METALLICA..


2010年9月26日: さいたまスーパーアリーナ>

今や重金属ジャンルの頂点たる存在である「METALLICA」が、サマソニ06以来、
約4年ぶりとなる待望の単独来日を果たすと聞き及び、メタル界隈のいわゆる「BIG 4」
単独鑑賞フルコンを目指しているこの身としては、当然おさえておかねばならない重要
ライブであるからにして、万難を排し且つ万全を期して、埼玉新都心はスーパーアリーナまで
行ってまいりました。ちなみに前座の方は「THE SWORD」に「FEAR FACTORY」とこれまたメチャ豪華。
てか今ライブ、規模的にはほとんどフェス・レベルなんじゃ?


<THE SWORD>

トップバッターを務めたのはドゥーム・メタルの気鋭「THE SWORD」。
このバンド、確か「LAMB OF GOD」単独の際、その前座で見たのが初でその時はわりと印象良かった
筈なんですが、音量が若干、というかかなり小さくてその最大の武器たる鉈のごとき鈍いヘヴィネスを
感じさせるリフ音が、ほとんど目立ってないというね。まあビッグバンドの前座にはよくありがちな
メインを目立たせる為の「はじめチョロチョロ」的待遇なんでしょうけど、かなり可愛そうなことに
なってました。なので今回は評価外かな。ラウパーとかフジとかでちゃんと聞きたいバンドかも。

 01:Acheron / Unearthing the Orb
 02:Freya
 03:Tres Brujas
 04:How Heavy This Axe
 05:Lords
 06:Arrows in the Dark
 07:Winter's Wolves
 08:Iron Swan


<FEAR FACTORY>

で、2番手がインダストリアル系のメタルとしてはもうベテラン勢、確かなる地力を誇る「FF」。
ギタリストのディーノがあまりにファットすぎるせいで「ピザ・ファクトリー」なんて呼ばれ方を
しちゃうこともあるらしいけど、この8弦使いなデブはバカ上手い上に愛嬌あるのでかなり大好きな
ギタリストの一人だったり。演奏の方は、うーん、やっぱり音圧がかなり弱い…のは致命的かも。
ドラム、あの超凄腕プレイヤー「ジーン・ホグラン」の筈なのに、いまいちその真価を感じません
でしたからね。ただ曲メロは確かにいい、ホント単独でしっかり聞きたいと思わせる良曲が目白押し。
特に最初と最後の"Demanufacture"と"Replica"なんか、もっと盛り上がってもいいはずだろと。
まあ今日ばかりは主役がビッグすぎるだけに仕方なし、いずれ単独できっちり拝ませてもらいます。
(というか前座の両バンドともこんな扱いなら、前座いらないんじゃ…?)

 01:Demanufacture
 02:Self Bias Resistor
 03:Powershifter
 04:Christploitation
 05:Acres of Skin
 06:Shock
 07:Martyr
 08:Replica


<METALLICA>



そして、いよいよ本日のメイン「METALLICA」が「Saxon」の"Heavy Metal Thunder"を合図に登場。
でもっていきなりの筆頭ヘドバン曲"Creeping Death"に"Ride The Lightning"の連続投下により
スタンディングのアリーナは速攻で地獄絵図に。荒くれ者達の脳筋モッシュがそこら中で乱舞展開
されていく様をスタンド上部席から見下ろしつつ「うむ、人がゴミのようだ」とごちながら飲むビールは
マジ最高すわー。背面スクリーンがやたらクソでかくてステージから遠いこの席でも全然視聴ハンデに
ならないところも非常に良かったです。ここ「さいたまスーパーアリーナ」は「Green Day」来日時に
盛り上がると思われるアリーナをわざわざ選んでステージがまるで見えないの悲劇を味わった場所だけに
今回はスタンドを選んだんですが、これ大正解でしたね。
3曲目はよもやのレア選曲"Through The Never"。かのメガヒット盤「METALLICA」の中じゃかなり
地味目な曲ですが、このアルバムをリアルタイムで死ぬほど聞きまくったこの身としてはこれはかなり
嬉しいチョイス。そしてそこから繋げられた次曲が"Disposable Heroes"とあってはこれはもう翌日の
ダメージ無視で首を振りまくるしかないだろと思っていたその真横を、明らかに昂ぶりすぎと思われる
御仁がダッシュで通過し、更に係員の制止を振り切ってアリーナへ特攻、そのままガチムチの黒人勢と
乱闘らしきものを繰り広げるという奇跡の顕現に立ち会えたのもまた楽しき一幕かな…的な?(合掌)

中盤から後半にかけてのその他ハイライトを挙げるなら、最新アルバムからの"Cyanide"中における
最前の客の顔面を順繰りドアップで背面モニターに映していく演出が面白かったかなと。いやアイデア
そのものよりも発狂極まったその顔面無双っぷりが。とりまモー娘の旗を掲げるのはやめときなさいと
思いましたマル。それから"One"ですかね。曲出だしの戦闘シーンを模した火花バンバンな演出からの
曲後半におけるハード・パートでのパイロどっかんどっかんは鉄板で盛り上がるだろと。しかし本当に
ヤバかったのはその後の"Master Of Puppets"でした。まず出だしのリフ一発で血温が瞬時に臨界状態へと
引っ張られ、更に全メタル曲の中でも筆頭級と思われるその後の哀愁ソロに被さった2万人のハミングで
涙腺崩壊へと誘われ、仕上げに終盤間際のマスター連呼で魂ごと天元突破へ導かれるという全メタラーに
とっての究極の至福がここに…と思いきやその余韻を味わう暇もなく始まった"Fight Fire With Fire"で
どこまでも仕上がっていくミー、その幸せのドミノ倒しの到達点は"Enter Sandman"における曲途中の
演奏止めから最早恒例となったジェイムスの煽り「オーイエー?」を聞いた瞬間だったといいますマジ
格好いいわ。本当にメタルを好きで良かったと心の底から思わせてくれた時間帯でした。

その後も大の「QUEEN」ファンであるミー的にはあまりにも俺得すぎる"Stone Cold Crazy"が聞けたり、
「メタリカのライブを見るのは今日で100回目」と書かれたバナーを掲げていた外人をステージに上げて
シンバルを叩かせてあげるという心温まるヒトコマがあったり、ラストの"Seek & Destroy"ではアリーナ
全域をあますことなく巻きこんで展開された4つの巨大サークルに見入ったりと、最後の最後までとことん
楽しめた良ライブであると同時に、今のメンバー関係が極めて良好であることが垣間見えた充実の内容で
あったと思います。


<今日の一枚>

 「St. Anger」/ METALLICA

「METALLICA」という大傑作を生み出してしまったが故、その後のアルバム制作において常に「葛藤」
という名のストレスを抱え続けてきた彼らが、その情念をとうとう飽和させきったと思われる8th。
このアルバムの代名詞とされる「ギターソロのカット」という引き算が各曲の硬質感とそれに付随して
生み出される緊張感をより高めていることが主な評価とされているけど、楽曲の出来そのものもかなり
高いと思われるので、メタリカ後期の円熟作を求めてる方にオススメしときます。


<今日の無駄T>



#流石に大御所のバンドTなだけあって、冒険心ゼロの安定デザインでもその貫禄は十分に。



<セット・リスト>

01:Creeping Death
02:Ride The Lightning
03:Through The Never
04:Disposable Heroes
05:The Memory Remains
06:That Was Just Your Life
07:Cyanide
08:Sad But True
09:The Unforgiven III
10:...And Justice for All
11:One
12:Master Of Puppets
13:Fight Fire With Fire
14:Nothing Else Matters
15:Enter Sandman

16:Stone Cold Crazy (Queen cover)
17:Motorbreath
18:Seek & Destroy


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