必要ないんじゃねーのと思っていたところへ、4曲目の"Feuer Frei!"でいきなりやってくれました。
「BANG!BANG!」の掛け声とともに、いきなりコレモンですわ。



「汚物は消毒だー」とでも言わんばかりの火炎放射炸裂に場内テンションも俄然ヒートアップ。
しかもこれよくよく見てみたら噴射口、手に持ってるんじゃなくて口に直接装着してんのね。
火力もとにかく半端なくて、チッタのあの高い天井に軽々と達しようかという勢い。
本気で鼻毛が燃えたかと思いました。(後でホジってみたらススで真っ黒でした)

その後はもうこんなのばっか。



5連以上ものパイロ炸裂はもはや当たり前で、ロケット飛ぶわ、弓が爆裂するわ、
火花でナイアガラの滝やるわ、しかもそれモロにかぶっちゃうわ、あげく全身から火ィ吹くわで、
「え?消防法?何それ?」ってな感じの傍若無人極まるそのやりたい放題っぷりには、
いたく感激させられました。

遂には人ごと燃えちゃうし ↓




ちなみにこの日一番のハイライトは"Mein Teil"で見せた、やたらとドデカいお鍋ン中に
キーボードのフラケ君入れーの、シェフに扮したボーカルがおなじみ聖帝先遣隊ばりの火炎放射で、
鍋の外側から丸焼きにしちゃうパフォーマンス。自らの身の安全を犠牲にしてまでこの演出を敢行
するその心意気にはもはや感服するしか。

で、演出そのものも凄かったですが、客側に放り投げた鍋のフタが、運動会のタマ転がしよろしく
超満員のオーディエンスの頭上を延々と流れていくその様にも爆笑いたしました。

…と思っていたら、コイツら、それをもっとデカいスケールで、既に実現してんのな。流石。


(人の海の上をゴムボートで漂流するベースの人)


ちなみにこの"Mein Teil"ってな、ドイツ国内で実際に起こったある事件のことを歌っているそうで、
とある変態ホモがネットで出した「僕に食べられたい人求む」って募集に対し、それに本当に応募して
きちゃった常軌を逸するド変態の出現が、この狂気のカニバリズム・フェスを実現させることとなり、
その催しの結果、食べられたい男性はまず最初に「部分」(ドイツ語でMeinTeil、つまりはチンコ)を
切断調理され、カニバ君とともに自分のそれを味わった後、本人同意のもと望んで料理され、ステーキ、
ハンバーグ、ソーセージといった料理にメモタルフォーゼ遂げた末、全ておいしくいただかれたそうです。

「食べちゃいたいくらい好き」って言葉がありますが、あれは、とある精神分析医の論文によると、
人間の一番根源的な欲求に根ざした本能らしく、原始時代にゃわりとメジャーな求愛方法だったという
説もあるくらいだそうで、自然界をも含めた生物学的に考えればそれほど驚くべき行為でもないとの事。
そういやかの文豪:筒井康隆も「幻想の未来」って小説で、このテーマ題材にしていたっけなあ。

つまりは、社会とか法律とかそういった制約が「人を食べちゃいけないよ」って常識を形づくって
いるだけであって、それら全てのギアスを取っ払っちゃって人を本能あるがままの野生に戻したら
何がどうなるのか大変興味深いねってお話し。こういう事を深く考えていけばいく程、仕事とか社会
とか今の生活とか本気でどーでもよくなってきちゃうので現実逃避のトリップにはもってこい。
でも年金欲しい人にはオススメできないDEATHね。人間、やっぱある程度の「枠」とか「型」は
あった方がいいみたいです。

参照までにこの事件の判決の結果を載せておきます。
審議のポイントは、「食べられたい人を殺して食すことは殺人罪になるか」、だったそうです。

 「ネットで食べられたい人募集"」人食い男に懲役8年6月(ドイツ)
 3年前、ドイツ中部でコンピュータ技師が殺害され、その肉を食べたとされる男の裁判で、
 地元の地方裁判所は懲役8年6か月の判決を言い渡した。男はインターネットの広告で被害者
 を募集し、被害者の了承を得た上で殺害したことが認められ極刑を免れた。


なんか随分と話しが逸れた。
とにかく、これでもかこれでもか!と過剰演出やりまくる上に、その音自体も決して悪くないと
あっちゃ、そら盛り上がらない方がおかしいだろってわけで、「BANG!BANG!」の後の
客側のヒートっぷりときたら、本当、天井知らずの勢いでした。

特に、本編の最後に演った"Amerika"での演出とその盛り上がりはちょっと普通じゃなかった。
「アメリカは素晴らしい〜 コッカコーラに時々戦争〜 アメリカは素晴らしい〜」
思いきりアメリカを皮肉った独語サビを大合唱でコーラスする最中に、天井から延々と舞い降りる
星条旗を意味した2トーンの紙吹雪。ホント息もできないほどのという表現が大袈裟じゃないくらい
無数の紙吹雪が乱舞する、赤と白で埋め尽された幻想的世界の中を、ともに大声張り上げて合いの手
いれつつジャンプしまくることがまさかこんなにも楽しいとは。

あまりにも面白かったので、帰宅後さっそくコイツらの情報チェキってみたら、今回の来日に続いて、
早くも8月の
サマーソニックに出演決定していることが判明。


#というわけで、このラムシュタインだけの為に、
サマソニ、行くことになりそうです。



<セット・リスト>

01:Reise Reise
02:Links 234
03:Keine Lust
04:Feuer Frei!
05:Rein Raus
06:Morgenstern
07:Mein Teil
08:Stein um Stein
09:Du Riechst so Gut
10:Du hast
11:Sehnsucht
12:Amerika

13:Rammstein 
14:Sonne 
15:Ich will

16:Ohne Dich 
17:Stripped


[ MenuNext ]