Michael Schenker Group.


2010年1月13日: 中野サンプラザ>

えー、HR/HM系のバンドにとって花形と言えば、それはやっぱしギタリストになるわけで。
そんな中でも飛び抜けた技巧及び突き抜けたカリスマ性を持った一部の選ばれしプレイヤー達には、
彼らに対する惜しみなき賞賛とリスペクトの念がこめられたある種の「称号」が付くことがあります。
例えば…
 ・リッチー・ブラックモア → 「御大」
 ・イングウェイ・マルムスティーン → 「王者」
 ・ウリ・ジョン・ロート → 「仙人」
 ・ジョン・サイクス → 「殿下」
 ・ジョージ・リンチ → 「巨匠」
 ・デイヴ・メニケッティ or ゲイリー・ムーア → 「国宝」
 ・デイブ・ムスティン → 「大佐」
 ・クリス・インペリテリ → 「貴公子」
 ・ジョー・サトリアーニ → 「和尚」
 ・スティーヴ・ヴァイ → 「変態」
 ・ポール・ギルバート → 「校長」 

そしてロック・ギタリスト好きの誰もが必ず挙げるであろうあの称号「神」こと…
というわけでマイケル・シェンカーのライブを観に中野はサンプラザまで行ってまいりました。
いや3年前にも見たし今回はスルーの予定だったんだけど、「Praying Mantis」の公演終了後、
ザックのスタッフがその場でチケ売ってるの見つけちゃってつい… まあ今回は来日メンバーが
豪華ってのもあったし見とくかって。

ちなみに今回は席が2Fの一番前だったので双眼鏡をフル活用しての運指ガン見というロックの
ライブにあるまじき後ろ向きの姿勢全開な鑑賞スタイルで臨んでみました。
でもってマイケルですが、今立ち位置は公演ブッチぎった4年前とは逆の客席から見て右側、
顔つきや体型は以前に比べて明らかに精悍かつスリムになっててかなり若返ったような印象を
受けましたね。また肝心かなめのプレイの方も多少あっさり風味なもののその安定感は抜群、
時折挟まる鬼のような速さのフレージング制御は実にスムーズだし、情緒豊かなあのタッチも
健在だし、Vの凹部分を太腿の間に挟んで弾く独特のスタイルもところどころで拝めたしと、
ここ数年の不調がまるで嘘のような充実したステージングを披露してくれていましたね。
まあプロなわけですから本来ならこれが当たり前の姿な筈なんですけども、こと彼に限っては
パフォーマンス面における当たりはずれの差が大きすぎる上に、実際プレイが始まってもその
時の気分次第でいつライブが中断されるか分からないという、あまりにあんまりすぎる欠点を
もはや名物レベルにまで昇華させてしまった程のお方ですからね、当然見てるこちら側としても
ライブに臨む心構えがそんじょそこらのバンド見るのとはダンチなわけで、そういう意味じゃ
今来日公演はメチャ当たりの部類だったんじゃないかなと。

加えてそんな絶好調のマイケルを支えるバック陣もメチャメチャ豪華。
"Armed And Ready"時の間奏パートで元「TOTO」の敏腕ドラマー、サイモン・フィリップスが
あくまで抑え目でありながらその個性を十二分に感じさせるソロついでにスティックをポンポン
放ったかと思えば、その手前では最盛期のホワイトスネイクに後期サバスを渡り歩いてきたベース
仕事人のニール・マーレイがその… あ、彼のプレイはわりと普通で特に目立ってませんでした。
でもってフロントを飾るは「MSG」初代シンガー、あの伝説のゲイリー・バーデン…!
いや伝説ってもフォーカスされたのはその歌の下手さ度合いだったんですけど、その辺は悪い
意味で進化を遂げてましたね。何せ無理やりガナる悪癖はそのままに、ヤバい部分は音程変えて
誤魔化す、とどめにほとんどのサビを客に歌わせるなどなどトンデモ放題。特に"On And On"は
酷すぎ…たんですけど、まあこの人はガナリの強引さだけでボーカルやってるようなもんだし、
この下手さがマイケルのプレイを妙に引き立てているのもまた事実なのでアリっちゃアリかと
こちらに思わせちゃうところがこの人の不思議な魅力と言えばまあそうなんですけれどもね。
しかしまあ今回の最大の功労者はサブギター兼キーボードのウェイン・フィンドレーでしょう。
バックでリズムギターを刻みつつも隠し味となるキーボード・フレーズを入れるタイミングは
まずハズさないその器用さや、ラストの"Doctor Doctor"でマイケルのギターの弦が突然切れた
時の迅速なサポートなど、その献身っぷりにいたく感動させられたシーンがチラホラと。
彼のような縁の下の力持ち的存在がここ数年ツアーメンバーとして固定されているからこそ、
今のマイケルの充実があるんじゃ、とそこまで思わせるくらいの獅子奮迅な活躍っぷりだった
んじゃないかと。

さて、そんなサポート陣の活躍が目立った今ライブのハイライトですが、
まあ"Into The Arena"におけるソロ最後の盛り上がりシーンは何回聴いてもガチだなと。
あとはここ近年セットから落ちていた"Lost Horizons"の復活ですかね。最初のところで
最前の客に弦を弾かせていたのにはマジで驚きました。というかあまりに羨ましすぐる…!
そして導入のソロが始まった瞬間、思わず身震いしちゃった"Rock My Nights Away"、
「Rock Will Never Die」をアホほど聴いた身としてはコレにゃ感動せざるをえませんでしたね。
この前にネモ船長を演ってたらミーの中のライブ暦で伝説化したところですが流石にそれは
ありませんでした、というか"Captain Nemo"はここ最近、全然やってくれてないような…
まあそんな僅かな不満はありつつも、ここ数年の来日公演の中ではズバ抜けて良かったです。
流石にかつての鬼気迫るフィールというか狂気じみたようなキレこそありませんでしたが、
随所で見せてくれた極上の「流麗」プレイは、その唯一無二の称号を名乗るに相応しいもので
あったとそう確実に感じさせてくれた内容でしたね。この公演はDVD化されるらしいので
こりゃ絶対買いですな。


<今日の一枚>

 「Rock Will Nevwe Die」 / Michael Schenker Group

「限りなき戦い」ツアーにおけるハマースミス・オデオンでのライヴを収録。
今よりもムラっ毛があったが故、駄目なときは酷いけど日によってはこれが同一人物かと
思うくらい神がかったプレイをすると言われた全盛期当時のマイケルの当たり日ライブな
もんだから演奏はキレキレ。セットリストも文句なしのベストチョイスだし、クラウスと
ルドルフが飛び入り参加しての"Doctor,Doctor"も聞けるわで充実しまくりの一枚。
ミー的にはライブアルバムとしちゃ、リピート回数は一番かも、


<今日の無駄T>



#いかにもなクラシックHR系の、ちょっと古臭い感じのデザインだけど、
 こういうベタの王道系デザインはむしろ好みだし、作りもしっかりしてるしで、かなりオキニー。
 今後、ライブ用Tのローテ一角を担う存在になるかも。



<セット・リスト>

01:Feels Like A Good Thing
02:Cry For The Nations
03:Let Sleeping Dogs Lie
04:Armed And Ready
05:Victim Of Illusion
06:Ready To Rock
07:I Want You
08:A Night To Remember
09:Into The Arena
10:Lost Horizons
11:Rock My Nights Away
12:On And On
13:Attack Of The Mad Axeman

14:Ride On My Way
15:Rock Bottom

16:Dance Lady Gypsy
17:Doctor, Doctor


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