The Chemical Brothers.


2010年6月5日: 幕張海浜公園>



昨年「FATBOY SLIM」をトリに迎え、八景島シーパラダイスで開催された「BIG BEACH FESTIVAL」。
今年はサマソニのビーチステージでお馴染みな幕張ビーチに場所を移し、「CHEMICAL BROTHERS」を
トリに据えて再開催されるとのことで、既に「UNDERWORLD」「DAFTPUNK」を単独で見た者としては
テクノ・ビッグ3、最後の1ピースを埋めるチャンス到来とばかり、幕張は海浜公園まで出向いて
きました。

実際サマソニでも海辺のユルユルな雰囲気を味わうチャンスはあったわけですが、いっつも見たい
アクトが多すぎて。なかなかビーチでのんびりってわけにはいかなかったんですよね。
なので今回はその雰囲気もふんだんに味わっておこうと思って、ケミカル開始前までその辺を散歩
したり、セカンドステージから流れてくる音に漫然と耳を傾けながらビール飲んだり、ホロ酔ったので
砂浜に寝っ転がってまどろんだりしてたらいつの間にか寝オチ。で、ふと目覚めたらすっかり夕暮れに
なっててトリのケミカルが丁度始まったところでした。

今回はDJセットでの来日とあって、ステージ構成はフジで見た時よりも規模小さめ。
卵型の天井も会場の広さに比して低めなせいかどうにもステージが狭っこく見えるし、照明のグレア
がきつすぎるでいか後方のVJスクリーン演出もあまり目立ってないしで、全体的なプロダクションは
正直いまいち。ところがそれをまるでマイナスに感じさせない程、出だしの新曲"Another World"が
メチャ良すぎるわけですよ。なんともいえない甘酸っぱさを伴ったこの叙情感、初っ端からいきなり
ガツンとやられましたね。でもって夕暮れから更に陽が落ちて辺りが暗くなった辺りで、今度は音響と
ライティングの素晴らしさ・上手さが目立ちはじめました。そしてふと気づけばすっかりアゲ状態に。
当初感じたステージセットのショボさなんかまるで気にならなくなってましたね。つまりテクノに
限らずライブにおける演出プライオリティは 音響=照明>VJ=セット、ということなのかなと。



その他の序盤〜中盤における盛り上がるどころとしては、たぶん"Horse Power"だと思うんですけど、
わざとジワジワあげていくことによる「おあずけ」状態が引き起こす、やきもき混じりのスリル感は
相当に楽しかったです。あとは海辺がほぼ闇に染まった辺りで繰り出された"Saturate"かな。
そんな中、ふと左をみれば夜の海、対岸の街の灯りがポツポツみえて実に雰囲気アリアリな中、
バックに流れるブレイクビーツ。どっちかっていうと無機質的イメージが強いテクノに、海や潮風と
いったナチュラルな要素がここまで合うとは思いもしませんでした。

で、ラストの〆がこれまたヤバかったです。多幸感を誘うイントロから、切なさ満点の主旋律に至る
までの張り詰めた期待感が半端なかった"Swoon"から、畳み掛けるように代表曲"Star Guitar"へと
繋いでヴォルテージが絶頂まで引きあがったところで、とどめにドッカンドッカン花火打ちあがる中、
"Hey Boy,Hey Girl"投入というね。「Here We Go!!」と絶叫する万人レベルのオーディエンスの
盛り上がりったら、刺青が入りまくってる上にキマりまくった客が結構いたせいもあってか、凄まじ
すぎて危機感を覚えたほど。フェスがラッシュで押し寄せる夏本番の前のいい予行練習になった一日
だったと思います。




<今日の一枚>

 「Further」/ The Chemical Brothers

浮遊感を伴った哀愁色濃いテクノやらせたら今や確実に世界一のユニットが、
満を持して世の中に送り出した、2010年発表の7枚目にして現時点での最新作。
いまいち掴みどころがなかった前作と比べ、"Swoon"・"Another World"を
筆頭とする今アルバム収録曲は分かりやすい上にインパクト抜群、ほぼ全てが
はずれなし。まず聴いて損しない現代テクノの代表作だと思います。


<今日の無駄T>



#新譜からの"Horse Power"をイメージしたケミカルT。
 普段着として1ウィークのローテーションにしっかりくいこんでます。



<セット・リスト>

01:Another World
02:Galvanize
03:k+d+b
04:Escape Velocity
05:Horse Power
06:Wonders of the Deep
07:Out of Control
08:Saturate
09:Believe
10:Elektrobank
11:Dissolve
12:Chemical Beats
13:Swoon
14:Star Guitar
15:Hey Boy, Hey Girl


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