IN FLAMES.
<2004年9月12日: 渋谷AX>
一部マニアにコアな人気を誇るデス・ジャンル御用達レーベル、トイズを代表するバンドであり、
アーク・エネミーと並んで北欧メロディック・デスメタル・シーンの主流を牽引し続けている
スウェーデンの雄、イン・フレイムスのライブを見に、渋谷はAXまで行ってきました。
まー最近はもうメロデスじゃなくなっただの、モダン指向だなんだ言ってメジャーにコビ売り
はじめただけだの、アンダースのウッフンハッフン キモいだの、ビヨーンの髭がウザすぎるだのと
まあ、正当な批判から訳の分からない中傷まで実に様々な角度から叩かれまくっている彼等とは言え、
浮き沈みの激しいデス・ジャンルの中では最も成功しているであろうバンドの一つであることは
厳然たる事実であり、最近メロデスに傾倒している僕としても当然抑えておかねばならないライブの
一つであると判断、ついでに今回は「始めてのデスメタル講座」と題してミクシで募集をかけて
みたところ、何も知らないハト共がまんまと罠にかかりやがったので、こら丁度いいストレス解消
ができそうだとばかり、メタル系に関しては右も左も分からなそげなその生け贄達を引き連れつつ、
AXの門をくぐったのであり…ってアレ?券ないよ?あ、ロッカーに荷物と一緒に入れちゃったー☆
うん、生け贄一番のりはなんと僕でした。しかもまだ入場前だよ、なんだこの笑えない展開、
マジ光の速さでローテンション。ありとあらゆるバリエーションの罵詈雑言を背に浴びつつ、
僕は入場前からさっそく帰りたくなりました。
だけど入場しちまえばソレはソレ、ライブ独特の雰囲気が高揚感をそそり、いやがおうにも気分を
盛り上げてくれるってもんです。ようし、パパ、早速Tシャツ買っちゃうぞー!
…売り切れでした、わーい。
ライブ会場のドアをくぐる前からもうこんなにも帰りたい、そんな自分のピュアな気持ちを必死に
抑えこみつつ、あまりにも悔しかったので聞いたこともない前座バンドのTシャツ買ったりました、
ザマー!ザマー!(僕が) いや、だけどたぶんこのバンドいいよ、きっといけるよ、そのキマイラ
ってな思いっきり頭の悪そげなフィールとは裏腹に、きっとインテレクチュアル(知性的)かつ
スポンテニアス(独創性)に溢れたビートを叩きだしてくれるに違いないよ、うわーすげー楽しみー
<40分後>
ゾウアザラシさんにバンド組ませた方が幾分マシだと思いました。
そんくらい頭悪かった。まるで音楽じゃない。ノイズ系ですらありませんでした。
あえて例えるなら土人系? 唖然としか形容しようがない程のとんでもない連打連打のドラムさんが
その圧倒的な迫力でもってして他のメンバーをステージ上の単なる置き物に変えてしまった上で、
スティックやたらとポンポン放り投げるわ、客席にビール放りこむは、やりたい放題の限りを尽した挙句、
止めはエイトマンばりの勢いでそのまま客席に特攻ドーン、ドラムがダイブ? 聞いたことねえよそんなの。
しかもいきなり。予告一切なし。例えるなら挿入1秒で出されるようなもん、しかも小便の方、これ
にはびっくりすると思うよたぶん、ホントそんな感じ。その度をこえた前振りのなさ加減に僕は心底
ド肝を抜かれました。
音楽とは全然別の部分でとんでもなく満足してしまった僕は、もうこの時点で帰る気満々でした。
あえてここにまだ居残ることの意義をむりやり気味に探すとするならば、当初の予定通り何も知らない
ハト共を最前列のモッシュ地獄に叩きこんで、アウアウ言いながら人ごみの中に沈んで本物のゴミと
化していくその有り様をセーフティゾーンから優雅に鑑賞することぐらいか?
で、最前列から4列目辺りをキープしてこの哀れな生け贄共を前に弾き飛ばすタイミングを今か今かと
狙っていましたら案の定、開始3秒でいきなし弾き飛ばされたの僕でした。ついでにその終着地点で
僕を待っていたのは、お前はどこのジャバだと言わんばかりの(ザ・ハット)地球外生命体系デブでして、
そのブ厚い胸板に強制抱擁されるというかなり厳しい目にあわされたのでマジ舌かもうと思いました。
その頃 僕の連れは連れで、やたらとガタイのいいどっかのムキムキ・ハゲにいきなり登山を試みられる
と言う、世にも稀にみるマニアックなプレイに付きあわされておりまして、それを目撃した瞬間、つい
先ほどまで鬱全開だった僕はすっかり機嫌がよくなってしまいました。案の定そのハゲ、登頂(頭頂?)
寸前で連れの逆鱗に触れ、背中からまっ逆さまに叩き落とされてた。だけどおおよそダメージというもの
を感じさせない無表情ツラでスクっと立ち上がってまた別の誰かの背中に取り付いてるのを見た時はほぼ
間違いなくフロントザウルスの生き残りかなんかだと思いました。(恐竜は末端と脳の神経距離が長いの
で痛みを感じるまでに数秒を要します)。
この時点で連れの中の何かが崩壊、このうえない笑顔を見せつつ、そのまま背中から最前列へ突っ込んで
いきざま、憤怒の表情で周囲のキチガイ共を次から次へと担ぎ上げては投げ、背負っては投げてのクラウド
サーフ地獄に叩きこんでいるのを見て、僕は絶対狂ったと思いました。無事成仏してください南無ー
それにしても今回は皆マナー悪すぎ。ヘッドバンキングもいいけど前方だけに頭振れよ、上下に180度
振れてんじゃねえよ、メトロノームかよお前は、後頭部ヘッドバットが怖くてステージに集中できねえじゃ
ねーか、ってな文句はまだかわいい方で、何の脈絡もなく突然サイドから乱入してきてイゴール・ボブチャンチン
ばりの暴れっぷりを思う存分見せつけて そのまま嵐のごとく去っていった長髪の外人はいるわ、ドクター中松の
ホッピングシューズかなんか履いてンのかお前はと突っ込みたくなる程のはっちゃけぶりでそこらをビョン
ビョン飛び跳ねまくって周囲からウザがられ&ボコられてたピンボール野郎はいるわで、とにかく悪逆非道
の限りを尽すオモシロ野郎が多すぎました。メタルファンはわりと礼儀正しいンだよとか事前にエラソーに
講釈たれてた僕の立場をどうしてくれるんだ、というわけで今回は音楽とは全然関係ないレベルで楽しめた、
久々の頭の悪さ全開ライブでありました。
え? 肝心のライブの内容? うーん…
・音がツブれまくって原曲がさっぱり分からない
・ヴォーカルのアンダースの存在自体が意味不明(声が全然聴こえない)
・それ以前に皆たぶん音を聞いていない
・ビヨーンの髭がウザい
こりゃデスメタル流行らんわけだわー
連れの二人に感想聞いてみたら微妙な笑顔で「う…ん、楽しかった…」って言われました。
どこが?って聞いたらまた同じ返事が返ってきた。既に答えになってない。こらデスメタル流行らんわけだわー
だけど音はマジ悪くないンだよなあーってなわけで今日の一枚。
SOUNDTRACK TO YOUR ESCAPE / IN
FLAMES
旧作における、あのイエテボリ・サウンドと称されたスウェーデン直送のデス魂。
それが影をひそめた代わりに得たのはモダン・フィールのブルータリティとメジャー感?
正直、最近の流行りであるなんちゃって重々しさがそこら中から匂ってきて、それがちょっと
鼻につく感じもありますが、そんな文句を封じ込める程、この最新作は楽曲のバランスが
冴えていると思います。"My Sweet Shadow"におけるメリハリの利いたメロの良さや
"Superhero…"での畳みかけるようなソリッドさが顕著にこのアルバムの出来の良さを
示しています。加えてメロデス一辺倒から何らかの脱却を図ろうとしてるそんな彼等の努力も
買ってあげたい、というわけでデスというジャンルに少しは興味のあるそこの貴方にオススメ。
強烈なパンチ感は薄いけどその分、万人向けの聴きやすさがあるので、入門編には最適かと思われ。
<今日の無駄Tシャツ>
#一昔前のゾッキーがバイクにペイントしてるファイヤーパターンばりの頭の悪さ。
むしろスポンジ度ナンバーワン(主に前頭葉の辺りが)、着れば誰もがスクレイピー