AC/DC.


2010年3月12日: さいたまスーパーアリーナ>

さあ遂にこの日がやってきました。
「ライブ・イン・マドリッド」のDVDを見て驚異的に感銘を受けて以来、
そして19年ぶりという2001年公演を仕事で見逃して以来、生でそのパワーを
体感する日をひたすら待ち続けていましたが、遂にそれが実現する日がやってきたと
いうわけです。でもって早速場内に入ってみればまあいるわいるわ、そこら中がもう
角・角・角だらけ。その角がアリーナ付近で密集してピカピカ光る様は400レベルの
高位置からだとかなり壮観でしたね。

で、ライブの方はというと正直な話、まだ演奏開始前だというのにイントロのビデオを
見ている段階で何故か涙腺がヤバいという異常事態。なもんだから"Rock 'N' Roll Train"
のPVに出てきた暴走列車がスクリーンから擬似的に飛び出す演出と同時にアンガスが登場
したのを見た瞬間、思わずホロリときちゃいましたね、いや早漏にもほどがあるだろと。
てか随分と色々なライブを見てきましたけど開幕前でジーンときちゃったライブなんて
これが初めてかも知れません。あ、自分は自分で思ってる以上に「AC/DC」が好きだった
んだなって半強制的に実感させられちゃったオープニングでした。
そんでもって最近のライブにゃ珍しくメチャ爆音なわけですよ。だけどエフェクターとか
あんまし使ってないのか音そのものはわりかしクリア。そんなラウドな演奏陣を押しのけて
圧倒的に目立っていたのは実はブライアンの生声そのものでした。初めて聞いた時、なんて
ヘヴィな声なんだと感じたのは今でも覚えていますが、本来ならあまりシャウトに適してない
声質の筈なのにこの声量はちょっと只事じゃないと思いましたね。

そんな彼に負けじとアンガスがトレードマークのダックウォークを繰り出せばもう会場が
沸く沸く。特に最も有名なリフの一つとされる"Back In Black"と「いともたやすく行われる
えげつない行為」こと"Dirty Deeds Done Dirt Cheap"の演奏時に花道で披露されたそれは
本当にヤバかった…!この歩き方一つで会場の空気を支配するオーラ力にはいたく興奮
させられましたね。いや見た目は単なるハゲのオッサンな筈なんですけどね、そんな彼が
ギターを持っただけでこうまでカッコよくなるかっていうくらい、その一挙手一投足が
映えまくってるわけですわ。
その真骨頂が"The Jack"でのストリップ演出。初老のオッサンの裸を見て2万人が熱狂って
文字だけで見るとどう考えてもおかしいわけですが、理屈抜きで楽しいんだから仕方がない
だろと。特に「AC/DC」とプリントされたトランクスが遂にお目見えした時の場内のアガり
っぷりったら尋常じゃなかったですね。あ、ちなみにこの曲、如実にスローな進行が古臭く
聞こえちゃっていまいち好みじゃなかったんですが、いざライブで体感してみたらサビ部分
のシンガロングに合わせて少しずつ脱いでいくアンガスのアクションが面白すぎてすっかり
好きになっちゃいました。

ちなみに前半から中盤にかけてのミー的な山場は"Thunderstruck"と"Hells Bells"。
ステージから客席へ向かって放射状に伸びる照明が「サンダー!」の大合唱と上手い
具合にシンクロった様が見事すぎて俄然アドレナったりとか、いい年こいて花道から
全力疾走しーの釣鐘のロープにジャンプ一閃、ブラ下がったブライアンの若々しさに
エキサイトしたりだとか。

で、後半の見どころはまあ全部っちゃ全部で、いちいち挙げていけば枚挙に暇がない程
なんですけど、その中でも特に!というシーンをあえてピックアップするなら、
まずは"TNT"ですね、なにかと不評を買うオイオイ族が今なら文句ないだろとばかり周囲を
気にせず思う存分オイオイしてる様とその高揚を更に盛り上げるパイロの火柱が印象的でした。
でもって"Whole Lotta Rosie"ね。超巨大ビッチが電車にまたがって腰ふりつつ足踏みで
リズムを取ってる様は文字通り「圧巻」という他なし。
当然のごとく周囲も凄まじい盛り上がり、座席指定を完全無視して雪崩こんできた外人軍団に
押されまくって危うく3階席からダイブかましそうになるほど。

  


そんでもってこれまたお約束シーンですが"Let There Be Rock"でのアンガス・ソロ。
ダックウォークからお立ち台上をのたうち転げまわっての駄々っ子プレイ、そこから台ごと
せりあがって真下から噴出された大量の紙吹雪が舞う中を怒涛の掻き鳴らしプレイという。
背景スクリーンとアンガス自身の姿が同期しあってのミラー演出も最高でした。
もうね、単なるハゲで小っちゃいオッサンがここまで究極的にカッコいいというこの矛盾、
ジョーストラマの言葉じゃないけどやっぱしロックはルックスじゃなくて姿勢なんだという
今更当たり前すぎることをことさらに深く実感したシーンでしたね。
 
アンコール以降の展開も無論、怒涛の押せ押せ攻勢。
もはや沸騰を超えて確実に臨界状態なとこへ、HRジャンル曲の中じゃ最も有名なリフの
一つであろう"Highway To Hell"の「アレ」くらったら、そら周囲はみな発狂しますわな。
当然サビじゃ頭の両側に人差し指構えての角出しポーズで「Highway To Hell」を絶叫。
でもってとどめは"For Those About To Rock"。
古代ローマの剣闘士に捧げられた「これから死にゆく者に敬意を表する」とのセリフから
ヒントを得たとされるこの代表曲の後半、かの有名な「FIRE!!」による大砲発射演出から
リズムが徐々に加速していってそのヴォルテージがマックスに達したところでの連発演出、
ブライアン渾身の「SHOT!! SHOT!!」の絶叫を前にまたもやジーンですよ。
「ライブ・イン・マドリッド」の伝説のあのシーンをよもや肉眼で拝む日がこようとは!

で、ライブ終了後、ふと気づいたら足の筋肉がメチャ張ってて「えっ?」ってなりました。
つまりはそれに気づかないくらい、楽しかったということですね、ホントただひたすらに
楽しいっていう至高のライブでした。
最後にこのライブの素晴らしさをよく表してるナイスな下りだと思ったので、某掲示板で
見つけたとある名無しさんの書き込みを載せておきます、

 客電が落ち、皆が立ち上がる中、斜め前の男は座ったままだった。
 "Rock N' Roll Train"が始まっても座ったまま微動だにしない。
 具合悪いのか?付き添いで無理やり来たのか?
 そんな男などつゆ知らず、AC/DCは最高のライブを展開する。
 変化が起きたのは、ライブも中盤に差し掛かったころだった。
 "Hells Bells"で、その男は座ったままヘドバンを始めた。
 "War Machine"では手拍子を始め、"T.N.T."では拳を突き上げた。
 そして"Whole Lotta Rosie"で立ち上がりヘッドバンを続けた。
 終演までその男が座ることは二度となかった。
 「AC/DC」の勝利だった。


<今日の一枚>

 「Let There Be Rock」 / AC/DC

77年リリースのサードにして、「AC/DC」の名を世界に知らしめた歴史的名盤。
「JUDAS PRIEST」のそれをカミソリとするなら「AC/DC」のリフはまさに鉈、
しかも赤黒く錆びていてとてつもなくドでかいヘヴィ級のそれであるが故、
本能レベルの原始感覚に直結して、もう全身に響きまくりっス。
分かりやすさ満点にしてこの上なくヘヴィな"ロック"を聴きたいなら、まずはコレじゃないかと。


<今日の無駄T>



#メイデンTと並んで、HR・HM界隈のトップブランドと思われる「AC/DC」T。
 ライブに着ていくならほぼオールマイティに通用しそうなので、今後重宝しそう。



<セット・リスト>

01:Rock 'N' Roll Train
02:Hell Ain't A Bad Place To Be
03:Back In Black
04:Big Jack
05:Dirty Deeds Done Dirt Cheap
06:Shot Down in Flames
07:Thunderstruck
08:Black Ice
09:The Jack
10:Hells Bells
11:Shoot To Thrill
12:War Machine
13:High Voltage
14:You Shock Me All Night Long
15:T.N.T.
16:Whole Lotta Rosie
17:Let There Be Rock

18:Highway To Hell
19:For Those About To Rock (We Salute You)


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