Y & T.


2008年6月21日: 川崎クラブチッタ>

80年代前半を飾ったアメリカン・ハードロックの至宝にして、「人間国宝」扱いされる程のギター名手:
デイヴ・メニケッティ率いる「Y&T」の12年ぶりの来日ライブを見に、川崎はクラブチッタまで行って
きました。それにしてもまあ時代柄を匂わせる演出?と勘ぐるくらい開演前のBGMは80年代ドメタル一色で
塗り固められていましたね。だってざっと挙げてみただけでもコレモンですもん。

 ・18 & Life / SKID ROW
 ・Sweet Child O' Mine / GUNS N' ROSES
 ・Foolin' / DEF LEPPARD
 ・Talk Dirty To Me / POISON
 ・Crazy Train / OZZY OSBOURNE
 ・Metal Health / QUIET RIOT
 ・Seventeen / WINGER
 ・Looks That Kill / MOTLEY CRUE
 ・Round and Round / RATT
 ・You've Got Another Thing Comin' / JUDAS PRIEST

本日客層の年齢分布を掴みきったこれら絶妙な曲セレクトに加え、プリーストのアナザーシング途中で
場内暗転というコテコテの演出も手伝って、ホール全体のテンションは開幕前から一様に高かったですね。

さて今回が初見となるY&T、その全盛期は遥か遠い昔、しかも一線を退いてからかなり時間が経っている
バンドだけに正直メンバーの体力面及びヴィジュアル面の劣化をかなり心配していたんですがまずはロッカー
らしきオーラがちゃんとあることに一安心。まあよくよく見れば単なる爺なんですけどそのビール腹を除けば
わりと体は締まってるみたいな。
そしてのっけからメニケッティおじさんがもう弾きまくり。しかもインギばりの恍惚とした表情付きと
きたもんで… いや、その職人的イメージと温厚といわれる性格からミー的にはジョーサト和尚みたいに
静かな佇まいで弾くもんだとばかり思ってたんで、これには相当驚かされましたね。
そんな彼の手による往年ナンバーのいぶし銀リフや聞き心地抜群のフレーズに聴き入ってたらふと気づけば
こっちの顔相までもがおじさんに負けない勢いですっかり恍惚としてきちゃったり。
特に"Dirty Girl"や"Lonley Side Of Town"、"Mean Streak"辺りの、古き良きロックはこう作るべしの
見本みたいな哀愁メロにゃ相当よろめかされちゃいましたね。

そんな前半の見せ場を上回る勢いで聴かせてくれた中盤屈指の盛り上がりどころが"Don't Stop Runnin"の
合いの手コールによる観客同士の同調感と、それが場の熱気を更に一段階押し上げたタイミングで放たれた
"Midnight In Tokyo"。もうね、出だしの「シャーン!シャーン!」と響くシンバル音聴いただけでミーは鳥肌モン。
当然のごとくサビじゃこの日一番の大合唱が巻き起こってました。初来日した83年、今はなきHR・HMの聖地
「新宿ツバキハウス」のライブにてその晩の観客の熱狂ぶりにすっかりインスパイアされたメンバーがそのフィール
覚めやらぬうちに書き上げたという逸話も手伝って、名曲揃いのY&Tナンバーの中でもかなり好きな曲の一つだった
だけに、生で聴けた時の感動もよりひとしおでしたね。

無論、その後の後半戦においても更なる見どころ聴きどころがめじろおし。
特に"Bar Room Boogie"や"Pretty Prison"にてバンド俯瞰でのミュージシャンシップの高さを存分に
見せつけた直後の"Rescue Me"や、"Summertime Girls"で四方八方にその陽気なフィールをバラまいた後の
"I'll Cry for You"、この2曲におけるシェンカー級の強烈無比な「哭き」、特に前者のアコギとエレキが渾然一体
となっての調和美には心底痺れまくりましたね。
またベースのフィルによる勢い混じりのガナりたてヴォーカルが、この曲の複雑怪奇なリフにうまくハマって
ライブ臨界点ならではのカオス的な熱波を呼んだ"Squeeze"や、イントロ時点での先走りシンガロングがその勢いを
更なる昇華レベルへと導いたY&T屈指の名曲"Forever"も最強に最高でした。というか後者じゃ危うく涙がチョチョ
切れかけたり。

そしてこの「素晴らしい」ライブを「神がかった」領域へと更に引き上げたアンコール以降の展開、
"Hang 'Em High"サビの「リーチ・フォー・スカイー」その言葉まんまな上昇感と、底なしの哀愁感を四方八方に
バラまき聴き手側の心を揺さぶりまくった"I Believe in You"のメロウな哭きはまさに圧巻という他ないほど。
当然のごとく観客の一体感も凄まじくみんなアンコール以降は全編歌いっ放しといった感じで、いやあ今年みた中じゃ
レイジかドージョーのDEP辺りと並んで確実に三本の指に入るほどの極上ライブ、大当たりの内容だったと思います。


<今日の一枚>

 「EARTHSHAKER」 / Y&T

「YESTERDAY & TODAY」からバンド名を改名後の「Y&T」としてのファースト作。
雄々しく力強くも哀愁度の濃いメロディを軸に、さりげなくハードでありながらここぞというタイミングで
どこまでも泣きまくる極上ソロ。中でも「神」と呼ばれた頃のシェンカーと並ぶくらいの美旋律メロディを誇り、
ある意味それを凌駕する以上の叙情オーラを放つ"Rescue Me"はハードロック好きなら絶対の必聴曲。
アメリカンハードロックの醍醐味を存分に味わいたいなら激オススメの一枚です。


<今日の無駄T>



#今回の日本ツアー専用に作成されたスペシャルT。
 それなりに派手なんだけどどこか突き抜けた感が希薄なデザインは、もろバンドカラーまんまかも。



<セット・リスト>

01:Hurricane
02:Black Tiger
03:25 Hours a Day
04:Dirty Girl
05:Lonley Side Of Town
06:Mean Streak
07:I'll Keep On Believin'(Do You Know)
08:Fly Away
09:Don't Stop Runnin'
10:Midnight In Tokyo
11:Ten Lovers
12:Bar Room Boogie
13:Anything For Money
14:Pretty Prison(Incl Dr Solo)
15:Rescue Me
16:Summertime Girls
17:I'll Cry for You
18:Looks Like Trouble
19:Squeeze
20:Forever

21:Hang 'Em High
22:I Believe in You


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