THRASH DOMINATION 08.
<2008年9月20日: 川崎クラブチッタ>
パンクの春「PUNKSPRING」、ポップ/ロックの祭典[FUJI」に「SUMMER SONIC」の夏ときて、
この「スラッシュ・ドミネーション」に翌月の「ラウドパーク」と続く"メタルの秋"が今年も
いよいよやってきましたよ。というわけで今年も川崎クラブチッタまで行ってまいりました。
ちなみに過去メンツ&今メンツはこちら。
・04年:「FLOTSAM & JETSAM」「DEATH ANGEL」「OVERKILL」
・05年:「KREATOR」「LAAZ ROCKIT」「DESTRACTION」「TESTAMENT」
・06年:「DRAGONLORD」「ONSLAUGHT]」「SODOM」「DEATH ANGEL」
・07年:「NEVERMORE」「ANNIHILATOR」「DESTRUCTION」「NUCLER ASSAULT」
・08年:「FORBIDDEN」「VOIVOD」「TESTAMENT」
今年もベイエリアの秘密兵器「FORBIDDEN」、カナダのプログレ・スラッシャー「VOIVOD」に、
ベイエリアクランチャー元祖の「TESTAMENT」と、ツボを抑えきった充実のラインアップ。
このイベントも今年で早5回目ですが、当たり外れが大きいと言われるメタル系イベントに
おいてはほぼ間違いなく楽しめる最上位の良質フェスになってきて、2回目から参加している
ミーとはしては愛着ある分、個人的にも少し嬉しかったり。
<FORBIDDEN>
先陣を切ったのは「Testament」「Exodus」と並ぶベイエリア開祖組の一つ「Forbidden」。
肝心かなめの音が鳴る前からラスの巨体っぷりに気圧され気味だったところへ、のっけから
"Infinite"に"Forbidden Evil"と初期の代表曲2連発だったもんだから、フロア最前付近は
暖気を軽々と飛び越えて全開仕様の阿鼻叫喚モードへと早々突入。
そんな状況ゆえにそのほとんどが息も絶え絶えとなりながらの観戦となりましたが、ソロ中に
やおら後ろを向いて両手を高々と掲げながら客を煽るラスのポーズと、ほぼ全員おっさん揃いの
わりにやたら激しくポジションチェンジを繰り返す弦楽器隊の頑張りが特に好印象でしたね。
あと現「Testament」の凄腕ドラマーであるポール・ボスタフさんが(初期メンバーということも
あって)飛び入り参加した"Twisted into Form"〜"Chalice
of Blood"辺りの押せ押せ展開も
メチャ盛り上がったんじゃないかなと。
あ、このとき最後方の右扉付近に腕組みしつつもたれかかって食い入るようにポールのプレイを
見つめてる人がいたけど、アレもしかしたらアウトレイジの丹下さんだったかも。
01:Infinite
02:Forbidden Evil
03:Off The Edge
04:Follow Me
05:Step By Step
06:Feel No Pain
07:Out Of Body(Out Of Mind)
08:Through Eyes Of Glass
09:March Into Fire
10:Twisted Into Form
11:Chalice Of Blood
<VOIVOD>
センセーショナルと評するに相応しいステージングを魅せてくれた「Forbidden」に続いて
中トリを務めたのは、カナダの色物スラッシャー「Voivod」。
あ、この場合の「色物」の意はそのヴィジュアルでなくして音楽スタイルの方ね。
正統派スラッシュにデス混じりのそれをベースとして、その中にパンクやプログレなどの様々な
要素を詰め込んだとされるその音楽性や如何に?とワクテカ気分の前のめりで見ていた筈が、
まず魂もっていかれた当たりどころはその「実」では全然なくて、スリラーに出てくるゾンビ
みたいな動きしてたスネイクさんの挙動そのものでした。
っていうくらいこの人のキャラは濃かったですねー、前述の動きといいトカゲっぽい爬虫類ツラといい、
正直この人のパフォーマンス眺めてるだけでも退屈しなかったり。
じゃ「実」たる音の方は?…ってと昨年亡くなったピギーの代役さんがこの難解なコード進行を
よくもまあ事もなげに…って驚嘆せざるをえないくらいの凄腕でまずそこに唸らされたのを皮切りに、
そのプレイを光らせるアウェイのいぶし銀ときどき半狂乱ドラミングや、ブラッキーの噛み付くような
ベース音がただでさえ難解な曲調展開に翻弄されてる我々を更なる混沌の海へ誘っていくとでもいうか。
まあプログレ色の強い"Nuclear War"とか、そのまんまプログレの"Astonomy
Domine"とか、
知らない人には正直「ノリ」的にキツすぎるんじゃないの?と思われるような場面もありましたけど
(実際この時間帯は棒立ちが目立ってたような…)、名盤「Killing Technology」からの"Ravenous
Medicine"や"Overreaction"、特にサビ部分を「ターツーマーキー!」と言い換えての日本仕様
"Tornado"は文句なしに盛り上がっていたし、その独特色も十二分にアピれていたと思うので、
総合的に見るなら多少アップダウン激しめの80点といったところだったんじゃないでしょうか。
個人的には「Voivod」からのパンク色強めな曲をもうちょっと入れてほしかったかも。
01:Voivod
02:The Prow
03:The Unknown Knows
04:Ravenous Medicine
05:Overreaction
06:Tribal Conviction
07:Tornado
08:Panorama
09:Nuclear War
10:Nothingface
11:Brain Scan
12:Astonomy Domine(Pink Floyd)
<TESTAMENT>
さて、今年のスラドミもいよいよ大トリの時間帯。
例年だとこの頃にゃもう大概ヘロヘロなんですが、今年は多少余裕アリでしたね、
やっぱし体力的に考えたら今回の3バンド構成くらいが一番バランスとれてるんじゃないかと。
(そう考えると06年の5バンド構成はあまりに無茶がすぎたような…)
とかなんとか、開始の合図を示すシンリジィの"Boys Back Town"をバックに考えてたら、
…ちょ、登場直後の初曲からいきなり"Over The Wall"て。案の定、右を左へ、前から後ろへ
さんざ跳ね飛ばされることとなり、今日3回目くらいのピンボール玉プレイを半強制的に思う存分
味わされる羽目に。
と、そこへ数あるスラッシュ曲の中でも屈指の名ソロと言われるクラシック・パート、キター!
更にエリックとアレックスの揃い踏みプレイときたにゃ、なおもその横でチャックお約束の陽気な
エアギターが炸裂した日にゃ、そら漲らないほうが嘘ってもんでしょ実際。
しかもこの日は2曲目が「Anthrax」"Chught In The Mosh"と並ぶモッシャー達の一大アンセム、
"Into The Pit"でしたからね。ちょ、こんな強くて太いのアタイもう壊れちゃう〜っていうくらい、
最前フロア付近の狂騒度合いはエラいことになってましたね。
だけどこの出だしのアゲ特化チョイス、あまりに盛り上がりすぎたせいか、その後は尻つぼみ感を
若干感じざるをえないという哀しい弊害をも生み出すことに。や、曲の合間に挟まれるポールさんの
切れ味鋭い連打がド凄まじかった"Electric Crown"とか、そのメロウかつソロウなムードがライブ
全体の流れに箸休め的なアクセントを付けていた"The Legacy"とか、前来日時の単なる巨漢デブ転じて
ラグビー選手みたいなボディになってたチャックの迫力パフォーマンス(ガン克服おめ!)とか、
見どころ聞きどころはそこら中にあった筈なんですけど、初っ端の勢いを上回ることはやっぱりなくて…
まあ途中の音響トラブルのせいもありましたけど、それ以上に選曲の難しさというものを改めて感じ
させられたりも。うーん、ちょっと消化不良な内容だったかなー
01:Over The Wall
02:Into The Pit
03:Practice What You Preach
04:New Order
05:Electric Crown
06:More Than Meets the Eye
07:Henchman Ride
08:The Legacy
09:Apocalyptic City
10:D.N.R(Do Not Resuscitate)
11:Days In Darkness
12:Disciples Of The Watch
というわけで。
最後の「TESTAMENT」が若干残念な感じになっちゃいましたけど、その瞬間瞬間を取り上げれば、
やっぱり今年も十分かつ存分に楽しめたイベント内容だったと思います。
特に今回採用された「3バンド×1時間」構成はオーディエンスの体力的にも1バンドをじっくり
見れるという鑑賞点からも非常に良くまとまっていたように思えたんで、来年以降もこのシステムで
一つよろしくお願いします!>チッタさん。あ、そろそろ「Overkill」が見たいかもー
<今日の無駄T>
#正直パッと見だけじゃどのバンドなんだかさっぱりの「VOIVOD」Tシャツ。
「Forbidden」Tとさんざ迷った末、マニア色濃いめのこっちをチョイス。