PUNK SPRING 08.


2008年4月6日: 幕張メッセ>

はい、今年もいよいよこの季節がやってまいりました。
そう、4月最初の週末は「Punk Spring」の日!
でもって開催3回目となる今回のメンツがこれまた果てしなく豪華ときたもんで、
パンク第2世代の代表格「RANCID」「PENNYWISE」を筆頭に、ファーストパンクの変り種「BUZZCOCKS」、
サマソニ05で見逃した「ME FIRST AND THE GIMME GIMMES」、はたまたマーフィーズと並ぶアイリッシュ
パンクの雄「FLOGGING MOLLY」にメタルとパンクの折衷系「DONOTS」まで? ちょっと見たいアクトが
めじろおしすぎて本気で困るぐらいの充実っぷり。
流石は今や洋楽系の呼び屋ナンバーワンとその名も名高いクリマンさん、やる時ァやってくれるわ!と
感動しきりだった筈が。いざ当日となった途端、入場時におけるあまりの仕切りの悪さに怒髪天化した末、
やっぱし成り上がりモンは駄目だなとその見方が180度変わっちゃうことに。
ってかドリンク代取るなとは言わんからハナっからチケ代に含めとけと。入場ゲートでチマチマ回収して
たら入るのに時間かかってしょうがないっつの!


DONOTS



と、主催の頭のスクレイピー度合いをどこまでも晒けだしきった入場遅延のせいで、本日最初に見る
予定だったアクトを「ENVY ON THE COAST」から「DONOTS」へと直前変更。演奏が始まる直前のギリで
駆け込みセーフだったことに気を良くし、その勢いまんま最前へと特攻してみたら、出だしから狂乱
ダイバーどものフライングボディプレスを2連発で脳天に直られる顛末となり、その音作りとは全然
カンケーないところで半強制的にそのテンションを引き上げさせられることに。

しかしまあ疾走メロコアにメタル風味のパーティソング、哀愁エモ含みの美メロが出てきたかと思えば、
昔ながらの正統派ロックに回帰したりと、こいつらの音づくりは思った以上になんでもアリなごった煮
ロックでしたね。普通ならこんだけ色々混じっちゃうと音の主軸が曖昧になってともすればスカスカに
なっちゃうものなんですが、それを断固として許さない強烈無比なフックは流石「漢メタル」の国出身と
いったところ。なによりもそのお国柄を彷彿とさせる漢臭さプンプン臭い立つインゴのバカ声があまりに
最高すぎましたね。

携帯からマリオの音楽をピコピコ鳴らしての曲導入や、ステージとPAとを繋ぐ通路へ突っ込んでいっての
体当たりパフォーマンスなどからもいい意味での「頭ワルイデス!」感が滲み出ていて非常に好印象。
これで「TWISTED SISTER」のカヴァー"We're Not Gonna Take It"を演ってくれていたら本当にもう
言うことナシだったんだけどなァ…(流石にそれはなかった)

 01:This Is Not A Drill
 02:Pick Up The Pieces
 03:We Got A Noise
 04:Wretched Boy
 05:Big Mouth
 06:Break My Stride
 07:Saccharine Smile
 08:New Hope For The Dead


BOWLING FOR SOUP



次のお目当てのモリーまで壁際にて体力温存するつもりだった筈が、モトリーの"Wild Side"とともに
颯爽と現れた彼等を見てまず一歩、パンク界一のデブキャラとその名も高いギタリストのクリスとその
ピック連続飛ばしを見てまた一歩、それに負けじとギターをインギばりに回しまくるVoのアクションに
惹きつけられて更に一歩と、ふと気づけば明らかに中盤より前で前のめり鑑賞する羽目になっちゃってました。

実際聴いてみた感想としてもキャッチーかつフックある良メロの数々はかなり高レベル、また似通った
展開から繋がりがちな単調さという名の弱点をテンポの強弱や曲の途中に喋りを多用することで埋める
創意工夫など、その聴き応えは思った以上に十分でしたね。特にメロイックサインしてる指を形どった
風船をステージの左右で膨らませるともに演奏しだした"High School Never Ends"と、そのサビに
重なったファン達のシンガロングは間違いなく本日のベストタイムの一つに挙げられるんじゃないかと。
ラストに演った"1985"の途中でかかったBGMがデイヴィッド・リー・ロスの"Yankee Rose"というのも
メタル畑出身のミーには好印象、こういう予想外の発掘があるからパンスプはやめられないんっスわ。

 01:Punk Rock 101
 02:Last Rock Show
 03:Almost
 04:Girl All The Bad Guys Want
 05:Ohio (Come Back to Texas)
 06:High School Never Ends
 07:1985


FLOGGING MOLLY



「BFS」終了後、即座にメインフロア右側『BLUE STAGE』の方へと移動し、ロス出身はフォーク混じりの
アイリッシュパンカー「FLOGGING MOLLY」を鑑賞することに。リーダーのデイブがもろハードロック系の
「FASTWAY」出身というところからも興味津々だったんですよね、このバンド。

しっかしアイリッシュ・パンクがメチャ盛り上がるってな去年の「DROPKICK MURPHYS」で十分学習済み
だった筈なんですが、将棋倒しは四方八方で発生してるわ、KYなダイバーがそこらでボコられてるわと、
その予測を3倍規模で上回るほどの阿鼻叫喚レベルな盛り上がりを前に、ミーは開始5分で後方への撤退を
余儀なくされることに。ってか本来なら牧歌的なヴァイブとまったりムードが漂ってもおかしかない筈の
ケルト系でどうしてここまで異様な盛り上がりに? その最たるシーンが"Drunken Lullabies"の出だし。
デイブの「イヤサー!」の絶叫とともに巨大なジューサーそのものと化したフロアが人々を飛ばし踊らせ
舞わしてなお回しめるのを垣間見、原曲をそんなに知らなくてもそのノリだけでここまで人々を楽しませ
られちゃうそのパワーというものにただただ感嘆しきりだったり。
暴れてるほぼ全員がしかめっ面でなくしてメチャ笑顔だったのも大変印象的でした。

 01:Selfish Man
 02:The Likes Of You Again
 03:Requiem for a dying song
 04:Drunken Lullabies
 05:(No More)Paddys lament
 06:Devil's Dance Floor
 07:What's Left of the Flag
 08:Seven Deadly Sins


BUZZCOCKS



モリーが終わるやいなや左の『RED STAGE』へと移動して、ほぼ息継ぎなしで見たのが初期型ロンドン
パンクスのそれも更に始まりの方、かのピストルズを見出したとも言われる大御所「BUZZCOCKS」。

MC一切なしで往年の名曲を次から次へと演奏していくそのスタイルは、一見静かなる佇まいでいながら、
成熟した大人ならではの内面から臭いたつような衝動性に溢れていて、それはとてもクールに見え… 
あ、ごめんなさい、今の取り消します。俺様を見てー!ばりに獲物を高々と掲げながら大仰アクション
入れまくるギターの人(スティーヴ・ディグル)、大人どころか見ていて微笑ましくなるくらいの厨房
でした(ラストにはドラムにマイクスタンドを叩きつけるという最高の暴挙も)。それを冷ややかな目
で見つめながら淡々とプレイするピートとの温度差といったら…!

そんなステージ上のミスマッチ感すらご愛嬌レベルに留めてしまうほどの音の切れ、そして演奏中の
姿から発散される艶ときたら正直たまらないものがありましたね。また"Sick City Sometimes"辺りの
ここ近年中に出した曲が過去曲と比較してもまったく遜色なかった辺り、このバンドが未だもって現役
一線級であることを如実に証明しているようで妙に嬉しくなってもきちゃったり。激しいダイブや狂乱
モッシュほぼ抜きでみな楽しそうに体を揺らしている辺りの牧歌感をも含めて、こんな多幸感を与えて
くれるパンク爺供もそうはいないと思わされた時間帯でしたね。

 01:Boredom
 02:Love Battery
 03:Autonomy
 04:Oh Shit!
 05:Sick City Sometimes
 06:Noise Annoys
 07:Ever Fallen In Love?
 08:Promises
 09:What Do I Get
 10:Harmony In My Head
 11:Orgasm Addict
 12:I Don't Mind


ME FIRST AND THE GIMME GIMMES



その後メシ食いに行ったりTシャツ買ったり隔離ステージの「ELEVENTYSEVEN」を遠くから冷やかしたりと
一時間ほどブラブラした後、第2世代パンクのドリームチームことギミギミを見るため『BLUE』にて待機。
サマソニ05の時にオアシスとのカブりで見逃しちゃって以来、ずっと見たかったんですよねこのバンド。
そして60〜70年代を彩る最高のポップソングをカヴァーする為に作ったとリーダーのファットマイク自ら
豪語するだけあって出る曲演る曲、メロディーが抜群なんですわ。この手のレトロ曲をパンク解釈した系で
挙げるなら今のとこハイスタの"Can't Help Falling In Love"(プレスリー)がミーの一番のお気に入りですが、
それに勝るとも劣らない名曲の数々を「NOFX」「LAGWAGON」「Swingin Utters」などのUSパンク大御所達、
しかもそれの主要メンバー達が演奏してくれるってんだから、あまりに贅沢すぎてパンクス(似非だけど)
冥利に尽きすぎますわと。

ところが周囲を見る限り、いまいち盛り上がってないような…あれ?
しかもどっちかっていうとメロ重視な序盤ナンバーのみならず"Riders In The Sky"や"All My Loving"
などのもろ疾走系かつメロコア野郎悶絶系ナンバーに対してさえどこか反応が薄いというこの異常事態は一体?
まあ「久々に再会をはたしたベトナム帰還兵達」的な設定が組まれてるっぽい、やたらとメンバー同士がハグ
する演出とか、「NOFX」でもお馴染みなマイクの空気をわざと読まないグダグダ喋りとか、いくぶん場の
流れをブッタ斬っていたような気がせんでもなかったですが、それにしたってこのリアクションはないだろと。
じゃ誰もが知ってるであろう"Stairway To Heaven"や"Rocket Man"なら盛り上がるのかと思いきや、
これまたそうでもないというこのチグハグっぷり。

というわけで、まるでお寒いというわけでもなかったけれどどこか不完全燃焼気味だった60分、06年の
パンスプ開催時に大阪で発生したという「311の悪夢」を少し思い起こさせるようなステージでしたね。
うーん、日本の若年パンクス層にゃ、あまりルーツ系ミュージックを受け入れる素養はないのかなー

 01:Goodbye Earl
 02:Country Roads
 03:Much Too Young
 04:Over The Rainbow
 05:(Ghost) Riders In The Sky
 06:All My Loving
 07:Summertime
 08:On The Road Again
 09:Uke
 10:I Believe I Can Fly
 11:Stairway To Heaven
 12:Danny's Song
 13:Rocket Man
 14:Science Fiction
 15:Sloop John B
 16:End Of The Road

※注・「311の悪夢」とは:
 パンクスプリング初開催年度となる06年、大阪で起こった事件のこと。
 311のステージ中、「全然パンクちゃうやんwwwww」といって笑いあったり、ステージ
 そっちのけでふざけあっていた一部厨のKY行為が徐々にエスカレート。
 こともあろうにVoが客煽りの為「FUCK!」と叫んだことを自分達を指しているものと大勘違い、
  「は!?なんなんあいつら!」
  「さんいちいち、調子乗ってんちゃうぞボケ!」
  「死ねーカス!!」
  「二度とくんなー!!」(お前らが来るな!)
 とステージに向かってさんざ叫んで、周囲を大変不快にさせたと伝えられている。
 また次アクトのゼブラヘッドで強烈に暴れ狂った末、よりにもよってトリのバッドレリジョン
 を見ずに帰ったらしきことから「どんだけニワカwwwwww」と周囲の失笑をさんざ誘ったとも
 いわれている。


PENNYWISE



さて、「Bad Religion」「NOFX」や「RANCID」等に肩を並べるUSパンク勢の大御所にして、
有象無象のエモやメロコア系バンドとは一線も二線も画す硬派な音作りが売りの「PENNYWISE」が
いよいよ登場するとあって、この不肖ミーもやる気満々モードでほぼ最前位置にポジショニング。
したら案の定ですよ、恒例のブッシュ批判から「FUCK YOU!」のアジりとともに発生した「左回り
の法則」完全準拠のサークルモッシュにどこまでも巻きこまれた末、開始後たった3分でフロア右
サイドへものの見事に押しやられる結末となり、自らの体力の衰えを如実に実感させられる羽目に。
まあそこは最前近くなわりにそこそこ落ちついて見ることが可能な場所だったんでケガの功名っちゃ
そうなんですけど。

特筆すべき見どころとしては、「Ramones、Minor Threat、Dead Kennedys、Misfits、Blackflag
のどれがいい?」とジムが客にふってそれぞれの反応を見てから始めた"Blitzkrieg Bop"による
会場の沸き具合と、"Fuck Authority"サビ部分のシンガロングに被さった中指突きたてポーズ、
そしてモッシュにせよダイブにせよ合いの手シャウトにせよ、そのアガり度合を示す全ての要素に
おいておそらくこの日最大のレスポンスがあったんじゃないかと思わしきラストの"Bro Hymn"が
もたらした尋常ならざる一体感辺りが挙げられるんじゃないかと。

またランシドのティムやギミギミのファットマイクによる乱入サプライズや、ステージ脇では
この日出演していたバンドのメンバーらしき若手がズラっと観戦(最後は我慢しきれず自らも突入)
など、彼らの人徳の高さを示すような場面が随所に見られたことも非常に印象的でしたね。
おしむらくは演奏中、ステージにペットボトルを投げこむというマナー以前の言語道断的所業を
やらかした大馬鹿者さえいなければほぼ完璧な内容だったんですけど… 実際、目的どころかその
手段さえ間違ってるっぽい自己主張かました末に例え注目を浴びたとして、それで本人は嬉しいん
でしょうかね?

 01:As Long As We Can
 02:Rules
 03:Can't Believe It
 04:My Own Way
 05:My Own Country
 06:Blitzkrieg Bop
 07:The Western World
 08:Pennywise
 09:Fuck Authority
 10:Perfect People
 11:Die For You
 12:Bro Hymn


RANCID



ペニワイ終了後、疲れ果てた体をひきずるように隅っこへ移動、そこでツレとまったりしてたら、
ほとんどインターバルなしでトリのランシドがいきなり始まりだした上、オープニングがミーの
大好きな"Fall Back Down"だったもんで、あわ食いながらフロア最後尾付近へと駆けこむ羽目に。
ちなみに同じく最後尾でユルユル見ると事前に宣言していた筈のツレは"Roots Radicals"が
始まりだした途端、あっという間に最前線付近へ消えていきました、合掌…
(その後、暴れすぎたツケくらってフロア中腹付近にて両足が同時につって呻いているところを
 見知らぬ外人に救出されたと聞き及びました。アホはどこまでいってもアホですね)

そんな彼の後ろ姿を呆れ気味に見送っていたミー自身、軽快だけど濃厚に迫りくる相変わらずの
ランシド節やそのリズムに同期して後方大スクリーンに映し出されるホラー映画などのカット映像に
合わせて体をユルユル揺らしてたら、ふと気づけば疲労困憊しきっていた筈の体になんかすっかり
テンション戻ってきちゃってる自分を再発見。挙句"Maxwell Murder"でのマットの神業ベース
ソロとか懐かしの"Knowledge"から叩きつけられる漢っぽさ抜群のストリート臭とか聞いたり浴びたり
しているうちに我慢できなくなって、"Salvation"辺りでいよいよ前方へと突撃かましちゃう事態に。

そして辿りついた先にてボディは鋲ジャン完全フル防備、頭頂部にはモヒカンという名の凶器を
装着完了済みというホンモノの方々に全身をとんでもなくゴリゴリと削られつつ、それでもなお
"Radio"サビの「ヨリヨリヨリ〜」部分に合わせて左右にステップ踏んだり、"Olympia,WA"サビの
「NY-City〜!」にて周囲とともに絶叫したり、"Ruby Soho"最後の「ルービルビルビ〜」部分にて
待ちかねた!とばかりハモりまくったりするのは飛びぬけた楽しさでしたね。

というわけでライブには一切文句なかったけど、ティムの顔がやたらと不健康そう(明らかにお薬
くってるツラ)だったのだけが少し気になったかなあ。

 01:Fall Back Down
 02:Roots Radicals
 03:Tatoo
 04:Journey to the End of the East Bay
 05:It's Quite Alright
 06:Tenderloin
 07:Maxwell Murder
 08:The 11th Hour(Tim Armstrong Solo)
 09:Knowledge(Operation Ivy)
 10:Otherside
 11:Salvation
 12:Who Would've Thought
 13:I Wanna Riot
 14:Radio
 15:Olympia, WA
 16:Bloodclot
 17:Time Bomb
 18:Ruby Soho


<総括>
 ・ダイバーさん達へ。
  頼むから頭上で暴れないで。ただ黙って前方へと流されてください。

 ・モッシャーさん達へ。
  お願いですから三沢ばりのエルボーを打ち込んでくるのだけは止めてください。
  その他に関してはもうなすがままにされちゃうことを完全許容します。

 ・あとステージにペットボトル投げるバカがいたのは非常に遺憾。

 ・あ、今年から設置のストリップ小屋アトラクションはそのバカバカしさがわりと
  面白かったので来年もまたやってください。

 ・だけど今年のラインアップがあまりに良すぎたおかげで、来年はかなり心配。

 ・正直、このメンツを超えるのは相当難しいんじゃ…
  (もはやイギーとかグリーンデイ級をもってくるしかないかも)

 ・不安と期待入り混じり気味で、来年の開催を待ってます!


<今日の無駄T>



#悩みに悩んだ末、ミー的本日のベストアクトに決まったバズコックスのTシャツを購入。
 ちなみに背面上部に書いてあるのは「東京」「大阪」。
 ちょっとシンプルすぎるとは思うけど、無駄に自己主張してない辺りはわりかし好みかも。


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