Royal Hunt.
＜２０１１年４月２３日： 品川プリンス・ステラボール＞
「Artension」のヴィタリ・クープリ、「Stratovarius」のイェンス・ヨハンソン、
元「Dream Theater」のデレク・シェリニアンと肩を並べて、９０年以降のシーンを
牽引してきた鍵盤マスターの代表格「アンドレ・アンダーセン」率いる「Royal Hunt」の
ライブを見に、品川はプリンスホテル隣接のステラボールまで行ってまいりました。
えと例の東北震災後としては初のライブになるのかな？ 震災被害に絡む福島原発事故の
せいで、次から次へとライブが中止になる中、この来日が実現したことは嬉しいかぎり。
後で聞いた話によると、メンバーのほとんどが家族や友人などからこの時期の来日を反対
されたそうですが、それをおしての来日とはホント男気ありますよね、いい人達だわー
ライブの方は名盤「Paradox」完全再現との予告通り、序曲"Awakening"からスタート。
久々に復帰のＤＣは声メチャ出てるし、賛否両論の芝居がかったアクションも曲調的に
かなりハマってるし、何よりもケンカ別れしたアンドレとの絡みも随所で見られたしで、
ライブ前の一番の不安材料だった「シンガーの不調」はわりと早く払拭してくれてました。
まあ「Paradox」リリース時のオリメンだし、本来なら上手く歌えて当たり前なんですけど、
この人、良い時と悪い時の落差がありすぎとよく言われてるしなァ。
ちなみに「Paradox」再現中のハイライトは、やっぱり"Time Will Tell"。
この荘厳かつ豪勢な曲構成、自室で軽く聞くには重すぎるけど、ライブみたいに構えて
聴く場においては、かなりハマる至高のメロパワ曲なんじゃないかと。
ここから続く２曲、曲中の鍵盤リフがとにかくクールな"Silent Scream"と、ラストを
重々しく劇的に締め括る"It's Over"も、彼等「らしさ」が炸裂しまくってましたね。
その後のフリー選曲ゾーンでの盛り上がりどころはほぼ全曲といった感じで、
サビのシンガロングが熱気に拍車をかけた"Last Goodbye"・"Stranded"の両曲から、
"Epilogue"と並んで「Royal Hunt」最大の売りである「キーボードを主軸にした
メロディアスさ」が前面に出ている名曲"Time"に繋げたこの選曲はベストだったかなと。
まあそんな感動的な流れもＤＣの「（盛り上がりが）嬉しくて乳首立っちゃった！」な
ＭＣでお笑い方向へと持っていかれちゃうんですけどね。
そんなひょうきん者の彼も"Far away"前のＭＣでは、今回の東北震災のことに触れ、
「日本の皆が経験していることを考えると、俺たちに来日しないという選択肢はなかった」
とシリアスにのたまって、その場をちょいジーンとさせてくれてたりとか。
あとアンコール直後のソロコーナーで、ショルダーキーを持ち出してギターソロに
絡んでいったアンドレの勇姿は、その長身・巨体も相まって、今ライブ見せ場の一つと
なっていました。あ、そうそう、これがなかったら絶対終われない１曲「蝶野正洋」の
入場テーマでその名を馳せた"Martial Arts"はその後に炸裂してくれましたね。
この天井知らずでアガり続ける流麗メロはホント何度聞いても名曲としか。キー主体の
インスト系の中じゃ個人的にはトップかも。
というわけで外タレのライブ自体が久々だったこともあり、自分が思ってる以上に
楽しめた良質のライブでしたね。あ、ＤＣは今回限りの参加らしいけど、曲調における
声のハマり度合はかなり半端なかったので、いっそこのまま復帰しちゃったらいいかも。
＜今日の一枚＞
「Paradox」
/ Royal Hunt宗教の持つ矛盾をコンセプトにした「Royal Hunt」の4thにして出世作。
曲単位というよりアルバム単位で楽しむという観点から見れば、
個人的には「Dream Theater」の「Metropolis Pt.2」と肩を並べる秀作かと。
キーボードを主体にしたパワメロだけに、シンフォニック比重はかなり高め、
ゆえにゴス系とか好きな人には、荘厳かつ壮大でちょい暗めな雰囲気がわりと
受け入れやすいかも。
＜今日の無駄Ｔ＞
＃なにがなんだかよく分からないデザインだけど、雰囲気的にイケてないメタルＴ臭はプンプン。
我々の業界ではこういうのをダサカッコいいと評します。