GOTTHARD.


2007年9月18日: 渋谷O−EAST>

ここ日本じゃそれほど目立った人気はないものの、ヨーロッパ圏ならもはやアリーナ級、
叙情性を伴う美メロとそれを支える美声が売りのメロディック・パワー・メタル・バンド、
「GOTTHARD」のライブを見に渋谷は「O-WEST」まで行ってまいりました。
いや、実はライブに足を運ぶほどのファンってわけでもなかったんですけが、マサ伊藤が
やたらプッシュしてたもんでとりあえず新譜買って聞いてみたら、至極あっさりその美メロ
と美声に転ばされちゃったもんで。

で、10日程前にチケ購入したわりに整理番号は若かったし、ウィキにもまだ登録されてない
くらいの知名度だし、そんなにゃ混んじゃいないだろと時間ギリに会場入りしたら、これがもう
大誤算。足の踏み場もないくらいの大混雑っぷりを前にして、ミーは早速シパシパと目をしばた
かせる羽目になってしまいました。が、そこは僕も歴戦のライバー、柵がやたらとあるせいで人
が密集せずドーナツ型に分布してしまうというこの会場特有の現象を利用した「一見混んでいる
ように見えて、その実、右奥の最前付近は案外とスカスカ」な裏技を駆使し、ちゃっかり好位置
を得ることにまんまと成功。いやいや、なんでも経験はつんでおくものですよね。

ともあれライブの方は、出だしの"Master Of Illusion"からいきなりサビ大合唱。
ついでに次曲の"Gone Too Far"じゃサビ後の「アアア〜」という裏サビまでをも大合唱。
その熱気の度合いたるや、ライブ序盤にしてVOのスティーヴから「ニホン、サイコウ!」という
お褒めの言葉を賜わるほど。てかほとんどの曲サビをマスター済みって、今日集った皆さん、
いくらなんでもダイハードなファンすぎね? そんな熱狂的なファン層を前に気分を良くしたか、
メンバーの皆さんもメチャ笑顔。いや、何気ないことだけどこれ凄く大事なことだと思います、
バンド側が笑顔だとそれ見てるこっちも気分よくなって、ますますテンション上がりますからね。

そしてその熱気を更に牽引するがごとく、スティーヴのハイトーンがこれまた伸びる伸びる。
その伸びっぷりたるや、かつてのジョーイ・テンペスト、往年のジェフ・スコット・ソートも
あわやというぐらいの勢い。少し前にみた「LAD」のミカエルもかなりいい声してたけれどこちら
はもう完全にそれ以上。しかもその外見がスラっと伸びた長身な上に、着ている白シャツの前を
はだけまくりで(白蛇のデビカバさんみたいでした)、そこから見える胸板がこれまたムキムキと
きてますからね。そりゃ最前の女の子がキャーキャー言うわけですよ。

そんな序盤における一番の見所は、新譜からのバラード"The Call"にて場の熱気を一旦収束
させたところから繰り出した初期DPの名曲"Hush"。そいやこの前みた「Night Ranger」のライブ
でも「NaNa-Song」タイムとして「Journey」の"Lights"とか「Beatles」の"Hey Jude"を取り上げて
客に「ナ〜ナナ〜」パートを合唱させてましたけれど、ここでの「ナ〜ナナ〜」はその時にも増して
一体感と統一感、何よりも力強さに溢れていました。

その後に続いた"Sister Moon"での初期プラントばりなパワートーン、またお世辞にもカッコよく
はなかったけれど「愛嬌」という点から場を大いに盛り上げていたレオのコミカル仕草交じりなソロ、
そして観客によるサビ後のハモりがこれまた絶妙すぎた"I Wonder"などの好パフォーマンスが場の
空気をまったくダレさせることのないまま、ライブは中盤のアコス・パートへと突入。
そこで「日本だけの特別な曲」とMCした後にプレイした"Tomorrow's Just Begun"も良かった
けれど、やっぱりここでのハイライトは、アテネオリンピックにおけるスイスチームの公式テーマ
でもあり、と同時に彼等の名を一躍世に知らしめるきっかけともなった名曲"One Life One Soul"
でしょう。アンコール後の"Heaven"でも同じようなことを感じましたけど、叙情臭及び哀愁色の
濃いバラードやらせたら今このバンドの右に出るものは実際いないんじゃないかって。曲そのもの
の良さとそれに呼応する客側のかけあいも相まって、思わずホロっとさせられちゃいましたよ。

そんな「静」の流れから「動」へと切り替えて、連続で畳み掛けてきた後半の展開も文句なし。
中速にて重厚に迫りくる"Domino Effect"から、一気にギアを上げてドライヴ感で押しまくる
"All We Are"、そこからヘヴィ/ムーディという両グルーヴを楽しめる"Dream On"で繋いで、
スローな抑圧パートから溜めて溜めてドカーン!な展開が血を熱く滾らせる"Firedance"へと
もっていったこの一連の流れ、そしてアンコールでプレイされた"Lift You Up"中、突如フロア
全体に巻き起こり、スティーヴに「トーキョーサウナ!」とまでいわしめたジャンプ祭りによる
賞賛の雨あられが、いかに今日の彼等のステージ運びが素晴らしいものであったかを証明して
くれていたんじゃないかなと。

またモッシュ皆無、フィストバング主流な「体に優しい」盛り上がり方が、ここ最近荒くれモッシュ
に巻き込まれてばかりで若干壊れ気味だったこの身にしっとりフィット。そんなピースフルかつ
ハートウォーミングな雰囲気も、時には悪くないかなって。
昨今、ヘヴィロックやエクストリーム路線に圧され気味なメタル前線にあって、まだまだ正統派
メロディックハードも捨てたもんじゃないということフル実感できたライブだったと思います。

ここのところクリマン、スマッシュという大手プロモーター勢ばかりの活躍が目立つ洋楽エンタ
業界ですが(ウドーは凋落)、今回のような重箱の隅を突つくがごときナイスチョイスが出来るなら
ザックさんはまだまだ大丈夫、今後ともM&Iさんとともに第3の勢力として頑張っていってほしい
と思います。


<今日の一枚>

 Domino Effect / GOTTHARD

スイスを代表するメロディック・パワー・メタル・バンド「GOTTHARD」。
「メロディアス」という面においては、もはや達人の域にまで達したと思われる彼等が、
満を持してリリースした通産9枚目のフルレンス。元から定評のあったメロディセンスを
ボヤかさず活かしきる曲展開のまとめ方、その統一感にこそ、前作からの成長、そして今作
一番のポイントがあるのではないかと思われ。
「Harem Scarem」や「Fair Warning」などの地味だけれども良メロを作ることにかけては
他にひけをとらない正当派HRバンドを好む方に、特にオススメしたい逸品。


<今日の無駄T>



#この2日後に声優のライブ(AICE)があって、そちらにも行ったんですが、
 その時にコレ着てる人みて悶絶しました。メタルとアニメってファン層カブりまくりやん。



<セット・リスト>

01:Master Of Illusion
02:Gone Too Far
03:Top Of The World
04:The Call
05:Hush
06:〜 Leo Guitar Solo 〜
07:Sister Moon
08:Make My Day
09:I Wonder
10:Tomorrow's Just Begun
11:One Life One Soul
12:Let It Be
13:Domino Effect
14:All We Are
15:Dream On
16:Firedance
17:Mountain Mama
18:Anytime Anywhere

19:Falling
20:Heaven
21:Lift You Up

22:Mighty Quinn


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