SUMMER SONIC 2008.
<2008年8月9、10日: 千葉マリン球場&幕張メッセ>
08年ライブ前線、夏の陣。行ってみれば確かにフジは楽しかった…
しかし、しかしです。急病による清志郎キャンセルの穴をプライマルの使いまわしで埋めたことは
まあ良しにしても、その前後の重要アクトを同じく二日目出場組の「ADF」とバースディで賄ったことに
ついてはどう見ても「フジロック」というブランドの上にあぐらをかいたスマッシュ側の怠慢だとしか思えなかった…
そんな印象が拭いきれなかったフジに比べ、今年のサマソニはブッキング面じゃ過去最高メンツと思えるくらい
徹底的にやってくれてましたからね。や、いつも楽しみなんですけど、今年はそんな例年をも軽々と上回る
テンションでもって海浜幕張はメッセまで行ってまいりました。
*9日(一日目).
<New
Found Glory>
…と、開始前から絶頂ハイだった筈が、最初のお目当てアクト「New Found Glory」にいきなし肩すかし
くらったおかげでみるみるうちにそのテンションは急降下。や、キラーナンバーの"Understatement"
投入による出だしの盛り上がりだけは悪くなかったんですけど、その後は声出てないわ、息切れしすぎだわ、
客に歌わせすぎだわとVOをとるジョーダンのパフォーマンスが主に悪すぎて、じわじわ興覚めしていっちゃいましたね。
そのせいかどうかはともかく楽曲面においてもメロの作りこみがいまいち薄めな感じとかどこか勢い頼みの感が
強すぎるように聞こえちゃってたし。そんなこんなでどうにも胸にガツンとくるものがないせいで、ミー的には
PS08の時に感じた悪印象をそのままなぞるような結果に…
今回こそはやってくれるだろうとの期待を胸に同刻カブりの「Subways」を蹴ってまで見たバンドだっただけに、
正直このスカりは少しきつかったかなー
01:Understatement
02:Truth Of My Youth
03:Better Off Dead
04:Something I Call Personality
05:All Downhill From Here
06:Hold My Hand
07:Head On Collision
08:Tip Of The Iceberg
09:Dig My Own Grave
10:Failures Not Flattering
11:Iris
12:Hit or Miss
13:It's Not Your Fault
14:Kiss Me
15:Intro
16:My Friends Over You
<Trivium>
そんなミーのドン底フィールを丸ごと救い上げて一気に高揚させてくれたのが同『MOUNTAIN』ステージ、
次アクトの、自らを「オレタチ、トリヴィアム!」と名乗る今サマソニ、唯一のメタル勢「Trivium」。
「アタマフレー」「サワゲー」「タタカエー」等の無理やりすぎる日本語MCとともに演奏されるバッキ
バキの最新型メタルコア、そのツインソロの聴き心地の良さといったらもう…!
特に"Gunshot…"におけるそれのカタルシスはよくよく考えたらライブでこれ聴くの5回目になりますが、
今回もやっぱり最高。いつ聴いてもその興奮を薄れさせることなくゾクっとさせてれる辺りが名ソロの証
じゃないかと。またメタルにまったく興味なさそうな客達をもこちら側へ一歩踏み出させる程の伝播力を
見せてくれたラストの"Anthem"によるメタラー一致団結のシンガロングも含めて、メタルの素晴らしさ
というものを再確認できた時間帯だったと思います。
01:Kirisute Gomen
02:Becoming The Dragon
03:Detonation
04:Into The Mouth Of Hell We March
05:Broken One
06:Down From The Sky
07:Gunshot To The Head Of Trepidation
08:Pull Harder On The Strings Of Your Martyr
09:Anthem
<マキシマム・ザ・ホルモン>
音的にはかなり好きな部類に入る次アクトのマキシマムですが、ちょっとばかし見飽きた感があったのと
毎回やる「麺固こってり」パフォーマンスに嫌気がさしすぎていたのもあって今回は悠々とスルー、
でもって最後方にて寝っ転がりついでに熟睡きめこもうとしてたら、この広大な『MOUNTAIN』全域を
揺るがすほどの規格外な地鳴りにいきなりビビらされることに。そは何事かと上体を起こしてみたらなんか
フロア真ん中より先のエリアのほとんどが本気でとんでもないことになってまして…いやこれでも随分と
色々なライブを見てきたつもりですが、ここまで激しくかつ混沌とした大規模モッシュは初めて見たかも。
で、その狂乱度合いがえらく楽しそうだったもんで起こされついでにやけくそ交じりで突っ込んでみたら
案の定おバカなハードコア原人に揉まれまくって予想以上の酷い目にあいました。
それにしてもこの人気は…まあケレン味たっぷりのメタル系リフやレッチリ的なファンク感、
そして日本語歌詞であるにもかかわらずほぼ理解不能であるがゆえ純粋にメロ勝負な洋楽感覚で聴けるって
辺りはミーも大好きですけど。
01:「F」
02:What's up people?!
03:絶望ビリー
04:爪爪爪
05:包丁・ハサミ・カッター・ナイフ・ドス・キリ
06:ジョニー陰部LIFE
07:ロッキンポ殺し
08:ROLLING1000tOON
09:ポリスマンベンツ
10:シミ
11:恋のメガラバ
<Lostprophets>
本来なら休憩タイムだった筈のマキホルで想定外のカロリー消費をしてしまった分のリカバリー対策で、
本当なら前に突っ込む予定だった「Lostprophets」をフロア最後尾&棒立ちスタイルで観戦することを
余儀なくされるミー。ここ最近メタル界隈を席巻中の「Bullet For My Valentine」を「お前ら絶対売れん!」
と断定しきってしまったそのビッグマウスっぷりや如何に?的フィールと興味本位でもって本当はもっと
近接距離で見たかったんスけどまあ仕方なし。
とりあえず出だしからイアンのその貴公子ファッション見ていきなり笑かせてもらいましたね。
そこから曲が進むごとに服をはだけていって終盤間際で今度は地肌とその刺青アピールって、あんた
どんだけナルシス…! だけど曲の方はどれもこれも悪くなかったです。しかも案外UKチック?
いや、もっとUS系のヘヴィよりなイメージがあったんだけど全然そんなことなくて、むしろやたらポップ
かつキャッチーで、しかもそこらへんきっちり自覚してる上でその方向へ突っ走ってる確信犯的フィール
アリアリな辺りがファン第一のエンタ精神を象徴しているようで… まあ一言で言うと売れセン狙い
なんですけどミー的にはその姿勢が中途半端じゃなかった分、わりかし気に入りましたね。
特にラスト"Burn Burn"での、VoとGuがそれぞれステージの上下に分かれ、その両方から挟撃的に客を
煽った一幕には、あまり彼らのことを知らない自分ですらかなり漲るものが。まあそれでも「シノビ!」
「ドラゴンニンジャ!」のかけあい煽りに関しちゃ、正直いかがなものかと思っちゃいましたけど。
01:We Still Kill The Old Way
02:Can't Catch Tomorrow
03:A Town Called Hypocrisy
04:Rooftops
05:Last Summer
06:Start Something
07:Last Train Home
08:Everyday Combat
09:Shinobi VS Doragon Ninja
10:Burn Burn
<Sex Pistols>
さていよいよ今サマソニ最大のお目当て…というより音楽視聴を趣味にし始めた中坊時代より一度は
生で見たいと思っていたあのピストルズがいよいよ眼前に…といった思い入れの強さが生み出す増幅効果も
相まって日英混合の国旗をまといつつ出てきたジョン・ライドン、いやさジョニー・ロットンのその御姿を
いざ目にした時はただただ感動… とか全然なくて、まず最初に思ったことは「え?安西先生…?」でした。
というくらいファットになられたロットン先生はまだマシな方、かつてはバンド内一の洒落者で通っていた
スティーヴのその劣化っぷりたるやマジ筆舌に尽くしがたいものがあり、結局のところルックスも演奏も
一番まともだったのはシドのせいですっかり日陰者ポジションへと追いやられてしまった筈のグレンだったと
いうこの皮肉。このうえ前来日時のようにパフォーマンス及び客ノリまで最悪だったら本当に笑えないところ
でしたがそこはホラ、かつて世界中を煙に巻いたこともある天下一品のトリックスター、冒頭からワインで
うがいし始めたかと思いきや、マイクで頭をゴンゴンやりながらカンペ見出すわ、わざとゆっくり喋るMCで
小バカ感を演出したり国旗を首にかけてこちらをふてぶてしく睨めつけたり、挙句メタボ腹のみならず生尻まで
披露したりと様々な手段で観客を挑発する辺り「老いてますます…」といった模様。
何よりもピストルズをパンクたらしめる最大要因たるあの巻き舌シャウトがまだまだ健在なのを耳にした時は、
ああロットンだと。姿形は見る影なくても中身はちゃんとロットンだー!と、ここでようやく胸にこみあげる
ものが到来。そのタイミングで"Submission"キター!となった日にゃもうアガりきるしかないと覚悟を決めた
ミーはいまいちノリきれてなかった様子なフロア中盤を完全離脱していざ最前へと歩を確実かつ着実に進めて
いったのでありました。というか年甲斐もなく弾けすぎたかも…
その後の個人的ハイライトは"No Fun"でのたたみ掛けシャウトとフロア狂騒度合が凄まじかった"Bodies"かな。
あ、そいや"Bodeies"前に披露してたオッサン指数もろ出しなロットンの腹芸を見て「ウェ〜」「こんなの見た
かったわけじゃないのに〜」と思いきりドン引いてた若い女性二人組を見かけましたが、いやお前らなと。
もともと全てを小バカにしてたバンドに今更マジなカッコよさを求めてどーすんだと少し思っちゃいましたね。
かのカート・コバーンが遺書に残した文面には「錆びる前に燃え尽きたい」と記されていました。
かつてのザ・フーが"My Generation"の一節で歌っていたのは「年とる前に死んでしまいたい」でした。
そして「街中で輝いているのは25才以下の奴らだけ」と歌ったのは若かりし頃のポール・ウェラーでした。
その詞が指し示す若さ故の初期衝動とそれが生み出す破滅美を否定する気はまったくありません。
シドと並ぶパンク・アイコンだったかつてのロットンもまたそれを体現していた代表的人物の一人でした。
でも姿形は醜くなろうともそのスタンスを変えずに相変わらずやりたい放題やってるし、それを未だにやれている
今のライドンも同じくらいカッコいいなァってそう思えちゃう自分がいるのもまた確かだったり。
大人が余裕もってバカやってるみたいな。そういうの好きなんですよね、やっぱし。
01:Pretty Vacant
02:Seventeen
03:No Feelings
04:New York
05:Did U No Wrong
06:Liar
07:Holidays In The Sun
08:Belsen Was A Gas
09:Submission
10:(I'm Not Your) Stepping Stone
11:No Fun
12:Problems
13:God Save The Queen
14:E.M.I.
15:Bodies
16:Anarchy In The UK
17:Silver Machine
18:Roadrunner
<今日の駄目T>
#この日のTはハナからピストルズ指名買い。だけどよりにもよって黄色て。
*10日(二日目).
<Against Me>
さて2日目。
ここ数年フジ→サマソニのコンボが定例行事になって以来、蓄積した疲れのせいでいつも流し気味に
なってしまってるサマソニ2日目。今年もそうならないようにとメッセ入館直後、入口付近に設置してある
マリン側の中継スクリーンにて「311」の演奏シーンをしばし見てテンション上げの下地を作ってから
臨んでみた『SONIC』の哀愁パンクフォーク・バンド「Against
Me」。
フォークと付くからにはディランをエモっぽくしたような感じかなと肩の力抜き加減スタンスで聞いてたら
めちゃめちゃガツンとこられて思わずのけぞりました。
いやあ骨太、そして芯太。マーフィーズ的な野太いシャウトとメンバー全員が黒Tで統一という飾りっけの
なさが醸し出すストイック度の合わせコンボも手伝ってその漢熟度は更に倍。漢の漢による漢の為のパンク
さながらな様相を呈していたステージ上からは初期ハードコアのそれが持つ無骨さもプンプン。
そして力強くもどこか哀愁を感じさせるこのテイスト、これら様々な要素が渾然一体となって迫りくる様は
やや一本調子という欠点を補ってなお余りあるインパクト。そりゃ「NoFX」の「Fat Mike」も押すわけだわ。
来年のパンクスプリング辺りに是非とも呼んでほしいバンドがまた増えましたね。
01:New Wave
02:Walking Is So Honest
03:Stop!
04:Up The Cuts
05:White People For Peace
06:From Her Lips To God's Ears (The Energizer)
07:Americans Abroad
08:Borne On The FM Waves Of The Heart
09:Don't Lose Touch
10:Pints of Guinness Make You Strong
11:The Ocean
12:Trash Unreal
<Super Furry Animals>
そのまま『SONIC』に居残ってボーっとしていたら「スーファリ」が始まったので何となく見物。
初期フロイドを思わせるサイケ色が作り出す浮遊感とアランパーソンズ的な抱擁感を併せ持った
独特の音作りは「摩訶不思議」の一言。だけど妙に優しげなフィールを伴ったトランス感が非常に
心地よいこともまた確かなる事実だったり。
また音響面のみならず、パワーレンジャーのフルフェイスを被って登場の出だし演出から始まって、
兎の真似ついでに本物のニンジンをバラまいたり、今度はそれを食べてからロケットのように吐き出したり、
はたまたフロント三人がそれぞれの楽器をライトセーバーよろしくかち合わせたりといった視覚面の方
でも存分に楽しめたので、時間潰し的な意味が強い視聴だった分、かなり得した気分になりましたね。
01:Slow Life
02:Rings Around The World
03:The Gateway Song
04:Run-Away
05:Golden Retriever
06:Neo Consumer
07:Zoom!
08:Receptacle for The Respectable
09:Into The Night
10:Juxtapozed With U
11:Hello Sunshine
12:If You Don't Want Me to Destroy You
13:The Man Don't Give a Fuck
14:Keep The Cosmic Trigger Happy
<DEVO>
スーファリ視聴後、『MOUNTAIN』後方にて「Justice」作り出す壮大ビートの余韻をしばし楽しんだ後、
本日最大のお目当て「DEVO」をじっくり見るため、フロア最前近くへ移動。
いや、もうこれが最高でした。キーボードとマイクの間をいったりきたりするマークの激しくもコミカルな
動きを見てるだけでも楽しいのに、そのうえトレードマークのエナジードームは投げるわ、服はちぎるわ、
あげく前後にフォメーション組んでクネクネ踊るわ、とどめにあのマッチ棒ギターまで出てきてしかもソレ
あっという間に壊しちゃうわで常に賑々しくも華やかなパフォーマンスを前にどこを見てればよいのかホント
視線のもって行きどころに困ったくらい。特に小気味よく入る鞭音のSEが代名詞の"Whip It"と
あの特徴的なベース音が自然にダンスを誘発しちゃう"Mongoloid"の両曲にゃ相当アガらされましたね。
いや、彼ら流の肩の力を目いっぱい抜いた楽しさって奴が存分に味わえたステージだったと思います。
01:That's Good
02:Going Under
03:Peek-A-Boo!
04:Girl U Want
05:Whip It
06:Secret Agent Man
07:Satisfaction
08:Uncontrollable Urge
09:Mongoloid
10:Jocko Homo
11:Smart Patrol/Mr.DNA
12:Gates Of Steel
13:Devo Coporate Anthem (Movie)
14:Freedom Of Choice
「DEVO」終了後、同『MOUNTAIN』のトリ「Fat Boy Slim」を冷やかし見しながらビール飲んで一休み。
『MARINE』の「COLDPLAY」を観にいくかどうするか相当迷ったけど、満員電車が死ぬほど嫌いなことも
手伝って、そのままほろ酔い含みの上機嫌モードで帰途につくことを選択しました。
そんなこんなで今年もサマソニ乙乙、そして来年もよろ。
<今日の駄目T>
#パッと見、正体不明すぎる「Against Me」のT。
ええ分かってます、完全にやっちゃいました。流石にこれはなかったわーと思ってます。
でも反省はしない。