DAFT PUNK.
<2007年12月8日: 幕張メッセ>
80年代後半、そのロボットを模した特徴的アピアランスと、背景にストーリー性を持たせた
キャッチーな楽曲群の数々でもって世界中のハウスシーンに巨大旋風を巻き起こし、
今や「UNDERWORLD」「The Chemical Brothers」と並んで現代テクノシーン3強ユニットの一角
を占めるまでになったフランス出身のハウスユニット「Daft Punk」。
06年サマソニにおいての初来日時、演奏時間帯が「Metallica」ともろカブりということで
泣く泣く見逃すしかなかったホロ苦い思いでの上に、ここ最近のテクノ回帰的な音楽的嗜好と
滅多にツアーをやらないというそのレアっぷりがうまいタイミングで乗っかったその結果として
今年の最後を締めるライブアクトを見るため、海浜幕張はメッセ・イベントホールまではるばる
足をのばしている最中のミーがそこにいたという次第でありまして。
そして会場到着後、まずは快適な視聴環境を模索すべくお約束の好ポジション探しを行い始めた
わけですが、最後方を除けばほぼすし詰め状態と化していたアリーナを見た途端、スタンディング
にてその興奮を味わうことを至極あっさり放棄、結局のところ椅子付きの2Fスタンドエリアに
ほくほく顔で陣取って、その日和まくりの惰弱かつ脆弱な姿勢を軽々と野晒す羽目に。
が、そのステージ上にて噂の巨大ピラミッドが遂にお披露目となり、「Daft Punk」のロボット
二人組がその中にいよいよ姿を現し、定番ナンバー"Robot Rock"のイントロとともにフロア中
から地鳴りのような歓声が鳴り響き始めたその瞬間、「テクノで?(笑)」というスイーツ感嘆詞
のみでは到底片付けられないような規模のモッシュ旋風がアリーナ各地を狂乱怒濤の様へ追い
込んでいるのを見て、ミーはその選択が間違ってなかったことをほぼ確信するのでありました。
ククク、眼下に広がる阿鼻叫喚レベルの狂態を、完璧に安全の保証されきった2Fスタンド席から
ビール片手に見下ろすこの優越感たるや…!ククク…!
と、わりかし冷静にフロア観察していた筈の僕自身、ボコーダー出力による「Robot!」の連呼から
金属的なブザー音が「ヴィ〜ンヴィ〜ン」とループする場面で、お話にならないぐらい興奮した様を
周囲に晒してしまうことになりました。いや、だってピラミッドに仕掛けられた各種の電飾ギミックが
交錯するビートに完全同期しながら織り成す視覚効果がマジでものっ凄かったんだもの。
続く"Touch It"においては、ピラミッド背面にドデンと控えた巨大スクリーンの画面一杯に「Fuck」
の文字列が映し出されるという、更なる大技エフェクトも加わって、場内の熱気はますます上昇。
いや、これはもはやライブというより、光と音をフルに駆使したとびっきりのアートレベルなんじゃ
ないかと、そんなことを思わされちゃうほど各ギミック群の充実っぷりが半端なかったですね。
が、その仕掛けにはまだ「先」がありました。
今度はピラミッドと後方スクリーンの間に配されていたクモの巣みたいな格子状パイプの数々が
"Around The World"辺りで一斉に点滅し始め、その一面に様々な模様を描き出すという駄目押し
ギミックまでもが加わって、エンタ性という名のギアはもう一段上へと引き上げられることに。
ピラミット、格子パイプにスクリーンと、よもやの三段仕掛け!?
更に更に!いくら凄いとはいえせいぜいがLED的な電飾までだろとばかり思っていたピラミッドの
仕掛けが、突如「面」レベルのスクリーンモードへと切り替わって、その画面上に高画質・高密度の
3D動画を色鮮やかに投影し始めたのをみて、この日三度目ぐらいの衝撃をこの身に受けることに。
ちょー!どこまでやってくれるんだと。なんちゅうもの見せてくれるんやと。
そして最大のハイライトはもちろんあの曲。
その到来を告げる鐘の音が響き渡るやいなや、それを打ち消すぐらいの勢いで沸きまくる場内。
と同時に誇張抜きでグワっと揺れるフロア。そして目を一発で醒ますような印象度抜群のイントロが、
そう、遂に"One More Time"の時間がやってきてしまったというわけで、これまでにも増して常軌を
逸した盛り上がりっぷりを見せ始めたアリーナの熱気が、とうとうスタンドまでをもじわじわと侵食
していく様を横目で見やりつつ、高揚感とともに寂寥感を感じさせる途中の繰り返しパートにミーは
どこまでも恍惚とさせられていくのでありました。
この楽しいんだけどでもちょっと切ない的な、鼻の奥にツンとくる感じがどーにもたまらないというか、
いや、お約束ソングとはいえ、途方もない場内のテンションにとびっきりの視覚効果も相成って最高に
身震いさせられた時間帯でしたね。
しかし本当に感心させられたのはこの後。
切り札を使ってしまった後もテンションを尻つぼみにさせず、それを維持した上でなお引っ張ってから
更に盛り上げた"Prime Time Of Your Life"〜"Brainwasher"辺りの展開力の巧みさは「脱帽」の
一言でした。ピラミッドを火山に見立てたマグマ噴出エフェクトもメチャ見映え利いてたし。
また、後方スクリーンの文字スクロール演出とともに放った"Together"をゆっくりじっくり引っ張って、
その高揚感をさんざ熟成させておいてから、それがいよいよ臨界点に達したと思われる最高においしい
タイミングを狙って"One More Time"のサビを繰り出した流れは、僕のテクノに対する認知的・即物的
なイメージを一変させるに足るほど感覚的かつ情感的なものであったなと。
そして最後の最後に自らも電飾の一部と化し、そのボディ部分に「DAFT」「PUNK」の文字を色鮮やか
に表示させながら観客に向かってお辞儀を繰り返していたロボット二人組の姿もまた、この素晴らしい
「アート」を締めくくるに相応しい幕引き演出であったと思います。
<参考動画>
■スクリーンの特殊エフェクト最高潮場面 → *
■アンコール全編 → *
<今日の一枚>
「ピラミッド大作戦-スペシャル・エディション-」
/ Daft Punk
約9年ぶりの07年ツアーの模様を… つまり今内容をほぼ網羅したライブCD。
(スペシャルエディションにしか、アンコールのミックスは入ってないので注意)
実際のライブ上ではこの音源をベースに曲を引き伸ばして、更に細かいアレンジをたくさん
加えてあったそうですが、僕みたいな素人耳にはほとんど同じにしか聴こえませんでした。
<今日の無駄T>
#生地がペラッペラっな上にロゴも若干デカめ。
コジャレた感じの色合い以外は不満だらけのデザインだけど、再び袖を通すことなんて
もうないだろうし、まあいっか。