WEEZER.
<2008年9月15日: 国立代々木競技場・第一体育館>
グランジ・オルタナ全盛時代の90年代前半、それと時をほぼ同じくして巻き起こったパワーポップ
ムーブメントの草分け的存在「WEEZER」のライブを見に、原宿は国立代々木競技場まで出向いてきました。
この日は「WEEZER FESTIVAL」との名目で、ともに夏の祭典ロキノンの常連組「GOING UNDER GROUND」と
「ASIAN KUNG-FU GENERATION」が前座につくというジャパロック好きにはかなり豪華な構成となっていま
したが、洋楽絶対主義のミーにとっちゃあまり魅力を感じなかっ… いやいやそれでも聞きましたけどね。
とりあえずキーボード担当なのにやたらと前に出てきて客を煽るだけ煽った末、いきなり着ていたTシャツを
ひっちゃぶいてトランポリンでその場を無意味に飛び跳ねるという絶無パフォーマンスをかましていた
ゴーイングの伊藤洋一クンが大好きになったことだけは確かなので、あまり興味なくとも前座はきちんと
チェックしとくもんだなあと思いました。
さて、いよいよお目当ての「WEEZER」。
かのクオモさんが眼前のステージにその姿を示すのを今か今かと待ってたらあにはからんや、何故か
観客席の中腹辺りからひょっこり現れて唐突に「ぽにょ」を歌い始めるという予測不能すぎる出だしから
今度は思い思いの楽器(ギターやタンバリンからカスタネットやリコーダーまで)を持った客と一緒に
"Island in the Sun"をプレイしはじめるという超展開を目の当たりにしてそは一体何事かと目を
パチクリさせる羽目になってしまいました。
後で調べたらこれ一般の人を予め募ってお目当てのアーティストと一緒に演奏させる「フーテナニー」
という名の企画らしくて、まあ素人がリズム刻んでるんだから当然のごとくグダグダでしたけれど、
実験的な意義と交流がもたらすハートフルテイスト、また本編を心待ちにしている客達を焦らすことに
よる爆縮効果はいざそれを迎えた時の盛り上がりを確かに一段高める効果があったんじゃないかなと。
あ、さりげなく「GOING UNDER GROUND」のバカものキーボード君が混じって上半身裸で飛び跳ねてた
シーンもたいへん微笑ましかったです。
で、いざ舞台をメインステージへ変えての初曲が、新譜の中でも1・2を争うオキニ曲"Dreamin'"
だったのはちょっと嬉しかったですね。その歴史を彩る初期の名曲と比べても見劣りしないような
良メロを安定期に入った今でも量産し続けられるってな、やっぱしクオモさんのソングライティグ力は
底が見えなさすぎますね。このことは本編ラス前の"Thought I Knew"やフィナーレを飾った"Greatest
Man That Ever Lived..."の時もことさらに思いました。特に後者、雰囲気を煽るアカペラのハモりと
切なさ満点の裏声がその哀愁グルーヴをさらに助長させたドラマティズム溢れる盛り上がりはもはや
"Buddy Holly"級じゃないかなって。それまで〆を飾ることが多かった"Surf
Wax America"でなくして
あえてこちらを持ってきた辺りからもその自信のほどが伺えたような。
その他のアガりどころを挙げるなら、直球ド真ん中の本命"Buddy Holly"できっちり場を仕上げた
直後にプレイされたよもやの"Creep"辺りとか。まあお世辞にも上手いとは言えないカヴァーっぷり
でしたけど、ディランの"Like a Rolling Stone"、ベックの"Loser"に続いてミーの中での落ちこんでる時に
聴きたくなる曲ベスト3に入っているナンバーだけに、また来月来日予定の本家本元がまず演奏して
くれないであろうことを鑑みるにつけ、ミーの中ではかなり漲ったサプライズタイムでした。
また「エモ」というジャンルにおける剛と柔の側面をとびっきりの美メロとともに分かりやすく示して
くれた"My name is Jonas"〜"Pink triangle"辺りの流れもかなり良かったんじゃなかなと。
そしてこれら見せ場をなお越えた今ライブのベストタイムが、大仰なくらいドラマチックな泣きメロが
どこまでも炸裂しまくった"Perfect Situation"後の"Say
ItA'int So"。
「溜めて溜めてドカーン!」なサビとそれにオーバレイする会場一丸となっての渾身シンガロング、
そしてその後に続く情感爆発のギターフレーズは、サマソニ05時はいまいち感じられなかったそれを
補ってあまりある程の高揚感を与えてくれ、と同時につい口ずさんでしまったフレーズから我が身の
音痴っぷりを思う存分自覚せしめてくれた非情なる時間帯でもありました。
ってか帰宅後ライブ感想をチェキってたら似たようなケースが思いっきり晒されてて吹いた。
<今日の一枚>
「The
Red Album」 / Weezer
往年のファンからはわりかしフルボッコっぽいめなウィーザー6枚目のフルレンス。
"Troublemaker"などのおバカ調全開なネアカ曲からかつての哀愁溢れる美メロを感じさせてくれる
曲に至るまで過去最強といってもいいほどバラエティに富んでいるところは確かに「統一感なさすぎ」
という批判も受けそうだけど、でもそのとらわれなさや下手な型にハマらない面こそをウィーザーらしさと
受け止めて真摯に聞いてみれば全然悪くないどころか前作よりはむしろ良いんじゃないかって。
ミーはそう思ったです。
<今日の無駄T>
#普段着に出来そうなTシャツ、久々にキター!
バックプリントのウィーザーマークも小っちゃめで主張控えめだし、これはわりと重宝するかも。