LOUD PARK 07.


<2007年10月21・22日: さいたまスーパーアリーナ>



昨年の秋、日本全土のメタラーを熱狂の渦に巻きこんだあの「LOUD PARK」から早一年。
今年も開催されると聞き及び赴くことだけは早々決めたものの、去年ほどのメンツを集める
ことはまずできまいと若干冷め気味でいた筈が、よくよく全ラインナップを総括してみたら、

 パワメロ勢からは「BLIND GUARDIAN」「NOCTURNAL RITES」に「ANDRE MATOS」、
 メタルコアとそれに絡む勢力として「MACHINE HEAD」を筆頭に「TRIVIUM」「AS I LAY DYING」、
 「ALL THAT REMAINS」に「STILL REMAINS」、
 飛ぶ鳥を落とす勢いのメロデス系からは「ARCH ENEMY」と「AMORPHIS」、
 正統派のオールドメタル・HR系のくくりで「SAXON」「TESLA」「FASTWAY」、
 ヘアメタル/グラム系からは「WIG WAM」に「HANOI ROCKS」と新旧揃い踏み、
 その他マニア心をくすぐるラインアップとして、
 ブラック/デス系のアンダーグラウンド・シーンから「SATYRICON」に「NILE」、
 更にゴシック系から「LACUNA COIL」、シンフォニックメタルで「THERION」、
 そしてインダストリアル系メタルの異才「MARILYN MANSON」に、
 これら全ジャンルの根幹的存在、メタルの始祖「BLACK SABBATH」改め「HEAVEN AND HELL」、

と、実はなかなかの粒揃いであることに気づいてしまったミー、わりかしやる気満々モードで
埼玉はスーパーアリーナへと向かったのであります!

…の筈が、楽しみすぎて前夜に寝れなくなるという遠足前の小学生状態をきっちり堪能した
そのツケとして朝寝坊を悠々晒すことになり、「THERION」と「STILL REMAINS」をいきなりスルー
せざるをえなくなる状況に。




*21日(一日目).

NILE



というわけでLP07におけるミーの初日のオードブルは。この「NILE」となりました。
いきなりブルデスて。朝っぱら野菜スティックよろしくオットセイのペニスでもバリボリかじって
いるような気分にさせられることほぼ必至なこのチョイス、流石にいかがなものかと自分でも思い
ましたが、まあ寝坊しちゃったんだから仕方ない。

そして全出場バンド中でも突き抜けたエクストリーム性を誇る米ブルデス・シーンの重鎮なだけあってか、
客の暴れっぷりも案の定パないときたもんで、のっけからの狂乱モッシュに続いて発狂ダイブの雨あられ、
仕上げがデス声によるシンガロングと、コイツ等わりかしやりたい放題。
もちろんそれら痴呆行為を誘発するプレイの方も特A級、究極的なまでに速まったバスドラ連打、それに
絡む不協和音全開のギターソロ、はたまた不穏な雰囲気を匂わせるエジプト民謡系のSEにそれら混沌とした
音像を強引に規則づける諸行無常的なデス声と、相変わらずの「NILE」節でもってダイハードなファン集う
アリーナを暴虐の渦に、そして予備知識なしと思われるスタンドの客達を忘却の渦に(みんな口あけてポカーン)
陥れていました。

そんだけ音楽性が究極的なわりに、曲間のMCや仕草は妙にコミカルというね、
やたらと芝居がかったデス声による曲紹介や、「Would You Like To Hear?」的な妙に礼儀正しい煽りが
プレイ時のシリアス感と相反するファニーさに繋がってる辺りにもこのバンドならではの独特の「味」を
感じました。実際、これだけ癖があって中毒性が高い音もそうそうないんじゃないかなと。
故に「シュールストレミング」系、もしくは「くさや」系と位置づけておくことにします。

 01:Sacrifice unto Sebek
 02:Execration Text
 03:Cast Down the Heretic
 04:Ithyphallic
 05:Eat of the Dead
 06:Sarcophagus
 07:Lashed to the Slave Stick
 08:Black Seeds of Vengeance


AS I LAY DYING



「NILE」終了と同時に即、右の『ULTIMATE』に移動して、そのまま「AILD」参戦。
「KSE」「UNEARTH」等に並ぶ米メタルコアシーンの本命どころとあってか、前方アリーナ付近の客も
20代前半のゴツい兄ちゃんばっかで開始前から大層ビビくっていたミーですが、案の定その手の
バカものさんの恣意的誘導による「Wall Of Death」、更にそこから派生した巨大サークルモッシュの
連続コンボに至極あっさり巻きこまれて、1分に1回はドサクサ混じりのラリアットを食らわされる
羽目となり、2曲目の"Forever"終了時点で早々とグロッキー気味になる始末。加えてこのビリビリと
横隔膜に響く音圧たるや…!もはや修行や荒行を超えてインド認定クラスの苦行レベルだと思いました。

いやしかし、メタルコアその魅力の一つである「メロ心のあるリフ」を全て押し潰してまで圧倒感を
演出する必要があったのかと真剣に首を捻りたくなったこともまた確かであり、「AILD」持ち曲の中
でも特に好きだった"Meaning In Tragedy"のメロラインがほぼ崩壊気味だったのを聴くやいなや
アリーナから離脱しちゃいましたね。うーん、勢いを重視しすぎたあまり、元曲の良さを再現するに
至らなかったステージだったんじゃないかなと。かなり期待していただけに少し残念な結果でしたね。

 01:Through Struggle
 02:Forever
 03:An Ocean Between Us
 04:Within Destruction
 05:The Pain of Separation
 06:Nothing Left
 07:Meaning In Tragedy
 08:Falling Upon Deaf Ears
 09:94 Hours
 10:The Darkest Nights
 11:Confined


NOCTURNAL RITES



「AILD」を途中離脱後、このさいたまスーパーアリーナならではの特典「座って観戦」の醍醐味を
味わうべく、早々と左側スタンド席に陣取って、スウェーデン発は北欧パワメロ勢の中堅どころ
「NOCTURNAL RITES」をそのまま観戦。

いかにもパワメロ的なトーンを持つVoの声質、中途半端に出来のいい楽曲の数々、疾走感に頼らない
メロ作りも好印象と、かなり早い段階でミーのメロスピ心をがっしりキャッチ。特に"Shadowland"、
"Avalon"辺りは相当気に入りましたね。そこまで出来る子だったわりに知名度が存外に低いのは
これまたどうして?とふと疑問に思ったりもしたのですが、聴き進めていくうちにその原因の一端は
なんとなく判明しましたね。ぶっちゃけドラムが少し下手すぎね?

しかしまあソコを除けば、客煽りもうまかったし、アリーナの客もそれに呼応するがごとくきっちり
合唱状態を作っていたし、いやいやこれは拾いだわと更に熱を入れて観戦すべく身を乗り出した途端、
4列ぐらい前に座っていた客の1人がノリノリになりすぎたあまり、突然椅子の上に立ちだしやがって、
ちょバカ、そこに立たれたらステージがシルエットに隠れて見えないだろ!ってかそこまで大好きなら
ハナから最前行っとけよという。と、そんなこともあってか終盤辺りは若干意気消沈気味になっちゃい
ましたが、バンド自体は確実に収穫だったので今後とも機会があればチェキっていきたいと思ってます。

 01:Call out to the world
 02:Never Again
 04:Shadowland
 04:Never Trust
 05:Not the only
 06:Avalon
 07:Cuts a like knife
 08:The Iron Force
 09:After Life
 10:Fools Never Die


MACHINE HEAD



スタンド観戦が思っていたよりはるかに居心地よかったせいか、本来ならアリーナへと飛び込む
予定だった筈が、ふと気づけば左→右へと移動しただけの座席モードのまま「MACHINE HEAD」を
のんびり観戦する気満々なミー。一度知ってしまった平穏の味はなかなか手放せないもんですな。
そして6年ぶり、ビーストフェスト以来の来日とあってか、遠目に見てもその盛り上がりには確実
に常軌を逸した何かがありました。何せスラッシャーの代名詞たるクレンチリフが場内に響きだした
途端、アリーナの左右に二つ、鳴門海峡の黒潮を思わせるような巨大サークルピットが渦巻きだした
ぐらいでしたからね。お前等どんだけ気合入りまくってるんだと。

その気合に呼応するかのごとく、フロントマンのロブ・フリンを中心とするバンド全体のプレイにも
かなりの熱が入ってるっぽかったです。と、曖昧な書き方にならざるをえないのは、あまりに音量が
デカすぎて、攻撃色むき出しなリフの輪郭以外は音の判別がほとんど不可能(特にソロの音はもろ割れ)
だったからです。その弊害により、その野趣溢れる激烈リフと合わせて彼等の売りである「曲展開の
複雑さ」や「実は情緒性豊かなギターソロ」がほとんど味わえなかったのは残念至極。
「メタルコアの始祖」といわれることも多い彼等ですが、実はドリムシと並ぶプログレメタルの走り
であることを象徴すべきパーツが、バランス皆無なPA設定のせいでもろ欠けになっちゃってたのは
自分にとっては厳しかったかなと。

それでも"Halo"にはやっぱり感動しまくりました。
「MEGADETH」の"Tornado of Souls"こそ宇宙一カッコいい曲であると常日頃からそう固く信じて
疑わないミーですが、この曲における中盤のツインソロから静寂の独唱を経てラスト間際のシャウトに
至る流れには、確実にそれと比肩しうる何かがあると明言しちゃえるほど、ミーの中では最高潮に盛り
上がった時間帯でしたね。

 01:Clenching the fists of dissent
 02:Imperium
 03:Aesthetics of hate
 04:Old
 05:Halo
 06:Take my scars
 07:Davidian


Blind Gurdian



マシヘ裂帛のステージングにすっかりテンションをもっていかれ、ゆとりスタンド観戦であったにも
かかわらず想定外に燃え尽きてしまったところに、どーせ聴きたいソロ部分は劣悪PAのせいで埋もれ
ちゃうんだろ的なやさぐれ予測が重なったこともあり、次の「TRIVIUM」は完全スルー、
左の『BIG ROCK』側へと民族大移動していくアリーナ客を尻目に、右の『ULITIMATE』側へ早々と
陣取って北欧パワメロ勢の重鎮「Blind Gurdian」に照準を合わせることに。

で、そのブラガですが、出だしからマイクが入ってないという予想外のトラブルにいきなり足元を
救われたものの、元来の魅力であるハンズィの圧倒的歌唱力とドラマティックな曲展開の良さに、
「バード」という名の熱狂的ファン達が繰り出すコーラス支援の調和がぴったしハマって、今年4月に
見たとき以上の一体感と共存美に溢れるステージを序盤から披露してくれていました。
特にサビ部分のオペラティックなコーラスと十字架の形をした数多もの墓碑が高速スクロールしていく
スクリーン演出が相まって、その場の情感及び情緒レベルがほぼマックス値に引き上げられた"Script
For My Requiem
"には痺れまくっちゃいましたね。

そして今更といえば今更なんですが、"Imaginations From…"や"Mirror Mirror"辺りのサビに
感じられる「艶」とそれが引っ張る余韻の深さ、そして分かりやすさが目立つ曲構成なわりに本来なら
それに付随する筈の「浅さ」がほとんど感じられないというその矛盾には確かにそんじょそこらの
パワメロ勢とは一線を画す何かがあるなと改めて確信させられたりも。
と、ここまで感服させられた内容だった筈が、地元の欧米圏におけるその盛り上がりたるや今回のライブ
などまるでお話にならないほど凄いと後から知人に聞かされて思わず唸る羽目に。とはいえ日本における
人気の度合いを考えれば、生粋バードの数的にはこの辺りが限界かと思われるので、ヘタれなミーはせめて
ユーチューブでブラガの海外ライブ映像を思う存分閲覧しまくってその溜飲を下げることにいたします。

 01:War Of Wrath〜Into The Storm
 02:Born In A Morning Hall
 03:Nightfall
 04:The Script For My Requiem
 05:Fly
 06;Time Stands Still(At The Iron Hill)
 07:This Will Never End
 08:Imaginations From The Other Side
 09:The Bard's Song-In The Forest
 10:Welcome To Dying
 11:Mirror Mirror


HEAVEN AND HELL



さあ、いよいよ初日のトリ「HEAVEN AND HELL」の出番です。
ブラガ終了後、休憩なしで即座に左の『BIG ROCK』へと小走った甲斐あってか、アイオミ側のほぼ
正面位置をゲットすることに無事成功。開幕の"Mob Rules"からその手元をひたすらガン見する予定
だった筈が、反対側に位置するギーザの「うねる」ベース音があまりに凄すぎたもんで視線の全てを
そっち側にもっていかれることに。ってかギーザ様、マジごいっス。
パッと見、単なる小太りオッサンがその場棒立ちしてるようにしか見えないのに、その指先が蜘蛛の
足のごとくフレット付近を這いずりまわって弦をバシバシ叩く度、その場に半端ない重低音が響く響く。
その音映えの度合いたるや、ぶっちゃけ聴いてるだけであまりに凄すぎて思わずニヤけてきちゃうほど。

ここでふと視線を右にずらせば、そこではディオ様が自身のトレードマークたるメロイックサインを
掲げつつ、還暦越えという年齢をガン無視した超人的なシャウトをご披露なさっている真っ最中でした。
特に"Children Of The Sea"でのほれぼれするまでな声のハリはもはや人類の域を完全に超えていたん
じゃないかと。そして遂に炸裂する「LOOK OUT」…!いや、昨年のLP06に続いて今年も生「LOOK OUT」
が拝謁できようとは、メタル者冥利につきるってものですよ。

そして正面に向き直ればそこにはミーの永遠のギターヒーロ、アイオミ様の姿が…!
トレードマークの十字架ペンダントに、めちゃくちゃ使いこんだ感のあるボロボロのギブソンSG、
そしてレフトハンドでカッティングを決めるたびに小さくヒョイと掲げるメロイックサインと、あらゆる
部分においてなんかもうオーラが滲みすぎていて、眺めてるだけで圧倒されまくりんぐ。
"Falling Off The Edge Of The World"での抑えに抑えた流れから一気にトップまでもっていく後半の
転調展開なんてマジ悶絶もの。

ゴッドヴォイスにリフマスター、そしてベースマイスターと、この最強のフロント三人が揃い踏んで
奏でてるってんだから当然のごとく鳴ってる音の方も極上もの。一聴した印象はどこまでも優雅かつ
華麗でありながら、その実、頑ななまでにサバスがサバスたることを主張し続けるこの太くて重くて遅い
リフがまた…! 感動した!決して色褪せない伝説を前に感動した!(絶望先生ノリで)
あ、蛇足のような付け加えに読めちゃうかも知れないけど左右のバネ仕掛け太鼓を叩く様が妙にコミカル
だったアピスさんの重くのしかかるようなストロークも悪くなかったですよー(とってつけたように)

そしてライブも後半、遂にあの瞬間が、これを生で一度聴けたらもう悔いはないとまで言えちゃう程の
永遠のメロスピアンセム… そう、あの"Die Young"がやってきてしまったというわけで残された全ての
エネルギーをここに注ぎこむつもりで声も枯れよと大絶叫。2万人とともにがなりたてる「ダイヤン!」の
大合唱はそれはもうあまりに最高な時間であり、そして本当にメタルが好きで良かったと心底思わせてくれた
瞬間でもあり。またドゥーミ極まって重々しく迫りくる前半からコール&レスポンスに繋げて徐々にギアを
引き上げ、赤スポットがディオ様の御尊顔を照らすと同時に左右からスモークが噴出する演出から直後の疾走
パートにおける怒濤展開で全てを仕上げきった"Heaven And Hell"も前曲に負けず劣らずエクセレントであり。

後はオジーが加わっての前期サバスが見られれば本当に思い残すことは…それが無理ならせめてマーティン
時代の後期サバスを… ってもう悔いはない筈だったのに次から次へと新たなる煩悩が…

 01:E5150(SE)〜The Mob Rules
 02:Children Of The Sea
 03:I
 04:The Sign Of The Southern Cross
 05:Voodoo
 06:〜 Ds Solo 〜
 07:Computer God
 08:Falling Off The Edge Of The World
 09:Die Young
 10:Heaven And Hell

 11:Neon Knights


<今日の無駄T>



#サバス名義ではないけども待望の初来日を果たしてくれたことに感謝を込めてヘブヘルTシャツを購入。
 パッと見、なんのバンドTかさっぱりなところがちと残念。




*22日(二日目).

AMORPHIS



初日のような寝坊はすまいと頑張ったものの、結局オープニングアクトの「ALL THAT REMAINS」には
この日も間に合わず… ってか会場が埼玉で11時開始はいくら何でも早すぎじゃないかと。
そんなわけでLP2日目は、叙情要素強めな北欧メロデス系の隠れた雄「AMORPHIS」からスタートと
相成りました。

でもってその「AMORPHIS」ですが、これメッチャ当たりでした。
その陰をたたえた叙情メロといい、メランコリック含みの哀愁グルーヴといい、デスとクリーンのトーン
切替が演出する荘厳さといい、こういうの日本人はまず好きでしょ的な湿度高めの粘っこい良メロが次から
次へと炸裂しまくりですよ。ステージ上の立ち振る舞いにおけるけれん味の無さが多少気になりはしたけど、
その分、音が映えてましたね。地味だけどしっかり「きかせて」くれる職人的イメージとでもいうか。
特に"Silent Waters"での泣きと切なさの入り混じったメロディにゃ、朝一から思わずホロっとさせられ
ちゃったりも。正直、爆発的な人気が出るとは言いがたいけれど(それほど地味)、でも確実にもう一度
ライブへ足を運びたいと思わせてくれるだけの地力はうかがわせてくれた、渋くて内容の濃い演奏でしたね。

 01:A Servant
 02:The Smoke
 03:On Rich And Poor
 04:Silent Waters
 05:My Kantele
 06:Alone
 07:House Of Sleep


ANDRE MATOS



「AMORPHIS」終了後『ULTIMATE』側のスタンド席へ移動して「ANTHEM」を流し見しつつマトス待ち。
出だしからいきなりマイクが不調で声が全然聞こえないだとか、ようやく声が出たかと思えばいきなり音程
ハズしたりとかで正直「?」な感じが否めない立ち上がりでしたが、アングラの"Wings of Reality"を
演った途端、いきなり客のレスポンスがよくなったのには笑いました。やっぱしみんなアングラ時代の
マトスしか期待してないんじゃん。

その後、若干16歳にして見事ドラム・コンテスト優勝をはたしたという天才少年エロイ君(ナイスな名前
すぎる)のソロや、これまたアングラ時代の"Nothing to Say"による鬼ギターソロがそこそこ場を暖めたり、
よもやの「ジャーニー」(しかも"Separate Ways"!)という意外すぎるチョイスが生んだどよめき混じり
の盛り上がりがあったりでそれなりに見せ場があった後の後半戦、やっぱりというかあざといというべきか、
皆さんお待ちかねの"Carry On"がとうとう炸裂ですよ。その途端フロントエリアへダッシュで殺到していく
ミーハーキッズ達と、それに跳ね飛ばされて目を白黒させてるラクーナ待ちのゴス信者といった構図にゃ
先ほどにも増して大笑いさせられました。

正直、アングラ時代の曲とカヴァー曲以外はほとんどノーレス状態な結果を鑑みるに彼の今後のソロ活動が
不安でならないステージ内容ではありましたが、往年のファンは大喜びだったし、それなりに健在っぷりは
アピールできたみたいだしで、フェスのワンポイント繋ぎ役としてはまあまあだったのかなと。
いやしかしどうせここまで過去の栄光祭りセットにすんのなら、いっそのことヴァイパー時代の曲も混ぜて
欲しかったとも思ったり。

 01:Menuett 〜 Letting Go
 02:Wings of Reality
 03:Rio
 04:Drum Solo 〜 Nothing to Say
 05:Guitar Solo 〜 Separate Ways
 06:Angels Cry
 07:Carry On
 08:How Long (Unleashed Way)


WIG WAM



マトス終了後、見たいアクトが「TESLA」まで途切れる故、しばらくその辺をブラついていようとも思って
いたのですが、インディアン帽に赤タイツというバカ全開のいでたちで出てきて唐突に耳をつんざくような
高音域シャウトをぶちかましたVoの絶大インパクトに惹かれすぎたあまり、ついフラフラと『Big Rock』
の方へ足を向けてしまうことに。

いや正直な話、モトリーやポイズンなどのヘアメタル系を劣化させた一山いくらのダサバンドかと思いきや、
底抜けに陽気バカなステージングによるダイナミックな動きは見ていて気持ちいいわ、その曲調自体は古く
聞こえどもメロの芯自体は実にしっかりしていて妙に耳に残るわ、ギターの人は"Eruption"を余裕でコピって
しかも上位アレンジかましてるくらい上手だわ、ファンから渡された寄せ書き入りの旗を宝物でも扱うかの
ように大切にドラムの横に置いていたその仕草に好感度アップだわと、ぶっちゃけ結構な勢いで気に入って
しまったのでつい最後までノリノリで聴いてしまいました。特に"No More Living on Lies"の嬉し恥ずかし
青春含みな哀愁メロとかね、モトリーの"Don't Go Away Mad"とか大好きなミーには堪えられないものが
ありましたね。

 01:Wig Wamania (Intro.)
 02:Rock My Ride
 03:Dare Devil Heat
 04:Bless the Night
 05:Kill My Rock'N'Roll
 06:Mine All Mine 〜 A Rock'N'Roll Girl Like You
 07:No More Living on Lies
 08:Erection
 09:Gonna Get You Someday
 10:〜 Guitar Solo 〜
 11:Hard to be A Rock'n Roller
 12:In My Dreams


TESLA



ここでスタンディングゾーンを一旦離れて、左側スタンドにてしばし休憩。
そのあまりの居心地の良さに後ろ髪をひかれすぎた結果、今出演バンド中、最大のレア度を誇る「TESLA」
はそのまま着席観戦モードで臨むことに決定。

客電がついたまま状態の中メンバーがゾロゾロだらしなく出てくるという登場の仕方は正直カリスマで
あってしかるべきロックバンドとしてはいかがなものかと首を捻ったりもしましたけど、演奏面の方は
流石に堅実かつ秀逸。地味だけどしっかりしたメロといい、思った以上に派手なツインソロといい、地に
足がしっかり着いたプレイしてくれていましたね。
そしてこのバンド最大の魅力であるジェフの、ジョー・エリオット(Def Leppard)のそれをエグくした
ような声がまた実に渋くて味わい深くて、そのステージに一房も二房も花を添えまくってくれていました。
勿論メインの盛り上がりどころはその声質が一番活きる曲であろう不屈の名バラード"Love Song"。
当然のごとくサビではシンガロングが巻き起こったり、少ないながらもソロ部分のメロを歌ってる人まで
いたりとフロアの熱気度合もなかなかでしたけど、その他のそれは若干苦しかったような…

ミー的には80年代の歌メロ重視スタイルにおけるあの懐かしきテイストを存分に味わうことが出来た
貴重な時間帯でしたけど、メタルコア厨とかメロデス厨とか「僕ハイブリッドメタルしか聞けません!」
的な音楽的横幅が狭い人達にゃ多少面白みに欠けたステージだったかも知れないスね。あとセトリには
若干の疑問も残ったり。どうして"Love Song"と双璧を誇る名曲"Paradise"は演らなかったんだろ?

 01:Solution
 02:Modern Day Cowboy
 03:Hang Tough
 04:Signs
 05:Love Song
 06:Edison's Medicine
 07:Heaven's Trail
 08:Into The Now
 09:Comin' Atcha Live


SATYRICON



怖いもの見たさという名の期待が最も多かったであろう中盤最大の山場、
いよいよノルウェジアン・ブラックメタルの代表格、かの伝説を担うバンドの一つ「SATYRICON」が
今年1月のドージョーでの来日に続いて、このラウパーの『ULTIMATE』ステージに再び見参。
演奏開始と同時に楽器隊の4人全員が激烈極まるヘドバンの嵐を巻き起こし、いよいよサティアーが
その禍々しさ満点なデスシャウトをアリーナ全体に轟かせ… の筈がいきなりのマイクトラブル発生、
なんと初っ端から声が出ず。直後すかさずマイクを変えるもやっぱり声は出ず。まあ普通なら仕方ないね
レベルで済んじゃう話の筈なんですが、相手はかの悪名高きインナーサークル出身者、しかも当時は
バリバリ教会に放火とかしてた生粋のアウトサイダーですからね。正直いつサティアーがぶちキレて
スタッフに殴りかかるかもしくはアンプに火をつけたりするんじゃないかともうドキドキもんでした。

別の意味で非常にエキサイティング、そんな苦笑交じりの立ち上がりはともかく"Now, Diabolical"で
アリーナ前方に巻き起こったサークルモッシュとそれに被さった「Now!Diabolical!Now!」の大合唱は
かなり熱かったです。その後に続いた"Du Som Hater Gud"でのブラストビートにも凄まじいものが
ありました、鬼気迫る勢いと圧迫感が混ざり合って押し寄せてくる的な。フロスト、マジぱねェスね。
特にラストの"Mother North"にて照明フラッシュ効果にこの必殺ブラストがシンクロした時のコア感と
アッパー感にゃ心底アガらされました。昨日のナイルに続いてエクストリームメタル系の醍醐味という
ものを存分に味わせてくれたステージだったと思います。あ、キーボード担当お姉さんの髪の毛が若干
短くなってて、あの伝説のV字ヘドバンの迫力が以前程じゃなかったことだけが残念だったかな。

 01:Walk The Path Of Sorrow intro
 02:The Pentagram Burns
 03:Havoc Vulture
 04:Now, Diabolical
 05:A New Enemy
 06:K.I.N.G
 07:Du Som Hater Gud
 08:Fuel For Hatred
 09:Mother North


SAXON



「SATYRICON」で使いきった体力を少しでも戻すべくスタンドで一眠りの予定だった筈が、
流石は26年ぶりの来日だけあってアリーナを占拠する往年ファン達のやたらと熱いノリ、
特にその登場を心待ちにしたひっきりなしの「SAXON」コールに引き込まれ、ハッと気づけば
スタンドからではあるものの、かなりの前傾姿勢で観戦してる自分をそこに再発見。

そんなダイハードなファンに負けじと声を張り上げるビフの熱さも尋常じゃありませんでした。
特にオープニングの"Motorcycle Man"、モーターヘッドばりの疾走力を突貫力を兼ね備えた
どこをきっても漢メタルなド直進性にゃ一気にもっていかれましたね。
また「次の曲はファーストから…だった?違う?」とアルツ交じりのMCかましてから入った
"To Hell And Back Again"、「次は静かな曲だから休んでくれ」とイギリス人らしくウィットに
とんだMCいれてからプレイした"Heavy Metal Thunder"辺りのこれぞ「NWOBHM!」的なメタル
アイコンっぷりにも相当身震いさせられました。

デスにスラッシュ、ドゥームにブラック、ストーナーにゴシックとここ最近の細分化が顕著な
ヘヴィメタル界隈にあって、トレンドなど知ったことかとばかりどこまでもド真ん中を闊歩するその
姿勢がどこまでも清清しかった40分だったんじゃないかなと。

 01:Motorcycle Man
 02:Dogs Of War
 03:Let Me Feel Your Power
 04:To Hell And Back Again
 05:Witchfinder General
 06:Crusader
 07:Heavy Metal Thunder
 08:I've Got To Rock(To Stay Alive)
 09:Denim And Leather
 10:Wheels Of Steel
 11:Princess Of The Night


HANOI ROCKS



こういった長丁場のフェスでは的確な休憩をとることが非常に大事と頭では理解していながら、
蓋を開けてみればここまでほとんど休めずの3連続観戦、そろそろ体力的にヤバいと自覚し始めた
このタイミングでフィンランドのメタルフロンティア「ハノイ」登場とはズルい、ズルすぎる!
というわけで居直りついでに最前まで突っ込んでみましたがなにか?今は反省していない。

その判断の後押しをするがごとく、ライブ内容の方も想像以上にナイス。
中でもマイケルモンローのパフォーマンスにゃ最初から最後まで目を奪われっ放し。
トレードマークのデカ目をギョロつかせながらステージの端から端までアクティブに動き回るのみならず、
その枠を越えて隣ステージの客まで煽りにいったり、客席に乱入してPAまでの通路をダッシュで駆け
抜けたり、これぞヘアメタル!的な足上げアクション優雅にかましつつサックス吹いたかと思えば、
今度はマイク振り回してシンバルに当てちゃうなどなど、その見どころを挙げれば枚挙に暇がない程。

そんな彼とは対象的にこのバンドのもう一つの象徴たるアンディ・マッコイさんはほとんど動かず。
というか足元おぼつかないし、どう見ても赤ら顔だし、もしかしてアンタ完全に酔っ払ってるんじゃ…
と驚くことなかれ、これがマッコイ・クオリティ。昔のロッカーのイメージまんまな酒豪っぷりに加え、
キース・リチャーズばりの唯我独尊スタイルに破天荒ライフ、あのイジーを酔い潰して苛めたことも
あるという逸話も手伝って自分の中じゃ「絶対お近づきにはなりたくないけど遠くから畏敬の念でもって
眺めていたい人ナンバーワン」なんですが、その座をますます不動にするような存在感をジャックスパロー
ばりの格好とディレイかかりまくりの酔いどれソロだけで示し続けているところはやはり只者じゃないなと。

ちなみにミー視点での最大ハイライトは昔の歌謡曲を思わせるような心の琴線触れまくりの懐メロに心酔
しまくった"CheyenneDon't You Ever Leave Me"と、それを大いに盛り上げた客席へのバラ投げ
パフォーマンス。そしてラストの"Up Around The Bend"、このグラムメタル特有のオプティミズム弾ける
多幸感、その絵になることときたら… そりゃメスは「キャー」な黄声&奇声あげますわ。
メタルバブル全盛期だった80年代の懐かしき空気を久々にフル満喫できた50分だったと思います。

 01:Hypermobile
 02:Malibu Beach Nightmare
 03:Street Poetry
 04:Boulvard Of Broken Dreams
 05:A Day Late, A Doller Short
 06:This One's for Rock'n'Roll
 07:Fashion
 08:High School
 09:Cheyenne(Short Ver)〜 Don't You Ever Leave Me
 10:Tragedy
 11:People Like Me
 12:Oriental Beat
 13:Up Around The Bend


ARCH ENEMY



えーとこれで5連続?一息つく間もなく左『BIG ROCK』へと移動してそのまま「Arch Enemy」観戦。
出だしのPA調整前における「ギターがドラムに埋もれすぎて曲の輪郭が皆目掴めない現象」にすかさず
出鼻を挫かれかかるも(というかこのバンドにとっちゃもはやお約束ですが)この日はそれをフォロー
して余りあるほどの熱気を放つ観客パワーに引っ張られて、ふと気づけば"Blood On Your Hands"サビの
ギター部分を皆と一緒におもいっきりコーラスしてる自分をそこに再発見。

ってかほとんどの曲のしかもサビじゃなくてソロ部分にて合唱が巻き起こるってどんだけ〜 
その流れに呼応するがごとく四方八方で沸き起こるモッシュの勢いにも当然のごとく尋常ならざる
ものが…というわけでミーはその後15分にわたりその人気の凄まじさというものを物理的殴打で
もって骨身にしみるほど味わされる羽目になるのでありました。そんな暴風雨吹き荒れる中、屈強な
肉体を誇る荒くれ者達のスクラム攻撃をものともせず踊り狂っていたビキニ姿のツインテールお姉さんにゃ
マジ脱帽&感動。ステージ上にて網タイに短パン姿でデスシャウト、でもMCじゃアニメ声なアンジェラたん
と並んで今ラウパー最大の萌えどころポインツだったんじゃないかと。

展開面の漲りゾーンを挙げれば"Burning Angel"の珠玉ソロに昇天させられた直後の"Nemesis"が
それ以上にヤバすぎました。白一色の照明効果により全てが真っ白に染まっていく中に響きわたる
「One for all〜All for one〜」の大合唱は感動的という枠を超えてもはや幻想的ですらありましたね。
また兄弟揃い踏んでの悲哀ソロが久しぶりということあってか絵になりすぎていた"Snow Bound"にもホロっと
させられる瞬間があったり。おしむらくはラストの"Fields Of Desolation"が相変わらずアウトロ扱いだった
ことがちょっと残念。どうせならフル演奏をバックにあのお約束シンガロングをキメたかったかも。

 01:Blood On Your Hands
 02:Enemy Within
 03:Dead Eyes See No Future
 04:My Apocalypse
 05:I Am Legend/Out For Blood
 06:Revolution Begins
 07:Ravenous
 08:Dead Bury Their Dead
 09:Burning Angel
 10:Nemesis
 11:Snow Bound
 12:We Will Rise
 13:Outro 〜Fields Of Desolation〜


MARILYN MANSON



さーて、今年も見るもん見たしお腹はもう一杯だしそろそろ帰りますかねモードに入りかけていた
ミーの足をピタっと止めたのが、ステージ全体を白幕で覆って見えなくした上で、そのシルエット
越しに不気味なポーズをキメまくるマンソン開演直後の演出。赤一色の照明がそのホラー感に更なる
拍車をかけていてこれが映像的にも大層映えているわけですわ。
と、ここで幕がバサっと落ちて遂にマンソンがその御姿を… とここで早速ふきました。
だってだって…目の下のところにデーゲーム時の大リーガーみたいなペイント施してるのみならず、
持ってるマイクの柄の部分がナイフ型ってアンタどんだけ中2マインド!?しかもそれを小刻みに
振動させながら歌うもんだから、その様が大人になったチャッキーみたいで、そのベクトルは怖いと
いうよりむしろ積極的にファニーな方へ向かってしまっているという。

いやーマンソンといえば

 ■全部のMCに客が「イエー!」で反応)
  マンソン「俺の事が嫌いか?」
  名古屋客「イエー!」
  マンソン「よしわかった、次の曲で最後だ。とっとと消えてやる!」
  名古屋客「イエー!」
  マンソン「本当にいいんだな?」
  名古屋客「イエー!」
 ■マンソン退場

の「名古屋の悲劇」しか知らなかったんで正直ナメてたんですが、ごめんなさい、面白いです。
そのついでといっちゃなんですが曲の方も思ったより全然良かったです。
"Irresponsible Hate Anthem"の「FUCK IT〜!」パートとか「WE HATE LOVE!」コールとか普通に
盛り上がっちゃいました。そして冒頭で述べた通り、照明の当て方とか小道具の使い方とか演出手法が
とにかくうまいんでミーのようなファンじゃない人間でも楽しむことができる辺り、流石はエンタの本場
アメリカで成功しただけあってやるなと。特に"The Fight Song"時のボコにされてるボクサーを模した
演出や、鉤十字紋章入りの真っ赤な垂れ幕と黒焦げの星条旗を並べてその前に設置された演説台上にて
狂ったナチスさながら踊り舞い歌い叫んでた"Antichrist Superstar"でのパフォーマンスにはかなりの
高レベルでテンションもってかれましたね。

また客席フロントに6回以上飛び込んでその都度もみくちゃにされた挙句、セキュリティにお姫様よろしく
抱きかかえられてステージ上へ連れ戻される様にはアホを越えて可愛いとまで思わせる何かがあったりも。
いやー「興味ないから」的な無関心をエクスキューズにした食わず嫌いしなくて本当に良かったっス。

 01:If I Was Vampire
 02:Disposable Teens
 03:Mobscene
 04:Tourniquet
 05:Irresponsible Hate Anthem
 06:Sweet Dreams
 07:Lunch Box
 08:The Fight Song
 09:Putting Holes In Happiness
 10:Heart-Shaped Glasses
 11:The Dope Show
 12:Rock Is Dead
 13:The Reflecting God

 14:Anticrist Superstar

 15:The Beautiful People


<今日の無駄T>



#やりすぎとも言える程のおどろおどろしいデザインに一目惚れした挙句の瞬速買い。
 このサティリコンTは来年のラウパーまで大事に眠らせておくつもり。


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