AVANTASIA.
<2008年6月13日: 品川プリンス・ステラボール>
これまでほとんどやったこと無かった筈の「ライブ見逃し」ですが、今年になって以降、ここ!って
タイミングでの仕事や火急の用事が妙に多かったせいで、随分とやらかしてきちゃったりしてまして…
下記にざっと挙げただけでも、
・A7X(1/5)
・DREAM THEATER(1/16)
・ARCH ENEMY & SHADOWS FALL(3/9)
・SAXSON(4/30)
・SOILWORK(5/22)
・ROYALHUNT(6/3)
って、うわー、これ全部足していくらの無駄? 実際もったいなさすぎるー
いや、それ以前にメタル系のライブばっか見逃して、どう考えても鋼鉄成分が不足しすぎてるー!
というわけでメロスピ厨ご用達バンドの代表格「EDGUY」トビアス・サメット率いるメタル・オペラ・
プロジェクト「AVENTASIA」に急遽参戦を決めてきました。正直、引率メンツに目が眩みすぎてつい…
だって「HEAVENS GATE」のサシャ・ピートだとか、元「ANGRA」のアンドレ・マトスだとか、何よりも
かのインギ様に「何も出来ない間抜けなノルウェーの負け犬」やら「突然ロバート・プラントにでも
なったのか!」呼ばわりされたあの流浪のシンガー仕事人、ヨルン・ランデまでもが参戦してくれる
ってんだからこれを見逃す手はないだろうと思って。
ちなみに今会場である品川プリンス・ステラボールってところは初見だったんですが「渋谷O-EAST」を
一回りデカくしたような横幅比重の高いレイアウトとか天井やステージ位置が軒並み高めなところとか、
なかなかに良さげな印象を受けましたね。キャパ的には"渋谷O-EAST<品川ステラ<新木場コースト"な
感じでしょうか。(データだと「椅子使用時750席・オールスタンディング時1,758人、2階126席」)
ライブの方は年頭にリリースされた新譜のオープニングナンバー"Twisted Mind"からスタート。
トビアスが登場するとともに新譜「Scarecrow」のバックドロップが天井からゆっくりと降りてくる
演出にゃ相当漲らされました。でもってパッと聴き印象が強かったのがドラム、重厚感溢れるビートが
他のパートを押しのけて前面に出まくりんぐ。それに合わせてコーラス担当お姉ちゃんのボインも
たわわに実りまくりんぐときたもんで、正直今回のライブ、ヨルンとマトス目当てだけで行くのも
いかがなものかとかなり迷ってたんですが、この時点で本当に来てよかったと心の底から思いました。
そーれ、
_ ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
( ⊂彡
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し ⌒J
でもって2曲目の"Scarecrow"ではチョビ髭&小デブな風貌によりすっかり謎のテノール歌手と
化してたヨルンが満を持して登場してきたかと思えば、サブでVoをとるトビアスとの「声による
張り合い合戦」という盛り上がり必至の演出をブチかましてホール全体の温暖化にいきなり貢献。
いや、ツイン編成のギターソロ時にゃよくある演出ですがヴォーカル同士でこれやるの始めて
見ました。これでもかとばかりにのしかかっていくヨルンの顔相とそれを受けるトビアスの圧倒
されてるフリがコントみたいになってて非常に面白かったですこれ。
そして3曲目、ここでメロスパー歓喜の高速チューン"Another Angel Down"がキター!
これでもかといわんばかりのメロスピっぷりを前に自分でも顔をニヤけていくのが如実に分かります。
そして名手サシャとソロで絡むオリヴァー・ハートマンなる人物の技巧派プレイを前になお顔面の
ニヤけを止めることができないミー。さりげにバックコーラスもうまいときたもんで意外なところに
人物はいるものだなと感心しきりだったんですが、後で調べてみたらこの人、本業は知る人ぞ知る
硬派ジャーマンメタラー「AT VANCE」のヴォーカリストなんですってね。そりゃ裏ヴォーカル入れるの
うまいわけだわ。今件ですっかり興味もったんでそのうち「AT VANCE」聴いてみようと思ってます。
と、ここで何かを忘れているような気が…そうだマトス!?先輩は一体どうしてしまったんだ!?
そう思った直後、くだんの彼が真っ赤なフリフリのシャツを着てもうノリノリで出てきたのを見た
ときは流石に笑い死にを覚悟いたしました。さすが先輩、ここぞというところの笑いどころは絶対
はずしません。そして切々とした導入でさんざこちらを焦らせてからの"Reach Out For The Light"
本編で遂に先輩お得意のハイトーンシャウトが炸裂。「イヤーーー♪」 あ、意外と声でてる。
ってことはラウパー07時のあの醜態の責任は本人でなくやっぱしPAのせいだったのでしょうか?
その後も先輩、日の丸国旗を"Trooper"時のディツキンソンばりに振りまくるわ、背丈程もある背後の
台座の上にてナルシスポーズをキメまくるわ、挙句はりきりすぎてマイクスタンドを蹴倒しついでに
ハウリング公害まで巻き起こすわとその俺様っぷりをいかんなく発揮、マトリックスばりに体を反ら
しまくって絶唱してたらトビアスに(冗談で)頭をはたかれてたとこまでをも含めてやっぱり先輩は
先輩でしかないということを自らの行動でもって如実に証明なさっておられました。
開幕前の予想をはるかに上回るこの流れによってすっかり至福状態へと導かれつつあったミーの顔面に
突然冷や水をかけてくれたのが背後のキモスパー二人組。はじめは鼻歌の少し大きい程度で「こいつら
異常に曲知ってるなー」ぐらいしか思ってなかったのが大人しく黙認してりゃ途中からメチャクチャ大声で
歌いだしやがって…!いやマトスが客フリしたサビ部分に関してはむしろOK、だけどいくらなんでも
全編フルシャウトは許せんわー、ミーはアンタの歌を聴きに今日ここにやってきたわけじゃないんスよ?
しかもなまじ上手いからなお始末におえないというね。
そんなミーのやや意気消沈気味な中盤以降のローテンションを再び引き上げてくれたのがトビアスの
「速い曲が聴きたいかー!」という煽りとともに始まった"Shelter From The Rain"と「オリヴァーの
レッスンをうけたいなら2時間5ドル!ついでに10ドルでアナルもOKだぜ!」とのお下劣MCから
始まった"Avantasia"の繊細ながらも勇壮なクワイヤパート。背後の無礼者と同類であることに恥じ入り
つつもあえて認めてしまいますが、生物に酸素が必要なのと同様、やっぱりキモスパーに高速チューンと
合唱プレイは欠かせませんな、ということを如実に実感させられた時間帯でしたね。
またアンコール以降においてもケルト臭かぐわしき北欧テイスト満載のイントロとサシャ&オリヴァー奏でる
メニケッティばりの泣きソロで心の琴線掻き鳴らされまくった"Farewell"や、"Heaven
& Hell"を歌ってる
ときのディオを彷彿とさせるようなトビと観客とのコール&レスポンス合戦に、これまで絡まなかったヨルンと
マトスがひな壇の上にて遂に揃い踏んでの絶唱がフィナーレを華々しく盛り上げた"The Seven Angels"など、
目と耳を同時に楽しませてくれる演出がてんこもり。
いや、久々に飛び込みでライブに行くという冒険しましたけど、そのリスクを補ってあまりあるリターンが
十二分にあったと思わせてくれた内容だったと思います。そして何よりもトビアスが本当に素晴らしかったと。
普通これだけアクの強いメンツが出てると時には互いの長所を潰しあったりしちゃうものなんですが、その
辺りの微妙な調整を事前の構成とその場のアドリブでもって見事フォロー、そして自らも引き立て役に留まらず、
目立つところはきっちり目立ち、魅せるところはしっかり魅せてくれたそんな彼に敬意を表して今後は「EDGUY」
もっと聞いてみようと思います。
<今日の一枚>
「THE
SCARECROW」/ TOBIAS SAMMET:AVANTASIA
エドガイのフロントマン、トビアス・サメット率いるメタルオペラ・プロジェクト「AVANTASIA」の三枚目。
カイ・ハンセンにマイケル・キスクの元ハロウィン組をはじめとして、気分屋の仕事人ヨルンにキャメロットの
美麗派ヴォーカリスト・ロイ・カーン、はたまたショックロックの大御所アリス・クーパーとこれまで以上にその
ゲスト陣は豪華。またこの手のメタルオペラ系によくありがちな豪華絢爛さばかりを重視したが故の曲調の
単調さといったウィークポイントがほぼない点にも着目。トビアスのメロディセンス炸裂な元曲の良さとオペラもの
ならではの荘厳さ・重厚さがバランスよくブレンドされた、かなりハイレベルな一枚だと思われ。
<今日の無駄T>
#最新作のジャケをまんまプリントした前面、ツアースケジュールをデカデカと羅列した背面ともに、
メタルTならではの売りである派手派手しさがよく表現されているとは思うけど、並の神経じゃ着こなせない
ところは相変わらずこの手のTに付きものの大問題かも。