Def Leppard & WhiteSnake.


2008年10月24日: 日本武道館>

「WHITESNAKE」に「DEF LEPPARD」という80年代のハードロック黄金期を作り上げたこの偉大なる
2バンドがよもやカップリング公演してくれる時代になろうとは。そうまでしないと安定した集客が
望めなくなってきたショービジネス界の落ち込みが背景にあるとはいえ、客サイドからしてみれば
こんなにおいしい機会もそうはないわけで、ライブ当日、いやいや不況も捨てたもんじゃないですなと
ホクホク顔で呟きながら九段下・北の丸公園わきの人ごみをすり抜けていく男の姿がそこにあったと
いいます。そんなこんなで去年11月のエルトン先生以来、約1年ぶりの武道館行きと相成りました。


WHITESNAKE

のっけから炸裂した白蛇名物「デビカバ御大のマイクスタンド芸」、それを「押すなよ!押すなよ!」
してる竜ちゃんを見るような視線で暖かく見守る観客達という、まずはお約束中のお約束で幕を切った
出だしとそこから中盤までの流れは、久々の新譜アピールタイムでもあったせいか、もしくはその新譜
からの楽曲が若干地味すぎたせいかどこか中途半端なノリに… なんていうかそのスターオーラっぷり
だけで半ば強引に場を牽引している様が見てとれすぎてしまった、みたいな?
いや、そのスローなノリを最大限に活かした"Lay Down Your Love"のブルージーな歌いっぷりとか
結構好きですよ?でもね、いくら御大から「ウタッテー」と熱く煽られても、実際問題そこまで新譜を
聞きこんでませんがなってお話だったりも。未だロックスター然とした体型をキープしてることでかなり
期待していたダグ・アルドリッチのソロもいまいち面白みなかったし。そんな中に一人気を吐いていたのが
セカンドギタリストのレブ・ビーチ。今やすっかりデブ・ビーチといった感のあるその外見はともかくと
して、お得意のタッピング連発を含めた華やかなソロはまさに「流麗」の一言。
「Winger」→「Alice Cooper」→「Dokken」→「Night Ranger」→「WHITESNAKE」と一流バンドを渡り
歩いてきたわりにはいまいちパッとしない印象が否めないレブですが、どうせメインを張れないなら今の
白蛇よりも古巣の「Winger」を本格的に再始動した方がいいんじゃ?
と、そんなこんなでどことなくムラっ気要素が目立つステージングだったわけですが、終盤付近で
きっちり帳尻合わせてくる辺りは流石この道30年のベテランといったところ。ブルージー極まりない
イントロから徐々にアゲていく展開が毎回鳥肌ものの"Heart Of The City"、オーディエンスの大合唱を
誘発した"Give Me All Your Love"から、お約束の"Here I Go Again"(聞きすぎて正直食傷気味)を
挟んで、飛びぬけたカッコよさを誇る"Still Of The Night"へと繋いでいったゴールデン・コンボによる
盛り上げをみる限り、実力的に衰えたようには見えないし、実際まだまだイケてるんじゃないかと。
…まあ「往年の名曲に限り」の注釈付きではあるかもしれないけど。

 01:Best Years
 02:Fool For Your Lovin'
 03:Can You Hear The Wind Blow
 04:Love Ain't No Stranger
 05:Lay Down Your Love
 06:The Deeper The Love
 07:Is This Love
 08:〜 Guitar solo 〜
 09:A Fool In Love
 10:Ain't Gonna Cry No More
 11:Ain't No Love In The Heart Of The City
 12:Give Me All Your Love
 13:Here I Go Again
 14:Still Of The Night


DEF LEPPARD

で、20分程のセットチェンジを経て、いよいよ「DEF LEPPARD」登場。
そしてオープニングの"Rocket"からいきなり大合唱が沸き起こるのを見て「白蛇」との反応の差に
思わず涙するミー。本来なら受けづらい筈の新譜曲においてさえガッツンガッツン盛り上がってるし。
(白蛇の新譜曲においては……だったのに)ついでに照明、セット、スクリーン全てにおいて
「白蛇」のそれより上だったところも泣けました。世紀の大物ジョイントライブかと思いきや蓋を開けて
みれば「白蛇」よもやの前座扱いてどんだけ〜 とはいえミー的にも今回が初見となる「DEF LEPPARD」の
方を楽しみにしていたのは否めないところであったがゆえ脳内でデビカバさんに謝りつつ、まずは隻腕の
凄腕ドラマーとして名を馳せるリックをガン見。いやあ眺めているだけで元気を貰えるようなドラミング
とでもいうか、ミドルテンポ中心の「Lepps」曲群なればこそ成立し得ている部分は多々あれど、元メロの
良さを更に味わい深く引き出すグルーヴ感覚は流石の一言でしたね。

それにしても妙に曲のブルージー度が濃いような…「Lepps」ってこんなだったっけ?と少々首を捻るミー。
いや当時聴いてた頃の記憶からすっと、もっとこうメタル寄りな印象があった筈なんですけど、むー、
これは時代の移り変わりに合わせて自分の中のメタル嗜好がよりハードな方向へ変化したが故でしょうか?
なにせ当時はまだ「スラッシュ」というジャンルがその産声をあげて間もない頃だったし、デスメタル系の
概念もまだなかったし…と、ステージ眺めつつ遠い目しながら回想に浸っていたら"Love Bites"キター!
だけどジョー、高音がメチャ苦しそうでかなりボロボロ… ハードロック系のバラード曲の中じゃこれ以上の
ものはないと信じて疑わなかったミーの中の理想が現実とのギャップで崩れかけていく最中、それをギリで
支えてくれたのはヴィヴィアン珠玉のリードギターでした。曲の雰囲気に合わせたフレーズ作りと並んで、
ライブでのアレンジセンスが本当に抜群なんですよねこの人。実際、彼在籍時代の「DIO」はマジ凄かったし。
そして彼を追い出してさえいなければ現在の「DIO」の惨状はなかったであろうことを考え(マネージャーで
あるロニーの奥さんがアホだったらしい)少々複雑な気分になりつつ、これまた懐メロ全開のバラード曲
"Bringin' On The Heartbreak"に聴きいりながら再び当時のシーンに想い巡らしたり。

そこから先においても彼らの名前を全世界に知らしめたモンスターアルバム「Hysteria」からの
"Hysteria"・"Armageddon It"などなど、あの懐かしの80年代後半を彩るキラ星のような名曲が次から
次へと。それに合わせてライブ観戦気分の方もすっかり懐古フル満喫モードの様相を呈してきたような。
その最たるものが"Photograph"ですよ、初めて聴いたときなんてヘヴィな声なんだと、これがメタルかと
驚愕し、その洗礼を受けたあの名曲が遂に…! と思いきや先程と同じくハイトーン部分が劣化しすぎてた
せいで今や見る影もなく、ミーはみるみるテンションを落とす羽目に。
まあその後に演った高音域レス曲"Pour Some Sugar On Me"や"Rock Of Ages"では見事な安定感を見せて
くれていたし、屈指のお祭りソング"Let's Get Rocked"中のサビ連呼は抜群に楽しいわで、一応終わり
よければ全て良しな内容ではありましたけど、デビューから30年を数えるだけあって全盛期はその
タフネスぶりで売っていた彼らも寄る年波には流石に勝てないのかなと、そんな感じの哀愁をうっすらと
感じさせたライブでもありましたね。

 01:Rocket
 02:Animal
 03:C'mon C'mon
 04:Foolin
 05:Make Love Like A Man
 06:Go!
 07:Love Bites
 08:Mirror,Mirror
 09:Bringin' On The Heartbreak
 10:Switch 625
 11:Hysteria
 12:Armageddon It
 13:Photograph
 14:Pour Some Sugar On Me
 15:Rock Of Ages
 16:Bad Actress
 17:Let's Get Rocked


<今日の一枚>

 「Pyromania」 / Def Leppard

イギリスが世界に誇るハードロック・バンド「Def Leppard」の出世作。
ミー的にはこのアルバム収録の"Photograph"により、洋楽系HRにのめりこんでいく
きっかけになったアルバム。
この後、ドラマーの交通事故による片腕切断というアクシデントがあり、バンド活動は
暗礁にのりあげるけど、87年「HYSTERIA」で見事に復活。特殊なドラムセットを使用して、
リック・アレン(Ds)もバリバリ現役。バンド自体もこの時期からヒット曲を連発しまくり、
より大きな成功をおさめる事に。


<今日の無駄T>



#大ヒット作「HYSTERIA」のジャケがフロント・デザインのデフレT。
 ロゴでかすぎるけど、アイアン・メイデン並の風格や歴史が感じられるのでアリ。


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