ULI JON ROTH.
＜２００８年１１月１２日： 中野サンプラザ＞
元スコーピオンズのギタリスにして通称「ギター仙人」ことウリ・ジョン・ロートの
７年ぶりの来日ライブを見に、中野サンプラザまで行ってきました。
「EMI」との契約が切れて以降、財政難に陥ってしまい、現状ではウェールズの屋敷を
売却しなければならないだとか、正式に破産宣告しただとか、ここ近年ちょっと心配な
ニュースが流れていただけに、とりあえずは無事来日してくれて何より。
で、いざライブが始まったわけですが、いきなりのスコピ初期曲"Sails Of Charon"に
周囲が沸きまくってる丁度その頃、ミーはウリご当人よりも、かのインヴウェイ様に
「彼は髪の毛の問題があったんだ」呼ばわりされたことで名を馳せたマーク・ボールズ
さんのニット帽をひたすらガン見する羽目になっておりました。てかマークて。人選ツボ
突きすぎだろと。あ、かなりファットになられてはいたものの、あの美声は健在でしたよ。
てなわけでウリ仙人携えるスカイギターの驚異的な音色に耳を奪われ始めたのはライブも
序盤を過ぎた"Letter Of The Law"・"Fire Wind"辺りから。
しかしまあこの連鎖しまくる音の繋がり方、一部の隙もないその流麗さはなんということ
でしょう…！（ビフォーアフター調）至極クリーンなトーンでありながらそれと相反する
ソウルフルなパワーやブルージーさをも併せ持つ音色、やっぱしウリはパなかったですね。
特に"Fly To The Rainbow"で見せた「静」、"Dark Lady"で見せた「動」の強烈無比
極まりない「泣き」、いやその一歩上をいった「慟哭」プレイは圧巻の一言。
でもってミー的には非常に寡黙なイメージがあったウリなんですが、これが意外と喋って
くれるわけですよ。スカイギターのチューニングに手間取った時「ギターも疲れるからね」
だとか、時計をチラっと見て「あと時間どれくらい？日本はドイツと違ってそんなに厳しく
ないよね？じゃ何やろうかなー」だとか結構フランク調に。この辺り、その場でセットを
決めるウリのフリーダムさや、いい意味でのルーズさがチラ見えて面白かったですね。
他の聴きどころとしては後半の「SCORPIONS」パートから出てきたリズさんの、本家と聞き
間違わんばかりの透き通ったヴォーカルが挙げられるでしょうか。ただでさえ初期蠍団の
名曲がウリの神業スウィープとともに次から次へと演奏されまくって情感昂ぶってるところへ
このハイトーンはヤバいだろと。マークも頑張ってましたけど正直このリズさんの前にゃ
多少存在が霞んだかも。
あとアンコールで元メガデスのマーティが出てきて「トニカク信ジラレナイ、光栄デスヨ！」
とか宣いつつ、これまた初期スコピの名曲"In Trance"をやってくれたのは嬉しかったなー
その後のジミヘン祭りでも、華麗もしくは流麗なイメージが強いウリのプレイを根底から
覆すような荒々しさ２００％の本能剥き出しチョーキングに悶絶しまくったりと、始めから
最後まで見どころ満載、ほとんどダレを感じさせない充実しきりの内容だったと思います。
ただ最も聞きたかった"Sky Overture"ナシはあまりに御無体… 前日はプレイしてくれた
みたいなので日が悪かったと諦め……られるわけないわー もし次回あったら全日程参加かなこりゃ。
＜今日の一枚＞
「Transcendental
Sky Guitar」 / ULI JON ROTHギター仙人ウリ御大の全てが詰まっているといっても過言ではない究極のギターアルバム。
オープニングの"Sky Overture"における、壮大にして幻想的かつ叙情的にして情感豊かな
渾身の入魂プレイは、未だにミーの中じゃギターソロのナンバーワンにしてオンリーワン。
シェンカーやゲイリー・ムーア系の「泣き」テイストが好きな方は絶対聴くべし！