LESS THAN JAKE.


2007年10月4日: 渋谷クワトロ>

「パンク・ハードコア系強化」をテーマに臨んだ今年のライブ・ライフ。
蓋を開けてみれば「PUNK SPRING」や夏フェスなどのイベ系ではそこそこ抑えたものの、
単独として見るならその手の系統で赴いたのは「RANCID」「CONVERGE」「OFFSPRING」に
「TOY DOLLS」の4つだけという、ちょっと寂しい内容に。
だけど「FALL OUT BOY」や「Summer Obsession」のコンピに「Better Luck Next Time」、
パンスプ後の「NOFX」と、見に行きたかったライブは結構あって、でも忙しかったり金欠
だったりで、見逃してきちゃってるんですよね。そんな背景もあってかそろそろパンク系
も頑張っていかないといかんだろという気合とともに、今年のフジの興奮よ再びとばかり、
スカパンクの大御所「LESS THAN JAKE」を見に、渋谷はお馴染みのクワトロまで行って
まいりました。

この日は若干体調が悪かったもので、スタンディングエリア最後尾の柵にはりついたまま
まずはのんびり観戦。ライブがその口火を切ると同時にフロント付近で人がポンポン空を
舞うという「お馴染み」の光景を悠然と眺めつつ、早速ステージ上へと目をやれば、何故か
そこにいたのはジョニー・ラモーンの出来損ない?
あれ?金髪にソフトモヒカンがトレードマークのマイクは何処へ?とさんざキョドった末、
よくよく見てみればその似非ジョニーこそがヅラ被ったマイク本人だということに気づかされ、
相変わらず意味不明な方向へ全開すぎるそのエンタ精神にまずは1本とられることに。

その後も、広島公演で前座を務めた「アストリア」というバンドのヴォーカルを意味なく
ステージに上げて躍らせまくったかと思えば、今度は別の外人客二人を連れてきて曲中に
ビール一気飲み対決をやらせるという、無軌道にも程があるはちゃめちゃサービスを連発。
その最たるものが「ワタシハ、ニホンゴヲ、ベンキョウシテイマース」を枕に続くお馴染み、
カンペ見つつのカタコト日本語MC。
フジロックの時は、
 「12ジカンニオヨブ、フライトノセイデ、ケツノ「ジ」ガヤベー」
 「ニホンノ、フェスハ、キレイデイイネ。ドイツノフェスハ、ジメンニ、ウンコシテタ!」
 「ニホンハオンナノコ、ホソクテイイネ! アメリカノハ、ブタ、バッカ。ブヒー」
でしたが、今回のそれは、
 (ドラムを指差して)「イチバン、チンコ、オオキイー」
 (ベース指差して)「オーサカデ、ニホンイチノデブト、ヤッター」
 (自分を指差して)「オレノチンコハ、ネコヨリ、チイサイー」
の三本でした。アホ全開って感じで好きだな、こういうの。

肝心の音の方も、モッシュやダイブの乱発しすぎで客だけ先走ってる感が顕著だった前半
はともかく、それまでの「縦」から「横」へのノリ変化で場内の空気をすっかり入れ替えた
"The Science Of Selling…"辺りからフロアとステージ上の温度差がほぼ消滅、その楽しげ
なグルーヴにまず一歩、ヴァースからサビに至る高揚感が抜群な"Ghosts Of Me And You"
にまた一歩と、徐々にテンションを上げさせられたところでふと周囲を見てみれば、少し前まで
最後尾にいた筈が何時の間にか最前付近にまで出張ってる自分をそこに再発見してしまい、
改めてその音がもつヴァイブの伝達力というものに感嘆させられたり。

そんな「場」の昂揚感がほぼ臨界点を迎えたかと思われるその絶妙タイミングにて、
満を持しての"Short Fuse Burning"投入、と同時にさっそく作られ始めるサークルピット。
普通のカッコした一般パンクスに混じって、気合入りまくりのモヒカンからスパイダーマンの
被り物、はたまた背中一面に彫り物入れたホンモノさんまでもが、みな同じような屈託ない
笑顔浮かべて回る回る。今年のフジロックにて未だかつてないほど巨大なサークルを発現させ、
新たなるフジ伝説を生みだしたといわれるその大きさには勿論及ばなかったものの、その勢いと
一体感には勝るとも劣らないものがあったんじゃないかと。そのくらい場内一丸となって
盛り上がった時間帯だったと思います。

そしてここからラストにかけての出し惜しみナシ感たっぷりな畳み掛けにも素晴らしいもの
を感じましたね。特に本編ラストの定番"Gainesville Rock City"やレスザン持ち弾の中でも
屈指の名曲"Look What Happend"で魅せたその圧倒的アゲっぷりと、それにより先程の
スパイダーマン、緑モヒカンに刺青893、頭にネクタイ巻いたリーマンから、更には制服姿の
OLさんまでをもみな分け隔てなくダイブさせしめたその牽引力、そしてそれが作り出した
光景はとにかく鮮烈で壮観、かつ鳥肌ものでありました。

あ、余談になりますがくだんの刺青893さん、よくよく見たら今年のパンスプでも見かけた人で、
「Bettet Luck Next Time」の時、1人だけハードコアのりで暴れ狂ってた、そっちの方面でも完全に
ホンモノな方でした。ホンモノはどんな分野においてもホンモノなんだなと心底実感させられた一幕、
みたいな。


<今日の一枚>

 ANTHEM / Less Than Jake

それまでのインディレーベルから、ワーナーという「メジャー」に舞い戻って、奮起一発
作り上げた移籍第一弾。スカ色が若干引いた感じはあれども従来からの持ち味であるおバカ
ノリ全開な突貫力はむしろ増しているかと。チープトリック往年の名曲"Surrender"、
前作とはアレンジ違いの"Look What Happend"に加えて、曲調に多彩さを持たせている
Wボーカルも聞きどころの一つ。スカ系はどうも受けつけないという人に是非とも聴いてみて
ほしい一枚。


<今日の無駄T>



#前面の派手なロゴでパンクらしいはっちゃけ感を演出してるとこは、まあヨシ。
 バックプリントなしなところがちょっと寂しいかな。



<セット・リスト>

01:Sugar In Your Gas Tank
02:Johnny Quest Thinks We're Sellouts
03:National Anthem
04:Never Going Back To New Jersey
05:How's My Driving, Doug Hastings?
06:The Science Of Selling Yourself Short
07:Sountrack Of My Life
08:1989
09:The Ghosts Of Me And You
10:Short Fuse Burning
11:Great American Sharpshooter
12:History Of A Boring Town
13:All My Best Friends Are Metalheads
14:Automatic
15:Gainesville Rock City

16:Last One Out Of Liberty City
17:Plastic Cup Politics
18:Look What Happend


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