LOUD PARK 11.


<2011年10月15日: さいたまスーパーアリーナ>

はい、今年も無事にやってまいり… というわけにはいかなかった今回の「Loud Park」。
3月に東北地方で発生した震災の影響を受けてやむなく中止となった「Punk Spring」同様、
開催がかなり危ぶまれていましたが、例年の2日開催を縮小してのワンデイ・フェスという
形式にすることで、どうにか開催にこぎつけることが出来たみたいで、まずは一安心。

でも流石にメンツの方は厳しいかな…と思っていたら、ブルースロックの大御所たる
「White Snake」を筆頭にミクスチャー系ブームの立役者「Limp Bizkit」、それから定番かつ
安定の「Aach Enemy」に旧ハロウィン組の同窓会バンド「Unisonic」、今やメタルコアの
代表格にのし上がってきた「Trivium」に80年代好きな親父メタラー大喜びの「STRYPER」、
他にも知る人ぞ知るスイスの重鎮「Krokus」や構成メンツがやたら豪華なことで知られる
色物バンド「ANIMETAL USA」などなど、あれ?よくよく見ればそれなりに豪華なんじゃあり
ません?ということで、諸手を挙げてのベスト解とまではいかなかったものの、なかなかに
ベターなメンツを集めてくれたクリマンさんにまずは感謝かなと。



STRYPER



会場に到着後、まずステージに目をやったら、そこにはまごうことなき阪神カラー集団が。
というわけで今ラウパーの記念すべきオープニングアクトは、80年代にクリスチャン・メタル
という謎の概念でシーンを(ちょっとだけ)賑わせた「STRYPER」にケテーイ。
フロントを張るマイケル・スウィートさん、メッチャ声出てるわ、容姿もほぼ衰えなしだわ、
加えて演奏陣もプレイはタイトだわ、古き良きピロピロ系フレーズを連発しまくってくれるわで
思わず顔相をランバ・ラル化させつつ「このソロ!このベタっぷりこそ80年代よ…!」と
呟いてしまう羽目になりました。しかも曲がね、かなり良メロな上に展開もメリハリ利いてて
相当いいわけですわ。いやこれはもう「TESLA」辺りとカップリングで来日あってもいいでしょ。
09の「DOKKEN」に10の「RATT」とあまり評判が芳しくなかった「あの時代」の威光を見事
取り戻してくれたかのようなステージングだったと思います。

 01:Sing-Along Song
 02:Loud 'N' Clear
 03:The Rock That Makes Me Roll
 04:Reach Out
 05:Calling On You
 06:Free
 07:More Than A Man
 08:The Way
 09:To Hell With The Devil
 10:Soldiers Under Command


KROKUS



小1時間ほど休憩タイムを入れた後、スイスのベテランHRバンド「KROKUS」を観賞。
これがシンガーの声のトーンといい演奏スタイルといい、もろに「AC/DC」ちっくだったもんで、
滅法ツボりました。この一心不乱に頭を振りたくなるような重厚リズム、全身のメタル細胞をフルに
活性化させるがごとき高バイタル度のエナジー、やっぱしド直球のHRは分かりやすくていいなあと。
ちなみにラストは直近に車両事故の巻き添えくってお亡くなりになった「GOTTHARD」の名シンガー、
スティーブ・リーを偲んでの追悼曲"Mighty Quinn"。ちょっとホロリとさせられちゃいましたね。

 01:Long Stick Goes Boom
 02:Fire
 03:Tokyo Nights
 04:Screaming In The Night
 05:Easy Rocker
 06:Heatstrokes(出だしにヘリの音)
 07:Bedside Radio
 08:Mighty Quinn (Gotthard Ver)


UNITED



フロント付近の観賞続きでチョイ疲れたので、ここらでスタンドに陣取ってかなり離れた位置から
「OUTRAGE」と並ぶジャパメタ・スラッシュ勢の代表格「UNITED」を観賞。
で、その「OUTRAGE」と同じく、メタル本場の海外勢と比べるとプレイはほぼ遜色ないんだけど
やっぱりルックス的に垢抜けない的な感じになるのかと思いきや、その分のハンデを新ボーカルが
全て補ってあまりあるくらいの好パフォーマンスを披露。デストーン利きまくりだわ、ステージ上の
飛んだり跳ねたりなアクションも激しいわ、更には見た目明らかにガイジンなのにMCで唐突かつ
流暢に「日本語喋れるとは思わなかったでしょー!」って、これは面白いわと。
「LOUDNESS」を除いたこれまでの日本勢には見られなかった盛り上がりを演出、ステージ後半には
ウォール・オブ・デスもキメたその姿からは、衰退する一方と思われていたジャパメタの可能性と
いうものが確かに感じられましたね。日本のバンドだからって舐めちゃアカんってことですな。

 01:My Inner Revenge
 02:Fight Fear Kill
 03:Kill Your Sense
 04:Mosh Crew
 05:Hollow
 06:Fate
 07:Revenger
 08:Cross Over The Line
 09:United


UNISONIC



ちなみに今年はステージ構成が今までの左右配置方式から前後配置方式に変更されたことにより
バンドがステージを終える度にさながら猛回転するミキサーの中を思わせるような民族大移動が
自然発生してしまうという鬼畜仕様。なもんだから「UNISONIC」ステージ開始5分前とか相当の
混乱が『BIG ROCK』側の通路付近に発生しちゃってました。流石は初期「HELLOWEEN」の心臓を
担ったカイ・ハンセンとマイケル・キスクによる新ユニット、その期待度の高さが伺える一コマでしたね。

ライブの方はその「伝説」効果と出来たばかりの新曲"Unisonic"が煽る疾走効果、
そこから懐かしのカボチャ曲"A Little Time"&よもやのプリースト曲"Victim Of Changes"へと
繋げたコンボが見事にハマって、フロント付近は終始歓声が絶えない盛り上がりっぷり。
更にはカイの遊び心溢れるソロを加速剤とした"Future World"、そしておそらくこの二人が揃い
踏んでのプレイは30年ぶりになるんじゃないかと思われる"I Want Out"効果により、ものの
見事にフロア全体が仕上がりきってました。ミー自身サビをシャウトしすぎて喉が枯れ果てたり。
それにしてもキスクさんのハイトーンの劣化しなさっぷりは本当に凄かったスね。

 01:Cross The Line (Place Vendome)
 02:Souls Alive
 03:Unisonic
 04:A Little Time(Helloween)〜Victim Of Changes(Judas Priest)
 05:My Sanctuary
 06:〜Kai Guitar Solo〜 (Hole Of The Mountain King)
 07:Future World (Helloween)
 08:I Want Out (Helloween)


TRIVIUM



続けて今や「Shadows Fall」「Killswitch Engage」と並ぶメタルコアの代表格たる「Trivium」を
『ULTIMATE』の最後方からのんびり観賞。ヴィジュアル的には以前のコテコテなメタル系からどこか
グランジ風な雰囲気へと変化を遂げていた彼ら、そのパフォーマンス自体も積極的に客を煽りにいく
というよりは、貫録たっぷりに黙々とプレイするスタイルに変わっていましたね。その大物然とした
佇まいはわりとハマっていたし、そのプレイも今日見たバンドの中では一番といってもいいくらいに
高密度なタイトっぷりでスバラだったんですが、肝心かなめの新譜からの曲そのものが少しアレ?な感じで、
いまいち前のめりになれきれませんでしたね。セットリスト的にも"Gunshot…"や"Anthem"抜きは
飛車角落ちという印象が否めませんでしたね。
新譜からたくさんやりたいのは分かるけど単独じゃないんだからもう少し考えてほしかったかも。

 01:In Waves
 02:Drowned and Torn Asunder
 03:Caustic are the Ties that Bind
 04:Ignition
 05:Down From the Sky
 06:Built to Fall
 07:Pull Harder on the Strings of Your Martyr
 08:Kirisute Gomen
 09:Throes of Perdition


The DARKNESS



ここら辺り、ラウパー名物、休憩なしのマラソン観賞がひたすら続きます。
で、次に出てきたのは、この「LOUDPARK」という枠組の中においては、おそらく最も異色な存在
であろうイギリスの若干色物よりなロックバンド「The DARKNESS」。
とりあえずこのバンドの名物男、ジャスティンに目をやれば、前に見た時よりメチャ痩せてる?
ついでにヒゲもいい感じに生やしてて普通にイケメン風味。なのに胸元ダダ空きのフレディ服で
何もかも台無しにしてるところが実に彼らしいなあと思いました。そしてこのレスポール特有の
太い音に裏声響きまくりのオカマ声というアンマッチ感が生み出す特有グルーヴも変わらず健在。
加えて言うならこのバンドの音造りには色物の域とは別の、ちゃんとした正統派の色気って奴が
あるからこれだけオカマ風味でもカッコいいんだなと。しかもギター弾きながらクネクネ踊るわ、
唐突に金ちゃんジャンプはカマしちゃうわで、もう眺めてるだけ楽しくなってきちゃうというか、
こういうのキモ・カッコいいとでもいうんでしょうか? やっぱり好きですわ、このバンド。

 01:Bareback
 02:Black Shuck
 03:Growing On Me
 04:Get Your Hands Off My Woman
 05:One Way Ticket
 06:Love Is Only A Feeling
 07:Friday Night
 08:Is It Just Me?
 09:Cannonball
 10:Stuck In a Rut
 11:Givin' Up
 12:I Believe In A Thing Called Love
 13:Love On The Rocks With No Ice 


ARCH ENEMY



次に見たのが6年連続の皆勤賞、「Mr. LOUD PARK」ことマイケル・アモット率いる
メロデスの帝王「ARCH ENEMY」。マイクボリュームが徐々に下がっていくというPAの不具合も
なんのその。序盤から"Ravenous"に"Dead Eyes See No Future"というキラーチューンを
繰り出した甲斐あってか場内は天井知らずの大盛り上がり。いや本当に客盛り上げの計算が出来る
バンドになったなあと、初期の頃から見ていたミー的にはどこか感慨深いものがあったり。
震災にことに触れたコメントで場内をちょっぴりしんみりさせたところで、"We Will Rise"に
"Nemesis"とこれまた安定のアゲ曲を繋げてきっちり観客を仕上げきった辺り、土台のしっかりした
良メロ曲をたくさん持つこのバンドの根本的な強みを如実に感じたり。

 01:Yesterday is Dead and Gone
 02:Ravenous
 03:Bloodstained Cross
 04:Dead Eyes See No Future
 05:Under Black Flags We March
 06:〜Chris & Michael Guitar Solo〜
 07:Snow Bound
 08:Dead Bury Their Dead
 09:No Gods, No Masters
 10:We Will Rise
 11:Nemesis
 12:Fields of Desolation (Outro Ver)


WHITE SNAKE



で、公式的には今年の一つ目のトリである、円熟のブルースロック・バンド「白蛇」が登場。
もはや伝統芸ともいえるカヴァーデール御大の股間マイクスタンド立てからライブはスタート。
初っ端にここ近年の新しめな曲をセレクトしてくる辺りが、まだまだ俺達は終わってないよ的アピール
にもとれて、地味な曲だなあと思う反面、その心意気はなかなかに感じ入るものがありましたね。
出したばかりの新譜からのナンバー、"Love Will Set You Free"に"Steal Your Heart Away"も
かなりな良メロの佳曲だったし。ただ2曲目"Give Me All Your Love"での観客の反応を見た途端、
あ、やっぱりコイツ等は「サーペンス・アルバス」からの曲のみ演ってればそれでいいんじゃね?
とか不謹慎なことを考えたり…は、まあするわなww

その他の着目どころとしては、リードGのダグね。あのクソ重いレスポールの使い手らしいマッチョな
肉体美のみが売りの人とばかり思っていたのですが、いや随分と艶がある音色を出すようになったなと。
ソロ単体で見るなら「Arch Enemy」のクリスに並んで、良いパフォーマンスしてたかも。
"Guitar Duel"と名付けられたレブとのツイン・ソロ&その中でのシンクロ協奏もかなり良かったです。
あとドラムの人のスティック以外にナイフとか割り箸とか使ったソロね、ファニーな方向へ目新しくて
なかなか新鮮だったかも。

 01:Best Years
 02:Give Me All Your Love
 03:Love Ain't No Stranger
 04:Is This Love
 05:Steal Your Heart Away
 06:Forevermore
 07:〜Guitar Duel〜
 08:Love Will Set You Free
 09:〜Drum Solo〜
 10:Fool For Your Loving
 11:Here I Go Again
 12:Still Of The Night


LIMP BIZKIT



最後にスタンド席でのんびりと憩いながら、今年のトリである「LIMP BIZKIT」観賞。
一応「ラップメタル」という新ジャンルのフロンティアなんだから、もうちょっと評価されてもいい
バンドだと思ってるんですが、その音楽性が商業的すぎるせいか、コアなメタラーには何かとディス
られがちなんですよね、うーん。
かつてはその態度の悪さからディスの標的となっていたフロントのフレッド、今ステージでは
中盤で脈絡なく客席に突撃したかと思えばそこに長時間滞在したり、ラストでステージ上に客を
上げまくったりで、グダグダ進行の主要因としてやらかしてくれちゃってました。
でもまあ見た目楽しそうだったし、アリーナの客はおおいに盛り上がっていたんで全然アリだとは
思うんですけどね、スタンドにいた物見遊山系の客からはかなりのブーイング浴びてたかも。
ハイライトとしては、中盤でお遊び的に演ってた"Short Jam"がHR/HM系の名曲満載といった感じで
特にLAメタル屈指のパーティソング"We're Not Gonna Take It"とか、中年メタラー的にはかなり
ツボを突かれましたね。後は定番の"My Generation"・"Nookie"辺りが安定して盛り上がっていたような。

 01:Why Try
 02:Hot Dog
 03:My Generation
 04:Livin' It Up
 05:My Way
 06:Short Jam (Smells Like Teen Spirit〜Back In Black〜We're Not Gonna Take It〜Master Of Puppets)
 07:Thieves (Ministry)
 08:Break Stuff
 09:Eat You Alive
 10:Nookie
 11:Behind Blue Eyes (The Who)
 12:Take a Look Around
 13:Faith (George Michael)
 14:Rollin'

<最後に>
 ・アリーナ入り口に至る導線、毎年のことだけど今年は特に酷かったような。
 ・ワンデイに縮小ということで客入りが心配だったけど、そこそこ埋まってたんで一安心。
 ・ベストアクトは懐かしさも手伝って「STRYPER」。「KROKUS」も良かったなー
 ・色々あるだろうけどクリマンさん応援してますので来年もよろ。


<今日の無駄T>



#欲しかった「STRYPER」のTが売り切れていたんで、代わりに「UNISONIC」を購入。
 ラウパーのT争奪戦については、年々激しくなっているような…


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