Ben Folds.


2011年5月31日: 渋谷公会堂(C.Cレモンホール)>

えーと、CDではたまに聴いたりするけど、ライブに足を運ぶまでのファンではない、
その程度だったミーのベンちゃんに対する熱意を圧倒的に高めた「フジロック08」。
ロックにおいてはあくまで補助的なそれであり、ギターやドラムほど前に出ないパートと
思っていたピアノという楽器の概念を根本的に変えてしまう程のアグレッシブさを眼前で
見せつけられて以来、次回チャンスがあったら必ず行こうと思っていた「Ben Folds」の
ライブを見に、渋谷はC.Cレモンホールまで行ってまいりました。

で、そのベンちゃん。期待にたがわず、初っ端からアグレッシブ・モード全開。
何せピアノに対して中腰のまま前のめりに突っ込んでいくような姿勢で、いきなり連弾の
雨あられですからね。そこから1曲挟んで早々と披露した代表局"Gone"でも再び連弾の
暴風雨炸裂。てかこれピアノを弾(ハジ)いてる手が見える側の席で本当に良かったーと
心底思えた「まさかここまで!」ってくらいの激しい弾きっぷり。また客席からの
「ベンちゃん頑張って!」との声援を受けて、いきなり独奏で"Rock This Bitch"の
即興アレンジ版をやってくれたりと、定評のあるサービス心も相変らず旺盛。
ここはその即興演奏に対して進行を素早く理解し、徐々に合わせていったバックメンバーの
パフォーマンスも素晴らしかったですね。てことで、楽曲の良さもさることながらその
奇想天外な好ステージングを前に、この序盤30分ですっかり心を鷲づかまれちゃった
ミーがそこにいたといいます。

ライブ全体を通しての他の盛り上がりどころとしては、まず"Effington"、
パーカッション担当の人がいきなり前に出てきて、客席に背をむけたままもの凄い勢いで
タンバリンを振る様は、その激しさがむしろコミカルな味を出していて楽しかったですね。
それから、前の日本ツアーでの広島公演において、ステージから足を踏み外して骨折して
(ステージはちゃんとやり終えたらしい)しまったことを笑い飛ばした曲"Hiroshima"も
日本ネタだけあって、かなり熱烈なコールが飛んでました。これ歌詞が面白いんですよね。

 そういえば ヒロシマ
 そう ライブで やっちまった
 ライトを浴びて かっこつけてた
 その次の瞬間 ステージから真っ逆さま
 OH OH OH OH OH OH くそ〜
 そう 落ちて 頭 ゴーン!

この「落ちて頭ゴーン」の部分、この後も曲間の度にテンポや言葉のバージョン違いを
披露して小ネタにしていました。
それからフロアを左中右と3つに分けてコーラスをレクチャーした後に演った"Not the Same"、
曲の終盤ではピアノの前を離れて指揮者さながらコーラスの抑揚を指示してくれたんですが、
これが楽しいったら。ライブを観ることに加え、それに参加することの楽しみを存分に味わえた
時間帯でしたね。
演奏陣全員が前に出てきて、小型キーボード、携帯アプリによるベース、おもちゃの太鼓と
アコスギターにマラカスという遊び心満点の編成でやってくれた"From Above"もその異色な
音色具合が面白かったです。

そして終盤においての怒涛ラッシュ、"Landed"でしっとりと幕を開け、ノリよくて流麗な
メロディが持ち味の"Zak and Sara"を経て、そこから"Annie Waits"で場を一旦まったりと
させておいてから、ソロとファイブ、それぞれの時代の代表曲、"Rockin' the Suburbs"と
"Underground"を連発してアゲまくるというこの至高の流れ、ここホント最高でした。
で、流石にここ以上の漲りどころはないだろうと思いきや、アンコールの初曲においては
曲の間奏であまり上手くないジャグリングと一輪車が脈絡なく出てきて笑いを誘うという
お茶目っぷりに、「パパッパー♪」大合唱で客を存分に暖めてからの"Army"突入。
とどめはラスト曲の終盤で再び一輪車を登場させて場をお祭り状態にさせてから、椅子を
高々と振り上げてピアノにガン!と叩きつけての絶頂エンド、面白カッケすぎるでしょと。
演奏に比重をおきつつ、なおここまで高いエンタ性を見せてくれるそのステージは本当に
見事だったと思います。ブラボーブラボー、今度はファイブでの来日よろ。

…あ、そういえば"Song for the Dumped"なかったですね。他の日は演ったらしいけど、
ミーも「金をかえせ〜」コールしたかった、「黒のTシャツも俺のだー」叫びたかった…
あれ、そいや"Philosophy"もなし? うーん、その分を10点差し引いての90点かな。


<今日の一枚>

 「Rockin' the Suburbs」/ Ben Folds

優しげな癒しヴォイスから繰り出される切なさ全開の良メロ・美メロの数々、
加えて彼ならではのハードなピアノ連弾が存分に楽しめる01年リリースのソロ処女作。
ハードなロックのイメージからは、多少ベクトルが離れてるかと思われている「ピアノ」
という楽器の概念を根底から覆す、ピアノロック入門編として最適の一枚かと。


<今日の無駄T>



#ベンちゃんのTシャツ、これで2枚目。
 特に不もなく可もなく的な無難デザインなので、普通に外着として使用してます。



<セット・リスト>

01:Levi Johnston's Blues
02:Doc Pomus
03:Gone
04:Belinda
05:Rock This Bitch (New Version)
06:Sleazy (Ke$ha cover)
07:Sentimental Guy
08:You to Thank
09:Effington
10:Hiroshima (in Japanese)
11:Not the Same
12:Still Fighting It
13:Bastard
14:Saskia Hamilton
15:Picture Window
16:Lullabye
17:Brick
18:From Above
19:Hiroshima
20:Landed
21:Zak and Sara
22:Annie Waits
23:Rockin' the Suburbs
24:Underground

25:Percussion Jam
26:Army
27:One Angry Dwarf and 200 Solemn Faces


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