Judas Priest.


2012年2月17日: 日本武道館>

「解散」とか「活動停止」ではないものの、最後のワールドツアーとなることを明言し、
その長きにわたる栄光の歴史に幕を降ろす準備を始めたと思わしき「Judas Priest」の
(おそらく)ラスト日本公演を観に、九段下は武道館まで行ってきました。
正直「KK」が抜けちゃったことで今回はスルーかなと思っていたんですが、やっぱり
これが最後かも知れないと思うとね。メタルというジャンルの素晴らしさを教えてくれた
感謝の意味あいも含めて、自然と行かなきゃって気になってきちゃうもんですね。

ライブはサバスの"War Pigs"のSEを合図にスタート。
冒頭のリフの刻みがテンションを一気に引き上げる"Rapid Fire"から、ロブの象徴曲たる
"Metal Gods"へ。名盤「British Steel」の出だしをなぞる流れ。
80年代のジューダスはわりと疾走曲多めのイメージが強かったせいか、スローでヘヴィな
ノリが特徴的なこの曲はあまり好きじゃなかった筈なんですが、「最後」効果とロブの声が
バッチリ出ていたせいもあって、かなりジーンときちゃいました。

序盤から中盤にかけてのハイライトは、なんといっても"Victim Of Changes"。
場内を閃光りまくったレーザー効果もさることながら、ロブの曲ラストでの超絶シャウトは
まだまだやれるぜ!ということを十二分に証明する説得力に溢れていたんじゃないかと。
それから"Diamonds & Rust"と"Turbo Lover"、尻上がりのテンション加速が魅力なこの両曲、
そのドライブ感がマックスまで上がりきったところでの高揚感はやっぱしマジぱなかったす。
でもって"Beyond the Realms of Death"ね、何度聞いても美しいこの旋律と泣きのソロで
魂もっていかれたところから、今ツアー最大の目玉曲"The Sentinel"を繰り出されてものの
見事に仕上げられましたね、ここでのツインリードはマジ必殺ものでした。

ライブ進行という面から見れば1曲終わった後の暗転タイム(ロブの休憩タイム?)は
本来ならダレる要素な筈なんですけど、彼らのこれまでのヒストリーを順不同で紹介していく
ようなスクリーン演出の効果により、むしろ次は何かな?的なドキドキ感が増していた辺り、
なかなかに上手い工夫に感じましたね。
あと「KK」の代わりであるリッチー、物怖じせずに堂々とプレイしてる辺り、高身長も
手伝ってなかなか見映え利いてました。むしろプレイ的にはあまりオーバーアクションしない
グレンが若干喰われ気味だったんじゃ?

さて、終盤のハイライト。
歌いだし前のイントロからオーオーオーの大合唱だった"The Green Manalishi"に
全ホールが一体となって熱唱しているような空気の振動感に痺れた"Breaking the Law"のサビ、
この辺は今日の客層がプロメタラー揃いなこともあり、ステージ外からの支援がパなかったです。
それから"Painkiller"ラストのシャウトは、ロブお爺ちゃんの血管がマジ切れしちゃうんじゃ
ないかとヒヤヒヤするくらいに気合こもっていましたね。ちなみにこの曲最大の見せ場である
ツインソロは多少簡略気味だったけど、それでもメタル史にその名を残すであろう様式美ソロの
一つなだけに、聞いてるだけでエアギターしたくなる衝動に駆られまくりでした。

そしてこれまた様式美メタルのイントロの中じゃ最たるものの一つであろう"The Hellion"、
この究極の興奮剤をぶちこまれたところからの"Electric Eye"を聞いて胸熱モードにならない
メタラーがいるはずないだろと。そこから畳み掛けるように続いた"Hell Bent for Leather"
でのお約束「ハーレー」演出もいよいよこれで見納めかもしれないと思うと、やっぱり感慨
深くなっちゃったり。そしてラストのラストを締め括ってくれた"Living After Midnight"は
フィナーレ感に加えて大団円ムード満載の一体感を場内にもたらしまくってくれました。
というわけでバンドの好パフォーマンスに客のパワーがのっかった最高のライブだったと思います。
やっぱりフェアウェル・ツアーって奴には特別な空気がありますね。


<今日の一枚>

 「Screaming for Vengeance」/ Judas Priest

プリーストがこれまで世に出してきた16枚のオリジナル盤の中で、
まず何を聴くべきか?と問われたなら、メタラー100人中90人がこの名前を
挙げるであろう超名盤。究極の完成度を誇る様式美オープニングは言うに及ばず、
強烈なフックが叩きつけられる"Riding On The Wind"、「ヘヴィネス」という名の
重量級ハンマーに叩きのめされる"Devil's Child"、そして代表曲中の代表曲たる
"You've Got Another Thing Comin'"、最早これそのものが「メタル」といっても
過言ではない歴史的ヒット作。まさかメタルが好きでコレを聴いてない人なんて…
(いないよね?)


<今日の無駄T>



#メタル系のライブならまず浮かない汎用性の高さが魅力。
 「AC/DC」「Iron Maiden」Tに並ぶメタルT系のブランドものとして、大切にしようと思います。
 


<セット・リスト>

01:Rapid Fire
02:Metal Gods
03:Heading Out to the Highway
04:Judas Rising
05:Starbreaker
06:Victim of Changes
07:Never Satisfied
08:Diamonds & Rust(Joan Baez cover)
09:Prophecy
10:Night Crawler
11:Turbo Lover
12:Beyond the Realms of Death
13:The Sentinel
14:Blood Red Skies
15:The Green Manalishi (Fleetwood Mac cover)
16:Breaking the Law
17:Painkiller

18:The Hellion 〜 Electric Eye
19:Hell Bent for Leather

20:You've Got Another Thing Comin'

21:Living After Midnight


[ MenuNext ]