G3(Joe Satriani・Steve Vai・John Petrucci.


<2005年5月8日: 東京国際フォーラム>

エレキギター片手に世界中回りながらロックの素晴らしさを布教し続けている通称ギター
和尚ことジョー・サトリアーニ、そんな彼がオーガナイズするスーパーギタリスト3人組
ユニットによるエレキの祭典「G3」が、このたび日本初来日をはたすとの情報を得て、
ピロピロフレーズ大好きっ子の僕としてはこら何としても見に行かねばならんとばかり、
GW最終日でヘナりまくってるボディにムチ打って、有楽町は東京国際フォーラムまで
行ってまいりました。


まずハナを切ったのは、超絶技巧派集団ドリームシアターのリードギタリストを務める通り名
JPことジョン・ペトルーシだったわけですが、この人の弾く高速メロがもうなにしろ超ッ速
なのに加えて手グセ的フレーズがほとんどないもんだから、明確に音が連続連鎖してく様とか
感じとれちゃって、とにかく聴いていて心地いいわ気持ちいいわでもう大変。速さと正確さを
兼ね備えてるっていう視点から見るならば、今、世界で一番速く高速フレーズ弾きまわすことが
できる人って、インギでもインペリテリでもなくこの人なんじゃないかしらってくらいそのプレイ
の正確さには凄まじいものがありました。

だけど背骨若干丸め気味&ギターポジション高め設定のスターらしからぬ風貌に加え、生まれ
持った華の無さも手伝って、演奏はとにかく凄いんだけど、その素晴らしさが当人からまるで
匂ってこない?的な、おかしな雰囲気のステージになっちゃってもいました。華っていう意味で
言うならば、正直ドラムのマイク・ポートノイの方が目立ってたくらい。うーん、スーパースター
ってなやっぱ巧いだけじゃ駄目なんだね、例えば演奏クソだとかこの世でもっとも過大評価されて
いるとか(by インギ)言われちゃってるとしてもその佇まいだけで世間を納得させるだけのオーラ
放ってるジミーペイジとかはやっぱりスーパーだと思うしなァ、ペトルーシはグレイトではある
けれどスーパーではないような気がします。あとネットでしか買えないソロ・アルバムの中からのみ
でチョイスされたセットリストにも多少疑問を覚えたり。やっぱどうせならドリムシとかLTEとか
の曲も聴いてみたかった…


で、お次はヴァイですよ。
バークレー音楽院卒に加え、界隈きっての鬼才ザッパ門下出身でもある筋金入りのインテリ野郎
と遂に初コンタクトですよ(一番、楽しみでした)。で、1曲目"Audience Is Listening"から
もういきなり完殺ノックアウト。弦つまびく指がフレット上を踊ると同時にもう音が跳ねる跳ねる!
ついでにお前どこから音だしてんだってくらい抑えてるポジションが異常だし。右利きなら左手で
抑えて右手で爪弾くってな基本的概念を根底から覆すかのような数々の奇術プレイを連発、こりゃ
確かに世間件で評されてる通り、天才をも超えた変態だわ。

それに加えてバックでサポートしてるメンツがかの超絶ベーシスト・ビリーシーンときた日にゃ
更にたまらん2乗って感じで、その長身揺らしてベースうぃんうぃんいわすたびにスラッとした
長足から伸びる真っ赤なエナメルパンツがもう映える映える…! も一つ駄目おしでキーボードと
リズムギター担当がかつてのネオクラ四天王一角を固めるトニーマカパイン大先生だった時点で
完全に降参。正直、音自体はあんま目立ってなかったけどそれでも"Crying Machine"で魅せた
ヴァイとのハモりはさすがに流石。で、とどめとばかり、ラストにマカパ・ヴァイ・シーン・デイブと
4人揃い踏んで互いに弦抑えあってのシンクロ率400%4重奏プレイも炸裂。これがもう…!(悶絶)
これDVDでも見たことあったけど実際に見ると更にすごいすごい!というわけで、中盤における
メロウペースで感じた若干のダレを除けばこの日2番目に楽しめた時間帯でした。


(G3:LIVE IN DENVER より)



で、3人のトリを努めるはギター和尚ことジョーサト。
ヴァイとハメット(メタリカ)の師匠ってことだけで名を挙げてた、本人にとっちゃ不本意な時期も
あったみたいだけれど、DPの代理ギタリストを経て、コンスタントに続けてたソロ活動も認められて
今じゃすっかりスーパーギタリストの仲間入り。で、生で見た和尚の印象としちゃ、BECK:マット・
リードのモデルはこの人なんじゃないかってくらいマジ激似、ハゲ+グラサンは自動的に似るのかな。
肝心の演奏の方はというと、他の二人が曲そのものの良さより魅せプレイにはしっていたこともあり、
全体のバランスとメロディ的ノリは和尚が一番よかったように見えました。だけど逆に気持ちよすぎて
普通にオチました。ま、選曲が渋すぎたよね、ありゃ寝るわ。"極"とか"Surfing With the Alien"とか、
もちっとハードチューンなのをやってほしかったかな。だけど曲そのものを深く聴きたかった人には
この時間が一番よかったんじゃないかなと思います。
あ、そいや"WAR"の途中で弦切れた時「DVD撮ってる場合って最初からやるのかなー?」って
観客に聞いてたのがウケてたわ、で、きっちり最初からやり直してました。こういう生真面目さは
聴いてるサイドからすると嬉しいところですよね。


で、ラストはG3の3人揃い踏みにボートノイやビリーシーンを加えてのジャム・タイム。
ピンでもAXくらい軽々埋められそうな豪華メンツ達を1ステージ上にこれだけ集めてのセッション
なんておそらくこの先見ることないかも! ってわりにゃあんまり盛り上がってない自分を再発見。
おそらく、ここまで超絶技巧プレイを見すぎで流石におなか一杯一杯だったこともあり、インストに
関しちゃ多少食傷気味なところが出てきちゃったのかも。そんな倦怠期真っ盛りの夫婦が織り成す
ナイトライフ後のピロートークみたいなこと考えてたところへこの日最大のビッグ・サプライズ炸裂。
「こんなスゴい人たちと一緒でビビってるジャン」の流暢な日本語とともにステージ上に飛び出て
きたのはなんとあの、元メガデス・現ヘビメタさんレギュラーの、マーティ・フリードマンさん!
というわけでしぼんでた元気玉も一気にフルチャージ、最後の最後で完全燃焼。正直マーティの音、
あまりよく聞こえなかったけど、1人だけメタルスタイル(腰落としてヘドバン)ではっちゃけてた
その元気そうな姿も含めて、見られただけで大満足。

というわけで今日の一枚。

 MUSIC FOR SPEEDING / Marty Friedman

本当はG3ライブのアルバム紹介しようと思ったんだけど、曲が全然カブってないのに加えて
JPの代わりにインギ出演のヤツだしこりゃ雰囲気違いすぎるわと思って、ま、とりあえずノリで
マーティ現時点の最新ソロ紹介してみました。
メガデス時代を臭わすようなヘヴィチューンあり、シェンカーばりの泣きのギターあり、更には
ジュリアナ東京をパロったようなディスコ調フレーズまでありで、とにかく多彩な内容に仕上がって
いると思います。だけど何を差し置いても着目したいのはアルバム全編に感じられる日本人好みのその
メロ臭さ。一般にゃクサメタルとか呼ばれちゃうんだろうけど、この魂をも震わすような叙情ソロを、
その一言で片付けたくはないなあ。あえて言うなら「演歌の魂」がこもった日本人メタラーの為の一枚
だと思います。故にメタルファンは必聴!


<今日の無駄T>



#ま、かなりマシな部類に入る方っちゃそうだけど、それにしたって前面のロゴのデカさが
 致命的すぎて、着るにしたってイベント専用って感じ?



<セット・リスト>

<John Petrucci>
 01:Jaws Of Life
 02:Glasgow Kiss
 03:Lost Without You
 04:Curve
 05:Wishful Thinking
 06:Damage Control

<Steve Vai>
 01:I,m Becoming
 02:Audience Is Listening
 03:Building The Church
 04:Km Pee Du We
 05:Crying Machine
 06:Billy Sheehan 〜Bass Solo〜
 07:Lotus Feet
 08:I,m The Hell Outta Here

<Joe Satriani>
 01:Up in Flames
 02:Summer song
 03:Always with me always with you
 04:Searching
 05:Is there love in space?
 06:War
 07:Flying in a blue dream

<Jam Session>
 01:Foxy Lady (Jimi Hendrix)
 03:La Grange (ZZ Top)
 03:Smoke on the water (Deep Purple)
 04:Going Down (Jeff Beck)


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