JUDAS PRIEST.


2008年10月1日: 国際フォーラム>

サバス、メイデンに並ぶヘヴィメタル界隈の重鎮にして開祖レベルの草分け的存在、
そして05年のハルフォード復帰以来から今もなお絶大なる人気を誇るプリーストのライブを見に、
有楽町は国際フォーラムまで行ってまいりました。
まあ新譜におけるメタルオペラ風味がいまいち好みに合わなかったのと、3年前にも見ているという
事が重なって正直今回は随分迷ったんですけどね、当日券アリとの情報を見た途端、自然と足が会場に
向かっちゃったんだからこれはもうメタルゴッドの魔力にやられたと思って諦めるしかないかーって。

しかしまあパシフィコ横浜・日本武道館という大バコを経ての平日公演だっただけに2階席は完全封鎖、
加えて1階席後方もほぼ閉鎖と客入りの方はお寂しいかぎりでしたね。縦方向に47列ある座席の約半分
くらいまでしか埋まっていないのを見たときは流石に顔面がひきつりました。しかして開幕直後にこれを
目の当たりにしたグレンの顔はミーのそれの比ではなかったといいます、さあ祈りましょう…

でもホラ、そこは流石に百戦錬磨のプリースト。
そんな客の少なさなどものともせず一切の手抜きなしな渾身全力のパフォーマンスを序盤から披露。
特に"Between the Hammer…"や"Devil's Child"で聴かせてくれた「鋼鉄」という言葉の
イメージまんまな全力シャウトや彼らもうひとつの代名詞たるお家芸のツインソロ、
そして"Breaking the Law"のラストにおける観客との掛け合いシンガロングはヘヴィメタルにおける
最上格というものをまざまざ魅せつけてくれるに相応しいオーラを放っていましたね。いやーこれを
体感して身震いしないメタラーはいないわ。オジーが衰えすぎた今、ここまで伝統的な「メタル」と
いうものを感じさせてくれるバンドって、プリースト以外じゃもはやメイデンくらいかも。

そしてその後に続くはかの歴史的名盤「Painkiller」から"Hell Patrol"、
徐々に上昇していく高揚感とともにじわじわと己が中のメタルリビドーが掻き立てられていくその
カタルシスたるや…! ちょ、今回定番以外からの曲チョイスが素晴らしすぎやしないですか?
またロブは05年復活公演時より声も動きも全然いいし、トミーリーばりにスローイングとジャグリング
きめまくるスコットのドラミングも冴え渡ってるし、バックドロップがその曲のイメージを示すものに
サクっと切り替わる演出もナイスだし、KKは終始ニコニコ笑顔で楽しそうだしとなんかもうこの時点で
いろいろ満足な状態でしたね。あ…グレンさんの表情だけはチョイ渋め気味だったかも…

また前半〜中盤における押せ押せのハードパートから一転、しっとりと聴かせてくれた"Angel"も実に
良かったですね。よもやここまで神曲だったとは… メタルオペラ的な荘厳さと大仰さに溢れてはいる
ものの曲としての面白さにいまいち欠けると思われる前曲の"Death"にて若干のダレを感じていただけに
その感動もよりひとしおといった感じでした。
本来ならこの位置にくるのは定番バラードの"Beyond The Realms Of Death"なんでしょうけど、あえて
こっちをプレイしてくれたことで収録アルバムの「Angel Of Retribution」を再評価する気づきのきっかけ
になってくれたことも嬉しい収穫でしたね。

そして定番中の定番かつ名曲中の名曲である"HellionElectric Eye"とそれに被さるハミング大合唱が
まず口火を切り、"Rock Hard, Ride Free"のサビにおける勇壮極まったコール&レスポンスがその興奮を
更に後押し、そしてそして"Sinner"〜"Painkiller"の今にも吐血せんばかりな超音波シャウトがどこまでも
頭を振らしめついでに我々を更なる超絶ハイのトリップ空間へと誘った終盤の展開こそ、下手すりゃアンコールが
蛇足になってしまうくらいの、まさに完璧なフィナーレでした。
まあ、あまり客入りが芳しくなかっただけに「なら俺が!」的な気概をもった筋金入りのプロメタラーが多数
いたことによる無理やり気味の盛り上がりだったことは否定しませんが、それに引っ張られて実に気持ちよく
頭を振れた事、セトリがわりかし神レベルだったことも含めて、満足しきりの内容だったんじゃないかと。


<今日の一枚>

 「Angel of Retribution」 / Judas Priest

あの超名盤「PAINKILLER」から14年、不遇のリッパー時代を挟んでよもやのロブ復帰とともに
放たれた通算15枚目のシーンバック作。
これはメチャ名曲!といった突き抜け感はなけれども、メタルとしての芯をしっかり踏まえた上で
様々なタイプの佳作曲をズラッと並べたハズレなし構成と、スピードチューンやメタルコア系などの
トレンドに寄り掛かることなくして最先端メタルにひけをとらないヘヴィさを醸し出した「王道」
コンセプトは「プリースト・イズ・バック」を完璧に証明しきったと思われる入魂の一枚。必聴!


<今日の無駄T>



#「復讐の叫び」バージョンとさんざ迷った末、結局こっちの新作「ノストラダムス」バージョンをチョイス。
 いや、バック面のオッサン顔が気に入りすぎてつい… 今は反省しています。



<セット・リスト>

01:Intro: Dawn of Creation
02:Prophecy
03:Metal Gods
04:Eat Me Alive
05:Between the Hammer And The Anvil
06:Devil's Child
07:Breaking the Law
08:Hell Patrol
09:Death
10:Dissident Aggressor
11:Angel
12:The Hellion / Electric Eye
13:Rock Hard, Ride Free
14:Sinner
15:Painkiller

16:Hell Bent For Leather
17:The Green Manalishi
18:You've Got Another Thing Coming


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