At the Gates、Dillinger Escape Plan、Mayhem.


2008年5月11日: 新木場コースト>

大御所招聘に関して一日の長があるウドー、ここ近年の人気アーティストやメタル系全般に
強みを見せるクリマンと比べると、カラー的にはお洒落度の高いUKロックやダンス系が得意
分野かと思われるスマッシュがここ一番で打ち出す異色中の異色イベント、エクストリーマー
跳梁跋扈の「Extreme The Dojo」。その開催20回の節目を祝う記念イベントを見に新木場は
コーストまで行ってまいりました。ちなみにこれまでのドージョー史は以下ね。

 01:(2001/10)CRYPTOPSY / CANDIRIA / NASUM
 02:(2002/03)EYEHATEGOD / SOILENT GREEN
 03:(2002/05)SODOM / DYING FETUS / DIMENTION ZERO
 04:(2002/06)LOCK UP / CONVERGE / WILL HAVEN
 05:(2002/11)HIGH ON FIRE / DARKANE / MASTODON
 06:(2003/02)KILLSWITCH ENGAGE / SHADOWS FALL / CALIBAN
 07:(2004/01)NAPALM DEATH / NASUM / AxCx / PIG DESTROYER
 08:(2003/07)NAGLFAR / SKINLESS  / NILE
 09:(2004/02)ZYKLON / DARK FUNERAL / GOATWHORE
 10:(2004/04/14)ANTHRAX / KILLSWITCH ENGAGE / DARKEST HOUR / FROM AUTUMN TO ASHES
   :(2004/04/15)ANTHRAX / DILLINGER ESCAPE PLAN / BURNT BY THE SUN / SIKTH
 11:(2005/02)CONVERGE / MASTODON / ISIS
 12:(2005/02)SHADOWS FALL  / AS I LAY DYING / EVERY TIME I DIE
 13:(2005/04)ATREYU / UNEARTH / NORMA JEAN
 14:(2005/06)HIGH ON FIRE / DEW-SCENTED / MISERY SIGNALS
 15:(2006/03)THE HAUNTED / NILE / EXODUS
 16:(2007/01)CELTIC FROST / SATYRICON / NAGLFAR
 17:(2007/03)BRUTAL TRUTH / VADER / CRYPTOPSY
 18:(2007/09)ZYKLON / DAATH
 19:(2007/11)JESU / ZOMBI
 20:(2008/05)AT THE GATES / DILLINGER ESCAPE PLAN / MAYHEM / PIG DESTROYER / INTO ETERNITY
  ↑ 
 今ここ


INTO ETERNITY

登場一番手はカナダ出身の「INTO ETERNITY」。
プログレッシブ・デスと聞いていたので「Opeth」や「Meshuggah」みたいな難解かつ超絶技巧で
変態的な曲作りなのかなと思って身構えていたんですが、これが案外とメタル寄りでむしろ全然
分かりやすいメロディーだったんでちょっと拍子抜け。ここ最近で聞いた中なら「DAATH」と似た
ようなテイストを感じましたね。今日のメンツでいうなら一番普遍的かつ一般性のあるエクストリーム
メタルだったんじゃないかなと。
またデス、ハイからノーマルトーンの使い分けによるバリエーション豊かな歌声を披露したVoと
ベタだけど煽動力抜群だったステージパフォーマンスの数々にゃ、かなり唸らされるものがありました。
実際、ホールもその知名度のわりに大健闘といえるぐらいの好盛り上がりを見せていましたし。
おしむらくはギタリストのギターポジションがもうちょっと低ければ…ってかサンボの山口かと思うくらい
ストラップの位置高かったですからね、そりゃ見映えも悪くなるわと。そこだけが残念だったかな。

 01:Diagnosis Terminal
 02:Out
 03:Severe Emotional Distress
 04:Surrounded By Night
 05:Splintered Visions
 06:Timeless Winter


PIG DESTROYER

セカンド・アクトはあの伝説のお下劣カオス(品性じゃなくて音が)バンド「アナル・カント」
の元ギタリスト、スコット・ハル先生率いる激烈グラインドコア・バンド、「PIG DESTROYER」。

赤を基調とした照明効果や悲鳴や叫び声などのホラー映画的SEがもたらすアンダーグラウンド臭と
エッジが利いててやたらノリやすい高速グルーヴとの融合は、原曲がほぼ分からなくても楽しめる
こと請け合い、先ほどまで遠慮気味だったモッシュもここぞとばかり巻き起こってましたね。
特にベースレス構成なのにそれをハンデにしないどころか、むしろギターが放つその攻撃色をより
前面に押し出すようなこの音作りの重厚さはちょっと半端ないなと。
そんなサウンド面の重責を一身に担って常に忙しそうにしているハル先生とは対照的、ひょっとして
お前ヒマだろ?と突っ込みたくなるくらい終始ビール引っ掛けまくって、そのついでにヘドバンやら
MP吸い取りそうな踊りやらかましてるキーボードの人のハッピーっぷりも、バンド全体が醸し出す
混沌感により拍車をかけていたり。

これが初見でまったくのノーマークでしたけど、不気味なわりに妙な明るさをも併せもつ独特ノリが
妙にツボにハマっちゃったんで、ちょっと過去のカタログ聞いてみようかなって。
ちなみにこのバンド、後で調べたところによると米の音楽シーンに今後影響を及ぼしそうなバンド50の
中の一つにも挙げられているそうで、そういった意味も含めて今後とも注目していきたいかなと。

 01:Scarlet Hourglass
 02:Trojan Whore
 03:Naked Trees
 04:Loathsome
 05:Deathtripper
 06:Rotten Yellow
 07:4th Degree Burns
 08:Alexandria
 09:Pretty In Casts
 10:Thumbsucker
 11:Piss Angel
 12:Cheerleader Corpses
 13:Terrifyer


MAYHEM

さて、今イベントもいよいよ折り返し地点の三番手へ。
ここでノルウェジアンブラックの大御所、かの悪名高き「MAYHEM」が早くも登場。

ステージ上に祭壇を設置して、その左右に立った蝋燭台の間に豚の頭と地球儀を配するという、
ただでさえ不気味さ満点の雰囲気、そのおどろおどろしさを更に助長させるブラストビートと
不協和ソロの混濁ハーモニーという、あまりにオリジナルすぎる世界観を前に出だしから圧倒
されまくっていたところへ、全身ボロ屑に身を包んだアッティラがフラフラと登場し、祭壇上の
豚の頭を撫でたり蝋燭の炎に手の平をかざしたりしながら歌い始めるという、その混沌っぷりに
更なる拍車をかけるような奇天烈パフォーマンスをやりだして、いよいよ全身の平行バランスを
徐々に狂わされるような感覚に陥っていくミー。

しっかしこのどんよりとした停滞感、異常ともいえるぐらいバカっ速なプレイを何故かゆっくりと
感じてしまうような矛盾した時間感覚、この般若心境を無理やり聞かせられてる的な諸行無常感と、
何故か力一杯安堵感に溢れてる豚ツラのせいで本来なら恐怖心を煽る筈がむしろそこから醸し出されるは
牧歌感という、全てを含めて見事なまでの意味不明さは一体全体どういうことでしょうか。
なんだかもうここまできちゃうと、デスとかブラックとかそういった音楽ジャンルの領域を軽々と
凌駕してむしろこれアート?みたいな気持ちに本気でさせられてくるから不思議です。

そんな阿鼻叫喚ショー、最大のクライマックスはかの伝説的名盤「De Mysteriis Dom Sathanas」
からの人気ナンバー"Freezing Moon"。その出だしの大歓声と曲全体に覆い被さるヘルハマーの
全編フィルインともいえる驚異的ドラミング、そして途中のオーケストレーション的な合唱パートに
合わせて巻き起こったシンガロングと、ステージ終了間際に地球儀を破裂(正体はビーチボール)させた
アッティラ渾身のナイフ一撃は「圧巻」と記すに十分すぎる程のパフォーマンスだったかなと。

それにしてもブルデスやブラックメタル系はリズムが超速かつしかもそれが不規則なもんだから
どうノっていけばいいのか相変わらずよく分かりませんな。周囲のポカーン度合から察するにそう
思っていたのはおそらくミーだけじゃないんじゃないかと。

 01:Deathcrush
 02:Wall Of Water
 03:Illuminate Eliminate
 04:View From Nihil
 05:My Death
 06:A Time To Die
 07:The Freezing Moon
 08:Crystalized Pain In
 09:Anti
 10:Pure Fucking Armageddon


DILLINGER ESCAPE PLAN

さて、今回のドージョーで一番の収穫だったのが4番手に出てきたこの「DEP」。
コイツら飛ぶわ跳ねるわ当たり前、挙句アンプを使っての三角飛びかましてドラムライザー上に
飛び乗ったり、ステージ下への捨身ダイブを何回も敢行したりと本当にやりたい放題。
しかも身軽なVoのみならず楽器隊3人全員がコレやりまくるってんだからマジ半端なかったです。
その最たるシーンが客をさんざ煽って、やる気満々な連中を全員ステージ上へ上げちゃった末、
Voが客と肩組みながら助走たっぷりの超ロングダイブをやらかすというスゴいを超越した抱腹絶倒
もんの光景。またギターをそれに見立ててのヌンチャク遊び(NINのアーロン先生ばり!)と、
その勢いを利用ついでに全身きりもみさせつつステージ下へ自由落下というチャパリータASARIも
びっくりのスカイツイスタープレスもどきを見たときも心底驚嘆させられましたね。
いやー、こいつら最高にアホです。中でもギターとベースを抱えたままのダイブは画期的(にアホ)
といってもいいほどの好パフォーマンス。挙句、人群が形づくった湖上にて犬神家の一族気取って
とんでもなく逆さまになってんのにはバカみたいに笑いました。

そしてそして、これだけ激しいアクションを常に披露しているにもかかわらず、演奏の方はメチャ
テクニカルでしかもタイトというこの矛盾! 更にこのハードコア感120%の激烈的な暴虐性と
それでいながら変拍子がそこらに顔を覗かせまくるこの複雑な曲構成は…カ、カオティック・コア!
よもやステージ上の運動量のみならず音の方までトンデモ君ときた日にゃ、これはもう素直に脱帽
するしか。

というわけでとにかく衝撃的な上に超越的。それも彼らのステージを1回でも見ちゃったらあまりの
凄さと楽しさに誰でもファンになっちゃうんじゃないかっていうくらいのレベルでした。
ちなみに本日一番のオトシどころは、ステージに上げてもらったのをいいことに、そこへダラダラと
いつまでも居残っていたウザさ満点のデブが業を煮やしたスタッフに両手で突き落とされた瞬間。
話のオトシどころだけに本人も見事に落ちました。はい、おあとがよろしいようでー

 01:Panasonic Youth
 02:43% Burnt
 03:Fix Your Face
 04:Lurch
 05:Setting Fire To Sleeping Giants
 06:Baby's First Coffin
 07:When Acting As A Particle
 08:Nong Eye Gong
 09:Milk Lizard
 10:When Good Dogs Do Bad Things
 11:Black Bubblegum
 12:Sugar Coated Sour
 13:Party Smasher
 14:The Mullet Burden
 15:Sunshine The Werewolf


AT THE GATES

「DEP」で暴れすぎたハードコア厨どもが次々と戦線離脱。それに代わって黒メタTフル装備の
生粋メタラーがフロア前方を埋めていく中、いよいよ本日の大トリ「AT THE GATES」登場。

正直「DEP」であれだけ盛り上がった後だけにやりにくいだろうなーと思ってたら出だしの1曲目から
ダイバー跳梁跋扈だわ巨大サークルモッシュは出来るわとそのレスポンスの激しいことよろしいこと。
先程にほぼ比肩しうる熱気をいきなり見せてるそのフロアの異常っぷりを見るにつけ、流石「メロデス」
というジャンルがまだ特定されていない時代からその先進的・先鋭的分野に切り込んで後のムーヴメント
につながる芽を当時の若手メタラーの中に根付かせてきた伝説的バンドだけあるなと、いきなり感嘆
させられることに。

実際ミー自身"Slaughter Of The Soul"から"Cold"へと続く必殺ナンバー連発には相当やられました。
現在主流のメロデスほどメロの受け狙いがあざとくない分、その洗練のされて無さが逆にトガった格好良さを
助長させているとでもいうか。そして主要メンバーであるアンダース兄弟の現バンド「Haunted」程ハードコア
っぽくないぶん聴きやすくもあるという。そんな音楽的側面の燃えどころをなお上回ったここ一番の見せ場が
トーマスの時折見せる駄犬っぽい笑顔、特に"Blinded By Fear"の折、フロア前方で巻き起こった狂乱モッシュ
合戦にチラと目をやってから見せたそれは、完膚なきまで生物学的にオスであるミーの目からみても十分に
「かわいい…!」と言わしめさせるほどの何かを放っていたんじゃないかなと。 
ってかこれは燃えどころじゃなくて萌えどころ?

 01:Slaughter Of The Soul
 02:Cold
 03:Under A Serpent Sun
 04:The Swarm
 05:Terminal Spirit Disease
 06:Suicide Nation
 07:Raped By The Light Of Christ
 08:Windows
 09:World Of Lies
 10:The Burning Darkness
 11:Forever Blind
 12:Nausea
 13:The Beautiful Wound
 14:All Life Ends
 15:Need
 
 16:Blinded By Fear
 17:Kingdom Gone


夕方の5時くらいから始まって終了が22時半を過ぎる上にほぼ全編モッシュがお約束という超絶ハードな
イベ内容のわりに、出場した5バンドの音楽性及びその個性がてんでバラバラということもあってか今回は
まるで「ダレ」を感じませんでした。ということでこの空気を見事に作り上げたスマッシュさんの絶妙ブッキングを
今回は素直に賞賛したいと思います。


<今日の無駄T>



#今回のATGは期間限定の再結成ということで、いずれレアものになるかも。
 裏面プリントがないのはチョイ不満だけど、デザイン自体は結構気に入ってます。


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