MACHINE HEAD.


2008年3月18日: 渋谷O−EAST>

19070年後半の「NWOBHM」ショックに続き、1980年半ばより1990年代初頭にかけて当時のメタル
シーンを席巻しまくった「スラッシュ」。
そのムーブメントの一大勢力たるサンフランシスコはベイエリアクランチャー、「EXODUS」「TESTAMENT」
を筆頭に「TRAUMA」「POSSESSED」「LAAZ ROKIT」などの才能溢れるメタル野郎達がこぞって群雄割拠を
繰り広げていたスラッシュ戦国時代の中にあって、なお突き抜けたクランチ・リフをもってしてそのシーンの
一角を担っていた伝説的バンド「FORBIDDEN」。
その元ギタリスト:メタルマシーンことロブ・フリン率いる「MACHINE HEAD」が昨年のラウドパーク07に
続いて再来日をはたすと聞き及び、その単独公演を見に渋谷はO−EAST(この月はこれで3回目)まで
行ってまいりました。

場内は結構混んでましたね。先日みた「Ash」や「Ian Brown」の時より客入っていたんじゃないかな。
90年代後期程ではないけれど動員面から見ればここ近年においては常に苦戦を強いられてきたメタルという
ジャンルのライブにおいてしっかり会場が埋まってるってな、やっぱし感慨深いものがありましたね。
パンク系と比べると若干大人しいといわれる客ノリの方も今日は開始前からそこらで「ロブ〜!」等の掛け
声が飛ぶわ、「Machine!Fuckn" Head!」のコールが次から次へと挙がるなどすこぶるつきの上々具合。
そのテンションにすっかりあてられて今日のライブに向ける期待感がみるみる大きくなっていたところへ
かかったSEがオジーの"Diary of a Madman"でしたからね、良いライブは始まる前から既にその空気が出来
あがっているものだとよく聞きますが、その言葉に照らして考えるならこの時点で本日のライブの成功は
約束されたようなものでしたね。

ライブはラウパー07時と同じく新譜1曲目の"Clenching The Fists Of Dissent"からスタート。
静寂がじわじわと解き放たれていく導入部、そしてその名の通りクランチしまくる超速リフを経ての予測
不可能な転調から鬼弾きツインソロが誘発する地獄モッシュ、そしてそれを抜けた後のシンガロングパート
によるカタルシス… 「メタル」という音楽的概念がもてる全ての要素を内包しているといっても過言では
ない、いわばマシヘ的"Master Of Parpets"ともいえる超ド大作を、初曲からこれでもかと言わんばかりに
叩きつけられて、全身のメタル分というメタル分をいやおうもなくフルチャージの刑に処せられるミー。
そこから続いた2曲目が"Imperium"というね、これまたスケールの大きさや怒涛の疾走パート、脈絡なしの
転調パートから続く情感的展開と珠玉の高速ソロという、1曲目と同系統の大作を息継ぎなしの連続で叩き
こまれてもはや逃げ場なしとなった末、重低音という名の縦断爆撃と狂乱テコンドーという名の物理攻撃に
晒されまくった挙句の果て、ライブ序盤にして早々と仕上げられる顛末と相成りました。

というわけでたった2曲にしてフロントエリア撤退を余儀なくされ、途中から後方支援に回らざるをえなく
なったミーですが、ライブ自体のパフォーマンスが常に高いレベルを維持し続けてくれたおかげで撤退後の
中盤位置からでも存分に楽しめました。
特に"Now I Lay Thee Down"や"Aesthetics Of Hate"などの中間部で披露されたユニゾってハーモニクスる
ツインソロとかもう鳥肌ものでしたね。怒涛の勢いで疾走しクランチしまくるリフ、時にはプログレ的とも
評される程の転調やその展開の複雑さが魅力とされる彼等ですが、やっぱしミー自身はその中に時折挟まる
「これぞメタル!」的なギターソロが一番好みですね。
その他のツボとしては、終始ツーバスの鬼と化していたデイブが時折スティックを空中に放り投げてそれを
カッコよくキャッチしざまハイハットを叩く様とか、それに失敗して強引に素手で音出してるところとかが
真正面と斜め、両角度ともにステキだったかなと。

もちろん音の方のみならず、ロブ自身も絶好調。
「単独としては8年ぶりー」「お前ら新譜買ったろうなー!」「ラウドパーク来た奴はどれくらいいるー?」
などの分かりやすいMCで場を盛り上げたかと思えば、「俺らのライブ初めての奴はどれくらいいるー?」と
ふってその数が意外と少なかったことに対して満足げな顔したり、また関係者ばかりだったと思われる2F席を
煽ってそのリアクションが少ないことにブーイングしたり、その報復とばかり今度は1Fを煽って喚声や嬌声を
起こさせニンマリしたり、LP07時と同じく紙コップ入りのワインを次から次へとフロアに放り投げてその周囲を
カオス化させたりと(投げてくれるのは嬉しいんだけど、かかると服がベタベタになって最悪)、存外を超えて
わりかし人外レベルでやりたい放題でしたね。

そしてなんといっても本編終盤を飾るラスト3曲がね…これ、その全てがハイライトといってもいいぐらいの
ゴージャスっぷり。ヘヴィではあるけどメロが弱くて正直イマイチと思っていた筈の"Old"にて、その激メタルな
展開とアリチェン的なグランジ風味のサビによるギャップがめっさライブ映えすることに気づかされた直後、
今度は"Halo"の情感溢れるドラマティズム展開とその間に挟まれる宇宙一カッコいいツインソロという極大
攻撃に晒され、もうどうにでもして状態にすっかり出来上がったところへ駄目押しとばかり繰り出されたのが
マシヘ屈指のキラーチューン"Take My Scars"。
そのスレイヤー的な不穏きわまる不協和音といい、普段は内面に眠っている暴虐性を剥き出しにさせるような
このうねりといい、そしてトム・モレロ的な遊んでる感全開のソロといい、ついでといっちゃなんだけど冒頭に
入れた"Cum On Feel The Noize"のサビフレーズといい(先月亡くなったケヴィン・ダブロウへの追悼の意味も
あったのかな?)、あまりに最強かつ最高すぎてもう完璧に昇天させられた時間帯でしたね。

その後、アンコールの最後でプレイした"Davidian"において、フロア中に阿鼻叫喚の即死モッシュ旋風
吹き荒れる最中、マイクの調子の悪さにキレたロブがクルーに低空からのタックルをかましついでにそのまま
右サイドのマイクで倒れながら歌い続けるというオモシロな一幕もあったそうですが、そのとき後方ですっかり
くたばっていたおかげでそのシーンを見逃してしまったことだけが心残りだったかなと。


<今日の一枚>

 「The Blackening」 / Machine Head

2007年リリースの6枚目にして、現時点での最新作。
スラッシュが持つ疾走感、ハードコアの攻撃性と緊張感、そしてオールドスークルなメタルや
ハードロックが有していたリフとソロのカッコ良さ、はたまたプログレ的な展開の複雑にグランジ的な
スカしたヴァイブまでをも含む、まさに「ハイブリッド・メタル」というに相応しい一枚。
メタル以上、エクストリーム未満の範疇において、現時点での最終型かつ究極型かと思われ。


<今日の無駄T>



#はっちゃけすぎたデザインはともかく、メタルT唯一の長所である生地の厚さがまるでないのは、
 いかがなものかと。ちなみにこれはラウパー07の時に購入したものです。



<セット・リスト>

01:Clenching The Fists Of Dissent
02:Imperium
03:Now I Lay Thee Down
04:Ten Ton Hammer
05:None but my own
06:Bulldozer
07:The Blood, The Sweat, The Tears
08:Aesthetics Of Hate
09:Old
10:Halo
11:Take My Scars

12:Descend The Shades Of Night
13:Davidian


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