The POGUES.


2012年3月28日: 新木場コースト>

アイリッシュ・パンクの源流にして酔いどれバンドの代名詞たる「The Pogues」が、
06年以来の来日を果たすと聞き及び、かのジョー・ストラマが一時期参加していたと
いうことでそこそこチェックしていたミーとしては、これを機会に聞いてみるかな的な
軽い感覚でもって一応チケをキープしておいたわけですが、後で聞いたら今公演は東京
1デイズのみのスペシャルギグということで、ソールドアウトだったみたいですね。
チケ、早めにおさえておいて良かったー

ちなみにショー開始時のSEは「CLASH」の"Straight To Hell"。これで俄然テンション
あがりましたね(いや曲調的にはダウナーなノリの曲なんだけどね)
出だしから酒盛りテンション的には最高の歌"Streams of Whiskey"が飛び出して、
速攻で合唱の渦に包まれる場内、歌い終わりに入るシェインの野太い「イヤー!」も、
その盛り上げに一役買って、初っ端からとんでもない盛り上がりを見せていました。
基本、アイリッシュの民謡メロがところどころで挿入されるので、曲調的にはどちらかと
言えば牧歌調なんですが、そんな中にてモッシュ発生とか、このスローなノリでダイブ
だとか、俯瞰で見ると完全に不可思議な現象があちこちで発生。でもそのノリの渦の中に
入るとまるで噛み合ってない感はないというね。なんだろう、この迸るピース感は。

バンドの顔たるシェインの酔っ払いっぷりも、このピースフルかつほのぼのなノリに
起因していたような。だってもう歌い方がサビを除けばほぼボソボソな感じ、それで
ちゃんと歌になってるところがむしろ凄いと思うんですが、加えて呂律は回ってないわ、
歌詞はかなり普通にスッ飛ばすわ、セトリ進行を忘れてメンバーに突っ込まれるわ、
トドメは大音量であますことなく場内にいきわたるハナのすすりっぷり。これホントに
不愉快極まりない音の筈なんですが、何故か周囲の客はメッチャ笑顔、テンションダウン
どころか逆に盛り上がってる節までありました。どんだけファンに愛されてんだこの人。
ちなみにこのシェイン、ステージにいる間は常にコップをもって、歌ってる最中だろうが
休んでる最中だろうが常時ガブガブ飲ってましたが、あれが噂通り全てジンとするならば
実際問題ヤバすぎるだろと。これでステージ・パフォーマンスできてること自体が奇跡
なのかも。というかこのライブの主題自体がそんなシェインの破天荒っぷりを見ること
なのかも知れません。とするならこれが本当の意味でのライブ!?(生き様、的な)。

その「ライブ」の聴きどころとしてまずいの一番に挙げられるのが"Dirty Old Town"。
「工場の塀」「古い運河」がキーワードのシブくて趣き深い歌詞もさることながら、
この枯れきった、それでいて芯に力強さを残る声でなければこの味はでないでしょう。
演奏面においては"Sally MacLennane"・"Irish Rover"辺りの典型的なアイリッシュ・パンク調が
場にもたらしたお祭りグルーヴ、天井知らずのアゲアゲ感が凄かったですね。
この間に"A Rainy Night In Soho"というホロリ系のバラードを挟んだことにより、
その爆発力が倍になっていたような気がします。途方もない破壊力を持ってるけど、
その扱いも難しい飛び道具「シェイン」をフルに活かしきるこの演奏調和の高さは、
ポーグスがやはり「バンド」でなければ成立しえないことへの証明のように感じましたね。

最後に、今ライブの様子を最もよく表現していると思わしきツイートを見つけたので、
今レポートと〆として一部引用させていただきます。

 
セットリストは代表曲を散りばめた鉄板のもの。 
 が、シェインは今日もレロレロのヘロヘロ。
 歌詞が思いっきり飛んだり、セットリストを間違えそうになったりするが、
 それがあんなにもあたたかく大喝采を受けるライヴも珍しい。
 というか、これでこそポーグスと納得してしまうからすごい。


<今日の一枚>

Shane The Pogues」(邦題:堕ちた天使の詩)

アイリッシュ・パンクの代名詞的存在「The Pogues」の酔いどれボーカリストで
知られるシェイン・マガウアン、その活動の軌跡や破天荒なライフスタイルにスポットを
当てた音楽ドキュメンタリー。ロックスターによくありがちなショーマンシップとしての
アブノーマルとは一線を画す「逸脱者」シェイン、その愛すべき変人っぷりがたっぷりと
堪能できる良質の音楽映画なんじゃないかと。


<今日の無駄T>



#案外そっけないデザインのわりには、どこか強烈な主張を放つ妙なT。
 てかこのデザイン・センス、普通に悪い…? でも、嫌いじゃないぜフフフ。



<セット・リスト>

01:Streams of Whiskey
02:If I Should Fall From Grace With God
03:The Broad Majestic Shannon
04:Greenland Whale Fisheries
05:A Pair of Brown Eyes
06:Tuesday Morning
07:Kilty
08:The Sunnyside Of The Street
09:Repeal of the Licensing Laws
10:And the Band Played Waltzing Matilda
11:Body of an American
12:Boys From The County Hell
13:Thousands Are Sailing
14:Dirty Old Town
15:Bottle of Smoke
16:The Sick Bed of Cuchulainn

17:Sally MacLennane
18:A Rainy Night In Soho
19:Irish Rover

20:Poor Paddy On The Runway
21:Fiesta


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