MxPx.


2008年1月22日: 渋谷O−EAST>

ポップかつキャッチーで疾走感のあるメロディ、通称「メロコア」と呼ばれる音楽性を軸にした
躍動感のある音作りにて、アメリカの若年層を中心に堅実な人気を博しているパンク第2世代の
中堅組「MxPx」。

このバンド、過去の来日においては、前半に弾けすぎたツケをくらっていざ出番となったその
時間はひたすらダウンだったパンスプ06、「DINOSAUR Jr.」との時間カブりで再度見逃すこと
となったサマソニ07、出遅れによる位置取り失敗が祟り、高い人垣の後ろでほぼ音を聴いてる
だけに終わってしまったサマソニ・アフターと、結構興味があったわりにことごとく縁がなかった
んですが、この度、昨年のサマソニからあまり間隔をおかないでの再来日を果たすと聞き及び、
これはリベンジのチャンスとばかり、「今度こそは!」の強い決意とともに渋谷はEASTまで
出向いてまいりました。

で、あまり客入りは良くないと聞き及んでいた前情報とはほぼ真逆に、限りなくすし詰め状態と
化していたフロアを唖然と眺めつつ、それでも過去と同じ轍はもう踏むまいとその人込みへ懸命
に食い込んでいった結果、EASTフロアを縦に二分するバーの外側というそこそこの好位置を
ゲットすることに無事成功。そしてこの10分後、バーの内側でなく外側という選択肢を選んだ自分を
ミーは心の底から褒めてあげたい気分になるのでありました。
というくらい開始直後のダイブ&モッシュ合戦が半端なかったです。まさに津波のごとく迫りくる
彼等のオールレンジアタックを遮断してくれるこのバーの存在がなかったら、即座に巻き込まれて
とんでもなく疲弊しきった末、ほぼ間違いなくその場離脱を余儀なくされていたんじゃないかなと
思うと、この日の位置取りは本当にラッキーでしたね。
そしてよく訓練されたモッシャーと完璧に覚悟のできてるダイバーたちが繰り広げる狂態を安全の
保証されきったゾーンから眺めるこの愉悦たるや…ククク…! 前方の柵の存在も相成って気分は
もうすっかり動物園の猿山におけるグループ同士の縄張り争いを見物モードですよ。

そしてやたら激しくモッシュを繰り返してるわりに表情だけは案外笑顔という妙な多幸感漂うこの
雰囲気に彼等の曲がまた素晴らしくマッチするわけですよ。メロコアはこうあるべし的な出だしの
"Secret Weapon"から続いた3曲による熱狂エナジーの加速、"Shut It Down"のサビ合唱から
"Tommorow Is Another Day"のシンガロングを経て作り出された一体感という名のヴァイブに、
熱くなりすぎたその空気を哀愁混じりの青春エモで程よくクールダウンさせてくれた"Heard That
Sound
"と、序盤〜中盤までの流れはホント非のつけどころなしの出来だったと思います。

その出来が良すぎた分…と言っちゃなんですけど、中盤からラストにかけての展開には多少粗とか
ダレが見られましたね。いや、曲単位で見れば問題ないんですよ、例えばブライアン・アダムスへの
思い入れが深かった分ジーンときた"Summer Of '69"とか、動と静のテンポ使い分けがその情感を
存分に煽った"Young and Depressed"とか所々は良かったんですけど、そのノリが前半の勢い程には
持続していかない、的な。
特に"Chick Magnet"の緩やかで楽しげな横ノリから、それを次曲の"Responsibility"にて一気に
縦へと切り替えていよいよここから怒涛のフィナーレへ!とこちらをふんだんに期待させておきながら、
そこで本編を終わらせてしまったことでせっかくのいい流れを一旦切ってしまった展開はどうにも
もったいなかったかなと。キラーチューンという名の生地で「CLASH」後期の名曲を具代わりに挟んで
「MxPx」スペシャルサンドイッチを繰り出してくれたアンコールの流れがあまりに良かっただけに、
ことさらそう思えちゃいましたね。


<今日のお宝>



#セットリストを物販で売っているのには驚きました。
 いろいろとライブ行ってるけど、こういうのは初めて見たわ。ちなみに¥500ね。


<今日の一枚>

 「Combat Rock」 / The Clash

アンコールでプレイしてくれた"Should I Stay or Should I Go?"の盛り上がりが驚いたことにイマイチ、
それも「飽
きたよー」レベルじゃなくて「この曲なに?」みたいな反応だったんでカーっときた挙句の
紹介と相成りました。
パンクというジャンルをはるかに逸脱する多彩な音づくりにさんざ挑んだ末、その経験を活かした上で、
シンプルかつストレートなロックに原点回帰した彼等の実質的なラストアルバム「
Combat Rock」
デビュー作と同じくらい分かりやすく、しかもきっちり熟成されているので、その聞きやすさは折り紙付き。
パンク好きならそのルーツや進化したその先を知る上でも絶対聞いてほしい一枚です。


<今日の無駄T>



#パッと見、どこかMxPxのTシャツかが、皆目不明。
 よくよく見たらギターの中央に、彼等のトレードマークの「顔」。
 もっと分かりやすいデザインのTシャツもあったんで、正直今回のチョイスは大失敗。
 ¥2500という良心的設定だけが救いだったかなと。



<セット・リスト>

01:Secret Weapon
02:My Life Story
03:Middle Name
04:Shut It Down
05:Tommorow Is Another Day
06:You're On Fire
07:Sometimes You Have To Ask Yourself
08:Heard That Sound
09:Party, My House, Be There
10:Doing Time
11:Summer Of '69
12:Young and Depressed
13:Angels
14:Under Lock And Key
15:Next Big Thing
16:Chick Magnet
17:Responsibility

18:The Broken Bones
19:Should I Stay or Should I Go?
20:Punk Rawk Show


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